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Channel: まつたけ秘帖
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ダーシーさんがこっち見てるし!

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 イギリスのTVドラマ「高慢と偏見」を観ました~。全6話。
 18世紀のイギリスの田舎。地主のベネット夫妻には、5人の若く独身の娘たちがいた。美しく優しい長女ジェーンは、近所に越して来た金持ちの青年ビングリーと恋に落ちる。一方、聡明で感受性の強い次女エリザベスは、ビグリーの友人で大富豪のダーシーの高慢な態度に反感を覚えるが…
 評判通り、面白かったです!映画版の「プライドと偏見」は、ヒロインのキーラ・ナイトレイが苦手だし、ベネット一家の浅ましさに不快感しか覚えなかったこともあり、あまり好きではないのですが、ドラマは映画ほどイヤな感じはしなかったです。イラッとする系人物も、ムカっとする系人物も、映画よりも笑えてチャーミングな人々になってたからでしょうか。個性的・魅力的なキャラたちの中でも、やはり突出してたのがミスター・ダーシー。演じてたコリン・ファースが、ちょっと若くて、やっぱカッコよくて、いい役者だな~いい男だな~と惚れ直しました。 
 表面的には傲慢で堅物で冷たいけど、ほんとは不器用で優しく誠実な紳士ダーシーさん。コミュ障?!と心配になるほどの他人とロングディスタンスな男ですが、仲良くなればこれほど素敵な殿方はいない。まあ、なかなか仲良くなれないのが難点ですが自尊心が高すぎ、性格が清廉すぎるのも、考えものだな~とダーシーさんを見ていて思いました。彼、エリザベスに出会えたのはラッキーでしたよ。彼女みたいな女性、なかなかいないですし。彼女がいなかったら、ダーシーさん孤独死間違いなしな老後でしょう。

 反感を感じながらも、だんだん相手の美徳や愛情に気づいて惹かれ合うダーシーさんとエリザベス。恋愛ものの基本パターンですね。ジェイン・オースティンの小説は、いろんなロマンス小説や映画、少女漫画に影響を与えてることが、このドラマを観るとよく分かります。でも…純愛ロマンスよりも、オースティン女史がストーリーテリングの才能を発揮してるのは、結婚とかお金に関するドメスティックな問題です。橋田スガコ先生のドラマを、上品に優雅にコーティングしてる感じがするのです。いつの時代も、どこの国でも、結婚とお金が絡むと人間は、特に女は面倒くさい、怖い、そして切実。結婚とお金のことで大騒ぎしてる人々が、浅ましくも滑稽に描かれています。特にママのミセス・ベネット。あんな母ちゃん絶対イヤだ~と、心底ゾっとしました。娘の幸せとか気持ちなんか全然考えず、お金と体裁と自分のことばかりギャーギャー(どっから声出してんの?!な甲高い声が、すごい美声。歌ってるみたいで笑える)言ってるママ、私なら耐えられない。首しめるか殴ってるかもまあ、悪い人じゃないんだけどね~。だから余計ハラ立つんですが。無神経なKY男コリンズさんとかも、むしろバカみたいに善人なんだけど、そこが返ってタチが悪い。そういう世の中にあふれてる、悪人よりも始末に負えない善人、の描写も巧みなオースティン女史です。あと、色男ウィッカムのクソ野郎っぷりも、ある意味お見事。あの詐欺師に近い嘘つきぶり、正体バレてんのに平然としてる厚顔無恥さって、一種の才能ですよ。水商売とか芸能界なら大成しそう。

 ダーシーさんが、カッコいいだけじゃなくて何か怖い、ヤバい魅力もあることが、さすがコリン・ファース。凡百のイケメン俳優とは役者の違いを見せつけています。常に怒ってるような顔が怖い。そして、エリザベスをじ~っと見てる時の目が、ヤバすぎる!あれはほとんどサイコの目ですよ。あまりにも鋭く熱い視線、伝説の韓国ドラマ「美しき日々」のイ・ビョンホンを思い出してしまいました。あのドラマで、チェ・ジウをじと~と遠くから見つめてるビョン吉のまなざしも、エリザベスをロックオンしてるダーシーさんのまなざしも、かなり病んでて笑える。あんな目で見られるのって、女としてはどうなの?嬉しいの?怖いの?まあ、ヤンデレもビョン吉やコリンなら前者ですが、同じことを田代まさしとか宅八郎氏にやられたら、戦慄すぎて通報ものでしょう…

 現代劇のスーツ同様、時代劇の衣装もエレガントに着こなしてるコリン・ファース。背が高くて恰幅がいいので、ほんと何着ても似合いますよね~。女性たちの衣装も優雅で軽やかで、目に楽しかった。私もローラ・アシュレイ風のドレスとか着てみたいわ~。結婚やお金のことで無駄に大騒ぎする以外は、特に何もやることがない人々の、優雅な有閑生活が羨ましすぎる。私もあんな風に、美しい田舎と屋敷で、きれいなドレス着て、召使にかしずかれた生活してみたいわ~。ダーシーさんの屋敷の、これまた壮麗なこと!あれを見たら、誰だってダーシー夫人になりたいと思うでしょう(笑)。でも、管理が大変そう!やっぱフツーの家でいいわなんて思う貧乏性な私…
 エリザベス役のジェニファー・イーリーも、なかなか好感度の高い演技と見た目でした。メリル・ストリープと渡辺えりを足して二で割って、若く美人にした感じ?優しそうで聡明そうな彼女のほうが、キツくてギスギスしてるキーラ・ナイトレイよりも、エリザベスに適してます。あまりにも落ち着いてるので、とても20歳前後の小娘には見えなかったけど。トラブルメーカーの末妹は、ヘレナ・ボナム・カーターの妹?
 日本でアレンジしてドラマ化されるとしたら…理想妄想キャストは、こうだ!
 
 エリザベス … 木村文乃
 ダーシー … 西島秀俊
 ジェーン … 沢尻エリカ
 ウィッカム … 坂口憲二
 ビングリー … 速水もこみち
 ビングリーの姉 … 田畑智子
 ビングリーの妹 … 菜々緒
 大佐(ダーシーのいとこ) … 小澤征悦
 ジョージアナ … 箕輪はるか(ハリセンボン) 
 コリンズ … 岩尾望(フットボールアワー)
 シャーロット … 平岩紙
 ベネット氏 … 塩見三省
 ベネット夫人 … 栗原小巻
 ダーシーの伯母 … 渡辺美佐子

 こんなん出ましたけど~? 
 いつも眉間にシワ寄せてて無口だけど優しい男といえば、今をときめく西島さんでしょうか。ダーシさんもMOZUっぽく演じます。
 エリカ様は、中身はアレかもしれないけど、見た目は清純で薄幸そうな美女なので、ジェーン役も巧く演じてくれるのでは。エリカ様をイビる小姑二人は、ファーストクラスの再現ちっくにして笑いを狙います。もっと適した俳優女優いるし!なご意見、大歓迎です♪

おとこの操

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 「Hors les murs」
 パブで泥酔した青年パウロは、翌朝バーテンダーのイリールの部屋で目覚める。強く惹かれ合うものを感じた二人は、やがて友人以上の関係に。同棲中のガールフレンドと別れたパウロは、イリールの部屋に転がり込むが…
 フレンチなBL映画で~す英語タイトルは「Beyond the Walls」“壁の向こうに”という意味でしょうか。お国柄なのか、男同士で愛し合ってる、という関係やシチュエーションに、あまり禁断っぽさや隠微な気配はなく、かなり堂々としててフツーの男女の恋人みたいな感じです。人前だとちょっと気まずい程度で、同性愛に対する葛藤とか苦悩はほとんどない。スーパーのレジでのおふざけとか、駅のトイレ個室でのハレンチ行為とか、日本では絶対に見られないゲイのバカップルぶりです。

 イリールは元々ゲイなんですけど、パウロは彼女がいるストレートくん。なのに、イリールとすぐにBL関係になっちゃうのが驚きでした。男はみんな多かれ少なかれ、同性愛の気がある…とよく耳にはしますが。心と体のどこかに普段は埋没してるスイッチが、出会うべき相手に出会うと入っちゃうんですね。同性愛とは無縁そうなイケメンでも、ほんとはなんて、典型的な腐の妄想ですが(笑)。パウロは、でも始めから見た目もキャラもゲイっぽくて、女といるほうが何か違和感がある乙女男子。イリールと出会って本当の自分、ゲイに目覚めたって感じでした。いったん覚醒したら、もうゲイ道一直線なパウロ。ガールフレンドとはあっさり別れ、イリールにベッタリ。そこにはもう、ノーマル生活への未練など微塵もなく、ある意味潔いな~と感嘆。真性ゲイのイリール、軽い遊びのつもりだったのに、押しかけ女房?なパウロに困惑、でもだんだんほだされて、いつしかイリールのほうがマジになってしまう。いい男を完全攻略、首ったけにするパウロの可愛い甘えん坊ぶり、庇護したいと思わせる頼りなさは、女子も見習わねばなりません。

 男同士のラブシーンは、ふんだんにあるのですが、そんなに過激ではなくエロくもないです。駅のトイレでのシーンが、いちばんゲイゲイしかったかな。でも、笑えるシーンでもあるんですよ。ゲイショップで買った男の貞操帯(鍵付きペニスケース)を、自分の留守中パウロが浮気しないように、ハアハア言いながらイリールがパウロのアソコに装着するという、かなり滑稽なハレンチシーン。数日で帰って来るはずが、ヤク所持で捕まって刑務所に入れられてしまうイリール、鍵もったままなので貞操帯がとれない~!と、パウロが半泣きの日々…おバカコメディになるのかな?と懸念しましたが、引き裂かれて愛が揺らいでゆくシリアスな展開になってくれて安堵。

 ↑駅トイレでの貞操帯強要シーンが、なかなかエロかったです。イリールのハアハア言葉攻めがナイスでした(^^♪
 刑務所を出所し、パウロとやり直そうとするイリールですが、パウロは…男同士だからというより、イリールもパウロも未熟すぎるゆえに愛を守れなかったのでしょう。自分を守ってくれる誰かが傍にいないと生きられないパウロの弱さ、ヤク欲しさのあまりパウロに危険な行為を強制するイリールの身勝手さ…愛ってやっぱ、自分のこよとりも相手を大切に想うこと。未熟さ、弱さゆえに、自分のことしか考えられなくなった二人が、愚かで悲しかったです。意志と信頼、思いやりがあれば、試練を乗り越えて本当の恋人同士になれたはずなのに。

 イリール役は、「僕を探しに」など、フランス映画界期待の若手俳優ギョーム・グイ。ワイルドで精悍でカッコいいです。ちょっとヒュー・ジャックマンに似てる?おヒューさんを若くして、チョイブサ&不良っぽくした感じ?まだ30ぐらいなので、さすがに肌がピチピチ。パウロを甘やかしたり攻めたりするのも男らしくて、ゲイカップルにおける理想的なタチっぷりでした。パウロ役のマティラ・マリアラキスは、ブラッド・ピットをヘタレな優男にした感じのイケメンでした。地なのでは?!と疑ってしまうほどの、堂に入ったネコっぷりでした。でもほんと、俳優さんってスゴいと思います。男同士でディープキスとか裸で絡み合うのって、よほどの覚悟と役者魂が必要でしょうし。

 ↑ギヨーム・グイ、1983年生まれの32歳。嵐の二宮、松じゅんと同い年大人の男って感じですよね~

同情するなら抱いてくれ!

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 「花宵道中」
 江戸末期の吉原。大火災の後、朝霧たち遊女は仮宅に移り商売を続けていた。そんな中、朝霧は京から来た染物職人半次郎と出会い、恋に落ちるが…
 安達祐実が脱いだ、ということで話題になった映画です。あの「家なき子」から、もう20年以上も経ったのですね~。天才子役として一世を風靡した祐実ちゃんも、すっかり大人の女に…と思いきや。祐実ちゃん、いや、もうお子さんもいるバツイチ、芸歴も長いベテラン女優の祐実さんですが、見た目も演技も家なき子の頃と変わってない…キャリアベストの時代から不変、というのは、いい意味でも悪い意味でも驚異的。若いまま、な女優はたくさんいますが、幼いまま、な女優はそんなにいない。祐実さん、とてもバツイチ、1児の母には見えません。見た目、子どものままだし。なので、せっかく大胆なヌードや濡れ場に挑戦してるのに、全然エロくないんですよ。少女が好きな変質者、じゃない、特殊な性癖の人たちは興奮するのでしょうけど、私からしたらただもう痛々しいだけでした。見てはいけないものを見てしまった感じ…

 祐実さんだって、もう酸いも甘いも噛みまくってる大人の女性、こういう役をするのも不足のない年齢の女優なんですけど…いかんせん、大人の女に見えないんですよ。見た目だけでなく、声も『同情するなら金をくれ!』と叫んでた頃のまんま。そんな彼女が、男たちにアンなことコンなことされて、悶え顔やヨガリ声…児童相談所か警察に通報ものな幼女虐待シーンにしか見えませんでした。大人の女優として認められたい!という祐実さんのガッツ、意欲は高く評価したいけど、ちょっと違った方向に暴走しちゃってましたね~。気の毒だけど、彼女はかなり役が限られてしまってる女優。色っぽい役は無理がありすぎますが、年齢不詳っぽい不気味さを活かした役とかだと、活路が開けるのではないでしょうか。子どもにしか見えない祐実さんですが、おっぱいは柔らかそうでキレイでした。
 この映画を観たのは、お気にのイケメンである淵上泰史くん目当てです♪

 フッチー、今までで一番の大役?「S 最後の警官」劇場版では、ほとんどエキストラだったので、準主役級の扱いはファンには嬉かったです。しかも、濡れ場もありときた
 フッチー、可愛かったんですけど…やっぱ、すごい大根何をかいわんや…な棒読み、学芸会演技なのですが、まあそれも愛嬌というか、勘違い俳優の演技派気取り演技よりも、私はフッチーみたいな一生懸命やってる大根演技のほうが好きです。時代劇なのに、お祭りで着物着てる現代青年にしか見えなかったのも、トホホだけど可愛かった。まあ、要するに好きなイケメンは何してもアバタにエクボってことですね

 で、お楽しみだったフッチーの濡れ場ですが。うう~ん?期待してたほど大胆に濡れてなかった…いや、最近の若いイケメン俳優にしては、頑張ってたとは思います。濡れ場シーンは1回だけですが結構長く、祐実さんとは激しく執拗なディープキス、彼女の足を舐めたり乳首を口に含んだり、ヤることはヤっておりました。

 でもね~。何か残念というか…惜しげもなくおっぱい見せてた祐実さんに比べると、フッチーの裸はほとんど見えなかったからでしょうか。いいカラダなのかそうでないのかさえも判断できないほど。まあ、この映画は安達祐実の脱ぎが最大の売りなので、当然っちゃあ当然なのですが…でも、こういう映画をヒットさせたかったら、男のスケベ心だけを狙うだけじゃダメ。女性のスケベ心をソソることこそ、最も重要なのではないでしょうか。イケメンが肉体美をさらして、エロいことしてる!というのも売りにせんとね。韓国のこの手の映画のほとんどは、女優よりも男優の裸とエロ演技がメインですからね~。韓国イケメンスターの捨て身な全裸ズコバコを見慣れてるので、フッチーのラブシーンは稚技に等しかったです。ケツぐらい出してほしかったかも。
 吉原遊女の悲しさ、凄絶さも、あまり感じられませんでした。何だか少女漫画っぽいスウィーツさというか。邦画ファンの間では伝説となってる傑作(怪作?)「吉原炎上」のインパクトには遠く及びません。キャストのせいでもあるかも。

 祐実さんの遊女仲間たちが、まるで志村けんのバカ殿の腰元レベルの演技なんですよ。卑劣で変態な商人役の津田寛治、そのはっちゃけまくった外道っぷりが笑えた。ほとんどウッチャンのスカっとジャパンでのコントだし。ダメ押しで、遊女の元締め役の友近。彼女が出てるだけで、もう映画ではなくバラエティになってしまってました。友近の台詞『股開かざるもの食うべからず』が笑えた。

 ↑こないだ何の気なしにTVつけたら、NHKのドラマにフッチーと安達祐実が出ててビツクリしました!

別れましょう私から消えましょうあなたから

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 おほかたの
 秋をば憂しと
 知りにしを
 ふり捨てがたき
 鈴虫の声

 秋ですね~…物欲も出世欲も性欲もない枯草な私ですが、食欲だけはかろうじてあります…。秋の夜長に聞こえてくるのは、いとあはれな鈴虫の声…ではなく、救急車やパトカーのけたたましいサイレンや暴走族の騒音なのが、眠りを妨げてストレスです。
 ぼっちな秋の夜更かしは、いま人気の英国男優のおかげで寂しさなんか感じない♪
  
 秋の英国男優祭①
 「ラブストーリーズ コナーの涙」「ラブストーリーズ エリナーの愛情」
 幼い息子を亡くした若い夫婦コナーとエリナーの間には、いつしか隔たりが生じていた。そんな中、エリナーが突然コナーの前から姿を消して…
 夫婦関係の破綻と愛の再生を、夫と妻それぞれの視点で描いた2部作です。
 うう~ん…ぶっちゃけ、私の口には合わない映画でしたエリナーがメンヘラすぎます。幼い子供を亡くすなんて、この世でいちばん悲しいこと。それは子どもがいない私にだってよく分かります。でも…エリナーの悲しみ方は、あまりにも自己中心的に見えて、同情や共感ができませんでした。悲劇と不幸を背負ってるからといって、何しても許されるわけではありません。周囲を翻弄したり傷つけたり狼狽させたり、甘えるのもいい加減にしろ!エリナーの言動には、イラっムカっとするだけでした。コナーの前からいきなり消えたりするエリナーですが。いったいコナーが何をしたの?めっちゃ優しくて愛情深い旦那さんなのに。エリナーが傷つくような何かをしたのならいざ知らず、そういう事実はなかったし…子どもを失って悲しんでるのは、コナーだって同じなのに。エリナー、自分のことばかりでコナーに対して思いやりがなさすぎる。女のほうが悲しみが強い深いのだろうけど、それにしてもコナーへの仕打ちが非道すぎる。

 突然コナーの前から姿を消すエリナーですが。別れましょう私から~消えましょうあなたから~♪大黒摩季もきっと、エリナーには開いた口がふさがりませんよ。蒸発とか失踪とかではなく、すぐ近くにいたりするのも思わせぶりというか、いったい何がしたいの?な理解不能なメンヘラぶり。コナーのことを自分から一方的に遠ざけ避けてたかと思うと、これまた一方的に彼に近づいてきたり。めんどくせぇ女~!実家に戻って、おしゃれな髪型、ファッションで大学に通ったりと、ずいぶん優雅だよな~。子どもを失っても、悲しみに暮れてばかりではいられず、生活のために気丈に働いてる女性が見たら、いいご身分すぎるエリナーです。優しい家族に支えられ援助してもらってる、それを当たり前みたいに享受し、悲しんでるから!傷ついてるから!を免罪符にして、迷惑なメンヘラ言動を繰り返すエリナーに、ほんと腹が立ちました。家族もお金もなく、孤軍奮闘してる女性って、いっぱいいるのに。傷ついても悲しんでも、優しさは失いたくない…と、エリナーを見ていて心底思いました。
 ヒロインにも共感できなかったけど、映画じたいも何だろう…うまく言い表せないけど…美しい映画気取り?というか。演出とか音楽とか、何か気取ってて鼻につくというか。傷つき悲しんでいる人たちが美しい、みたいな描き方にはあまり好感を抱けません。映画やドラマで、人が苦しんでる悩んでる姿とか見たくないし。ウジウジした話よりも、悲しくても辛くても強く生きる、頑張る人の明るい話のほうが、私は好きです。あと、2部作もしんどい。コナー編だけで十分かも。
 映画じたいはアレでしたが、キャストは豪華で素晴らしい!主役のカップル役は、ジェームズ・マカヴォイとジェシカ・チャステイン。

 マカぼん、か、可愛い!見た目といい雰囲気といい演技といい、彼ほんと素敵男子だわ~。優しく温かで、ちょっとヘタレで大人になりきれてない少年っぽさがあるコナーに、ぴったりな風貌。童顔で小柄で足が短いという、日本人には親近感が持てるルックスも彼の魅力。小柄だけど、ムチムチした体つきも好き。メンヘラなエリナーにオロオロする様子が、ほんと可愛かったです。車に轢かれるシーンが可愛すぎて何か笑えた。マカぼんって、昔は堺雅人とちょっとカブった感じがあったけど、今は何となく大森南朋に似て見えることが…

 ジェシカ・チャステインとは、どー見ても姉弟なマカぼん。調べたら、ジェシカのほうがやっぱ2歳年上だった。共演の女優は、みんな年上に見えてしまう。「つぐない」のシアーシャ・ローナン(当時13歳)が、いちばんお似合いだったかも親父や親友とのやりとりとか、とても30過ぎの大人とは思えないコナーは、他のアラフォー男優が演じてたらイラっとする男になってたでしょうけど、マカぼんの可愛さのおかげで子どもっぽさが愛しい魅力になってました。

 ジェシカ・チャステインは、今のハリウッド屈指の名女優なんだけど…何かニューハーフみたい眉毛がない真っ白な馬面が怖いし。声は少女みたいで可愛い。彼女のファッションがオシャレでした。でも…コナー編ではエリナーの出番は多かったのに、エリナー編ではコナーはそんなに登場しないんですよ。W主演のはずなのに、ジェシカのほうが美味しい扱いです。
 エリナー編は、コナー編よりキャストが豪華なので、やっぱスキップはできません。

 エリナーのママ役は、何と!フランスの大女優イザベル・ユペール。クールでドライだけど、ひょうひょうとしててどこかトボけた感じのマダム、という役が最近のユペりんの十八番になってるみたいですね。娘を愛してるけど、ベタベタしい愛情を見せたり押し付けたりしない、いつもワイン飲んでるアル中?なママを、フワっとサバサバ演じてたユペりんが素敵でした。彼女の着てるシンプルなワンピースが、さすがフランス女優なエレガントさ、愛らしさ。華奢で小柄なので、遠くからだと少女みたいで可愛いんですよね~。見た目の若さ、美に執着する美魔女とか気持ち悪いけど、ユペりんみたいな女のドロドロしさを通り過ぎた、爽やかに軽やかに乾いた女性は私の理想です。

 インタビューによると、イザベル・ユペールはジェシカ・チャステインにとって憧れの女優だったらしく、この映画で共演がかなって大興奮したんだとか。ユペりんとのツーショット写真で、超嬉しそうなジェシカの表情がそれを物語ってます。ケイト・ブランシェットやノオミ・ラパスも、昔からユペりんに憧れてて共演を熱望した、とインタビューで読んだことあります。還暦を迎えても世界中から引く手あまたで、ナチュラルな美しさも保っているユペりんは、まさに女優の理想形なのでしょう。
 エリナーのパパ役は、これまた名優のウィリアム・ハート。優しそうで知的なイケメンだった彼も、すっかりお爺さんになったな~。今でも素敵ですが。エリナーが通う教室の先生役、ヴィオラ・デイヴィスも好演してました。劇中、ジェシカに恋してるとしか思えないヴィオラ先生でしたが

 ↑か、可愛い!マカぼんの新作は、ダニエル・ラドクリフ共演の「ヴィクター・フランケンシュタイン」です。楽しみ♪

イケメンドクターの秘部触診!

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 秋の英国男優祭②
 「ヒステリア」
 19世紀末のロンドン。青年医師モーティマーは、婦人科の権威ダリンプルに雇われる。若くハンサムなモーティマーの、ヒステリー症と見なされていた女性たちへの局部マッサージは評判となるが…
 モーティマー先生役のヒュー・ダンシーめっちゃ可愛かった~最近ではドラマ「ハンニバル」とか、どよよ~んな暗い役がハマってしまってるヒュー。コメディは久々?欝々しい役の時も可愛いけど、コミカルな彼も超キュート!童顔な猿顔がたまりません。あんな可愛いイケメン先生がいる病院、仮病つかって通うわ~。でも、あんな恥ずかしい診察は、やっぱ躊躇するかな~。イケメンにアンなとこコンなとこ診られて触られてなんて、緊張と羞恥心でホントに病気になりそう

 イケメンだけど、笑ったらクチャっとなるヒューのチョイブサ顔も大好き。この映画でも思ったけど、ヒューってやっぱ何となく池松壮亮に似てる。寂しそうな暗い雰囲気とか、横顔とか笑顔とか壮亮くんとカブります。チャラチャラ軽薄なところがなく、いつも真面目で誠実そうなところもヒューの魅力です。すごく善い人なヒューasモーティマー先生に好感、でも、インパクトある演技とかシーンがなかったのが残念。せっかくのコメディ、しかも性的な題材を扱っていたので、軽くエロいこともしてほしかったです。脱ぐのが好きなヒューなのに、肌露出もいっさいなし。

 コメディも嬉しかったけど、時代劇のヒューにまた会いたかったので、Wで美味しい映画でした。ハリウッドのイケメン俳優だとコスプレになっちゃうけど、さすがは英国男優。時代劇の衣装も似合ってて、それでいてオシャレ。オレンジのコートとか、上品で小粋だった。さすがバーバリのモデルを務めたてたヒュー、着こなしもパーフェクトなのです。ハンニバルでの無精ひげ、くたびれた風貌&雰囲気に慣れていたので、きびきびと活発、こざっぱりと優雅なヒューが目に新鮮でした。ネクタイをササっときれいに結ぶところが、何かスゴくカッコよかった。

 女性用の大人の玩具、いわゆるバイブの誕生秘話が、愉快に描かれています。更年期とか女性特有の症状を、あんな風に診察・治療してたんですね~。でもあれって、診察でも治療でもなく、単なる手○ン…明るくノーテンキに描かなかったら、かなり卑猥になりかねない設定です。色魔の医者に指で弄ばれる欲求不満の熟女たち、みたいなエロ映画にも作り変えられそう。個人的には、ヒューにはそっちをお願いしたかったけど
 モーティマー先生を魅了する姉妹役、マギー・ギレンホールとフェリシティ・ジョーンズも好演。

 姉シャーロット役のマギーは弟ジェイクにそっくりで、決して美女ではないのですが、愛嬌のある親しみやすいチョイブス顔(同じ顔でも、ジェイクはイケメンに見えるのが不思議)で、フツーに美人な女優よりもチャーミング。進歩的で情に厚いシャーロットを、生き生きと男前に演じています。でも長身でおばさんっぽいマギーと小柄で童顔のヒュー、ロマンスに違和感。姉弟にしか見えんかったし(マギーのほうが年下だけど)。実生活の嫁クレア・デーンズも、ヒューより年上に見えますよね~。
 妹エミリー役のフェリシティも美人ではないけど、オスカー候補になった「博士と彼女のセオリー」同様、聡明で思慮深そうなところに好感。彼女のファッションが、乙女らしい色合いと形で可愛かったです。あと、モーティマー先生の親友、金持ちの発明家エドモンド役の俳優がカッコよくて、誰?と思ったら、ルパート・エヴェレットだった!80年代に英国美青年ブームを巻き起こした「アナザー・カントリー」の美青年も、すっかり熟年男性…ではなく、すごく若く見えたのでビツクリ。ヒューとは世代が違うはずなのに、親友役に違和感なかったし。背が高くて恰幅がよくて、フォーマルな服をちょっと崩してるのが小粋で洗練されてて。彼もさすがの英国男優っぷりです。ダリンプル先生役は、「キャリントン」での名演も懐かしいジョナサン・プライス。シブくて冷厳そうな、枯れ専にはたまらん系おじさまかも。
 ラスト、女性たちに大人気となったバイブを、まさかの、でも英国といえばの御方もイギリス、やっぱスゴいわ~。日本じゃありえないシーンですし。

 ↑か、可愛い今や百花繚乱の英国イケメン俳優軍団ですが、ルックスだけならヒューがいちばんMYタイプかも

君が輝ける星

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 秋の英国男優祭③
 「ブライト・スター いちばん美しい恋の詩」
 19世紀初頭のイギリス。若き詩人ジョン・キーツは、ロンドン郊外のハムテッドでの居候先で、隣家に住む快活な少女ファニーに心惹かれる。死の床にある弟や、評論家の酷評に苦しむキーツを、優しく支え励ますファニー。いつしか二人は恋に落ちるが…
 「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン監督作品。
 佳作「追憶と、踊りながら」での、繊細な演技とイケメンぶりが忘れがたいベン・ウィショーが、夭折した詩人ジョン・キーツをこれまたデリケートに耽美的に演じた悲恋映画。

 ウィショーくん、もう不幸な役しかできない、ていうか、不幸な役しかオファーされないのでは…薄幸を絵に描いたような見た目、雰囲気、そして演技。何やっても、どんなシーンでも不幸そうなんです。でも、それがまた似合うんだよな~。健康そうで豊かな生活を送ってるハリウッドのスターだと、嘘くさいな~と白けてしまうような不幸な役を、まるで地のように自然にリアルに演じてるウィショーくんです。病弱で貧乏、孤独という、世の薄幸薄命を一身に集めてるようなジョン・キーツは、まさにウィショーくんのためにあるような役です。

 不幸が男を美しくするのか、美しいから不幸なのか…ウィショーくん演じるジョン・キーツの、ガラス細工のような脆さ、はかなげな微笑み、悲しいまでの優しさが切なくて…顔色の悪さ、女よりも華奢な肢体なども、痛々しくも愛しくなる耽美的なムードを醸しています。いつも寂しげに悲しげに潤んでる、あの捨て犬のような瞳!周囲が彼を見捨てられず、優しく支えたり助けたりするのも解かる。ユーミンじゃないけど、守ってあげたい~♪と思わせる魔力を秘めています。フツーのイケメンが演じたら、このヘタレが!と嘲笑されかねないキャラなんですが、今にも死にそうなウィショーくんなので、ファニーのように大丈夫よ!私がついてるから!と抱きしめたくなります。
 ファニーと情熱的な恋に落ちるジョン・キーツですが、その深く強い想いが命を蝕み縮めていくところが、いかにも天才的な詩人って感じ。彼の清冽な愛に、男と女の肉体的な愛は似合わない。激しく互いを求め合いながらも、プラトニックな愛を貫くファニーとキーツが悲痛だけど美しかったです。ヤっちゃえばいいのに!と思わないでもなかったけどウィショーくんが女優とセックスシーンなんて、想像できんわ~。ファニーとのキスシーンでさえ、何か違和感を覚えたし…

 私、ぜんぜん詩心がないので、劇中で使われていたジョン・キーツの詩はチンプンカンプン。詩を解する人間に生まれたかったな~。でも、ジョン・キーツみたいな天才的な詩人に生まれてしまうのも、不幸なことだよな~と思います。感じなくていいことまで感じてしまう感性って、素敵だけど生きる上では邪魔になることが多そうだし…凡人な自分が悲しい、けど安心、みたいな。金にならない天才、というのも不幸。せっかくの才能も、生きるための糧にならず、結婚もできない不如意な生活もみじめで切なかった。
 ファニーとジョン・キーツの悲恋よりも、二人の仲を邪魔する?キーツの親友ブラウンの存在と言動が興味深かったです。キーツと自分の間に入ってきファニーに対する意地悪で冷たくて陰険な態度は、間違いなく嫉妬!ブラウンさん、キーツに友だち以上の感情を抱いてるし。男の嫉妬に怯まず臆せず、冷ややかに応戦するファニーが小気味よかった。キーツをめぐって、ヒロインとブラウンが散らす火花が、腐的には面白かったです。

 ファニー役のアビー・コーニッシュは、ナタリー・ポートマンを地味にして逞しくした感じ?静かだけど気性が強く毅然としてて、可哀想なヒロインをブリッコに演じてなかったので好感。ブラウンさん役のポール・シュナイダーも、なかなかイケメンでした。あと、ヒロインの弟と妹が可愛かった。特にあの幼い妹ちゃん、演技うまかったな~。可愛いけど、姉とジョン・キーツの恋をじっと見ている目が、何か冷徹で怖かった。ジェーン・カンピオン監督の代表作「ピアノ・レッスン」のアナ・パキンと彷彿とさせた女童でした。 
 この映画、映像と衣装も美しかった!どこでロケしたんだろ?な、季節おりおりの美しさが胸に沁みた風景。女性のドレスや帽子、装飾品も派手ではないけど優雅かつ個性的。特に、裁縫が得意なファニーのファッションセンスに感嘆。あと、ファニーの猫が可愛かった、いや、猫ちゃんを可愛がってるシーンのウィショーくんが可愛かった!

 ↑ウィショーくんには、もうすぐ公開の007最新作「スペクター」で会えますね♪

 ↑プラダの広告のウィショーくんも、可愛いですね~

運転に集中できない男!

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 秋の英国男優祭④
 「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」
 工事現場を指揮するアイヴァンは、一夜限りの関係で妊娠した女性が出産しようとしているロンドンの病院へと車を走らせる。車内での部下への仕事の指示、帰りを待つ妻子、そして不倫相手との会話は、アイヴァンを精神的に追い詰めてゆくが…
 今をときめくトム・ハーディ主演作。この映画、トムハファンにとってはまさに、盆と正月がいっぺんに来たような美味しい作品なんですよ。何せ、トムハしか出てこない、トムハしか映ってない、究極のトムハ映画なのですから!どこを切ってもトムハ金太郎アメ映画なのですから!

 トムハ、やっぱ男前ですね~。あらためて思った。眉目秀麗だな~って。トムハって普段は、素直にイケメンしてくれないじゃないですか。バットマンに襲いかかる凶悪な怪人とか(「ダークナイト ライジング」)、イカレポンチな懲役太郎とか(「ブロンソン」)、屈折した格闘家とか(「ウォーリーアー」)、近未来世界の逃亡者とか(「マッドマックス 怒りのデス・ロード」)、どれもフツーじゃない、暴力と狂気に満ちたアナーキーで矯激な役ばかり。しかも、プロレスラーみたなイカちーゴリマッチョで、ウホウホフンガー!な見た目と演技は、女子受けなど全然狙ってなさそう。ジョニー・デップとかブラッド・ピットみたいに、素の美しさを見せたがらない傾向にあるけど、どの作品でも油断してると突然のパンチラのように、あ!イケメン!とハっとしてキュンとさせる。その独特さ巧妙さこそ、トムハをワラワラいるイケメン俳優とは十把ひとからげにできぬ存在にしているのではないでしょうか。

 いつもは珍奇珍妙な設定の中で、イカレたゴリマッチョを怪演激演してるトムハですが、この映画ではただ車の中で運転、電話で話してるだけのフツーの30代の男性役。特別なメイクも衣装もなし、大暴れもなしなトムハは、すごく新鮮でした。とにかく、フツーの男性役のトムハ、すごく優しそうで可愛かった!ヒゲ生やしておっさんぽくしてたけど、二人も大きな息子がいる役には見えないほど若々しい。いつものようにイケメン崩し、イケメン隠ししてないのが嬉しい。真顔で運転してる顔は、ほんと端正。横顔など、惚れ惚れするほど美しい。いちばんキュンときたのは、フニャ~っとポワ~っとした眠そうな顔。めっちゃ可愛かった。運転、代わってあげたくなりました。あと、ポロっと涙を流した時の表情。イカレたゴリマッチョな時のトムハも、あんなに無敵な最強っぷりなのに何か母性本能をくすぐる可愛さを醸してますが、この映画でもそれは不変です。

 この映画のトムハ、先述した通り、運転しながら家族や不倫相手、会社関係者と会話してるだけなのですが、すご~くそれが面白いんですよ!どいつもこいつも、トムハをギャーギャーゴチャゴチャと責め立て追いつめてくるのが何か笑えます。ひっきりなしにかかってくる電話に、あ~もう勘弁してくれよ~とウンザリしたり疲れ果てたりプッツンしたりしながらも、ひとつひとつ誠実に真剣に対応し解決していこうとするトムハが、いじましくて可愛い。たまに危ない独り言(死んだロクデナシの父ちゃんへの恨みつらみ)が不穏で狂気じみてて、そこがいつものトムハっぽかった。狭い空間、あまり体を動かせない状況、しかも共演者なしで独りで観客を最初から最後まで引っ張らねばならない演技、これって並大抵の生半可な俳優では不可能。北島マヤと姫川亜弓にも匹敵するトムハの独り芝居です。男前ぶりだけでなく、演技力の高さも遺憾なく発揮してるトムハです。

 出演者はひとりだけ、舞台は車の中だけ、で約1時間半を面白く観させた演出、脚本も秀逸です。トムハのような見た目も演技力も最高レベルの俳優じゃないと、成り立たない映画ではありますが。イケメン、美男なだけの大根俳優には到底無理だし、だからといって演技は巧いけどフツメン、ブサメンだと10分が鑑賞の限界。なので、トムハって本当にスゴい役者なんだ!と、彼への敬服、感服を深めた私です。
 夜のハイウェイも美しく撮られていて、観終わった後ちょっと高速飛ばしたくなりました。

 ↑トムハ、第2子ご誕生おめでとうございます双子役の“Legend”、レオナルド・ディカプリオ共演の「レヴェナント 蘇えりし者」の日本公開が待ち遠しいですね♪

サイレーン①② 刑事(デカ)ップル!

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 松坂桃李主演の「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」第1話と2話を観ました~♪

☆トーリ女装
 カラオケ店で酔っ払って廊下に座り込んでる刑事の偲。そこに通りかかるサイボーグみたいな美女…
 偲役の松坂桃李くん、スカートはいたマヌケな初登場シーンが可愛かった!足、細っ!
 謎のサイボーグ美女、橘カラ役は菜々緒。「ファーストクラス」の性悪女、レミ絵も強烈でしたが…今回の菜々緒も期待できそうです。もう見た目だけでも他者を圧してます。
☆刑事(デカ)ップル、バカップル
 同僚の夕貴は、仕事では息の合った相棒、私生活では甘い恋人同士な偲。夕貴役は、これまた大好きな女優、木村文乃ちゃん。トーリとはお似合いの可愛らしいカップル。二人のイチャイチャシーンも微笑ましい。キスとかもしてるのですが、まったく性的な匂いがない。セックスしてなさそう。二人とも、色気がないですよね~。

 特にトーリの♂フェロモンのなさときたら。顔と声は男らしいのに、雰囲気が草食すぎる。あと、痩せすぎ!シャワーシーンもあったのですが、ガリガリで全然セクシーじゃない。アクションとか格闘シーンも頑張ってたのですが、強そうに見えないんですよね~。ケンカ、私でも勝てそう
 バディを組んで捜査する偲と夕貴ですが…二人とも、刑事に見えない。二人の言動も、何だか大学生のサークルっぽいノリ。軽いな~。公私混同が壮絶で、酒のにおいプンプンさせながら運転、出勤とか…
 巡査時代のトーリ、可愛かったけどお巡りさんに見えん!警備員のバイト中の大学生にしか見えなかったぞ!

☆チビデカ
 偲と夕貴をライバル視しているイヤミ刑事。あだ名はチビデカ。その名の通り、ほんとちっちゃ!長身のトーリと並ぶと、まさに子ども。警察官採用試験での身体要件、ひっかからなかったのかな?不細工アイドル、キスマイの北山宏光くんがチビデカを好演。
☆2時間ドラマの帝王
 上司役の船越英一郎。2時間ドラマ臭ぷんぷんです。彼に任せておけば、2時間で解決してくれるのでは(笑)。
☆ルイルイ妻
 夕貴のママ役、藤吉久美子が可愛い!
☆オフィスラブ
 コソコソ隠れて付き合ってるはずの偲と夕貴ですが…そのわりには、けっこう堂々と外でも職場でもイチャイチャしてるのが気になる。あの二人を見てデキてると気づかないなんて、周囲の刑事たちの能力が疑われます。

☆白いソックス連続殺人!
 女の客に白いソックスをはかせて殺す変態タクシー運転手。カラにも襲い掛かりますが、返り討ちにあい無残な末路に。逆襲中の菜々緒が怖すぎて笑えた!特に首吊られた状態からグワっと両足で犯人を捕えるシーン。フツーの美人女優なら二の足を踏むようなVシネマちっくな演技!

☆もうちょっと肉つけようね…
 容疑者を尾行中の偲と夕貴。トイレでオタクに変装する偲ですが。着替えで上半身裸になるトーリ、ほんとガリガリ!もう脱がないほうがいいかも…
☆もうちょっとまともな女優いなかったの?
 サバサバ男っぽいキャラな生活安全課の女上司。演技もキャラもステレオタイプすぎ。山口さかや、老けたギャルみたいで男前女に見えん!
☆刑事に見えん
 チビデカらとカラの勤務するキャバクラに行く偲。ガタイのいい客、と店の人に言われるのですが、どこが!?トーリはガリガリだし、北山くんはチビだし。
 また酔っぱらって、トイレに座り込んでる偲。刑事なのに、大丈夫なの?!頼りなさすぎ。
☆47歳男、独身、デザイナー
 カラと同居中のデザイナーが、なかなか滑稽で笑えます。美女とのプラトニックな同棲にウキウキ、ネットで自慢すると嘲笑や罵詈雑言で炎上とか笑えた。

★総括
 美味しすぎる役を開き直って威風堂々と怪演してる菜々緒が、ぶっちぎりで独走!カラに退治される奴らは変態とか通り魔なので、何だか必殺仕事人みたいな爽快感があり、思わずカラを応援してしまうという珍妙さがいい感じ。もう菜々緒のドラマになってしまっています。
 トーリ&文乃ちゃん、すごく可愛いし演技も悪くないのですが、存在感薄すぎて脇役みたいです。トーリを筆頭に、刑事たちが刑事に見えないというのが気になるけど、菜々緒の非道に爽快な暴れっぷりに今後も期待(^^♪トーリくんの見せ場も、今後は増えるのかな。増えないと、ますます空気になってしまう恐れが…
 悲惨な殺人事件が頻発してる内容なのに、キャラも雰囲気も演技もすごく軽い。ほとんどコメディドラマ。重苦しいドラマはしんどいけど、軽すぎるのも年寄にはキツいんですよね~…

愛も解読できたなら

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 秋の英国男優祭⑤
 「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」
 第二次世界大戦時下のイギリス。ケンブリッジ大学の数学教授アラン・チューリングは、ナチスドイツ軍の暗号“エニグマ”を解読するチームの一員となるが…
 日本で今もっとも人気のある英国男優といえば、やっぱベネディクト・カンバーバッチでしょうか。そんなバッチさんが、今年のアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされ、世界的なスターとしての名声を確立した話題作。
 まさに天才はつらいよ、な話でした。人間、頭が良すぎるというのも考えものです。いろんな映画で、さまざまな天才主人公を見てきましたが、みんな例外なく不幸で破滅的な人生。あまりにも突出した才能って、神さまからのギフトではなく悪魔からの呪い、とさえ思えてしまいます。悲劇的な天才たちに比べて、私の人生は何て平和で幸福なんだろう…と安堵しつつ、凡人には縁のない情熱的な破滅とか波乱万丈が目映くもあって、羨望も覚えずにはいられません。

 それにしてもアラン・チューリング…そのコミュ障っぷりときたら。彼って、いわゆるアスペルガー症候群だったのかな?症状にドンピシャ当てはまりますよね。何でも思ったことを口にしてしまう、遠まわしなオブラートな表現が理解できない、何でも額面通りに受け取ってしまい冗談や皮肉が通じないetc.彼自身には悪意など微塵もない、むしろ正直で純真なんだけど、周囲にとっては無神経でKYで無礼な迷惑人間以外のナニモノでもなく、怒りや憎しみえ買ってしまう。エニグマ解読チーム、軍の偉い人との円滑にコミュニケーションできない、噛み合わないやりとりを見てると、チューリングのように生きづらい人ってたくさんいるんだよな~と、暗澹とした気持ちにかられてしまいます。今でこそ、アスペルガーについては社会的に認知もされてきてるけど、昔はただの変な人、迷惑な人として疎まれ嫌われることが多かったんですよね…
 チューリングはアスペルガーなだけでなく、同性愛者という十字架まで背負ってたので、より深刻。今では考えられませんが、ひと昔前のイギリスって、同性愛行為は犯罪だったんですね。同性愛者は刑務所かホルモン注射打つか、なんて非道すぎる人権蹂躙。チューリング、生まれたのが早すぎましたね。今だったら、あんな重く苦しい人生を歩まずにすんだでしょうに…

 “人と違う”ということで迫害されたり嫌悪されたりする悲しさ、辛さ。でも、必要以上に人に媚びたり迎合したり、人の思惑や感情を気にしすぎるあまり、本当の自分を抑えたり隠したりして生きることのほうが、みじめで病んでいるようにも思えます。人と違っていい、人と違う自分を誇れる社会や人間関係の中で生きられたらいいですよね… 
 チューリング役を熱演し、オスカーにノミネートされたバッチさん。彼、ほんと変…じゃない、個性的な顔してますよね~。ワタシ的には男前でもイケメンでもないけど、ファンが多いのがすごく理解できる魅力の持ち主ではあります。チャラチャラしてない、誠実で真面目そうだけど、どっかフツーじゃない、私たちとは違う独自世界で生きてるような浮き世離れ感がユニーク。不幸そうな翳りがあっても、重苦しくない優しい悲哀があるところ、寂しげで傷ついた風情に胸キュン。コミュ障演技も、演技がヘタな俳優だとわざとらしくてイラっとなってたところですが、バッチはリアルで痛ましいけど時々クスっとさせるトボけた味わいもさりげなく出してて、上手だな~と感嘆。バッチって、他の英国俳優と違って、意外と小柄でずんぐりしてる?

 チューリングと親密になるジョーン役、キーラ・ナイトレイも好演しオスカー候補に。私、キーラのことがすごく苦手なのですが、今回の彼女は役のおかげで好感度が高かったです。常に毅然としていて、チューリングが同性愛者と知っても動じず、ありのままの彼を受け入れようとしてくれるジョーンのような人、なかなかいないですよね。男と女の範を超えた愛って、憧れます。いびつかもしれないけど気高い愛を、受け入れることができなかったチューリングが悲しかったです。
 MI6の諜報員役のマーク・ストロングが、シ、シブい!長身で恰幅がよく、スーツが似合うダンディな紳士だけど、一目でただ者じゃないと判る陰影、ミステリアスさが素敵。彼もフツーの男役ができない俳優ですよね。それにしてホント働き者なストロング氏です。バッチとは「裏切りのサーカス」でも共演してましたね。今さらな感想ですが…「裏切りのサーカス」って、バッチにトムハ、コリン・ファースにマーク・ストロング、ゲイリー・オールドマン。とんでもなく豪華キャストだよな~。
 主人公は同性愛者ですが、ゲイゲイしいシーンは皆無。アランの少年時代の初恋が、切なすぎて腐涙。

 ↑オスカー授賞式などでのバッチさん、気取らないノリがよすぎるおちゃっぴーな姿に好感を抱かずにいられません。バッチさんって、絶対いいひとですよね!

遺産争族①② 腹黒ムコ殿VS死神舅

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 向井理主演の「遺産争族」第1話と2話を観ました~。

☆イケメンドクター
 研修医の育生役、ムカイリー。爽やかで優しそうで、相変わらずカッコいいわ~白衣が似合う!背が高くてスタイルよくて顔が極小!「S 最後の警官」や「永遠のゼロ」の撮影で鍛えた名残か、駆け出しの頃に比べるとガッチリ男らしい体つきになってるのも、何か魅力倍増~さすがに肌ピチピチ感はもうないですが、若々しさを保ちつつもいい感じに年齢を重ねてるムカイリーです。
☆恋人の家族
 育生の恋人、楓役は榮倉奈々。以前はデカいモンチッチみたいで苦手だったけど、最近の彼女はちょっとフェミニンな感じも出てきてて、可愛い。バツイチのお嬢様を明るく可愛く演じていて好感。ムカイリーとはお似合いのカップル。二人とも顔ちっちゃくてスタイルよすぎ!

 楓の家族が、そろいもそろってアクが強すぎ。葬儀社の創業者である祖父の伊東四郎は、役も演技も小松政夫とのコントを彷彿とさせます。彼の長女、余貴美子とその婿で社長の岸部一徳が強烈!みんなから死神と陰で呼ばれてる岸部氏は、見るからに腹黒で陰険そうで怖い、けどやっぱ笑えるナイスな演技と存在感。開かない門にキーっと錯乱する姿が怖くて笑えた。

 大好きな余さんも今のところは、みんなから家政婦扱いされてオドオド従順に慎ましく振る舞ってますが…今に何かやらかすに違いない怪しさは漂わせています。他人の顔色をうかがう時の表情が、絶妙すぎで好き!
 次女の室井滋、三女の板谷由夏は、わかりやすい強欲系。葬儀社の社員で、社長の一徳と会長の四郎の両方にいい顔してる風見鶏社員、渡辺いっけいもセコくてズルい小物というオハコな役で今後も期待させる存在。育生の母、岸本加代子の誰にとっても鬱陶しい、めんどくさいキャラもウザさMAXで濃ゆいです。

☆ファッションも好き
 白衣姿も似合いますが、スーツやカジュアルな普段着もオサレなムカイリー。彼のドラマは、衣装も楽しみのひとつです。

☆お嬢さまって、いいなあ~
 室井滋は会社役員だけどろくに働かず浪費生活、板谷由夏も40すぎてプータロー。楓も、いちおう乗馬クラブで働いてるみたいですが、インストラクターじゃなくて客にしか見えんし。アクセクしてない金持ちのお嬢様たちが羨ましい…

☆ウェディングベル~♪
 結婚式、祭壇で誓いのキスをする育生と楓。ムカイリーみたいな花婿、羨ましすぎる!くたばっちまえ、アーメン♪ですよ。
☆老害
 娘たちに遺産をあげたくない伊東四朗は、女弁護士と謀議。まあ、あんな娘たちにあげたくない気持ちは解かるけど、あえて泥沼の家庭争議を引き起こすことはないじゃん、とも思う。冥途の土産に家族のゴタゴタ、亀裂だなんて、因業すぎる爺ですよね~。楽しそうで、しかも元気になってる伊東四郎が怖くて笑えます。

☆ムコいびり
 慇懃無礼でネチネチした一徳のイヤミや当てこすり、育生にだけピザをあげない室井滋、ベタすぎるイビリが笑えます。でも、イビるほうよりイビられる育生のほうが、何か一枚上手な冷酷さ、腹黒さが。優しそうだけど、何考えてるのか読めない掴めないところが不気味で、強欲一家だけでなく視聴者も胸がザワつく。何言ってもしても暖簾に腕押しなのらりくらりさは人を食ってるし、たまに見せる不敵な表情と冷笑が怖いです。バカどもが!と一家を冷たく嘲ったり、出ていきなさいよー!とキレた室井滋を、出ていきません!と一蹴する育生のふてぶてしさが素敵でした。

 優しく爽やかで、一見人畜無害だけど、実は腹黒くて裏表があって冷たい…育生はまさに、ムカイリーそのものじゃないですか!ピッタリすぎるハマリ役です。
☆ペット葬
 老婦人が、財産を強欲な子どもたちにやるくらいなら!と、1千万をかけて愛猫のポコちゃんの葬儀。アホらし!と思いつつ、そこまでして拒絶したい子どもをもってしまった親って、悲しいな~と暗澹となりました。

★総括
 面白いです!毒々しさと真っ黒さを笑いで包んでるところが楽しい。
 向井理がついにハマリ役を得た感じ。爽やかさと優しさの中にも、時おり見せる腹黒さ、冷ややかさがいいですね~。どんどんブラックになってほしい!
 今季のドラマの中では最高にレベルの高い脇役陣が秀逸&強烈!特に岸部一徳が際立ってます。ヘタしたら一徳主演のドラマになりかねない。余貴美子と渡辺いっけいにも期待感そそられます。彼らに食われないためにも、ムカイリーはますます腹黒にならないと!

 ↑ムカイリーも、もうパパなんですよね~…隔世…

アイルランドの夏④ 独り火サスの断崖!

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 朝食前に、市民の憩いの場である公園、エア・スクエアまで散歩。ゴミ袋を突きまわしている鳥は、カラスではなくカモメでした。
 8時、サロンで朝食。日当たりの良いガラス張りのサロンで、美しい花が咲き乱れてる庭を眺めながらの朝食は、なかなか趣がありました。朝食は、もちろんアイリッシュ・ブレックファスト。ソーセージが美味しかったです。
 この日は、日本でネット予約したモハーの断崖ツアーに参加。9時45分に、高速バス乗り場のコーチ・ステーションで観光バスに乗り込みます。総勢20人くらいのツアー。日本人は私だけです。陽気な運転手さんが、運転しながら観光案内してくれます。
 ゴールウェイ中心地を離れ、どんどん人里離れた田舎へとバスは進みます。人よりも、牛さん馬さんのほうが多い緑の風景が、ひたすら窓外に広がります。

 やがてバスは、山道を登り始めます。バレンという土地にある、アーウィーの洞窟に寄るのです。石灰石の丘陵が広がる荒涼としたバレンの光景は、まさに自然の神秘。アーウィーの洞窟は、バレン地方にある数千もの洞窟の中で、唯一一般公開されている洞窟なのだとか。

 11時頃に、アーウィーの洞窟に到着。職員の案内で洞窟内ツアー。秋吉台の鍾乳洞をコンパクトにした感じ?暗くて狭いので、閉所暗所が苦手な人にはおすすめできません。ひんやりと静かな、やはり自然の神秘を感じさせる異空間でした。

 再びバスに乗り、13時過ぎにモハーの断崖に到着。アイルランド観光といえば、やっぱこの世界でいちばん有名な断崖でしょう。いろんな映画や、韓国ドラマ「アイルランド」でもロケ地になった断崖絶壁に、前からずっと憧れてたんですよね~。断崖といえば、追い詰められた犯人が罪を告白したり投身自殺したりする、2時間ドラマお約束の場。土ワイや火サスのファンなら、ワクワク間違いなし!
 案内センター前は、観光バスや観光客でゴッタ返し。さすがアイルランド随一の観光地。バスを降りると個人行動。団体行動ができないコミュ障の私は、ほっと安堵&行くぞ!と張り切って断崖へと向かうのだった。
 しかし…さっきまでの快晴が…空がどよどよと曇り始めたかと思うと、ものすごい風雨に!ひえ~!か、傘!ついでにカッパも!しかし、そんな雨具も役に立たないほどの強い風と雨!他の観光客同様もう引き返せない、進むしかない状態で歩き続けてたら、ふっと風も雨もおさまって、再び青空が。もう、これの繰り返しでした。今までに体験したことがないほどの天候の不順さ、不安定さ。

 断崖沿いの道を、ひたすら歩きます。距離があるし足元がよくないので、しっかりした運動靴がマストです。目の前に広がる断崖絶壁、荒々しく黒い海は、禍々しいまでの峻厳さ。わ~きれい♪なんて呑気な感動ではなく、人間を拒絶してるかのような自然の厳しさに、ただもう畏怖するのみでした。断崖に立ち、強い風に吹かれながら、岩よ砕けろとばかりに荒々しい波涛の海を見下ろしていると、後ろから声をかけられました。片平なぎさ?!はっと振り返ると、なぎさではなく、アジア人の親子連れが、写真撮ってくれと。快諾し、ハイ、チーズ♪カメラを返すと、ニホンジンデスカ?と日本語で訊かれました。彼らは何人だったのかしらん?おそらく中国人だと推察。

 それにしても、この断崖。一歩間違えれば、まっさかさまに転落!のスリルが楽しめます。柵とか安全対策が全然なされてないのが驚異。崖っぷちまで、フツーに行けちゃいますから。つわものどもは、うつ伏せになって崖の下を覗き込み、写真撮影などしてました。私も高所は苦手ではないので、日本だと怒られそうなこともして、断崖の恐怖を楽しみました♪ビツクリだったのは、小さい子どもとか犬とか連れて歩いてる人たち!あ、危ないよ~。
 断崖で最も高い所にあるオブライアン塔まで来ると、嵐がキター!!避難!レベルの大雨になり、ゆっくり眺めを楽しむ余裕などナッシング。しばらくすると雨もやみ、断崖から案内センターへ戻る途中、空に虹が。あ、きれい…と見とれてたら、強い風が吹いて私の手ぬぐいを奪っていったのでした。風に乗ってどんどん遠くへ飛ばされていく、関空の100均で買った手ぬぐい…母さん、僕のあの手ぬぐい、どうしたでしょうね…ジョー山中の歌が、バックから流れてきそうな光景でした(古っ!)。
 断崖を堪能し、ゴールウェイへと戻るためバスへ。でも…集合時間の15時を過ぎても、ツアー客の一人であるドイツ人女性が戻ってきません。10分ぐらい待って、ま・いっか、なノリで、何とその女性を置いてけぼりにして、バスは発進!ええ~?!同じ旅行会社のバスがまだいるので、何とかなるでしょ!な感じでしたが…いとも簡単に置き去りにされるなんて!時間は厳守せねば!と、あらためて思いました。
 途中、バスはパブに寄ってコーヒーブレイク、18時頃にゴールウェイに無事到着。何だかもうクタクタで、一刻も早く独りでゆっくりしたかった私は、エア・スクエア・センター内でサンドウィッチと飲み物を買って、宿へと戻ったのでした。翌日はアラン諸島への小旅行、きっとまた体力勝負な一日…その夜はパブにチャレンジしようと計画してたのですが、そんな余力は残っておらず、ベッドに転がるなり爆睡したのでした…
 to be continued…

不滅のバズビー・ベイブス

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 秋の英国男優祭⑥
 「ユナイテッド ミュンヘンの悲劇」
 1958年、イギリスのサッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドの主力選手たちは、ゲームを終えミュンヘンから英国へ戻ろうとするが、彼らの乗った旅客機は悪天候の中で離陸に失敗。事故で仲間を失ったボビーは、悲しみから立ち直れずにいたが…
 実話をベースにしたノンフィクション・フィクション。元はテレビ映画だそうです。英国以外の国では劇場公開。
 飛行機事故、最近多いですよね。ついこないだも、エジプトの旅客機がドイツに向かう途中で墜落したばかり。アイルランドに行く前に観なくてよかったです。飛行機事故は、車よりも起こる確率が低いとよく言われてますけど…被害と恐怖が甚大すぎて、やはり運転中には感じない緊張感と怖さを、飛行機に乗るたびに感じずにはいられません。それにしても。あんな悲惨な事故でも、ボビーや監督みたいに重症を負いながらも生存したり、中にはかすり傷程度ですんだ人もいる。生死を分かつ運命の不思議な残酷さにも、暗澹となってしまいます。

 それにしても、映画の中で起きた飛行機事故…あんな悪天候で運行なんて、ありえない~!乗客、怖かっただろうな~。運が悪かった、という一言では片づけられないやりきれなさがあります。有望で有能な若者が命を奪われてしまうことほど、理不尽で悲痛なことはありません。何も悪いことはしてない、むしろ世の中にとって有益な人たちが、あんな悲惨な目に遭うだなんて。神も仏もないとは、まさにこのこと。亡くなった人同様、生存者も悲惨です。事故で味わった恐怖感、助かった!という喜び以上に、生き残ってしまったという罪悪感、大切な人を失ってしまった喪失感…体の傷は癒えても、心の傷はたやすくは癒えないでしょうし…事故の被害者、遺族もさることながら、応援していたファンのショックもはかり知れません。もしカープが同じことになったらと想像しただけで、精神のバランスを崩しそうになりますし。

 悲劇に打ちのめされながらも、再生に向かって立ち上がる人々の姿が、感動的に描かれています。ほぼ壊滅状態から短期間で復活するチームを見てると、人間ってたくましい生き物だな~と感嘆せずにはいられません。悲嘆は深いけど、どこぞの国民みたいに感情あらわなヒステリックなものではなく、静かに抑制されてるところが、いかにもイギリス人って感じでした。ウジウジメソメソ湿っぽくないところに好感。チームを応援する人々も、慎ましくも誠実な温かさで、ヘンにハイテンションな押し付けがましい親切、過干渉がないところも、イギリスの国民性でしょうか。
 50年代当時は、今のようにサッカー選手ってセレブじゃなかったんですね。スタメンで活躍しマスコミにも騒がれてる人気選手も、生活が質素だったのが驚きました。
 主人公のボビー役は、最近出演作目白押しな気鋭の若手イギリス俳優、ジャック・オコンネル。

 イギリス男優とえいばのハイソな上品さとか知的な紳士的な魅力、とは違って、かなり庶民的な下町ボーイ的な男子。系統としては、「キングスマン」のタロンくんと同じでしょうか。少年っぽくて可愛い。日本ではそんなに人気は出そうにないけど、私は好きです。素朴なフツーっぽさとか、ちょっとヤンチャで実はナイーブ、といった感じは、たとえば「モーリス」とかでモーリスではなく庭師の青年のほうに萌える腐女子に受けそうな風貌。事故のショックを引きずってる様子が、なかなか母性本能をくすぶる胸キュンな可愛さでした。いつも悲しそうな、今にも泣きそうな不幸顔がキュートです。
 コーチのジミー役、デイヴィッド・テナントも好演。重傷を負うバスビー監督役は、どっかで見たことあるおじさんだな~と思ったら、後でダグレイ・スコットと知ってビツクリ!すっかり爺っぽくなっててショック!トム・クルーズのM:I2の、あの男前な悪役が…役作りで老けメイクだったのかな?
 ボビーを弟のように可愛がってるスター選手ダンカン役、サム・クラフリンがイケメン!

 「スノーホワイト」で王子さま役だった人ですよね?カッコいいですね~。シャイなボビーを明るくからかったり励ましたりするイケメン兄貴分っぷりに、ちょっと腐的には萌える微かなBLのかほりが(^^♪妻帯者役だったのが残念(笑)。

↑ジャック・オコンネルくん、1990年生まれの25歳。アンジェリーナ・ジョリー監督の「アンブロークン」に続いて、ジョディ・フォスター監督作にも起用。ハリウッドの大物女傑たちに気に入られたオコンネルくん、私生活ではモデルのカーラ・デルヴィーニュと付き合ってるとか。何か怖そうな女たちからモテモテですね

 ↑サム・クラフリン、1986年生まれの29歳。「ハンガー・ゲーム」にも出てましたよね。脱いだらスゴいマッチョ!残念ながら(笑)奥さんいるみたいです

暴露する男たち

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 秋の英国男優祭⑦
 「フィフス・エステート 世界から狙われた男」
 内部告発サイト“ウィキリークス”の創設者ジュリアン・アサンジと、彼のカリスマに魅せられたダニエルは、次々と隠蔽された国家的機密をネット上で暴露。やがて彼らは世界各国で脅威と見なされて…
 今をときめくベネディクト・カンバーバッチ主演作。バッチ大好きなmy motherに、先に観んさいとDVD貸してあげたのですが、わけがわからん!おもしろうない!とすぐに返されましたどんだけつまらないのか、恐る恐る観たのですが…恐れてたほどつまんなくはなかったです。でもまあ、確かに面白くもなかったさすが、2013年最大コケ映画だけある。老母や私のようなアナログな年寄りには、かなりキツい内容です。ウィキリークスとか、よく耳にはするけどいまだによく解かってないし。この映画を観た後でも、???なままです。世界的な機密をネット上で暴くジュリアンたちですが、そのプロセスとかよく理解できない。情報提供者との関わりとかもワケワカメ。そういうのに知識や興味があれば、面白く観られる映画かもしれませんが…暴露もスケールが大きすぎて、ふう~ん?みたいな。同じ暴露なら、ウィキリークスでアメリカ政府の謀略よりも、アサヒ芸能で芸能人のスキャンダルを知りたい私は、悲しいまでに意識の低い小市民です

 ヨーロッパやアメリカ、中東やアフリカなど、世界のいろんな都市にジュリアンたちが神出鬼没するのが、旅行好きには楽しかったです。ほんとに現地でロケしたのなら、製作費かかっただろうな~。ミュンヘンとレイキャビクに行ってみたい!
 話の内容、主人公たちのキャラと相関は、「ソーシャル・ネットワーク」に似てる?映像や編集が斬新で怒涛の展開だったSNに比べると、この映画は地味で暗いです。SNの主人公と彼に翻弄される人々はコミカルで笑えたけど、この映画のジュリアンたち登場人物には、あまり魅力を感じなかった。人間ドラマというより、ドキュメンタリータッチだったからでしょうか。全体的に無機質な印象。ジュリアンとダニエルの対立、愛憎も、腐としてはかなり薄くて物足りなかった。
 ジュリアン役のベネディクト・カンバーバッチは、白髪に近いブロンドの長髪で、すごい変装感。いつもに増してキツネっぽかった。それが人を化かしてるようなジュリアンのキャラには合ってたけど。天才だけどコミュ障っぽい主人公、というのは「シャーロック」や「イミテーション・ゲーム」と同じ。でも、傲慢不遜なのは天然すぎるから的なシャーロックやアラン・チューリングと違って、ジュリアンはすべてわかっててやってるみたいな性格の悪さを感じました。凄腕詐欺師とか新興宗教の教祖みたいな胡乱さ、危ないカリスマっぽさが、もっと欲しかったところです。バッチさん、ヤな男役でも何か人が善さそうで、真の悪役とかはできないかも?

 わし的にはバッチさんよりも、ダニエル役のダニエル・ブリュールのほうに抱かれたいですブリュっち、相変わらず優しいクマさんみたいで可愛い絶対いい人!と確信できる温かい仁徳オーラであふれてます。クマみたいだけどキャラは犬。コミュ障のジュリアンにも優しく忍耐強く接し、敬意や信頼を寄せる様子とか表情が、ご主人様に対して忠実で誠実な犬みたいで萌え~。ムチムチした裸も好き。抱かれたら、さぞや心地よいことでしょう。国際俳優として、最近は英語圏の映画を主戦場にしてるっぽいブリュっち。彼がホントはドイツ人だということを忘れそうになるほどの流暢な英語もカッコいい。ブリュっちって、ドイツ語とスペイン語のバイリンガルで、フランス語も上手なんですよね~。語学力ハンパねぇ~。
 今回の英国男優はバッチさんではなく、ダン・スティーヴンスに注目

 英ガーディアン誌の記者イアン役のダン。あまり登場シーンがなく、ぶっちゃけチョイ役なのですが、やっぱイケメンですね~。派手で特異な美しさではなく、地味だけど品があって知的な端正さは、いかにも英国美男。ダニエルの恋人役は、新作目白押しなスウェーデン出身のアリシア・ヴィキャンデル。アメリカ政府の高級官僚役は、名女優のローラ・リニー。国際色豊かな出演者は特筆に値します。

 ↑和気藹々の3人。ダンは美男、バッチは個性派、ブリュっちはイモ可愛い。みんな好き

 ↑ダン&バッチは、私生活でも大の仲良しなんだとか

惨劇の海霧

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 「海にかかる霧」
 不況にあえぐ漁村。漁船の船長チョルジュは、中国からの不法移民の運搬という裏仕事を引き受けてしまう。密航者を乗せた船の上では、恐ろしい惨劇が待ち受けていた…
 愛しのパク・ユチョンの待望のスクリーン・デビュー作を、やっとこさ観ることができました~!マンセー
 最年少の船員ドンシク役のユチョン、ちょんまる可愛かった~役作りで増量したユチョン、普段のスレンダーな彼も好きですが、ガッチリムッチリしたユチョンもイケてますがな~韓流スターといえばのモムチャンではないユチョンですが、背が高く肩幅が広いなど体格は元々いいので、鍛えたり太ったりしたら、やっぱチビで貧相な日本の某事務所のタレントとは違った男らしさが。

 TVドラマでは、朝鮮王朝の王子さまとか貴族の子息、財閥の御曹司とかセレブな役がほとんどなユチョンなので、貧しい漁師な彼はすごく新鮮でした。貧乏な役のほうが、ユチョンに似合うし何か自然な感じする。異国アメリカでの複雑な家庭環境、売れる前の東方神起時代の苦節など、実は苦労人のユチョンなので、地に近いのでは?

 素朴な風貌同様、ドンシクのキャラも可愛かった!シャイで優しく、ちょっとトンマっぽい愛らしさが母性本能をくすぐります。密航者の女性ホンメにオズオズと、でもグイグイ近づいてくるドンシク、まるでデカい子犬みたいで可愛すぎる!ぜったいヘンな下心とかないと信じられる純真で清潔な雰囲気も、なかなか出せないユチョンの魅力のひとつです。笑顔が無邪気すぎる!あんな笑顔、演技でできるんですね~。ドンシクじゃなかったら、ホンメも男と地下で二人っきりにはならなかったでしょうし。何でタメ口きくのとホンメに年齢を疑われるドンシク。ユチョンの少年っぽさ、童顔もチョアチョア。ぼわ~んとふやけたような、非ファンにはブサイクにも見える顔してますが、そこが曲者なユチョンなんですよね~。フツーっぽいけど、油断してたらハっと目を奪い胸をドキっとさせる美しさ、エロさを見せるんですよ。東方神起時代のユチョンは、それで私を虜にしていました。この映画では、あ!可愛い!と胸キュンはさせるけど、彼の最大の魅力であるドキ!なエロさはなかった。そこが残念。

 ユチョン、セックスシーンに挑戦!ユチョンが裸で女と絡むなんて、前代未聞じゃないですか!でも、脱いでも乳首もおしりも見せないという、そういう面ではまだ事務所NG、脱アイドルできてないユチョンでした。ユチョンもアラサーなので、そろそろ大人の俳優にステップアップしてほしい。
 でも、演技はなかなかの気概、気迫でした。おとなしい優しいドンシクの、愛する女を守るために鬼と化す悲しい恐ろしい変貌が…密航者の死体を刃物で解体!ホンメを強姦しようとしたり殺そうとしたりする先輩船員たちを暴力で撃退!ひえ~!可愛いユチョンに、そんなことさせないでー!と、目を覆いたくなるエグいヴァイオレンスさ。愛のために、生き残るために血みどろになるユチョンが、怖くてカッコよかったです。アイドルの映画といえば、チャラいラブコメと相場が決まってますが、こういう映画をデビュー作に選んだユチョンに、本気度と役者魂を感じました。

 ユチョンも頑張ってましたが…船長や先輩船員たちが狂いすぎ、外道すぎ!みんなどんどんダークサイドに堕ちてゆき、船上は阿鼻叫喚の地獄絵図、映画はだんだん血まみれホラーに。まあ、あの状況で理性を保つのは至難の業ですが。地下倉庫で密航者がみんなガス中毒死!の惨状もウゲゲでしたが、死体を解体して海に放り投げたり、極限状態に耐えられなくなった船員たちがプッツンして殺し合いに発展したりが、韓国映画らしく残虐に野蛮に描かれているので、気が弱い人は観ないほうがいいです。船に執着する船長も狂ってましたが、ホンメとヤリたくてヤリたくて仕方がないあまりにおかしくなってしまう船員の、ギラギラハアハアっぷりがヤバすぎて笑えた。あの人、無事に陸に戻れても性犯罪者になること必至ですよ。船員が抱えていたストレスとか不満、憎悪や嫉妬、劣等感など、心の闇を殺し合いに至る前に濃ゆく描いてたら、もっと怖くて面白い映画になってたかも。
 船長チョルジュ役は、「チェイサー」や「ワンドゥギ」などの名優キム・ユンソク。その破滅的な暴虐っぷりが怖い~!はじめは寡黙で頼れる親分だったのに、いろんなことが積み重なって鬼畜化。待遇に文句をつける密航者をボコボコにして海に放り込んだり、邪魔なホンメを容赦なく殺そうとする非情さは、ユルいヌルい日本の俳優には出せない凄愴さでした。船長に忠実な甲板長は、「ワンドゥギ」でハゲおやじを演じてた人ですよね?
 密航など、韓国ならではの社会の裏面も興味深かったです。そして韓国の貧乏さは、日本より悲惨でシビア。日本に生まれてよかった、と心の底からあらためて思いました。

 ↑ユチョンもついに、兵役に就きましたね。体に気をつけて、お国のために頑張ってくださいクテカジアンニョン~

うそつきトーリ

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 「MOZU」劇場版、初日に観に行きました~期待以上にハチャメチャで、笑えました~「S 最後の警官」みたいに大コケして早々と打ち切りになる前にMOZUファンは劇場へ急げ~!!
 公開前にDVDで、MOZU the movie に出演してる大好きなイケメン二人の映画も観ました~

 MOZU公開記念①
 「エイプリルフールズ」
 対人恐怖症の女性清掃員は、一度だけ関係をもった若い医者に、妊娠したことを報告。エイプリルフールの嘘と思い相手にしない医者。彼が美女を口説いているレストランに清掃員が現れ、もっていたピストルで客や従業員を人質にして店に籠城するが…
 うう~ん…こういうノリ、苦手かも…ドタバタコメディは決して嫌いじゃないのですが、ドタバタが雑でしょーもなさすぎ、というか。何だか延々とダラダラと続くバラエティのコントみたいだった。大人向けじゃない。コメディなのに笑えない、というのが致命的。笑えそうにはなるけど、寸でのところで笑えなくなる。途中で止まってしまうクシャミのような気色の悪い中途半端感、かゆいところに手が届かないもどかしさ。イカレた妊婦と色魔の医者、宮様のふりをしている老夫婦、仲良しの青年二人、少女を誘拐したヤクザが、まったく関わりなくそれぞれドタバタ騒動を展開しながら、やがてつながりが判明という内容なのですが。うう~ん…あっと驚き膝を打つような意外性がなかった。あの人とあの人が夫婦だった、恋人同士だったと分かっても、だから何?って感じでしたし。ストーリーにサプライズな形で直結、影響してないのが惜しかった。おバカでも下品でもいいから、もうちょっとトリッキーなヒネリが欲しかったかも。「殺したい女」とか、ハリウッドのドタバタコメディは傑作が多いよな~と、あらためて感服。
 お話も、ベタな人情ものすぎ。既視感たっぷりな使い古された設定が陳腐で白けます。あと、共感も理解もできない異常者が多すぎ。ピストル籠城するコミュ障の妊婦とか、屋上で宇宙人を招来しようとする中学生とか、人騒がせすぎる大迷惑なき○がいだし。キャラ立ちさせるのに失敗したギャグ漫画みたな、ハンパないスベリ感がサムかったです。
 キャストは、好きなイケメンや女優と、苦手なタレントや舞台系俳優のゴチャマゼ。そのせいで、美味しいのかマズいのか判らない変な味の雑炊みたいな映画になってしまいました。
 女狂いの色魔医者役は、大好きな松坂桃李MOZU劇場版では、新キャラの殺し屋を激演してます

 トーリくん、なかなかのアホっぷり!イケメン崩しな顔芸もお見事でした。尻も披露!上半身はガリガリですが、おちりは意外とどっしりムッチリしててエロかった!眼福でしたが残念ながら、あのデカいケツがグワングワンと淫動することはなかったです。いずれは、と期待トーリくん、声と唇がエロいですよね~。色気ないないと不満ばっか言ってましたが、どうしてどうして。彼の役者魂を燃えさせる演出に恵まれれば、エロい濡れ場も可能なのでは。
 レストランの店長役は、これまた大好きな小澤征悦

 カッコいいけどトボけたオザユキも、ほんといつみてもいい男。そしていつ見てもフツー。そろそろ強烈に大胆な演技、カマしてほしい。トーリとのツーショットに萌え~。
 胡散くさい占い師(りりィが珍演!)に除霊してもらおうとする青年役は、これまた大好きな岡田将生

 岡マも、相変わらず美人で可愛いですね~。でも出番はチョコっとだけ。ヘタレな草食イケメン役は彼のオハコですが、そろそろ彼もそこから脱皮してもいい頃…

 親友とイチャイチャしてる青年役は、売れっ子の窪田正孝。彼もチョコっとしか出てこないのですが、インパクトはトーリよりもあり。何せ、BLでしたから(笑)。親友のウソを真に受けて、俺も好きだー!と布団に押し倒してグワっと互いの服を剥いでレイプ?する野獣ゲイな窪田くん、ちびっこなのに筋肉質な肉体美です。彼らのパートが、いちばん見たかったんですけどぜひスピンオフを!
 人質のひとりであるCA役は、トーリとは「サイレーン」でも共演してる菜々緒。

 ゴージャスなサイボーグ美女という見た目はいつも通りですが、今回は男前な気風のいい役で好感。トーリの股間を足で弄んだり、うっそぴょーん!ポーズとか笑えました。
 宇宙人な中学生役の男の子、どっかで見たことあるな~と思ったら、あ!「家族ゲーム」の子じゃん?浦上晟周くん、演技も巧いしイケメンというよりは味わいのある男になりそうだし、将来が楽しみな子ですね。
 古田新太、滝藤賢一、生瀬勝久とか、いい役者なんだけど…舞台系のオーバーな演技は、ちょっと苦手。最も受け付けなかったのは、ユースケサンタマリア。イヤな予感が見事に的中してしまった。彼にはいつも、俺って面白いだろ?と無理やり笑わせようとしてるような圧迫感を覚えます。無駄に出番が多かったのも、ちょっと…

 ↑三ツ星食感!のCMのトーリが特に好きです。声がいいですよね~。でもトーリくん、ちょっとCMに出すぎなのが気になる…

ヤンキー壮亮のイケメン♂背負い投げ

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 MOZU公開記念②
 「この世で俺/僕だけ」
 さえない会社員の伊藤は、ある夜はずみでヤクザの車を盗んでしまう。偶然それを目撃し、追跡して伊藤を捕える不良高校生の甲賀。車の中には、ヤクザが誘拐した市長選立候補者の娘である赤ん坊がいて…
 MOZUといえば、新谷ヒロミちゃん。ヒロミちゃんといえばの池松壮亮主演作です。いや~壮亮くん、やっぱ最高ですね~彼の何もかもが、どストライク。私の理想そのものな男子なんですよ。それは、いい男いい役者に成長して注目され人気も出てきた最近になってのことではなく、彼が子役だった頃から。ゆえに彼は私にとって、ずっと特別な存在なのです。ショタコンでも何でもない私、少年よりもどちらかといえば熟年おじさまが好きな私なのに、壮亮くんにだけは無関心ではいられず、ずっと熱視線で彼の成長を見守ってました。中学生の頃から壮亮くん、男なんですよ。しかも、ただの可愛いカッコいい男ではなく、シブくて翳りと色気のある男。そんな中学生、いますか?!さらに、演技は天才的。彼を初めて知ったのは大河ドラマ「義経」なのですが、源頼朝の少年時代を演じてた壮亮くんを見て受けた衝撃は、いまだに忘れられません。当時14歳ぐらいだった壮亮くん、見た目は小学生みたいな幼さだったけど、主演のアイドルやベテラン俳優たちを圧倒する凛々しく堂々としたたたずまい、そして明朗で端正な演技!え!この子、ほんとに子ども?!と、魅了されると同時に怖くなった。以来、池松壮亮の名は私の心に深く刻みこまれたのでした。学業を優先していた壮亮くんも、大学卒業で演技に本腰を入れ始め、地味ながらもジワジワと知る人ぞ知る存在となり、今や若手最高峰と評価される売れっ子役者に成長。

 この映画では、屈折した不良高校生を演じてる壮亮くん。どよよ~んと暗くて重い若者役が、すっかり専売特許みたいになってる彼ですが…確かに、そんな役がいちばん似合うんですよね~。年齢にはそぐわないあの落ち着き、重々しさ、悲哀は、同年代の若い俳優にはない個性かつ魅力なので、きれいで可愛いだけのイケメン俳優には演じられない陰影のある複雑な若者役は、どうしても壮亮くんに回ってきてしまうのでしょう。またそーいう役やらせたら、上手いんだよ壮亮くんは。どよよ~んな目つきといい雰囲気といい、ほんとにちょっと病んでるのかなと心配になってしまうほどのリアルさ。

 父親への反感や満たされない思いのせいで、鬱屈と虚無感で心くすませている甲賀を、ニヒルにクールに演じてる壮亮くん。基本的には寡黙で冷静だけど、激したらヤバい子になるプッツンぶりが、怖い!けど、可愛くもあって。ヤンキー役といっても、彼の子分たちのように見た目からしてわかりやすい不良ではなく、風貌は学生服をちょっと着崩してる程度で、髪もフツーに黒い。ちょっと昭和のにおいがする硬派なバンカラさ。ほっそりした壮亮くん、タイトな学生服の黒がよく似合ってカッコよかった。ヤンキー言葉での罵詈雑言や威嚇も、迫力はあるけど野卑さや下品さが全然ない。何だか不良というより武士みたいな風情。

 煙草をけだるげに吸う様子が、すごくアンニュイで退廃的。その若さで壮亮くん、もう酸いも甘いも噛みわけた熟年男みたいじゃないですか!大人っぽすぎるわ。雰囲気は熟年男ですが、顔は幼い!猿みたいな童顔が、これまた萌えツボつくんですよね~。このアンヴィヴァレントさも、彼の魅力です。
 粗暴で荒っぽい壮亮くんですが、赤ちゃんには超優しいところが可愛かった!赤ちゃんのオムツかえたり、ミルクあげたりダッコしてあやしたりしてる時の戸惑い顔や笑顔を見てると、壮亮くんいいパパになりそうだな~とほっこりしちゃいました。逃亡や闘いの時と違い、赤ちゃんの世話に関しては甲賀が素直に伊藤の言いなりになるところが笑えた。

 赤ちゃんのため、正義のために満身創痍で戦う壮亮くんの、男気あふれるヒーローぶりときたら!格闘シーンで見せる身のこなしの敏捷さ、シャープさは、彼の運動神経、身体能力の高さを証明しています。特に背負い投げ!伊藤も敵も、エイヤーと投げ飛ばしまくる壮亮くんが圧巻。スポーツマンの壮亮くんは、野球や水泳、乗馬だけでなく、柔道も得意みたいですね。何でもできちゃうんですね。

 伊藤役のマキタスポーツって…何者?俳優じゃないんですよね?そのへんにフツーにいるおじさんみたいでした。演技もほぼ素人みたいでしたが、俺は演技派だ!な暑苦しい鬱陶しさはなかったので、安心して壮亮くんだけ見てられたW主演のはずが、ほとんど壮亮の映画になってましたし。腐的には、さえないサラリーマンならフツーのおっさんではなく、ヘタレなイケメンにしてほしかったかも。岡田将生とかよさげ。じわじわ仲良くなっていくドSな壮亮とドMな岡マ…うう~ん、絵になりますね♪
 敵のヤクザとか政治家が、何かみんな軽くてオバカなキャラだったせいか、せっかくの闘いも命がけな悲壮感がなかった。ヤングジャンプとかモーニングの漫画みたいな内容、大学生の自主制作っぽい演出・編集は、質の高い映画を見慣れてる映画ファンからすると、かなり稚拙で雑に感じられるかも。

 ラジオでマキタスポーツに、芸能界で最も巨大なイチモツの持ち主であると絶賛された壮亮くん。最近、ちょっと自己陶酔っぽい演技や役が多いのが気がかり。おかしなTVドラマにはもう出なくていいけど、私が苦手な“演技派きどり”とか“映画俳優な俺”な人にはならないでほしいな~…作品を選びつつも、いろんな役に挑戦してほしいです。凛々しい武士とかキボンヌ(死語)!

 いくつかある新作映画の中では、小池真理子原作の「無伴奏」が楽しみです。映画化される吉田修一の「怒り」にも出てほしかったんだけどな~。妻夫木聡の恋人役!を、ぜひ演じてほしかった…

だるまさんが出てきた

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 「劇場版 MOZU」
 武装集団による高層ビル占拠と、ベナン国大使館襲撃が同時に発生。妻子の死の真相を追う公安警察官の倉木は、戦後の重大事件に関わってきたと言われる“ダルマ”が、テロ組織を背後から操っていることを知り…
 一部マニアの間で大人気だったTVシリーズ「MOZU」が、待望(と同時に、大丈夫なの?!どこまで引っ張るの?!と不安&心配)の映画化!初日に喜び勇んで観に行きました♪
 いや~期待通りのハチャメチャさでした。コメディじゃないのに、ヘタなコメディより笑えた。三谷コーキ先生の「ギャラクシー街道」より100倍は笑えると思います。作り手が、それを確信犯的に狙ってるのか、それとも本当に大真面目なのか。たぶん後者だと思うのでほんとは笑っちゃいけない。でも、TV版もそうでしたが、ツッコミ上等!みたいな感じは濃厚。あれ変!とか、おいおい~!?なシーンや展開、キャラがMOZUの魅力。なので、ハリウッド的な本格的アクションとか、緻密に練られた上質のスリラーを期待する人は、ナンジャコリャ!なトホホ映画かもしれません。
 それおかしいだろ~!?何でそーなるの!?イミフすぎ!が、映画版でもテンコモリです。もはや日本では話が成り立たないので、何でもアリOKな途上国に舞台を移して、MOZUファミリー大暴れ!スケールアップを狙ったカーアクションや大爆破シーンは、邦画にしては大がかりで頑張ってるな~と感嘆しましたが、これがやりたかったんだよおお~!な気合いが暑苦しいほど伝わってきて、必然性があまりない無理やりなハリウッド風味に苦笑しつつ、でもそんな無駄に壮大なところも好きだったりします。大騒動が起こってるのに、現地の俳優やエキストラ以外はどこ吹く風で平然としてるベナム国(架空の国。ロケはフィリピン)の人々が笑えた。

 ↑コマネチ!今の若い子、分かんないだろうな~
 ハリウッド映画に負けないものを!という意気込みや目標の高さは、大いに評価したいです。でも、設定や謎、キャラのほうにも時間と知恵を割いてほしかったかも。MOZU最大の謎であるダルマの正体や、倉木の妻子の死の真相が、ついに解明される!というのがファンを映画へと引っ張るエサだったはずなのに…せっかく食べに行ったエサが、思ってたほど美味しくなかったような期待はずれ感が。もっと深淵な、おぞましい真相が隠されているかと思ってたのにな~。衝撃の薄さにトホホ。いっそ、ダルマは地球侵略を目論んでいた宇宙人だった、とか反則的トンデモさでギャフンと言わせてほしかったです
 TV以上のトンデモを期待してたので、内容には正直ガッカリしましたが、MOZU一族の破天荒で支離滅裂な暴れっぷり、狂いっぷりは美味しゅうございました♪
 主人公の倉木刑事…相変わらずジャック・バウワーで笑えました~。あの不死身っぷり、一介の刑事にしておくにはもったいない。何しても死なない倉木、実はダルマが造った人造人間だった!みたいな衝撃が欲しかったです。西島秀俊は、カッコいいけど他のドラマや映画でも倉木刑事と同じ?あの一本調子は、ある意味スゴい。007みたいに、ちょっと大人なセクシーシーンもあれば、MOZUも一部マニアだけでなくもっと女性ファンを獲りこめたことでしょうに。
 メインキャラなはずの大杉役の香川照之と明星役の真木よう子は、TVドラマの時のように濃ゆいキャラに埋もれて、さらに印象薄い人たちと化してました。大杉が誘拐された娘を救出するシーン、あの爆弾いったいどこで、いつの間に入手したの?!真木よう子の棒読み、いっそう磨きがかかってました。ダルマ役に、ビートたけしが起用されたことが話題になりましたが…バラエティ番組のたけしは好きだけど、俳優としての彼はちょっと…コントみたいで、今にもコマネチ!とか言い出しそうだった。
 新キャラとして、松坂桃李が参戦!

 ダルマの組織に育てられた殺し屋役のトーリ、初登場シーンからカッコよかった!長身痩躯にタイトな黒が似合う。バレエダンサーっぽい体つきです。ポジション的には、TV版での吉田鋼太郎と同じ?ハイテンションき○がい役で、コータローおぢさんに勝るとも劣らぬ激演でした。見た目も言動も凶暴な狂人なのですが、キモくも怖くもなく、むしろ可愛いかった。新谷ヒロミの崇拝者で、ヒロミちゃん大好き!ヒロミちゃん萌え~な発言のみならず、ヒロミを真似て女装まで!ヒロミで~す♪と大杉の探偵事務所に現れるシーン、大爆笑でしたわ。

 MOZU一族の中でも人気の高いキャラ、チャオ東がまた美味しいところをもっていってました。いったい何がしたいの?!何しに来たの?!なところが相変わらず笑えた。キメ台詞?であるチャオ♪も、ちゃんと言ってくれてたのが嬉しい。

 映画版でも楽しそうだったチャオ東、倉木のことがすごく好きなんだな~ということが、映画版では決定的になってた感じ。腐女子にあらぬ期待・妄想を抱かせる、チャオ東&倉木の不思議な関係も好きです。血まみれでぐったりしてる倉木を、笑って~♪とスマホで写メ撮るシーンが笑えた。長谷川博己は苦手な俳優ですが、MOZUの彼は独りミュージカルみたいにハッチャケまくってて好き!アヒャヒャヒャァ~♪なトーリVSハセヒロのシーン、まるで岡田あーみんの漫画みたいで笑えた。
 そして。MOZUと言えば、双子の新谷ブラザーズ。TV版で和彦&ヒロミを大怪演して、すっかり主役になってしまった池松壮亮も、まさかの再登場

 いったい今までどこで何してたの和彦。そして、いったい何しに現れたの?!壮亮くん、明らかに無理やり引っ張り出された感じ。まあ、何でもアリなMOZUワールドなので、気にしない。素直に出演を喜ぶのみ。トーリ壮亮のデスマッチが、どちらのファンにとってもこの映画の白眉です。

 壮亮くんは、ほぼこの死闘シーンだけ。お約束である百舌の早贄が、MOZUファンにはニヤリでした。
 MOZUはこれにて完了らしいので、ちょっと寂しいです。大ヒットしたら、もしかして続編もありえる?いくらでも作れる終わり方してましたし、ちょっとだけ期待同じキャスト・スタッフで、また違ったドラマか映画、ぜひ制作してほしいものです。

 ↑壮亮&トーリ、再共演するなら、この二人で高村薫の「冷血」を映画化してほしい!

 ↑若いのに、何かすごくミステリアスなところも、壮亮くんの魅力です 

罪と罰の迷宮

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 「顔のないヒトラーたち」
 1958年の西ドイツ、フランクフルト。ジャーナリストのグルニカは、元ナチス親衛隊員が小学校の教師をしている事実を突き止める。グルニカの告発に心揺さぶられた若き検事ヨハンは、周囲の反対を押し切り調査を進めるが…
 ナチスドイツの非道さ、残虐さを描いた映画は枚挙にいとまがありせんが、この映画も悲痛で重苦しい内容でした。アウシュヴィッツの悲劇、人間がやったこととは信じられない、信じたくない。日本人の私でさえ耐えがたい気持ちに襲われるのに、当事者のドイツ人にとっては…と察するに余りある。恐ろしい恥ずべき過ちは、どこの国も背負っていますが…ナチス時代のドイツ人のユダヤ人虐殺は、人類史上最大級の禍根。この映画では、ドイツ人がドイツ人を断罪しなければならない悲劇を描いていて、時間が経っても決して忘れられない、癒えない傷の深さ、痛みに暗澹となってしまいました。
 アウシュヴィッツの真実が、おぞましすぎて…それを再現するシーンとかはなかったのが、少し救いになりましたが…収容所の生き残りであるシモンが語る、彼の双子の娘に施された悪魔の人体実験とか、やめてー!と耳を塞ぎたくなった。ナチスの残虐行為だけでなく、罪を問われることなく平然と社会生活を送っている元ナチスの人たちと、彼らによって生き地獄を味わった被害者が、戦後の社会で表面的には何事もなかったように共生しているという事実にも、衝撃と恐怖を覚えました。悪魔の所業に及んでいた元ナチスが、金持ちの実業家とか尊敬される教師とか親切なパン屋さんとか、平和で豊かな生活を送っていたり。あんな地獄を体験して、気も狂わずに生きてる被害者もそうですが、厚顔無恥という表現では足りないような元ナチスも、人間って強い生き物なんだな~と戦慄。

 怖かったのは、そんなに遠い昔のことではないのに、戦後のドイツ人の多くがナチス時代に関して無知無関心だったこと。主人公のヨハンや若い人たちが、アウシュヴィッツのことを知らなかったのがショッキングでした。そして、ナチス時代をよく知る人たちの、臭いものには蓋をしろ!的な考え方や生き方にもゾっとしました。あまりにも重い辛い過去ゆえに、蒸し返したくない、ほじくりかえさないで!という気持ちは解からないでもないけど、隠蔽や忘却するにはあまりにも大きく深い罪業。無知無関心、そして沈黙することの罪深さも、あたらめて思い知りました。
 表面的には平和な世の中になってるけど、ナチスは決して根絶されておらず、影のようにそこかしこに存在している…ヨハンや仲間たちが受ける妨害や圧力に、戦後ドイツ社会の暗部を思い知らされました。信じがたかったのは、ナチスの高官や人体実験を指揮した医師が、手厚く保護されていたこと。“死の天使”と恐れられていた悪魔の人体実験ドクター、メンゲレの追跡劇もサスペンスフルに描かれていますが、スルリと堂々と追尾をかわすメンゲレに、いったい世の中どーなってるの、とヨハン同様に観客も絶望感に苛まれてしまいます。

 メンゲレのような大物は逃しながらも、小物はじゃんじゃか捕まえていくヨハンたち。捕えても反省どころか罪悪感のかけらもなく、ナチスの面影をうかがわせる被告人たちは、悪人を成敗してる!という勧善懲悪気分にさせてくれません。ガス室に送ってやる!と罵る元ナチスの老教師とか、三つ子ならぬナチスの魂百まで、みたいで怒りよりも虚しさを覚えました。元ナチスがみんな絵に描いたような極悪人という描写は、ハリウッドのサスペンス映画っぽい分かりやすさですが、ほんとはもっと複雑で悲しい事情が被告人側にもあったんだろうな~。もし私が当時のドイツでフツーのドイツ人として生まれてたら、果たしてナチスを全否定して生きられたでしょうか…ヨハンだけでなく、当時のドイツ人、そして観客も出口が見つからず踏み迷ってしまう歴史の闇は、この映画のオリジナルタイトル通りラビリンス(迷宮)のようです。
 主人公の若き検事ヨハンを演じたのは、アレクサンダー・フェーリング。いま注目の独逸イケメン

 いや~めっちゃカッコいい、ていうか、可愛かったです!ブロンドで長身で優しく端正な顔立ちは、昔話の王子さま風。ちょっとアーミー・ハマー似?アーミーくんをさらに爽やかにスウィートにした感じ?背が高いけど、スラ~っとスレンダーではなく、ドイツ人らしくガッチリ骨太なイカちー体格なのもポイント高し。ちょっとだけ脱いでましたが、いいカラダしてました!すごい優しそうで誠実な雰囲気、困難にも屈せず突き進むタフネスも、まだ世の中の汚さ醜さに染まってない青年の若さ、美しさと強さであふれていて、年寄りには眩しい爽やかなキラキラ感。

 スーツも似合ってましたが、カッコいい車ではなく原チャリ!乗り回してるのが可愛かった。どのシーンも爽やかでカッコいいのですが、家族や恋人までナチスと無関係ではなかった事実に打ちのめされ、ボロボロになってしまう姿が切なくて胸キュン。もうあかん!というところまで落ち込みながらも、正義と希望を信じて立ち上がる勇姿も、清々しくて感動的でした。それにしても。あんなイケメン検事が裁判に出廷したら、法廷はザワつくだろうな~。毎日傍聴に行っちゃいそう

 ↑アレクサンダー・フェーリング、1981年生まれの34歳。「ゲーテの恋」も好評みたいでしたが、何と!彼は現在、アメリカの人気TVシリーズ「ホームランド」に出演中!クレア・デーンズの恋人役なんだとか。くわー!デーンズさんよぉ~!実生活ではヒュー・ダンシー、仕事ではフェーリングくんかい!?何か腹立つわー

アイルランドの夏⑤ バイシクル・ララバイ

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 朝、目覚めたら大雨…テンションがダダ下がりです
 サロンで朝食を食べてたら、他の宿泊客も姿を現しました。アメリカ人の熟年夫妻が、フレンドリーに声をかけてくれました。その日私がアラン諸島に行くと知ると、彼らも翌日行く、お天気が心配、と短いながらも気持ちのいい会話ができました。
 9時にフェリー乗り場へと向かう2階建てバスに乗り込みます。2階のほうがいいかな、と思って移動。ぼけ~っと雨にけぶる外をを見てたら、1階からイケメン(ゴシップガールに出てたチェイス・クロフォードにチョイ似)が上がってきて、私に近づいてくるではないか!じぇじぇじぇ!とビビる私に、カサ忘れてたよ!と笑顔のイケメン。ありがとうございます~!親切!異人さんに優しくしてもらうなんて滅多にないので、ちょっと感激しました。ちなみにイケメンは、彼女(奥さん?)が一緒でした。
 9時半にバスは出発。バスはほぼ満員。アラン諸島、やっぱ外国人観光客に人気あるんだな~。雨の中、バスは10時15分ごろロッサヴィール港に到着。チケットを船員に見せて、フェリーに乗船。たくさんの乗客で、船内はにぎやか。10時40分にフェリー発進。風雨のせいで波は荒々しく、フェリーも揺れる揺れる。船酔いする人には、ちょっとキツいかも。私は船にも車にも酒にも恋にも酔わない体質なので、ぜんぜん平気でした♪船酔いはしなかったけど、荒涼とした黒々とした海を見てたら、何だか寒々しい気持ちになりました。

 12時前に、アラン諸島最大の島、イニシュモア島に到着。その頃には、雨も上がっていました。島内観光のバスもあるみたいでしたが、私もほとんどの観光客同様、フェリー乗り場のそばにある自転車レンタル店で自転車を借り、アラン諸島最大の見どころであるドン・エンガスに向かうことに。自転車のレンタル代は€10、デポジットとして€10預けます(自転車返却時に返してもらえる)。

 いざ、島内サイクリング!チャリンコなんて乗るの、久しぶりじゃ~。いつの間にか空は気持ちよく晴れて、絶好のサイクリング日和に。のどかな田舎道を、のんびりと鼻歌まじりに自転車をこぐ私。島から眺める海は、広く大きくキラキラ輝いていて、道中では牛さんや馬さんが人懐っこく観光客を歓迎、道端には日本では見たことない野の花が咲いていて、墓地さえも爽やかな日中では情緒ありげ。ルルル、ラララ、と上機嫌でチャリンコ走らせてた私ですが…10分ぐらいしたら、もうしんどくなって後ろからくる他の観光客に、どんどん追い抜かれていくのであった。
 ほぼ平坦な一本道なので、坂道でゼエゼエとかココハドコ?!な迷子にはならないのですが、やっぱ自転車に普段乗り慣れてない、体力のない年寄りには、サイクリングはキツイわ~。鼻歌はいつしか、たいぎい~!まだ着かんのん~!原チャリ貸せえや~!という溜息&罵倒に
 トータル30分ほど走って、やっとドン・エンガスの入口に。駐輪場に自転車を置き、案内センター内に入ります。受付では、人のよさそうなおばちゃんたちが笑顔で出迎えてくれました。入場料を払っていると、え!?さっきまでの快晴が嘘のように、外は大雨!天気が不安定で気まぐれすぎるわ~。とても外を出歩く状態ではないので、しばらく案内センター内で待機。10分ほどすると、小雨になったので出発。ドン・エンガスへと続く道はかなり険しく(岩とか急な勾配とか)しっかりした靴が絶対マスト。はるか遠くに見える岩の砦に向かい、ひたすら歩く。長く原始的な岩の階段をのぼり、岩のアーチをくぐると、おおお~。絶海の海が目の前に!モハーの断崖同様、ドン・エンガスの断崖も大迫力で圧倒されます。強く荒々しい風、波涛は、やはり人間を拒んでいるかのような冷厳さが。モハーもそうでしたが、ここも自殺の名所にならないのが不思議なほど、投身を妨げるものなど何もありません。

 黒々とした眼下の海、そして見上げた空は暗雲がたちこめ…こ、怖い!今にも魔物が哄笑しながら現れそうな雰囲気。逃げようとする私を追うように、激しい雨と風が襲いかかってきました。震えながら岩陰に隠れます。古代要塞のドン・エンガスは、いまだに解明されていないことが多い謎の遺跡なんだとか。岩陰で隠れるように雨宿りしていたら、目の前には不思議な儀式を始めようとする古代人が、いけにえにするため私を探している…夢かうつつか定かではない光景を、一瞬見たような気がしました。
 雨と泥道に難儀しながら、案内センターへと引き返します。センターを出ると、カフェやお土産屋さんがあります。アラン諸島といえば、アランセーターが有名。温かそうで色合いや優しいセーターや帽子、マフラーが、購買欲をそそります。あ!可愛い!と思わず声が出てしまったセーター発見!これはなかなか日本では買えない類だぞ。でも、高い!でも、買わなきゃ後悔しそう。いや、きっとする。ええい、ままよ!と、私には珍しく衝動買い。あと、M子やジミー、ダミアン、ピーターの靴下などもお買い上げ。アイルランド滞在中、最大の出費でした。
 再び自転車こいで、港へと引き返します。途中、カフェに寄って休憩。ティ・ジョー・ワッティーズというお店。アイリッシュコーヒ(€5)ーとステーキバーガー(€10.9)を注文。

 初体験のアイリッシュコーヒー、独特の味でしたが美味しかったです。バーガーはデカくてジューシーで、so delicious!バーガーについてたポテトも、ゴールウェイで悲しい目に遭った有名店より美味しかった。カフェを出ると、絵葉書を島の小さな郵便局から日本へと出しました。ちゃんと着くかな~。
 17時にフェリーに乗り、ロッサヴィール港へ。そして港からゴールウェイへと無事戻りました。疲れたけど、今夜こそパブデビューしようと決めてたので、勇気を出してまた夜のキー・ストリート、ショプ・ストリートヘ繰り出します。相変わらずスゴい人!いっぱいあるパブの中で、キングス・ヘッドという店を選んで、おそるおそる入りました。

 元は、1649年にチャールズ1世を処刑した処刑人に、報酬として与えられた建物なんだそうです。中は博物館っぽいと聞いてたのですが、人・人・人!で見て回ることなどできません。私やっぱ、ダメじゃ~。人が多すぎる場所が苦手。でもせっかくなので、カウンターでサイダー(リンゴ酒)のハーフパイント(€2.95)を注文し、店の隅のほうでチビチビ恐々と飲みました。もちろん、誰も私に声などかけてきませんでした。飲み終えると、逃げるように店を出ました。ほんと、損な性格してますよね私♪宿に戻り、シャワーを浴びて爆睡。
 to be continued…

熊VS猿 ロス市警24時☆

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 さっき知ったのですが…カズオ・イシグロの小説「私を離さないで」が、日本で連ドラ化!
 キャリー・マリガン主演の「わたしを離さないで」の原作でもある小説、私も大好きなんです。もし日本で映像化されるとしたら、あの役はあの人がいいんだけどな~と、いつも小説を読む時には脳内で理想妄想キャスティングを楽しんでるのですが、とりわけ「私を離さないで」はmyイメージが強く働いた作品でした。なので、発表されたドラマ化のキャストは、かなりの衝撃というか…むむむ…
 最近では吉田修一の「怒り」映画化もですが…小説や漫画が映像化されると、ファンは期待以上に不安や失望を先に抱いてしまいますよね~。自分のイメージとあまりにも乖離がありすぎると、いっそ映像化されずそっとしておいてほしかったかも…なんて思ってしまいます。そんな私の勝手な思い入れを嘲笑うような名作や秀作に仕上がってくれることを切に祈ります。

 「L.A.コンフィデンシャル」
 50年代のロサンゼルス。マフィアの抗争が激化する中、カフェで客や従業員が虐殺される事件が起きる。元同僚を殺された刑事バドは、捜査線上に浮かんだ娼婦のリンと恋に落ちる。一方、エリート刑事のエド、ベテラン刑事のジャックもそれぞれ事件を追ううちに、恐るべき真相に近づいていくが…
 1997年のアカデミー賞助演女優賞、脚色賞を受賞するなど(「タイタニック」の対抗馬としても注目されてました)、高く評価された犯罪ドラマの傑作です。
 50年代のハリウッド、陽気で優雅な古き佳き時代…というのは表の顔で、実は血みどろで腐りきったダークタウンだったんですね。こんな街、ぜったい住みたくない!命がいくらあっても足りん!な地獄絵図に戦慄。毒と知っていても、野心や欲望が甘い蜜となって人々を惹きつけ狂わせるロサンゼルスの明と暗が、ムーディに描かれているのもこの映画の魅力です。マフィアも警察も、激烈に対立してるのかと思いきや、ズブズブな腐敗関係だったり、もう誰も信じられない世界。ちょっとでも出方を間違えたらお陀仏、な薄氷を渡るような怖さと緊張感に満ちています。マフィアの凶暴さも怖いけど、警察はマフィア以上に凶悪。拷問や偽装工作など当たり前、問答無用に容赦なく逆らう奴も怪しい奴も邪魔な奴も殺しまくり、金や出世のためには汚いことも平気。こんなお巡りさんたち、いやだ~この映画みたいな非道さは、いくら何でも今はまかり通ってないと思うけど、悪しき名残みたいな事件はたまにアメリカでは起きてますよね~…とにかく暴力的すぎるのが、ほんと怖い国アメリカ。わしなんか確実に、事件には関係ないのに巻き添え食って死ぬタイプじゃわ

 事件の謎も、複雑怪奇で面白かったです。マフィアの抗争、かと思われていた事件が、調べていくうちにだんだん深い闇に引き込まれていくような展開のスリリングさや、個性的な刑事たちのキャラがよく理解できる会話、伏線の張り方の巧さなど、さすがオスカーの脚本賞を受賞しているだけあります。エドが父親を殺した未逮捕の犯人に名付けた仇名が、事件解決につながる使われ方をしていたのが秀逸でした。でも…せっかくの深い闇っぽい真相も、ラストのほうではもうシッチャカメッチャカの大戦争に発展してしまい、真実もクソもないじゃん的な、結局皆殺しが最良の解決法だったのがちょっと…当時の人種差別も非道すぎる。出てくる黒人はみんな、差別されても仕方がないような凶悪卑劣な犯罪者ばかり。演じてる黒人俳優たち、仕事とはいえイヤだっただろうな~。
 この映画、キャストが素晴らしいです!主役のガイ・ピアースとラッセル・クロウが、若い!カッコいい!可愛い!漢(おとこ)!大熱演!

 エリート刑事エド役のガイピー、当時30歳。角度によっては大学生にも見えるほど、若くて可愛い!シャープな猿顔がええわ~眼鏡も知的かつキュート。出世のためには仲間も裏切る冷徹なガイピー、とんがっててイキがってるところも、ヤな奴というよりガムシャラに頑張ってる少年っぽくて応援したくなります。傲慢不遜でクールだけど、眼鏡のことでからかわれて心外そうな顔したり、大事な時に眼鏡かけわすれて来たり、ハニートラップにかかったり。ちょっとヌケてるところがあって、とにかく何か可愛いガイピーです。

 正義の暴力刑事バド役のラッシー、当時33歳。怖い!けど、可愛い。ろくでもない奴らはボコボコ半殺し、もしくは殺してしまう激ヤバ刑事だけど、女には異常に優しいフェミニスト、という男の剛と柔を併せもった役。憤怒に燃えてる時の目つきは、危険度MAX!キレた時の表情は、ふんがー!という漫画みたいな声が聞こえてきそうなほど。かなり病んでる上に、あのプロレスラーみたいなゴツい体格。あんな熊みたいなマル暴刑事さんに取調室へ連行されたら、やってないことでもゲロりそうです。敵に回したら怖いけど、愛されたら幸せ…かな?!女には超優しいけど、裏切ったら何するか分からない危険もあるし。娼婦に恋して彼女にZOKKON命になるラッシーは、ウブな少年のように初々しく繊細。ラブシーンの彼もスウィート&ラブリーでした。ゴリマッチョなサービス脱ぎシーンもあり。

 当時ハリウッドでは、ほぼ無名だったオーストラリア俳優のラッシー&ガイピー。彼らの起用は、かなり制作側としては賭けだったのではないでしょうか。結果は大成功でした。その後、二人は大躍進。特にラッシーは、有名女優とのスキャンダルやオスカー受賞など、立派なハリウッド☆スターになりました。ガイピーも地味ながら佳作異色作に出演し、今は素敵な熟年男優に。もっともイキがいい頃の若熊ラッシーと若猿ガイピーの、火花バチバチなガンとばし合いシーンや、ガチンコタイマンシーン(ラッシーが一方的にボコってるだけですが)が萌え~です。二人がもうちょっと早く協力してれば、あんな阿鼻叫喚なラストにならなかったでしょうけど。険悪だった熊と猿が、ついにアニマルタッグ!ラストのハードボイルド・ヒーローな二人、かなり胸キュンものです。
 クレジットのトップは、2度のオスカーに輝く名優のケヴィン・スペイシー。

 スマートで小粋なチョイワル刑事ジャック役のスペイシー氏も、なかなかカッコよかった。飄々と掴めないキャラが、彼らしい。スペイシー氏と悪徳関係なゴシップ記者役のダニー・デヴィートも、いい味出してます。二人のやりとりが、緊迫血みどろ激闘の中、コメディリリーフ的な役割を果たしてます。そして、二人に利用される売れない俳優役が、TVドラマ「メンタリスト」で人気のサイモン・ベーカー。メンタリストにハマってるmy motherが、彼の大ファンなんですよ。まだ駆け出し時代の彼、さすがに若い!クニャっとしたメロウな笑顔が可愛い。両刀使いで、ドラマの役を得るためにホモ爺と寝ることも厭わない役、ファンにはかなり切ないかも。全裸で写真撮られて逮捕される、なんてマヌケな姿が笑えるけど切ない。悲惨すぎる末路も切ないです。そういえば、サイモン・ベーカーもオージーでしたっけ?この映画、オージー率が高いのはなぜ?常に平然と高みに立ってるみたいだったスペイシー氏が、可愛い男娼のサイモン・ベーカーが殺されてショックな様子に、ちょっとニヤリ

 ほぼ紅一点、謎の娼婦リン役のキム・ベイシンガーは、この映画でアカデミー賞助演女優賞を獲得。ゴージャスかつ哀感ある存在感で、荒ぶる男たちの中で艶やかに咲く花のよう。若いラッシーとガイピーじゃ、とても太刀打ちできない貫禄のキム姐さん、いかにも怪しい悪女って感じではなく、娼婦でありながら優しい聖母みたいなところが特異で魅力的でした。 

 ↑ラッシー&ガイピー、あの頃きみは若かった~♪おじさんになった今、再共演してほしいです
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