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魔性の親子どんぶり!

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 「ダメージ」
 大臣のポストを目前としていたエリート官僚のスティーヴンは、パーティで出会ったフランス人女性アンナに強く惹かれる。アンナは息子マーティンの恋人だった…
 今は亡きフランスの名匠ルイ・マル監督が、イギリスで撮った晩年の作品。
 トリュフォー監督の名作「隣の女」とか、のっぴきならぬ恋に身を滅ぼす男女の悲劇って、私の大好物なんです。この映画も、美味しゅうございました。やっぱいいですね、ドロドロって♪まさに他人の不幸は蜜の味ってやつですわ
 魔性の女が、父と息子両方とヤりまくるんですよ。親子どんぶりってやつですね淫靡すぎる背徳のシチュエーションなのですが、ドロドロしくないのが不思議な映画でもあります。イギリス映画だからでしょうか。どことなく冷たい乾いた空気感が漂っていて、愛欲にのめりこむ二人には熱い情熱というより不毛な虚無感が。なので濡れ場もエロくないんです。アクロバットみたいなスゴいことヤってるんですが、何か異様で不気味なセックス。二人の関係を表しているようです。
 スティーヴンののめりこみようは、まさにセックス中毒状態。もう辛抱たまらん!と、ハアハア憑かれたようにアンナとヤリたがるスティーヴンは、痛々しくて滑稽でもあります。童貞卒業したばかりの中坊だって、あそこまでヤリたがらんぞ。アンナとデキてからは、仕事中も家族といても上の空、頭と下半身はアンナのことで悶々&ギンギン。すっかりタガが外れてしまうスティーヴン、悪い意味で元気すぎる熟年です。でも、表向きは上手に取り繕ってて、毛ほども周囲には不倫を感知させないスティーヴンの、スマートな大人の狡さは素敵でした。それにしても…実際にも不惑の熟年男性が、何でこんなことを…な愚かしい痴情のもつれ事件を起こしますよね。真面目で賢い人ほど、落ちる穴は深くて暗い。破滅的な情熱を知ってしまったスティーヴンは、不幸な男なのでしょうか。身を焦がすような情熱を知らないまま、平和に無難に生きることのほうが、人間としては幸せなことなのでしょうか。

 スティーヴン役のジェレミー・アイアンズ、その美紳士ぶりにうっとり!まさに理想的な英国ジェントルマン!スラっとした長身、非メタボな引き締まったアスリートみたいな裸。スーツの着こなし方、趣味のよさはまさに世界トップクラス。カジュアルな服装も上品で優雅。彼が着れば、ユニクロだって最高級品に見えるでしょう。やはりファッションは着る人によってクオリティが決まります。アイアンズおじさまが醸すエレガンスと知性、そして退廃は、まさに大英帝国の美そのものと言えましょう。ハリウッドや日本の大物熟年俳優がいくら頑張っても、絶対に備えることのできない魅力です。

 ほんと、どんなシーンでも絵になるアイアンズおじさま。雨そぼ降るロンドンの街を歩いてる姿、キッチンで立ったまま朝食を食べてる姿、オフィスでぼんやり座ってる姿etc.何でもないシーンでさえ美しい。愛欲に溺れる姿も、破滅まっしぐらな中にあっても、決してボロボロヨレヨレになったりしないんです。見た目の魅力と違い、優雅さとか気品って色褪せることのない天性の美質なんだな~と、アイアンズおじさまを見ていて思いました。

 そんな優雅で気高い紳士アイアンズおじさまがカマす、そこまでやりますか!な衝撃シーンに目がテン。先述したアクロバットな全裸愛欲ファックシーンもそうですが、ラスト近くの全裸でらせん階段を駆け下りるシーンが特に強烈でした。ヘタすりゃ滑稽になりかねないリスキーな演技でさえ、躊躇なく果敢に挑む役者魂を尊敬せずにはいられません。大したことない役者に限って、アレもできないコレもしたくないと自分を守ってばかりなんですよね~。
 アンナ役のジュリエット・ビノシュが、これまた強烈なんです。

 美人でもセクシーでもない、こんなイモ女に何でそこまでハマるかな?!と、観た人(特に女性)の99%は納得できないヒロインかもしれません。たぶん、彼女の本当の魅力は女には解からないのかもしれません。事実、美人でセクシーな女とは上手く遊べても、どうしてこんな女に!?な女にボロボロにされてしまう男、いますよね。ニコール・キッドマンとかシャーリーズ・セロンは美人すぎて、非現実的で無味無臭なロボットみたいじゃないですか。たぶん男のほとんどは、ニコキさんやシャー子さんよりも、生々しくにおいそうなビノシュとヤリたいと思うのでは。
 アイアンズおじさまと違い、JBさんは何を着てもダサい。スタイリッシュなおしゃれなファッションのはずなのに。フランス女優らしからぬ垢抜けしてなさです。でも、放出してる妖しさ、不可解さはハンパないです。狂おしいスティーヴンに対して、まるで菩薩さまのように静かに優しく寛容、でもネットリした糸で彼をがんじがらめにしてるクモ女のような怖さも。ほぼ無表情だけど、ふと見せる微笑が謎めいてて男心をそそる。双子の兄との悲劇的な過去さえも、男を惹きつける魔力なってたり。『破滅を知った女は危険よ。どんなことがあっても生き残るから』…アンナと会った瞬間に彼女を警戒、嫌悪したスティーヴンの妻の台詞が印象的でした。そんなつもりはまったくないのに、男たちを破滅に導くアンナみたいなファムファタール、ちょっと憧れます。それにしても…アンナみたいな、秘部に麻薬でも仕込んでるとしか思えないほど名器女って、大変だな~と思います。男がほっといてくれないのも、かなりしんどいだろうな~…
 実際にも、あまたのイケメン男優と浮名を流した最強モテ女のJBさん。男には抗いがたい魅力の持ち主なのでしょう。私生活や役のせいで、嫌い!苦手!という女性が多いけど、私は大好きです。その女優魂は、日本の自称女優CMタレントに見習ってほしいほど。フランス語と英語を自在に操る語学力もカッコいいし。吸い付きそうなほどのしっとりした白い肌は、男を惑わすのも理解できるほど煽情的。

 主役二人以上に印象的だったのが、スティーヴンの妻役の名女優ミランダ・リチャードソン。名作「クライング・ゲーム」と同年のこの作品で、彼女はオスカーにノミネートされました。完璧な良妻賢母がふと見せる不安や不審の表情が、さりげなくて巧い。そして恐ろしい悲劇の後、夫にぶつける痛烈な激情と冷酷さ。アンナとはまた違った女の怖さにゾっとしました。アンナのママも、無邪気すぎるがゆえに因業な女で怖かった。頭からっぽなくせに、男女の秘め事には敏感。娘とスティーヴンの関係も一瞬で見破ったりして怖い。とにかく、女たちが怖い映画でした。マーティン役のルパート・グレイヴスが、可愛い!でもすごい可哀想な役彼に起こったことを考えると、スティーヴンとアンナは地獄に堕ちるべき!
 スティーヴン一家の優雅で上品なライフスタイルも、イギリスの上流社会って感じで素敵でした。屋敷の内装とか食器からして、ハリウッドや韓国の成金とは違う趣味のよさ。ルイ・マル監督は、実際にもフランスのブルジョア出身だとか。庶民が想像したり調べたりして作るハイソサエティとは、一線を画してるのも道理です。あと、ロンドンの街並みや公園とかも、そぞろ歩いてみたいな~と思わせる美しさでした。
 

恐竜よりイケメン

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 「ジュラシック・ワールド」
 恐竜の生態を楽しめるテーマパーク、ジュラシック・ワールド。秘密裡に行われた遺伝子操作で生まれた新種の恐竜が暴れ出し、パークは阿鼻叫喚のパニックに陥るのだった…
 現在日本でも大ヒット中のシリーズ最新作。シリーズを1作も観たことがないわしの目当ては、もちろん恐竜さんではなく愛しのクリス・プラットです

 元軍人で恐竜調教師?オーウェン役のクリス、あいや~!めっちゃカッコよかったガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の時より、いっそう精悍で颯爽としたヒーローになってて、もう胸ズキュンバキュンですよ。ほんと素敵ですよね~彼みたいな明るく逞しいオールアメリカン・タフガイって。どちらかといえばコメディアン系俳優だった彼が、今回はちょっと二枚目キャラだったのも新鮮でした。おバカさは影を潜めてましたが、おちゃめでコミカルな味わいはちゃんと残ってたので安心もしました。やっぱ彼にはコメディが似合うと思います。大作の主役に次々と起用され、大ヒットもしているおかげで、クリス自身も何だかスターのオーラとか貫禄が出てきてるような気がします。

 映画が始まっても、なかなかクリスが登場しないので、ガキや恐竜なんかどーでもいいから、早くクリス出せよ!とイライラしてしまいましたそんな調子なので、クリスが活躍してるシーンには身を乗り出さんばかりに観入ってたけど、恐竜わらわらシーンやガキんちょ兄弟のシーンとかは、早送りしたくなるほど無関心クリスは期待通りカッコよかったけど、彼の登場比重と映画の面白さは、ガーディアンズのほうが上だと思います。クリスがそんなに出ずっぱりじゃない、というのがかなりの減点。

 今回のクリスを見て、あたらめて彼に新インディ・ジョーンズを襲名してほしいと思いました。タフで勇敢で、明るくユーモアがあってロマンチックな冒険野郎役なんて、クリスにぴったりじゃないですか。この映画のクリスも、かなりインディを彷彿とさせるキャラだったし。はじめはブラッドリー・クーパーが二代目インディ?という噂もありましたが、ブラパも悪くないけどクリスのほうが合ってる感じがします。実現、ぜひしてほしいなあ。ガセで終わりませんように!見た目もキャラもちょっとカブってるクリスとブラパの共演も、ぜひ見てみたいものです。コメディで兄弟役とか。

 翳りなどまったくない、負の感情とか縁のなさそうなクリスの明るさ、イケメンだけどイケメンすぎない薄口の素朴顔も大好きですが、体つきが私のタイプなんですよ。バキバキすぎる筋肉質と違って、抱かれたらさぞや心地よいだろうな~と思わせる包容力、ぬくもりがありそうなクリスのガチムチゴリマッチョな体が好きです。あと、ヘンに演技派ぶらないところも好き。この先も彼、アカデミー賞を狙うような映画や演技には無理して挑戦はしそうにないですよね。何かのインタビューで、演技はあくまで家庭や人生を豊かにするために必要なお金を稼ぐための仕事、稼ぐ必要がなくなったら俳優業は未練なく辞める、みたいなことを彼、言ってました。名誉や栄光なんか要らねえ!なんて斜に構えてるわけでもなく、ガツガツしてない生き方が似合うところも素敵なクリスです。

 って、クリスのことばっかですが。映画は、怖い恐竜からひたすら逃げる、それだけ、な内容です。襲われる人間よりも、恐竜さんのほうが可哀想だった。勝手に生み出されて、見世物にされて、恐竜同士で殺し合いさせられて、邪魔だ脅威だと殺される恐竜さんが哀れ。ひどい目に遭う人間どもに、むしろざまあと思ってしまいました。結構悲惨な状況なのに、ヒロインのクレアがヘンにコミカルな言動をするのも、何か違和感が。ラブコメしてる場合じゃないだろ~?と不快感さえ覚えてしまった。パニックで逃げ惑う群衆の中、彼らを轢き殺しそうな勢いで自分たちだけトラックで逃げるクレにもイラ&ムカ。この女が恐竜に食われたらいいのに、とさえ思ってしまいましたあと、大空に解き放たれたあの無数の鳥恐竜はどうなったの?!あれじゃあ、日本にも飛来しちゃうよ生き残った恐竜も野放しにしとくのでしょうか。
 字幕が読めないゆとりと一緒の時は、吹き替え版を観てるのですが。最近は私も、加齢のせいか字幕を追うのがしんどいため、吹き替え版も悪くないな、と思うように。でも、今回は吹き替えの声が何か????でした。クレアの声、誰?!ヘタすぎる!オーウェンの声、玉木宏…クリス・プラットに合ってない~字幕版にすればよかった…

↑クリスが現在撮影中の新作“The Magnificent Seven”は、日本映画「七人の侍」のリメイク!共演はデンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク、マット・ボマー、そしてイ・ビョホン!楽しみ~

ああ無情な家なき子

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 イギリスBBC制作のTVドラマ「オリバー・ツイスト」を観ました~。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が大ヒット中のトム・ハーディ出演作です♪
 キャロル・リード監督やロマン・ポランスキー監督など 巨匠により何度も映像化された文豪チャールズ・ディケンズの名作。キャロル・リード監督の「オリバー!」しか観てない私は、過酷な運命の中でも挫けずに生きる少年を明るく楽しく描いた作品、だったように記憶していたのですが…あわわ、オリバ-・ツイストって こんなに悲惨な話だったっけ?!このTVドラマ、かなり陰惨でダークなんですよ。ほとんどの主要登場人物が 無残な非業の死を遂げたり。ヴィクトリア朝時代のロンドンの、底辺社会の荒廃と劣悪な生活環境もリアルで、見ていて欝な気分に。まさに下流の悲しみ。現代でも同じような苦境にいる人、たくさんいるんだろうな~。いつの時代も、なくならない格差とか不平等さに、胸がふさがります。

 いたいけな子どもたちが非道い目に遭う姿ほど、見ていて辛いものはありません。オリバーの生まれ育った救貧院が 悪夢の虐待地獄なんですよ。あんなのありえない!とは、でも言えないんですよね。実際にも、虐待が横行してる施設とか問題になってますし…子どもたちは今もどこかで 虐げられ傷つけられてる…あんな地獄の中でも、心が壊れず優しさも失わなかったオリバ-は、強い人間だな~と感服せずにはいられませんでした。
 よくもまあ、こんなに集めたな~と呆れるほど、クズ野郎ゲス女のオンパレード。寄ってたかってオリバ-に精神的肉体的暴力、いや殺そうとする奴さえ現れるんですよ。どいつもこいつも最低最悪なのですが 特に通報したくなったのが救貧院を仕切ってるおばはん。こいつ、卑しくて性根が腐ってて、ほんま腹立ちます。でも、そのあまりの悪賢さには感嘆もしてしまいました。演じてる女優が巧い。ラストのほうではお笑いキャラになってて、いちばん美味しい役だったかも。あと、オリバーが二束三文で売り飛ばされ(!)た先の棺桶屋の使用人男が、キモくて性悪だけどかなり滑稽でインパクトあり。これも演じてる役者が巧いんですよ。スリの冤罪で裁判にかけられたオリバーに死刑(!)宣告する裁判長も極悪すぎる。

 ↑劇中では少年を散々な目に遭わせるトムハですが、実際の彼は子どもに優しい素敵な男
 すれ違いや誤解などが錯綜して、なかなかオリバ-が実の家族にたどり着けない展開とか、ハラハラ&ヤキモキさせるストーリーテリングは、さすが文豪の原作。衣装やセットも、TVドラマとは思えないほどお金をかけて、当時のものが再現されています。特に、ロンドンの裏街のアナーキーな雰囲気とか見事でした。あと、民族音楽みたいなBGMも印象的でした。
 オリバ-をはじめ、主要キャラがみんな個性的。オリバ-は、けなげで賢くて心が清らかで不屈だけど、ヘンに頑張ってる!元気いっぱい!なキャラではなく、運命に受身っぽいところが、ガツガツ系が苦手な私には好感もてる少年でした。演じてる子役も、優しそうな美少年だったし。みんなオリバーに無関心でいられないのも理解できます。鬼畜や外道の手に渡って非道い目に遭いまくるオリバーですが、少年姦の変質者には関わらずに済んだのは不幸中の幸いでした
 このドラマを観たのは言うまでもなく、トム・ハーディ目当てです♪

 裏町の悪党ビル役のトムハ、まだ若くて(当時30歳)今ほどゴリマッチョじゃない彼もカッコいいやっぱ彼、イケメンですよ。周囲の男とは顔面偏差値が違うもん。横顔なんか、端正で美しかった。凶暴な悪党役なんだけど 悪人というより狂気的なキャラ。荒ぶる心を抑えられない病んだ男を演じるトムハ、怖いけど悲しくもあって。ビルみたいな男、いるよな~。DVで奥さんや恋人を殺しちゃう男って、こんな感じなんだろうな~。

 女、子どもにも容赦ない凶暴極道トムハでしたが、飼い犬のブルズアイ(可愛い!)には超優しいのにはちょっとほっこり。人間だとボコボコにされちゃうので、トムハの前でだけは犬になりたいあと、寝顔と寝起き顔が可愛かった

 子ども窃盗団を束ねるファジル役は、「ターナー 光に愛を求めて」でカンヌ男優賞を受賞したティモシー・スポール。見た目だけで出オチ的な怪異さ!キモいけど子どもには優しいとろこや、底辺から這い上がれない悲しみが哀れを誘います。神も仏もない最期が悲惨すぎる!ビルの恋人ナンシー役のソフィー・オコネドーも好演。子ども窃盗団のリーダー、ドジャーも好きなキャラ。ガキンチョなのに、何かカッコいいんですよ。新入りのオリバーに兄貴風吹かせて、いろいろ面倒見るところとかBLっぽくて萌え。利口で気のいいドジャーが、あの荒んだ環境の中でビルの二代目みたいな存在に成長してしまうことを暗示させるラストに、ちょっと胸が痛みました。ドジャーも温かい家族やきちんとした教育に恵まれたら、きっとひとかどの人間になれるだろうに。将来、男前な悪党になったドジャーと、上流階級の美青年に成長したオリバーが再会して…なんてBLな二次創作ができそう♪

 ↑犬が大好きみたいなトムハ。犬になってトムハをペロペロ、いや、ガブっと噛みつきたい♪

ハンニバル2①~⑤ 地獄の晩餐

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 「ハンニバル」シーズン2の第1話から5話まで観ました~。

☆格闘博士
 キッチンでのレクター博士とジャックとの死闘からスタート。レクター博士、ドクターとは思えぬよな腕っぷしの強さ!格闘家としても食っていけそう。マッツ・ミケルセンとローレンス・フィッシュバーンが、これまたデカくてゴツいので、タイマンシーンも大迫力。日本の若いイケメン俳優のケンカシーンなど、子どものお遊戯です。
☆囚われのイケメン
 レクター博士に殺人の罪を着せられ、精神病院に収容されてしまうウィル。相変わらずヘンな幻覚に悩まされて、檻の中でもどよよ~んと過ごしてます。

 ヒュー・ダンシーやっぱ可愛いですね~。雨に濡れてる捨てられ子犬っぽい雰囲気が、胸をキュンキュンさせます。「ラブ&クライム」とか「ジェイン・オースティンの読書会」とか、前から思ってたのですが、ヒューってちょっと池松壮亮に似て見える時があるんですよね~。笑顔とか特に。マッツんとは、今回も精神的同性愛っぽい雰囲気が濃厚で、早くユーたちキスしちゃいなよ!とか思ってしまいます。

☆祝!結婚
 ウィルの同僚、アジア系女性のビヴァリーが、ちょっと澤穂希に似てる?欧米では、澤さんとかサンドラ・オー、ルーシー・リューみたいなのかアジアン美女扱いみたいですよね。美的感覚の相違が興味深いです。
☆殺人アート展
 死体を樹脂でくっつけたり(生きてた被害者が、逃げようとして皮や肉が剥げてしまう)、神経麻痺させて目玉と脳みそくり抜いて生きる屍にしたり、死体をきれいに真っ二つにして標本にしたりと、相変わらず残虐で無茶すぎる猟奇殺人のオンパレード。アメリカ、き○がいだらけなんですね!あんな事件が多発しても、さして驚かないアメリカ国民、FBIの捜査員たちに脱帽です。
☆博士のファッションセンス
 いつもおしゃれなレクター博士のファッションが、毎回楽しみ。スーツの着こなし、完璧ですよね~。フツーの男だとちょっと着こなせないスーツばかりなのも素敵。たまに見せるセーターとジーンズといったカジュアルな服装も、趣味がよすぎて真似は難しいハイレベルさ。でも、地味なようでかなりオシャレなヒュー・ダンシーのファッションも好き。囚人服さえ何かオシャレに見えます。

☆地獄の献立
 殺した男の足を切断して、すね肉の煮込みをこしらえるレクター博士。美しい盛り付け方、美味しそうな出来上がりにウゲゲゲ。
☆き○がいだらけ 
 精神病院の看守が、とんだサイコ野郎だった。ウィルの周囲には、こんな奴ばっか。ウィルにはサイコを引き寄せてしまう、ヘンなフェロモンがあるのでしょうか。で、ウィルは同僚を殺したレクター博士に復讐するため、自分を崇拝しているサイコ看守にレクター博士暗殺を命令。

 ガーン!プールで油断してたレクター博士、サイコくんに捕まって縛り首に。サイコくんが、よく見たらイケメンでナイスバディ。いつもとは逆の立場に陥ってしまい、博士ピンチ!でも、まるで火サスみたいな展開でタイミングよくジャックが救出に現れて
★総括
 うう~ん?次々と起こる猟奇殺人事件、ありえなさすぎて何か笑えてしまう。それを狙ってるのかな、とさえ思えてしまいます。何だか深淵で高尚な話にしようともしてるみたいだけど、頭が悪い私にはグロい悪趣味ドラマとしか思えないです…グロいの苦手なので、観るのがキツくなってきてます。
 でも、ヒュー・ダンシーとマッツ・ミケルセンがカッコいいので、なかなかリタイアできません♪

 ↑最近躍進著しい英国俳優たちですが、ヒューも頑張ってます!ハンニバルはシーズン3で終了、ヒューは早くも次のドラマが決定。カルト教団のカリスマ教祖役?みたいです。アメリカのドラマもいいけど、本国の映画、時代劇とかにまた出てほしいな~

 ↑ヒューって、何となく池松壮亮に似てませんか?さすが英国男子、かつてはバーバリのモデルを務めていたヒューも、トラッドでコンサバなファッションが似合う男です

Meán Fómhair

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 お久しぶりです!皆さま、ご機嫌いかがですか?
 やっとアイルランドから広島に、恥ずかしながら帰ってまいりました~(横井庄一さん調)
 つ、疲れた~…今はまだ旅の余韻よりも、片道ほぼ24時間によるすさまじい疲労感と時差ボケで、心身ともにフラフラ状態です
 前回のプラハも疲れましたが、今回のアイルランドもハンパなくしんどい旅でした。ヨーロッパ、やっぱ遠いですね~。体力気力のない私のような年寄りが、独りで気楽に行けるところじゃないです。とにもかくにも、金も気も使った、ついでに不安と孤独にもどっぷり浸かった旅でした。今回も後悔や失敗だらけで、鬱な気分と自己嫌悪まみれ…でも、日本ではできない貴重な経験や考察、日本では見ることのできない風景や光景を思い出すと、行ってよかったかな、とも。楽しかったというより、何かを成し遂げた達成感のほうが強いです。海外独り旅は、ユルんだ自分に課す試練なのかもしれません。
 落ち着いたら、つたない旅行記を書き散らそうと思います。ぼちぼちと、でももったいぶらずに、なるべくサクサクと皆様に読んでいただけるよう書き進めたいです。よろしかったら、お目汚しください
 ソレハソウト。デジカメが、な、ない!日本に帰り着いた夜、関空から大阪駅への電車の中でチェックしたのを覚えてるのですが…どうしようどうしよう。デジカメそのものよりも、撮った写真を失うのが…旅の後半は、日本から持参したインスタントカメラで撮ったので、すべて失ったわけではないけど、それにしても…悲しすぎます。プラハでもデジカメではいろいろ失敗したし…ほんと、私バカよね~おバカさんよね~…心当たりのある場所には問い合わせ済み、いま返事待ちです。あまり期待してませんが、携帯は今まで何度も落としたけど100%戻ってきたので、もしかしたら…と祈ってます。落としたのが命じゃなくてデジカメで良かったじゃん!と、周囲は慰めてくれますが…
 旅行記アップまで、恐縮ですが往復の飛行機の中で観た映画の感想で、お茶を濁させてくださいまだ日本で公開されてない、しかも大好きなイケメンスターの新作が観られて、ほんと幸せでした!ぶっちゃけ、アイルランドに行ったことより嬉しかったかも

パクリは地獄のはじまり

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 アイルランド⇔日本 機内映画鑑賞記①
 「Un homme idéal」
 ゴミ清掃員の青年マチューは作家になることを夢見ていたが、芽が出ずにくすぶった日々を送っていた。そんな中、仕事先である孤独死した老人の部屋で、マチューはアルジェリアでの戦いの手記を発見する。それを自分が書いたかのように仕立て出版社に送ったマチューは、瞬く間に人気作家としてもてはやされるようになるが…
 以前から観たくて観たくて悶絶していたピエール・ニネの新作を観ることができました!思いがけなさすぎる驚喜!C’est un immense bonheur!
 ニネっち、もうほんと…絶句ですわ。カッコよすぎる、可愛すぎる。もうね、わしと同じ生物とは思えないほどに。まさにタイトル“Un homme idéal”(英語タイトルは“A Perfect Man”)通りの完璧さ!

 はじめは冴えないゴミ清掃員として登場するのですが…こんなゴミ清掃員いねーよ!まさに掃き溜めに鶴なイケメンぶり。周囲の男たちとは、顔も雰囲気も違いすぎます。ほとんど宇宙人。明らかに一般人じゃない。顔、ちっちぇー!スタイルよすぎ!肌、美白すぎ!女優以上です。でも、松じゅんとか成宮みたいなメイクばっちり感はゼロ。すごくナチュラルなんです。特にうなじの美しさときたら。さすがまだ20代、すべてが若さで目映い。登場シーンのすべてをキャプっちゃいたいほど、カッコカワイくないシーン皆無です。光輝いてる!とは、まさにこの映画のニネっちのこと。

 ゴミ清掃員姿でさえ、おしゃれにキメてる三浦カズとか中田ヒデ姐の100億倍おしゃれに見えるニネっち。彼のファッションセンス、ていうか。いますよね、ごく限られた人だけど、何着ても高級感、上質感を醸す人って。ニネッちが着れば、ユニクロだってサンローランに見えてしまう。人気作家になった彼のセレブなファッションの、これまたカッコいいこと!マスコミの取材で撮影されるシーンのスーツ姿は、「イヴ・サンローラン」の時とはまた違ったエレガントさ。20代半ばでこの洗練と優雅さは、いったいどーいうこと?!恋人の実家でバカンス中のカジュアルなセーターやシャツ、犯罪を犯す時の黒いパーカー、ああもう!どんな格好してもオサレ!ニネっちって、ひょっとしていいとこの坊ちゃんなのかな?とにかく彼に比べたら、ハリウッドのセレブスターなんて下品で悪趣味な成金にしか見えないです。

 たぐいまれな美貌と魅力、優雅さを備えたニネっちを見るたびに、オードリー・ヘプバーンを思い出す私。美しくて気品があるけど、お高くとまったスター気取りとか近寄りがたさはなく、美形だけど可愛いファニーフェイス、キラキラした大きな美しい瞳、そして絶対いいひとに違いない優しそうな雰囲気とか、何かオードリーとカブるんですよね~。ニネっちのアヒル口が、すごく好き!

 とにもかくにも、ニネっちのボーギャルソンぶりを甘いワインのように味わえる、ファンには美味しい映画です。サービスとしか思えないほど、よく脱いでたし。ほっそりしてるけど、胸板は厚くて堅そうで二の腕も太くて、いいカラダしてます。結構鍛えてそうです。そんな眼福無駄脱ぎシーンも含めて、良くも悪くもニネっちファンのために作られた映画です。

 ほぼピエール・ニネのプロモーション映画、ニネっちファンのための映画…同時に、ニネっちファンのためだけの映画、とも言えます。どこを切ってもニネっち金太郎アメな映画で、ファンには満足満足ですが、内容的には結構ありふれているというか、日本の2時間ドラマっぽいので、非ニネっちファンからすると平凡で陳腐な映画かもしれません。イケメンが盗作して人気作家になる、といえばブラッドリー・クーパーの「ザ・ワーズ」もそうでしたね。あの映画のブラパもおいおい~でしたが、ニネっち扮するこの映画の主人公のマチューは、さらにアホなんですよ!ニネっちじゃなかったら、イライラのあまり観てられなくなってたかも。

 そもそも、盗作することからして考えなさすぎ。パクリで一発当てても、才能ないんだから後が続かんでしょ。もともと才能ないし貧乏人だったので、ブルジョアの恋人との分不相応な生活や関係をキープするために必死、あたふた無茶しまくる姿は滑稽でもあった。虚栄に固執するあまり魂を悪魔に売る、というダークサイド堕ちな背徳感や悪徳感があまり伝わってこず、ごまかし作業がどんどん過激にエスカレート、ただもう嘘を糊塗しようとすればするほど裏目に出て、やることなすこと自分の首を絞めるだけの破滅まっしぐらなバカっぷりが、何かだんだんコメディっぽく見えてきたり。マチューは悪人ではなく、単にちょっと魔がさしてしまった善人。同じ美男でも、もしアラン・ドロンとかがマチューを演じたら、狡猾で冷酷な魔性男になったただろうし。ニネっちがあまりにも可愛くて優しそうだから、アホだけど何か可哀想で助けてあげたくなったり。そういうところが、映画が暗く悲劇的な印象にならなかった要因かも。

 いま問題になってる東京オリンピックのロゴもですが。やっぱパクリはいけません。すぐバレるパクリなんて、頭悪すぎます。やるなら上手にやらないとねズルして美味しい思いをすると、後で苦いツケを払うことになる…ということも、肝に銘じておかねばなりません。

↓↑イケてるニネっち画像、集めてみました~

 ピエール・ニネ、こんなにも超絶カッコカワイイのに、まだ知る人ぞ知る存在なのが惜しい反面、なんか嬉しい(笑)。新作ももちろんですが、旧作の彼もありえないほど可愛いので、DVDスルーでもいいから観たいな~

ブラパのハワイの歩き方

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 アイルランド⇔日本 機内映画鑑賞記②
 「Aloha」
 大富豪カーソンの下で働いている元エリート軍人ブライアンは、人工衛星を打ち上げる米軍との共同プロジェクト推進のため、かつてキャリアの絶頂にいたハワイに戻ってくる。助手兼お目付け役として、女性空軍パイロットのアリソンがブライアンと行動を共にすることに。そして、かつての恋人で今は人妻のトレーシーと再会したブライアンは…
 愛しのブラパことブラッドリー・クーパーの新作を観ることができました~

 「アメリカン・スナイパー」に続いての(撮影は、このアロハのほうが先だったとか)軍人役ですが、軍服姿はちょっとだけで、戦闘シーンなどもありません。あくまでラブコメです。アメリカン・スナイパーでもの鬼気迫る熱演も素晴らしかったけど、やっぱブラパにはコメディが似合いますね~。コミカルな内容や台詞、演技がしっくりきます。

 元カノと今カノとの間で揺れる想い~♪by ZARD なブラパ、という設定なのですが、そんなに揺れてませんでした(笑)。もっと大人のビタースウィートなコメディだったらよかったのですが。ヒロインとケンカしながらもだんだん惹かれ合って恋に落ち、すったもんだを経てハッピーエンド、というラブコメの王道(陳腐とも言う)で、目新しさとか驚きとかはいっさいありません。他愛もないコメディで終わってしまってたのが、かなり残念。でもま、ブラパがカッコよかったから許す

 男前、仕事もできる、軽妙でユーモアと明るさにあふれてるけど、人間的な欠陥も多い主人公、というブラパの十八番な役。水を得た魚のようにスイスイと軽やかに演じてる、ていうか、ほとんど地?アメリカン・スナイパーのためのウォーミングアップ的な仕事だったのかしらん。ちょっと女癖が悪く、仕事第一というブライアンの、ていうか男のマイナスポイントも、ブラパだとチャームポイントになってしまう。とにかくオチャメ。女どもが彼を放っておけず、モッテモテなのも当然です。

 オールアメリカンな爽やかさ明るさ、優しい笑顔も素敵なブラパ。バキバキ筋肉質ではなく、たくましいガチムチ体格もイケてるアメリカ男って感じで好き。ブラパのノータイスーツ姿が、これまた似合っててカッコいいんですよね~。今回もコミカル演技が冴えてて、プっと笑わせてくれます。特に、車の中でコヨーテの鳴きマネするシーンが、可愛くて笑えた。私、プッツンして怒鳴るブラパが好きなんですよ。なぜか笑えて。アメリカンスナイパーでも、ぷっつんシーンだけは笑えたのが不思議、だけどこれぞブラパ!って感じでした。、でも…ブライアンのキャラじたいは、あんまし好感が抱けなかったです。優しくて楽しくてイケメンだけど、かなり自己中心的で他人への思いやりに欠けてるし。結婚してる元カノの家に、亭主の留守中に平気で出入りしてるのも何だか無神経で。ブラパじゃなかったら、かなり不快な男になってたかも。あと、ブライアンの仕事というか、職業というか肩書きがイマイチ???

 ヒロイン二人も、好感共感が難しい女どもだった。トレーシーは、何か悪い意味で女だな~と見ててカチンときたり、イヤな気持ちにさせる言動が多いんですよ。ブライアンへの媚びを含んだ思わせぶりな態度とか、まだまだイケてる自分アピール的な仕草や表情、笑顔がわざとらしすぎて。わがままなブライアンに愛想を尽かして別れ、無口で誠実な今の夫(超いいひと)と結婚したのに、夫が寡黙すぎて何考えてんのか解かんない!と今さら不満不平、元カレのブライアンに何か期待してるような様子が、浅ましく思えました。日本の可愛い子ぶりっこ女優が演じそうな役でした。演じてるレイチェル・マクアダムスは、ちょっと苦手系女優。それも、トレイシーを好きになれなかった要因かも。
 実質のヒロインは、アリソン役のエマ・ストーン。彼女もね~。ファニーフェイスで可愛いんだけど、役が元気いっぱいの不思議ちゃんという、私が最も苦手な女だったので、ちょっと…でっかいギョロ目が、何か怖かった。軍人に全然見えんし。どう見てもギャルだし。ハワイアンという設定も、無理がありすぎ。どっからどう見ても、混じり気なしな100%白人だもん。人種詐称キャラです。せっかくの今が旬のブラパとエマ、もうちょっと上質で小粋なコメディで共演してほしかったかも。
 「あの頃、ペニー・レインと」や「ザ・エージェント」で高い評価を得たキャメロン・クロウ監督作品。彼の映画って、あんまし面白いと思ったことないんですよね~。私の口には合わないのかな。何か青春ひきずってますよ的な青臭さが苦手。この映画、アメリカでは酷評を受けコケたんだとか。行きたい!と思わせるようなハワイの美しさ、魅力を活かしてなかったのも、敗因のひとつではないでしょうか。カーソン役のビル・マーレイ、ブラパの元上官役のアレック・ボールドウィン、ベテラン二人の使い方も何かもったいない感じがしました。

 ↑カッコよくて、おちゃっぴーなブラパが好き

 ブラパの新作“Burnt”(Adam Jonesから改題)が、もうすぐ全米公開。人生に問題を抱えてるシェフを演じてるブラパ。早く会いたい♪

スパイボーイ、スパイジェントルマン

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 栃木茨城が今、大変なことになっていますね…
 広島は、気持ちのいい秋晴れだったのに。同じ日本で、まるで天国と地獄…
 TVで救助を待つ人たちの姿を、早く助けてあげてー!と祈るような気持で私たちはなすすべもなく見守るしかない。去年の広島土砂災害を思うと、とても他人事ではありません。重責を負わされてる自衛隊の方々も、どうか無事にと願わずにはいられません。
 自然災害、怖いですね。危ないと思ったり警告されたら、とにかくすぐ避難することを心掛けたいですね。
 安全な救出と、行方不明の方々が早く無事に見つかりますように…

 アイルランド⇔日本 機内映画鑑賞記③
 「キングスマン」
 ロンドンの下町で母子家庭で育った不良少年エグジーの前に、ハリーという紳士が現れる。表向きは高級スーツ店、実態はエリートスパイ組織キングスマンのメンバーであるハリーは、エグジーの亡父とは同僚だった。エグジーの資質と度胸を見込んだハリーは、彼をスカウトしスパイになるための訓練を受けさせるが… 
 イギリス少年がスパイ教育・訓練を受けて巨悪と闘うという設定は、「アレックス・ライダー」と同じですが、ありえね~!な斬新なアクションが笑えて、なかなか楽しい映画でした。大真面目にハチャメチャなスパイ訓練も、殺す気?!なハードさとか、可愛い犬を使ったりとか、遊び心にあふれていたのも良かったです。スパイの小道具、秘密兵器が笑えた。傘とかライターとか、紳士の所持品なのがやっぱ英国風。相手を眠らせるガジェットとか、ぷぷっ名探偵コナンかよ!訓練生の制服、任務中のスーツとかも、イギリスっぽくて素敵でした。

 設定、ストーリー展開もですが、キャラがみんな漫画ちっくでぶっとびすぎ。スパイ側も悪人側もやりたい放題。隠密スパイ組織のキングスマンですが、やることはド派手。任務遂行よりも、後始末のほうが大変そう(笑)。悪人も、スケールの大きさを誇示しつつ、最終目的が御多分にもれず世界征服かと思いきや、世界中で大けんかをおっぱじめさせることだったり。狂わされた人々、殺し合いならまだしも、拳骨やキックでけんかしてるだけなんですよ。以外とセコい小さい陰謀で笑えた。

 ハリー役のコリン・ファースの、ノリノリな大暴れっぷりがカッコいい&笑えます。ヘンにコミカルにやってるのではなく、いたって大真面目なところが彼らしい。コリン・ファースといえば、やっぱ典型的な、理想的な英国紳士。背が高くて恰幅がいい身体、知的でリッチな雰囲気は、まさにスーツを着るために生まれてきたようなジェントルマン。「シングルマン」でもトム・フォードのスーツをエレガントに着こなしてたけど、この映画でも男子が憧れ参考にしそうな(一般人には難しいとは思うが)洗練とスタイリッシュさでした。渾身のアクションを披露するなど、頑張る熟年してたファース氏ですが、え!?な形で退場します
 実質の主役は、エグジー役のタロン・エガートン。

 この映画で初めて彼を知りましたが、可愛いじゃん!ちょっと幼くしたマット・デーモン、みたいな顔?アメリカ人っぽい?下町ボーイなファッションは似合っててキュートでしたが、スーツ姿は七五三(笑)。でも可愛い!コリン・ファースとのコンビも、何か微笑ましいかったです。デカいファース氏と並ぶと、ほんと子どもみたいで。見た目は子どもっぽいけど、脱いだら結構いいカラダしてました。アクションもキレがあって、身体能力高いな~と感嘆。それにしても。エグジーみたいに身体能力もIQも高い少年が、貧乏だからろくな教育も環境も与えられずに育つというのは、英国のみならず全世界における大きな社会問題ですよね~…

 エグジーがもっと大人の美青年俳優だったら、さぞやファース氏とBLちっくな味わいも出てたことでしょう。タロンくんはガキっぽいので、ファース氏とは親子にしか見えませんでしたし。まあ、二人の疑似父子っぽい雰囲気も、心温まりましたが。

 脇役には、なかなかの大物が。悪の大富豪役ヴァレンタイン役は、ハリウッドから襲来のサミュエル・L・ジャクソン御大。老人ラッパーみたいなファッションが笑えた。役も悪役というよりお笑い担当。アンパンマンにおけるバイキンマン、ヤッターマンのドロンジョ、みたいな感じ。楽しげなサミュエル御大でした。キングスマンの元締め役は、仕事を選ばないことで有名なマイケル・ケイン御大。最近ヨボヨボ感が否めなくて、そろそろヤバい?これが遺作になるかも?と思わせつつ、誰よりも働いてるケイン御大です今回の役は、「グランド・イリュージョン」とほぼ同じ。ケイン御大じゃなくてもいい役ですが、彼が出ると映画に高級感が出るところは、さすがです。

 キングスマンのメンバーであるマーリン役は、これまた働き者なマーク・ストロング。シブい彼ですが、今回はちょっとコミカルで何か新鮮でした。ツルツル頭がセクシー。主に後方支援の彼ですが、ラスト近くは現場で大活躍、おちゃめにキメてくれてます。サミュエル御大の部下(橋本愛似。ニューハーフかと思った)の、敵を真っ二つにする恐怖の義足がユニークでした。
 はっちゃけたノリ、ヴィヴィッドなシーン、こーいう映画すごく好きです。マシュー・ヴォーン監督の「キック・アス」シリーズは未見なのですが、俄然観たくなってきました。 
 この映画、続編が決定したらしいけど…ファース氏は再登場するのでしょうか?まあ、何とでもなるだろうけど(笑)。

 ↑続編で、またこのコンビに会えるのかな?タロンくんは、トム・ハーディの新作“Legend”にも出演してるみたいです。楽しみ♪

アイルランドの夏① 我慢飛行

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 旅立ちの日は快晴。その日も暑くなりそうだった日本を離れて、憧れのアイルランドへとついに飛び立つ♪
 関空へと向かう満員の快速。途中で車両が別れる、というアナウンスにギョッ!和歌山方向へ行く車両に乗ってた私は、慌てて関空方面の車両へと移動。危ない危ない by 福田和子!危うくアイルランドではなく、熊野詣でするハメに陥るところじゃったわ
 早々と関空に着いて、搭乗チェックインも済ませて、搭乗時間までブラブラ。出国で混雑してるのかな、と思いきや。想定外に人は少なく、ガラ~ンとした感じでした。夜遅かったからかな?
 いよいよ搭乗!出国審査もサクサクすんで、飛行機に乗り込みます。今回利用するのは、アラブ首長国連邦のドバイをベース空港にしてるエミレーツ航空。前回のチェコへの往復で利用したオランダ航空は、とっても快適だったので今回も、と期待で胸は膨らまないけど腹は減る。けど我慢。機内食という楽しみも待っている♪
 CAさんの中東風のエレガントでエキゾチックな制服(帽子に薄いベールがついてるのがオシャレ)、機内の天井には煌めく星屑のようなライト、座席には最新の映画が観られるTVが。ちょっとした異空間の中で、リラックスした楽しい時間が過ごせそうと、窓際の席についた私。窓際…これが浪漫飛行、ではなく我慢飛行を私に強いた元凶となることを、その時の私は知る由もありませんでした…
 私の隣席は、日本人のOL風の女性二人。旅慣れた感じの彼女たち、イヤホンの仕方が分からずマゴマゴしてた私に優しく教えてくれるなど、いい人でよかったと安堵。しかし…このエミレーツのエコノミー席、めちゃくちゃ狭いんですよ~!こんな窮屈な飛行機、初めて!客はまさにギチギチに詰め込まれてる感じで、その息苦しさ閉塞感はハンパない。閉所恐怖症の人は、間違いなく気分が悪くなることでしょう。しかも、ここは託児所?!と錯覚してしまうほど、赤ちゃんや子どもがず~っとギャーギャー騒いでるんですよ。泣きわめいてる幼子を、そのパパやママがダッコして通路をウロウロしてて、まったく落ち着きがない。ゆったりと静かだったオランダ航空とは大違い。この差は何?!同じエコノミーなのに?!
 席の狭さがもう地獄のようで、ほとんど身動きできないんですよ。本当の地獄は、はばかりに行きたくなった時。隣のお姉さんたち、機内食をすませたらそろって爆睡。でも、彼女たちを起こさずに通路に出ることは不可能。ああ~…つくづく痛感。窓際席は避けるべき!と。
 トイレに行かないですむよう水分はほとんど取らず、ひたすら映画鑑賞に集中。カンバーバッチの「イミテーション・ゲーム」と、クリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッド主演の「The Longest Ride」を観ました。どっちも面白かったです。バッチ切なかった!スコット・イーストウッド、パパを可愛くした感じでなかかかのイケメン、そしてすごい肉体美でした。

 ↑クリント・イーストウッド御大の息子スコット・イーストウッドの眼福画像で、ひと休み…
 ほとんど眠ることなく、トイレにも行けずドバイ到着。現地時間は早朝の5時。日本時間で朝の10時だったから、約10時間のフライト。すでに疲労困憊でしたが、旅はまだ半ば。ここで弱音を吐いてどうする!
 楽しみのひとつだった、中継ぎのドバイ空港。にぎやかでエキゾチックと聞いてたので、ワクワク。でも…ん?そんなに特殊な感じはしなかったです。大阪のホワイティうめだを豪華にした感じ?早朝なのに、とにかく人は多かったです。

 ↑眠らないエアポート、ドバイ空港
 免税店とかで冷やかし。ブランドものよりも、中東のお菓子とか雑貨が面白かったです。アラビア語で表記されたオロナミンCとか笑えた。のどが渇いたので、フルーツジュースの店でアボガドのスムージーを買って飲む。甘くて美味しかったです。このお店の店員もでしたが、ドバイの空港職員ってアラブ人よりも東南アジア系の人が多かった。フィリピンとかからの出稼ぎの人なのかな。

 ↑ベタなお土産ショップ前のラクダさんが、いかにもアラビアン
 7時過ぎに、ドバイ発。ここでトラブル発生!私の席に、なぜかインド系の男が座ってた。困惑してる私を見て、席代わって!と。おいおい~。勝手に決めんなよ~とイラっとしましたが、英語で抗議するのもめんどかったので、言いなりに。通路移動の途中、白人のおばはんが進行方向が逆!と鬼の形相、あっち行け!とばかりに手でシッシと私に。怖い…そんなに怒らなくても…何で優しく指摘してくれないんだろう…
 もう疲れ果てて席につく私。今度は通路側で安心。気兼ねなくトイレに行ける♪疲れてたけど、眠れないのでやっぱ映画を観る。「Far From the Madding Crowd」というイギリス映画。いい映画でした。
 それにしてもエミレーツ…CAの接客が、ちょっと…私の席にイアホンがなかったので、持ってきてくれますかと頼んでも。温かいコーヒーもらえますか、と注文しても。そっけなく受けはするのですが、どっちも結局持ってきてくれなかった何で?!イアホンは、隣のドイツ人らしき女性が、私は使わないからと親切に譲ってくれたからよかったものの。まともに客として扱われない自分自身に、自己嫌悪…
 あ、大事なことを言い忘れてました。飛行機内、めっちゃめちゃ寒かった寝たら凍死するんじゃないかと怖くなるほどに。いちおう長袖着てたのですが、それでもブルブル震えてましたし。そんな私にも、CAは知らんぷり。寒い!何とかして!と、はっきり言わない私が悪いのかな…機内ブランケットも、薄すぎてあまり防寒効果なし。夏でも上着はマスト!これは飛行機だけでなく、アイルランドでも同じでした。
 モヤモヤ&フラフラなまま、ダブリンに到着!日本時間は20時30分。大阪からほぼ24時間かけ、ついにアイルランドの地に立ったのだった。
 To be continued…
 

ドSがいいの

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 「S 最後の警官 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE」
 プルトニウムを積載した輸送船が、逃亡中だった正木率いるテロリスト集団によって占拠される。出動命令を受けた警視庁特殊部隊NPSの神御蔵一號、SATの蘇我伊織は、命がけの激闘に身を投じることになるが…
 最近の邦画は、TVドラマの映画化が主流なのでしょうか。ふだんなら、タダで観られるドラマをわざわざ金払って映画館で…な私ですが、この映画はルンルンで観に行きました~♪言うまでもなく、大好きな向井理会いたさゆえです

 いや~ムカイリー、やっぱカッコいいですねもう30過ぎ、結婚もして子どももいる(彼がデビューしたての頃からのファンからすると、何か隔世…)、そんな所帯くささなど微塵もない。相変わらず爽やかで若々しく涼しげでスマートで、すべてがクリーンな感じ。まさにカロリーゼロな男です。顔、ちっちぇ~!栗みたい!男優はもちろん、彼と一緒の画面に映った女優が気の毒になるほど。「新しい靴を買わなくちゃ」のミポリンとか、無謀で無残でしたもんね~。足、長~っ!スタイルもよすぎ!特殊部隊の制服も、まるでモデルのように着こなしてます。TVドラマでは、一號の私生活シーンでのカジュアルなファッションも超おしゃれで、毎回楽しみでした。今回はほとんどが戦闘シーンだったため、プライベートなファッションは少しだけでしたが、ラストの結婚式シーンでのスーツとか、警察官とは思えないほどオシャレでした。

 そう。TVドラマでもそうでしたが、ぜんぜん警察官に見えないんですよムカイリーは。闘う男の汗くささとか脂っぽさ、熱さやワイルドさがないんですよね~。このドラマがきっかけでかなり体を鍛えて、引き締まった肉体美も備えている最近のムカイリーですが…ハリウッドや韓国映画の刑事とか軍人を見慣れてる目には、こぎれいなモデルにしか見えない。見た目のみならず、元プロボクサーでオツムがちょっと???っぽいピュアな超お人よし、考えるより先に行動な熱血脳筋男である一號と、頭がよくてクール&ドライ、愚かなことや自分に損になることは絶対しそうにない、いつも他人を内心では見下して嘲笑ってそうな実際のムカイリーとは、かなりギャップがある。こに映画版でも、ミスキャスト感はさらに強くなってました。
 しかもムカイリー、主役なのに影が薄いんですよ今となっては彼がどんなことしてたのか、ほとんど思い出せない良くも悪くも強烈なインパクトを残せないというのは、役者としてはかなり致命的。それはムカイリーだけではなく、他のキャストも同じ。NPSのメンバーとか、確かに出てたけど、まったく印象に残ってないし。中でも酷い扱いだったのは、蘇我の後輩の上野隊員こと淵上泰史くん。犬や子役以下ほとんどエキストラだし!フッチーのファンとしては、かなりトホホでした。まあTV版でも、相手に怒鳴ってメンチきるだけのフッチーでしたが(笑)。NPSの香椎隊長役、大森南朋も大好きは俳優なんだけど、たまに安倍首相に似て見えたりしてナオさんの哀愁と色気を活かした映画が観たいです。いちばん目立ってたのって、ひょっとしたらテロリストの中にいた凶暴な坊主男かも。ヘンな日本語とか笑えたし。

 蘇我役の綾野剛も、W主演なのに印象薄すぎ。クールなキャラを強調する蘇我の喋り方や表情が、何か誰かのモノマネでもしてる感じで笑えた。爬虫類系顔は苦手ですが、なぜか綾野くんはわりと好きなんですよね~。一號と蘇我のツーショット、からみがほとんどなかったのも、かなり物足りなかった。熱血一途な一號にツンデレな蘇我、なシーンが腐には萌え~なのに。それにしても綾野くん、働きすぎじゃね?映画やドラマに出まくってて、もう何が何だか???な状態です。
 正木役のオダギリジョー、カリスマテロリストに全然見えない。アヴァンギャルト気取りのトウの立った元モデルみたいだった。激戦の中でも崩れない髪型が笑えました。

 ↑雪印メグミルクとSのコラボCMのムカイリーが、カッコカワイい
 結局のところ、役者の演技よりも脚本に問題があったのかもしれない。TVドラマ同様、女キャラがウザすぎ。無駄に出番が多い!ここで要る?な不自然さ、無意味さ。特に吹石一恵扮するゆずる。いちごの姉ちゃんにしか見えんし。タンカーの天井が開いて、NPSが降下してくるシーン、お!いいじゃん!と思った途端、ゆずるが医者のプロポーズを断る、なんてシーンが挿入されたりして、ガクっとなることこの上なし。ただでさえ緊張感がないのに、これ以上ユルくしてどーすんだ!それに、ゆずるは両親を亡くして祖父に育てられた超庶民の看護婦さんなのに、結婚式のシーンでは花嫁さんより目立つ女優みたいな豪華ジュエリーしてたのにはビツクリ。吹石一恵は映画のヒロインって器じゃないし…NPSの紅一点、イルマ役の新垣結衣は、可愛いんだけどデカい!女子高生みたいな声にもガクッ。あんなヘナチョコスナイパー、ありえん。銃の構え方とか、女優ならもっと鍛えて勉強して撮影に臨むべき。
 この映画、意外と金かかってない?キャストも豪華じゃないし、爆破シーンとかTVの戦隊ものレベル。輸送船内のシーンがほとんどなので、壮大なスケール感もなし。すべてにおいて、子ども向けの映画かも。大人が楽しめる内容ではないです。映画ではなく、TVのスペシャル版で十分だったのでは…

 ↑映画ではエキストラ扱いだったフッチー。現在、初主演の舞台に立っているそうです

 向井理はテレ朝の「遺産相族」、綾野剛はTBSの「コウノドリ」に、それぞれ秋の連ドラ主演。どっちもあんまし面白くなさそうだな~…

忠愛の男

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 アイルランド⇔日本 機内映画鑑賞記④
 「Far From the Madding Crowd」
 19世紀のイギリス西部エセックス。聡明で独立心の強い農家の娘バスシーバは、羊飼いのガブリエルに求婚されるが男は要らないと断る。叔父から遺産を相続したバスシーバは、不運な事故で全財産を失ったガブリエルを雇い、女だてらに農園の運営に乗り出すが…
 厭世的な作風で、いっとき私も魅了されたことがある英国の文豪、トマス・ハーディの「遥か群衆を離れて」の映画化。60年代にも、ジョン・シュレンジャー監督&ジュリー・クリスティ主演で映画化されています。新バージョンの今作は、お話よりも…

 ぎゃぼぼ!My イケメンレーダーがビビビ!ガブリエル役のベルギー俳優、マティアス・スーナールツが、ぶちカッチョええ~!めっちゃ男前!惚れた!冷酷な悪役も似合いそうな、端正でクールな顔。愁いある遠い眼差し。プロレスラーみたいな逞しいゴリマッチョなガタイ。そして滲み出てる男の哀愁!農夫姿が、これまた似合うんですよ~。こんなイカした農夫さんがいる農村は、嫁不足にもならず過疎化もしないのではないでしょうかマティアスみたいな農夫と結婚して、農作業と子作に励みたい!

 見た目もですが、ガブリエルのキャラも超男前なんですよ。ヒロインへの無償の愛、献身が一途で胸キュン。ガブリエルをさんざん弄び利用する(そんなつもりはないところが、返ってタチが悪い)ヒロインを、常に守り支える優しさ、力強さ。傷つけられても屈辱を受けても、怒りや悲しみなど感情をあまり表に出さない、静かなる男なところが素敵なんですよ。まさに、男は黙って…なキャラ。でもたまに、ヒロインを見つめる瞳が悲しみに翳ってたりして、キュンキュンきちゃいます。デカい犬みたいな可愛さもあったり。実際、ヒロインには便利な忠犬扱いされてるんだけど。でも、まったく卑屈なところがなく、自己犠牲も誇り高くて男らしかった。それにしても…私がガブリエルだったら、ふざけんなー!!とチャブ台ひっくり返して出ていくけどな~。あんなに誠実で献身的になれるなんて、ドMすぎると思いましたわがままで勝気な女に尽くす男、というのは何だか韓流ドラマっぽかったです。
 何度かヒロインのもとを離れようとするガブリエルですが。そのたびに、あなたがいないと困る!とか、行かないで!とかバスシーバに慌てて引き止められるガブリエル。あれ、ひょっとしてこれ、バスシーバを試してる?かけひき?と思ってしまいましたが。これがフツーのイケメンだったら、姑息な計算してんじゃねーよと不快になってたかもしれません。でも、男気あふれるマティアスからは、そんな卑しさとか小ささは微塵も感じられませんでした。

 マティアスasガブリエルに、最初から最後まで惚れ惚れな映画ですが。ヒロインのバスシーバには、まったく共感を抱けませんでした。はっきり言って、男をナメてるクソ女、バカ女ですよ。無駄に気が強くてプライドが高いところや、男なんか!的めんどくさいフェミニストキャラには、イラっとさせられっぱなし。知的で独立心が強い女気取りだけど、めっちゃ男に依存してるじゃん?!男を利用してるじゃん?!ガブリエルが、何であんな女を愛するのか不思議でした。ガブリエルを利用するだけでなく、隣家のお金持ちボールドウッド氏に思わせぶりなことをして彼を傷つけたり。さらに、最低最悪なジゴロ美男に惚れて結婚するなど、男を見る目がなさすぎ。まあ、知的ぶった女にかぎって、どーしようもないバカ男に引っかかっちゃったりしますがヒモ夫のせいで散々な目に遭うバスシーバですが、自業自得!と嗤えてしまいます。このヒモ夫が、働かんわ金せびるわDVするわな、これまた典型的なクズ野郎でトホホ。とんでもないことやらかすし。なかにし礼じゃないけど、お願いだから死んでくれ!な男です。でもまあ、どこの国にもいつの時代にも、あんなクズ男ってゴキブリのように存在してるんだよな~。

 ↑この羊さんたちが~羊のショーンもおったまげーしょんな行動を
 バスシーバ役は、「わたしを離さないで」や「華麗なるギャツビー」などの人気女優、キャリー・マリガン。彼女、いい女優なんだけど、いかんせん地味…華の必要なヒロイン役には向いてないような…男たちからモッテモテ、彼らを翻弄し破滅さえもたらすヒロインには、とうてい見えん。旧バージョンのジュリー・クリスティぐらいの美女なら、説得力ありますが。それにしても彼女、老けましたね~。たまに童顔の老婆に見えてギョっとしました。隣の富農ボールドウッド氏役は、「クィーン」などでも好演してたマイケル・シーン。彼もずいぶんシブくなりましたね~。いちばん可哀想な役でしたいちばんインパクト強烈で悲惨だったのは、ガブリエルの羊ですが。羊の集団自殺?!あんなこと、起こるんですね…
 マッツ・ミケルセンがカンヌ男優賞を獲った「偽りなき者」など、国際的に高く評価されているデンマークのトマス・ヴィンターベア監督作品。暗く厳しい運命、人間の相克など、「偽りなき者」と相通じる重さ、苦しさが。荒涼とした英国の田舎の風景も、透明感ある美しいカメラワークで撮られています。

 ↑男前!マティアス・スーナールツ。マリオン・コティアール主演の「君と歩く世界」でも、おとこ気あふれる役、演技だとか。早く観なきゃ♪もうすぐ日本公開される「ヴェルサイユの宮廷庭師」では、ケイト・ウィンスレットの相手役。エディ・レッドメイン主演の“The Danish Girl”にも出演してるみたいで、国際的に活躍中です

イケメン農夫に耕された女!

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 アイルランド⇔日本 機内映画鑑賞記⑤
 「Sei Mai Stata Sulla Luna ?」
 都会で華やかな生活を送るファッション雑誌編集者のグイアは、突然田舎にある農家を相続することに。さっさと売り飛ばすために家のある村を訪れたグイアは、諸事情で農作業を余儀なくされてしまう。はじめはウンザリしていたグイアだったが、やもめの農夫レンゾや知的障害のある従兄ピノらと関わるうちに、しだいに人生には金や地位よりも大事なものがあることに気づき始め…
 都会でバリバリ働くキャリアウーマンが、田舎暮らしや素朴な人々との触れ合いで、拝金主義・物質主義の無意味さに気づく…という内容は、ダイアン・キートン主演の「赤ちゃんはトップレディがお好き」と似ています。この映画は赤ちゃんの代わりに、知恵お○れのおじさんがヒロインの心をほだす役割を担っていました。ピノがすごくいい味出してるんですよ。見た目も言動も、ちょっとミスター・ビーンみたいで笑えます。トンチンカンだけど、たまに核心を突いたコメントしたり。微笑ましい癒し系キャラでした。

 グイアの田舎生活が、すごく羨ましかったです。私もあんな美しい明るい農村で、畑耕したり家畜の世話したりしてみたいな~。愉快で優しい人々に囲まれ、シンプル&スローライフを送ってみたい!もちろんグイアみたいに、イケメン農夫との恋という特典つきで農業は決して楽な仕事ではないとは思うけど、あんなイケメンが助けて支えて愛してくれるのなら、苦労も悦びとなることでしょう。
 イタリア人らしい、おおらかで楽天的な登場人物が、みんな個性的でチャーミング。でも、キャラが多くて、それぞれの恋愛とかも描いてたので、ちょっと散漫な群像劇っぽくなってたのが惜しい。ヒロインのグイアとイケメン農夫レンゾの恋愛も、メインのはずなのにエピソードのひとつになってたし。
 レンゾ役のラウル・ボヴァが、相変わらず濃い男前!

 ラウル、久々に見ましたが、ちょっとシブくなって熟年男の魅力も。畑よりも女に種を蒔くほうが似合う♂フェロモンも不変。ムチムチガッチリしたカラダもエロい。元水泳選手だった若い頃の肉体美は、さすがにもう崩れてますが、その崩れには年相応の熟年男の色気があって素敵。熟年熟年っつっても、ラウルってキムタクと同い年ぐらいなんですよね~。都会の伊達男も悪くないけど、田舎の農夫役もなかなか似合ってたラウル。でも、コメディなのに演技はフツーに二枚目、ていうか、かなりデクノボウっぽいんですよ。もうちょっとコミカルな、トボけたりアホなことしたり言ったりする演技、してほしかったかも。そんなに出ずっぱりじゃないのも、ちょっと物足りませんでした。レンゾの息子が、めっちゃ賢くて笑えた。父親に恋愛や人生のアドバイスや説教をするところなど、息子が父親の兄のようでした。末頼もしい、いや、末恐ろしい子どもでした。

 グイア役のリズ・ソラーリは、スタイル抜群のモデル系美人、だけど美人すぎない、ちょっとキャメロン・ディアスっぽい魅力があって好感。彼女のファッションも目に楽しかったです。おしゃれな服でアタフタ農作業してるのが笑えた。ラスト、パリでのハッピーエンドもスウィートな後味を残してくれます。それにしても。ラブコメって、美男+美女、イケメン+可愛い女がマストなジャンルですよね~。この映画も、レンゾが男前でグイアが美女じゃなければ、100%成り立たない内容でしたし。

 ↑ラウルって、ちょっとブラッドリー・クーパーに似て見えることが…濃くなったブラパ、みたいな。私だけ?
 

不治の病、不壊の愛

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 エミー賞を受賞したドラマ「ノーマル・ハート」を、やっと観ることができました~
 80年代初頭のアメリカ。フリーライターのネッドは、同じゲイの友人たちが次々と死に至る謎の病気の蔓延と、同性愛者への差別偏見を訴える活動を始める。そんな中、ネッドは雑誌記者のフェリックスと出会い、恋に落ちるが…
 いや~。評判通りの佳作でした!冷血人間の私が、目頭を熱くしてしまった物語も場面も演技も、衝撃的で感動的でした。
 エイズ…突然 人類に襲いかかってきた、恐ろしい災い。発症し亡くなるのは同性愛者がほとんどだったことから、ゲイの病気と思い込まれていました。かくゆう私も、小さい頃はそんな世間一般の先入観や偏見を、当然のように受け止めてたし。このドラマを観て怖いな~と戦慄したのは、もちろん死の病であるHIVの恐怖にもですが 同性愛者じゃない私らには関係ない、という無知・無関心の残酷さと罪深さにです。このドラマでも、エイズが蔓延して大変なことになってるのに、なかなか動いてくれない政府の冷淡さには、エイズはゲイを根絶するための政府の陰謀!という説を信じてしまいそうに。過激で暴力的なゲイへの差別偏見は、何だか狂気的でもあって。自分たちとは違う!普通なのは正しいのは自分たち!と、価値観や嗜好が異なる人たちを躍起になって排除しようとする人たちのほうが、いつになっても圧倒的に多い世の中なんですよね…でも、それも決して理解できないことじゃない、という事実も私を暗澹とさせます。とにかく、病気にしてもテロにしても、無知無関心でいてはいけないと痛感。

 死に至るまでの精神的肉体的苦悩・苦痛が、リアルにシビアに描かれていています。目を覆いたくなるような悲痛なシーンもあって、神さまは人間に何て非道い試練を与えるんだろう…と、胸が苦しくなってしまいました。男同士が自由に愛し合うことは、罰を与えられるほど罪深いことなのでしょうか。確かに、あまりにも無軌道で放埓、無節操なセックスライフは、神をも畏れぬ人間の傲慢さのひとつなのかも、とは思いましたが。死んでいくのが若くて美しい男たち、というのが無残。
 HIV患者への無慈悲すぎる対応も、悲惨すぎて神も仏もありません。飛行機搭乗拒否とか(でも、あんな状態で飛行機に乗せようとするのも???でしたが…)死後の臨床検査も拒否、ゴミのように袋に入れられて持ち帰りさせる病院とか、にわかには信じがたい非情さ。自分の愛する人が同じ目にあったら、とは思えない人が多いから、世の中いまだに醜い酷い差別がなくならないんですね。
 エイズ啓蒙運動に身を投じるネッドと仲間たちの葛藤や対立は、どっちの言い分も立場も解かるので、ゲイ同士をも争わせてしまう社会の複雑さ、冷酷さに絶望せずにはいられません。何も隠さず恐れず、どんどん前へ出て闘おうとするネッドと、家族や職場のことを考えて慎重なりたい他のメンバーと。カミングアウトって、そんな簡単なことじゃないですよね。それに、ネッドみたいに強い人ばかりじゃない。コソコソしてるからダメなんだ!という彼の姿勢は過激で思慮に欠けてるのか。なるべく反感を買わぬよう、社会におもねるようにして保身も重視する他のメンバーは、臆病で卑屈なのか。誇り高く生きるためには勇気が必要、でも社会を生きるためには妥協も打算も不可欠…自分に恥じないように生きることって、難しい…
 深刻な社会派ドラマでもあるけど、私は美しいラブストーリーの部分に深い感銘を受けました。 

 私が腐りきった腐、というのも感動の大きな要因ですが。とにかくネッドとフェリックスの愛が、普段はゴビ砂漠な私の心に切ない雨を降らせてくれました。過酷な運命と対峙する二人ですが、その苦痛と苦悩さえ強い深い愛の証のようで、羨ましくもなりました。私などこの先、重い病にかかることもなく平和に健康に長寿をまっとうするだろうけど、二人のような愛にめぐりあうこともない。あんな風に誰かに愛され誰かを愛することができるのなら、命を引き換えにしてもいいとさえ思ってしまいました。もう二度と彼のような人とは出会えない、これ以上誰かを愛せない、と分かっているからこそ、二人の愛が悲しく美しかった。愛なんかない夫婦が末永く添い遂げてしまうのに、あれほど愛し合ってた二人が引き裂かれてしまうなんて…

 発症するまでの二人が、本当に幸せそうなんですよ。だからこそ、残酷すぎる運命に涙。二人の恋愛は、男同士というだけで、フツーのラブラブなカップルと何ら変わりはない。セックスシーンも、ただ単に性欲を満たし合ってるのではなく、文字通りのメイクラブ、愛の交歓って感じなんです。フェリックスに一目惚れしたネッドが、思わず真顔で『キュートだね』と言うシーンとか、早朝の埠頭でネッドがフェリックスにプロポーズするシーンとか、かなり胸キュンでした。幸せの密度が濃かっただけ、二人に襲いかかる運命が痛ましくて…病魔に蝕まれたフェリックスを決して見捨てず、献身的に支えるネッドの無償の愛が、崇高すぎて。二人の別れのシーンは悲しすぎるけど、誰かを愛しきったという幸福にも満ちていたようで、私はやはり羨望を覚えてしまいました。

 俳優たちの見事なアンサンブル演技は、まさに圧倒的で感動的!もうね、ちょっと変わった役したぐらいで演技派気取りな日本の俳優女優には、絶対できない果敢すぎるパフォーマンスなのです。ハリウッドのスターって、スゴいわ~。すごいギャラもらってるだけの仕事しますわ。
 ネッド役は、「アベンジャーズ」シリーズでもお馴染み、「フォックスキャッチャー」ではオスカーにノミネートされたのも記憶に新しいマーク・ラファロ。濃くて男くさいけど、すごく優しそう。人柄のよさが全身から滲み出てます。圧巻の大熱演でしたが、フェリックスとの別れのシーンの、あの泣き顔には胸を本当に衝かれました。

 フェリックス役は、TVドラマ「ホワイトカラー」で人気のイケメン、マット・ボマー。私生活でもゲイであることをカミングアウトしているマットが、これまた渾身の大熱演。ルックスだけじゃなく、果敢な役者魂も備えていることを証明しています。やせ衰え、どんどん崩壊していく彼の美しい顔と肉体が、とにかく凄絶で驚嘆。役作り、大変だったことでしょう。マーク・ラファロとのラブシーンは、とにかく大胆で甘美。それにしても二人とも、すごい脱ぎっぷりの良さでした。ネッドの元軍人のゲイ友ブルース役、テイラー・キッチュのイケメンぶりも特筆に値するでしょう。ブロンドの髪とシャープな顔立ち、ゴリマッチョ肉体美が素敵でした。
 車椅子の女医エマ役は、大物女優ジュリア・ロバーツ。

 プリティ・ウーマンも遠い昔、すっかりBBAになったジュリロバさんですが、こういう男なんか屁とも思ってない、ギスギスしたヒステリーおばさん役が、すごく似合う女優になりましたね。「8月の家族たち」もそうでしたが、彼女の激怒演技って大迫力で超怖い。さぞや共演者やスタッフを戦々恐々とさせてるんだろうな
 
 ↑ハリウッドのイケメンの底力を見せつけられました!マークの新作“Spotlight”も社会派の問題作みたいです。マットはもうすぐ「マジック・マイク」続編が日本公開。クリス・プラットやイ・ビョンホン共演の“The Magnificent Seven”も楽しみ。テイラーは「トゥルー・ディテクティブ」のシーズン2で、コリン・ファレルと共演中!いい男たち、いい仕事してます

アイルランドの夏② 雨の逍遥 -ダブリン

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 ダブリン空港に到着したのは、お昼の12時すぎ。入国審査に、時間がかかった!職員がのんびりマイペースすぎて、順番がなかなか回ってこないんですよ。結局1時間以上も並んで、ようやくアイルランド入国。
 ダブリン空港はとてもこじんまりしていて、日本のローカル空港っぽい。市内に出るバスに乗るため、外に出ます。びゅう~っすごい風!しかも雨!で、めっちゃ寒い。ほんとに8月?!日本の11月に近い気候です。まあ、暑さで汗ダラダラよりはマシ。寒さに震えながら、バス停留場でバスを待つ。市内へ出るバスはいろいろあるみたいでしたが、私はエアリンクのNO.742を利用しました。乗る時に運転手さんに運賃(€6)を払うと、レシートをくれます。おつりはくれない(!)らしいので、要注意。前もって小銭は用意しておきませう。
 バスは雨の中、ダブリン中心地へと向かいます。窓外の寒々しい景色に、私の心も欝々と沈んでいきます。ううう…着いたばかりだというのに、心が踊らない40分ほどで、バスはダブリン中心地に。宿が近いオコンネル・ストリートで降りたかったのですが、日本のように丁寧なアナウンスなどありません。いつどこで降りたらいいんだろうと焦ってるうちに、バスが停まって乗客がぞろぞろ降ります。にぎやかな街中だし、まだ明るいし、ここで降りても何とかなるだろう。ええい、ままよ!と私も降車。
 冷たい雨が降りしきる中、傘をさして(もってきてよかった!)キョロキョロしながら歩きます。石畳の舗道がヨーロッパって感じですが、旅行用カバンを引いて歩きにくい!濡れて滑りやすい!ので、ダブリンを歩いてるという感慨にふける余裕はゼロ。

 キョロキョロ歩いてると、あ!遠くに見える、高~い塔。間違いなく、あれは光の尖塔!塔に向かって直進すると、ダブリンのメインストリートであるオコンネル・ストリートに出ることができました。たくさんの人が、車がバスが、せわしなく絶え間なく行き来しています。
 ダブリンもプラハ同様、主な見どころは歩いて見て回れます。プラハよりも標識が多くて見やすかったので、方向オンチな私もココハドコ?ワタシハマツシマナナコ?になりませんでした。なので、迷子になりやすい方もDon't worry!
 ダブリン初日の宿は、タウンハウスというゲストハウスです。かつて小泉八雲が住んでいた家を、ホテルに改築したんだとか。オコンネル・ストリートから歩いて5分ぐらいの立地の良さです。

 ホテル到着。受付のお兄さん(イケメン!ちょっとケネディ大統領似)は、感じは悪くはないけどとてもビジネスライクで、淡々とチェックイン手続き。部屋はまあまあ広くて、清潔だったので安心。もうベッドに潜り込んでしまいたい衝動を抑え、疲れた老体にムチ打ってダブリンの街へと繰り出します。
 冷たい雨風は、おさまったり激しくなったりの繰り返し。アイルランド滞在中は、ずっとそんな感じでした。オコンネル・ストリートのバスや車の運転はかなり乱暴で、ものすごい水しぶきを浴びてしまった私は、みじめな濡れネズミ…あと、いちおう横断歩道はあるのですが、あってなきのごとし。みんな信号無視しまくり!危ないよ~
 騒々しいオコンネル・ストリートを抜け、オコンネル橋を渡ってずんずん進むと、ダブリンのシンボル的な存在であるトリニティ・カレッジの前に来ました。日本でいうと東大、アイルランドでは最古で最高の大学。後日ここの学生寮に宿泊する予定だったので、見て回るのは後回し。どんどん進むと、赤い石畳が印象的なグラフトン・ストリートに。

 日本でいうと、原宿通り?ダブリンのオシャレストリートなんだとか。あいにくの雨のせいか、ストリートミュージシャンや大道芸人も少なく、ちょっと寂しい雰囲気。
 雨の中、とことこ歩き続けます。聖パトリック大聖堂の前まで来ました。暗い曇り空へとそびえる古めかしい教会…映画「オーメン」を思い出してしまい、ゾゾっ。落ちてきた十字架で串刺しにならぬよう、逃げるようにその場を去ります。しばらく歩くと、今度はクライスト・チャーチ大聖堂に到着。

 ダブリン最古の教会なんだとか。入場料€6を払い、中へ入ります。荘厳で清涼な静寂が、ヨーロッパの教会って感じ。地下の展示物の中には、ネコとネズミのミイラとかありました。お!と驚喜だったのは、TVドラマ「THE TUDORS 背徳の王冠」で使われた衣装の展示。この教会でも、ドラマの撮影があったんだとか。ウルジー枢機卿の赤い法衣とか、懐かしくドラマを思い出しました。
 帰ろうとすると、神父さんの説法?みたいな集まりと出くわす。女性神父さま(美人!)が、参加してみませんか?と優しく声をかけてくれました。素直に従い、席につきます。机の上には台本?みたいなものがあり、それを神父さまが読んで参加者が復唱する、というもの。私の隣席のサラリーマン風の若い男性は敬虔な信者さんだったのか、台本などいっさい見ずに目を閉じ真剣な様子で復唱していました。キリスト教徒ではない私ですが、心に清らかに沁みるひとときでした。会が終了すると、隣席の男性が私に笑顔を向け、握手を求めてきました。美人神父さまも、参加してくれてありがとう、と私の手を優しく握ってくれました。清々しい気持ちで、私は教会をあとにしました。
 てくてく歩いてると、ダブリンで最もにぎやかなエリア、テンプルバーにたどり着く。
 
 まだ宵の口だというのに、もうゴキゲンな酔っ払いさんでお祭り騒ぎ。ああ頭痛が…そう、私は人込みが苦手なのですダブリンといえばパブ、なのですが、客が押し合いへし合い、大声出さないと会話もできないパブとか、私なんかには無理…とアイルランドに来る前から確信していた私。疲れてもいたので、とにかく夕食をすませようと、ギャラハーズ・ボクスティハウスという店へ。

 日本では、おひとりさまで食事やお酒なんて、絶対できない私(最近やっと、独りでドトールかタリーズに入れるようになったけど)。おそるおそる入店すると、店員さんに淡々と席に案内される。€19.9のコースメニューを注文。チキンのボクスティとシーフードクラムチャウダーのセットです。
 ボクスティとは、ジャガイモをパンケーキにしたアイリッシュ料理。ジャガイモパンケーキにチキンとかサーモンとかが挟まれています。

 クラムチャウダーは、量も多くて美味しかったです。メインのボクスティは…味のないパンケーキジャガイモ好きなので、不味くはなかったけど。チキンがちょっとパサパサしてたのが残念。でもお腹いっぱい!
 緯度が高いせいか、夜の8時過ぎになってもまだ外は明るい。パブはどこも酔客でいっぱい。路上に転がってるのは酔っ払いではなく、乞食さんたち。プラハも多かったけど、ダブリンもハンパなくいました。もちろん、ビタ一文あげませんでした♪あげたくなるような哀れな感じがないんですよね~…ぐうたらな怠け者にしか見えなくて…
 あまりにも寒いので、アイルランドのシンボルカラーである緑色のパーカを買って着ました。このパーカ、アイルラド滞在中ずっと着てました。ホテルに戻ると、シャワーを浴びてすぐベッドに。長い一日を反芻することもなく眠りに落ちたのでした…
 to be continued…

クマさんにまた出会った

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 「テッド2」
 結婚したテッドは、妻との間に子どもを作ろうとするが、精子提供も養子縁組も“人間じゃない”という理由で拒まれてしまう。親友のジョンとともに、テッドは“人権”を求めて訴訟を起こすが…
 見た目は可愛いテディベア、中身は下品なおっさん、というキャラが受けて大ヒットした「テッド」待望の続編、ようやく観ることができました~いや~今回も笑えました!日ごろ、笑いには麻痺してる私ですが、テッド系は大好き。オゲレツな下ネタと、それヤバいマズいんじゃないの?!なネタを笑いにしてるところが最高!上品な乙女淑女や、真面目な青少年にとっては唾棄すべき最低映画かもしれませんが、私のようなゲスな人間にとっては、オスカー受賞作品を凌駕する名作なのです。
 今回もコーヒー吹いてまう、後からもジワっときて思い出し笑いしてまうシーンや台詞のテンコモリでした。特に傑作だったのは、テッドと妻の夫婦喧嘩とか(妻もテッドに負けず劣らず下品で笑える)。精子バンクでジョンがザーメンまみれになるところとか。アメフトのスター選手トム・ブレイディ(ご本人がカメオ出演)の精子を、彼が寝てる間にこっそり手コキで搾りとろうとするシーンとか。法廷でも、チ○ポねぇし!だの、てめえの屁で爆発して死ね!だの、ポンポン飛び出す下品な台詞とか。相変わらず鬼のような下ネタが炸裂してます。セス・マクファーレン監督の前作「荒野はつらいよ」とかも、下ネタが冴えまくってましたもんね。あの鬼な下ネタ、邦画じゃ絶対ムリだろうな~。下ネタ同様、禁断なネタが際どすぎてドン引き寸前。舞台からお題を客に要望する芸人に向かって、9.11!とかロビン・ウィリアムズ!とか、悪魔すぎるお題をふるテッドとジョン。こーいうの、笑えない人も多いだろうな~タブー知らずなハリウッドって、そのゲスの度合いも懐が深いな~と感嘆。

 ↑優良精子を求めて、スタースポーツ選手の寝込みを襲うテッド&ジョン、まばゆく輝く黄金の玉に見とれるシーンが笑えた
 テッドとジョンの友情も、ますます強く深くなってて、どーしようもない奴らだな~と呆れつつ、親子や兄弟姉妹、夫婦だって不可能なほどの一心同体ぶりが羨ましくもなって。男同士の友情って、いいな~。私もテッドみたいな親友ほしいな~。それにしてもテッド&ジョン、中身は相変わらず中学生レベル。特にジョン、今回はテッド以上に子どもっぽかった。テッドはバカやっても、おっさんのフテブテしさがあるのだけど、ジョンは何だかピュアすぎるというか。普段のヘタレさ、お人よしさもそうですが、法廷で敵対する弁護士への悪態とか、ハッパでラリって怖いよ~歩けないよ~と泣きながら帰るところとか、とても40すぎの大人とは思えない幼稚さ。ジョンって、ちょっとオツムが???なのかなと、前回以上に心配になってしまいました。いくら愛し合ってても、お互いに依存しすぎるのは良くない、人間としての成長を妨げる危険な関係なのかもしれない、とテッド&ジョンを見ていて思いました。テッド&ジョンのイタズラは、幼稚を通り越して悪質で、ちょっと笑えなかった。屋上からジョギングしてる人にリンゴを投げたりとか、犯罪ですし…

 ほんとにテディベアが喋って動いてるような、自然で滑らかなテッドに今回も驚嘆。すごい技術だな~。それに比べて、CMで観かける進撃の巨人とか、CGまみれって感じの稚拙さがイタすぎるわ。映画ファンの心をくすぐる演出も楽しい。テッドが歌って踊るミュージカル風のオープニングとか、すごく好き。スターウォーズやミュータントタートルなども出てきたり、オタクの聖地コミコンでの戦いなど、サブカルネタがセス・マクファーレン監督ならではでした。

 テッドの声も担当してるセス・マクファーレン監督、ほんと多才な男なんですね~。ゲスい台詞を吐きまくるセスのシブい声も素敵。日本語吹き替え版では有吉…違うんだよな~。テッドはもっとこう、大人のエロい男の色気ある声じゃないと。ジョン役は、マーくんことマーク・ウォールバーグ。私にとってマーくんとは、田中マーではなくマーク・ウォールバーグのことなのです。マーくん、相変わらずアホみたいな猿顔で、ジョン役にドンピシャです。極悪マーキーマークも遠い昔、すっかり丸くなって映画でも私生活でも善い人になったマーくん。理想的なワルの卒業後です。男くさいアクションやドラマが多いマーくん、コメディ出演が少ないのが意外。丸太みたいな太い腕が、とてもヘタレ男には見えない。顔がシワクチャになってて老けたな~。なので、ジョンの子どもっぽさが異様にも思えました。やたらと女性にモテるジョン、ヘタレだけど一応イケメン、という設定なんですね(笑)。美意識が高すぎる日本の女子の目には、ゴツいエテ公にしか見えないかもしれないマーくん(とか、マット・デーモンとか)ですが、アメリカではモテモテの男前なんですよね。日本で人気のオカマみたいなイケメンより、私もマーくんのほうが好きですマーくんの顔に似合わぬ優しい声も好き。図書館で楽しそうに踊るシーンは、若かりし頃アイドルグループのメンバーだったセルフオマージュ、セルフパロディだったのでしょうか。

 前作のミラ・ニクスに代わって、今回のヒロインは「荒野はつらいよ」にも出てたアマンダ・セイフライド。目がデカくて顔が怖い。エマ・ストーンと区別がつかない私常識人だったミラ・ニクスと違って、テッド&ジョンと一緒になってふざけたことするアマンダ、弁護士のくせに非常識すぎ。大御所モーガン・フリーマンも出演。モーガン爺さんも、相変わらず働き者ですね~。「荒野はつらいよ」で悪役だったリーアム・ニーソンが、ちらっとゲスト出演。危ないおっさん役で(あれ、いいのかな~。ヤバいでしょでも、あんな人いますよね~)キモ笑えます。パート1でキモいストーカーを怪演、「荒野はつらいよ」でも変態してたジョヴァンニ・リビシも再登場。ちょっとキモさがトーンダウンしてたのが残念。パート1で彼の共犯者だったデブ息子は、どーなったんだろ?確か彼、後にあの人気スターになったんですよね?

 ↑数年前のオスカー授賞式で、司会を務めたマクファーレン監督。その可愛いイケメンぶりと芸達者ぶりで、すっかり彼の大ファンになってしまった私。マーくんとは、いつか役者としても共演してほしいな~

残酷な天使のブロークンハート

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 イギリスのTVドラマ「テス」を観ました~。全4話。
 19世紀末のイギリス、ドーセットの田舎。家族を貧困から救うため、美しい長女テスは金持ちのダーバヴィル家で働き始めるが、主のアレックに犯され身ごもってしまう。生まれた赤ん坊も死に、悲しみに暮れるテスは、新しい奉公先でエンジェルという青年と出会い恋に落ちるが…
 英国の文豪トマス・ハーディの代表作「ダーバヴィル家のテス」の映像化は、ロマン・ポランスキー監督、ナスターシャ・キンスキー主演の映画が有名。名作の誉れ高い映画版に比べると、このテレビ版は…うう~ん…テスが、単なるバカ女にしか見えなかったナスターシャのテスは、まさに不幸が女を美しくする、愚かなほどに優しい白痴美女といった風情が痛ましくも哀切で、はらはらと散る花のような儚さが胸に沁みるヒロインでしたが、今回のテスは…見た目もキャラも、めっちゃ逞しくて図太くて、とても運命に流されるヒロインに見えないんですよ。とにかく気が強い、自我が強くて、不幸や理不尽に受け身な生き方と矛盾してるんです。ナスターシャのテスは、深く物事を考えられない少女の無垢な無知が愛しくもあったけど、新テスときたら…無駄に勝気でプライドが高い、自分を買いかぶりすぎるのって、ほんと女にとっては損な気性だな~と思わせる女でした。本人は誇り高いつもりなんだろうけど、はたから見ると単にツンツンして意地悪そうなので、不遇、不幸に見舞われても同情できないんです。暗い運命というより、判断ミス、計算違いしたバカ女にしか見えなかった。自分は周囲とは違うと思い込んでそうなところも、何かイヤな感じだったし。あと、いい男たちを独占してしまうテスみたいな女、近くにいたら女たちから嫌われるだろうな~。その気なんかないと見せかけて女たちを油断させて、シレっとお坊ちゃまのアレックも好青年のエンジェルもモノにしちゃってるから、怖い女!

 男たちのせいで心身ともに傷つき、辛酸をなめた挙句に悲劇的な末路を迎えるテスですが…男たちもクズでしたが、そんな男どもに引っかかるテスがバカすぎて、自業自得としか思えなかったです。まず、不幸の発端となる金持ちのドラ息子アレックとの関わりですが…一見、テスはレイプの被害者だけど、あれって強姦になるのかなあ?まあテスの同意を得ずにヤっちゃったのはマズかったけど、あれはOKともとれるシチュエーションですよ。無理やり暴力で犯されたのなら悲惨だし許せないけど、テスは日ごろからアレックが勘違いしても仕方がないような思わせぶりな態度とってたし。隙と油断がありすぎたテスにも落ち度があってのでは。それに、あんなに貢いでもらって助けてもらって、男に下心があったことぐらい気づくだろフツー。いや、ナスターシャのテスみたいな純真無垢な白痴美女ならいざしらず、新テスはそんな純で鈍な小娘に見えないので、レイプされた!とギャーギャー激怒するのに違和感ありまくり。アレックが卑劣な鬼畜野郎ならともかく、下心はあっても優しいし金持ちだし、開き直って家族のためにも彼を利用すればいいじゃん?私ならそうする!と思ったり。そうはできないところが、テスの悲しさなんだろうけど…そんな泣き寝入りするような女に見えないところが、このドラマの敗因です。ラストにテスが犯す大罪も、おいおい~!?バカじゃないの?!な、プッツン女の愚行だし。これも悲しい運命なの、こうせずにはいられなかったの…な美しい悲しみが、新テスには微塵もないのがトホホ。悲劇ではなく、三面記事的な痴情のもつれになってしまってた。テスとか源氏物語の浮舟とかは、ただもう儚げな手弱女じゃないと似合わないヒロインです。

 レイプで身ごもる、なんてどこまで不幸なんでしょう。しかも、生まれた赤ちゃんはすぐに天に召されるとか、神も仏もありません。これだってテスの自分勝手さが招いた結果ですよ。テスが貧乏な実家に戻らず、我慢してアレックのもとにいれば、赤ちゃんは死ななかったかも。ド貧乏なのに、私生児がいることがバレたらみっともない!と、赤ちゃんを医者にも見せないテスの親父も最悪。私生児はみっともないのに、金持ちの親戚に娘を物乞いに行かせるのは恥ずかしくないのかよ?と呆れました。赤ちゃんを弔ってくれない教会も怖い。この時代の、人々をがんじがらめにしてる因習とか信仰心に、ゾっせずにはいられませんでした。
 テス役のジェマ・アタートンが…美人だし熱演でしたが、いかんせん悲しみのヒロインって感じじゃないんですよね~。その勝気そうで逞しすぎる見た目は、誰が泣き寝入りなんかするか!女の権利のために戦う!な役のほうが、断然似合いそうです。賢そうで気が強そうな女優は、テスにはミスキャスト。貧乏と放浪でズタボロなはずなのに、エースをねらえのお蝶夫人みたいに、いつもフワフワでセット仕立てみたいな長い髪にも強い違和感。

 テスと恋に落ちる青年エンジェル役は、今年「博士と彼女のセオリー」でオスカーを受賞したエディ・レッドメイン。ブレイク前の初々しい彼は必見。つっても、今とそんなに違わないエディくんです。その名の通り、天使みたいに優しそうで可愛らしいエディくん、ジェマ・アタートンがデカくてゴツいので、ほっそりひょろ~っとした彼がか弱い少年にしか見えなくて。ほんと、たまに顔だけだと子どもに見えた(そして、たまに斉藤工に見えた。めちゃくちゃ薄くして上品にした斉藤工、みたいな)エディくんなので、純真で繊細なエンジェルは適役だったと思う。何を着ても上品でおしゃれなところもエディくんらしかった。全裸シーンもあり。可愛いエディくんですが、エンジェルは最低最悪な男。あんな心がガラス細工すぎる男、イヤだ~。エンジェルが強い寛い心の持ち主だったら、テスもあんな悲劇的な最期を迎えなくてすんだでしょうし。私を不幸にした!とテスが諸悪の根源みたいに責めてたアレックが、最も可哀想なキャラだったかも。むしろテスのほうが、彼を不幸にしたと思うけどなあ。とにかく、不幸になるために出会った、お互いに負しかもたらさない悪縁の3人でした。
 冒頭の少女たちがダンスしてる緑の崖とか、荒涼とした丘とか、ラストの草原とか、自然が絵画のように美しく撮られてました。どこでロケしたんだろう?

 ↑新作“The Danish Girl”の彼は、2年連続オスカー候補の可能性も濃厚な好演だとか。まさにアゲアゲな絶好調男ですね

トムハの拳!

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 「ウォーリアー」
 元アル中の孤独な老人コンロンのもとに、絶縁状態だった元軍人の次男トミーが戻ってくる。格闘技のリングに立つために、葛藤を抱えたまま父と子はトレーニングを始める。一方、やはりコンロンと疎遠になっていた高校教師の長男ブライアンは、娘の医療費で生活苦に陥り、仕方なく格闘技で金を稼いでいたが…
 映画界最旬の男、トム・ハーディ主演作。秀作との評判にもかかわらず、長らく日本では未公開だったのですが、ようやくDVDスルー。
 最近人気の英国俳優たちの中にあって、一線も二線も画す独特なポジションにいるトムハ。そのアウトローぶり、そしてゴリマッチョぶり、ここに極まり!な映画でした。

 いや~いいですね~。このゴリゴリしさ、たまりまへんわ日本のイケメン俳優とか、みんなオカマに見えてしまう。精悍を通し越して、獰猛なトムハ。ちょっとでも気分や機嫌を損ねたら、問答無用にボコボコにされてしまうのでkeep out!なヤバさ素敵です。元々ゴリマッチョな彼が、格闘技に身を投じる元軍人役ということでさらにビルドアップ、北斗の拳実写版にそのまま出てほしいほどの肉体が、とにかく圧巻です。

 格闘シーンも、大迫力でリアル!本物の格闘技が行われているかのような臨場感は、格闘技ファンも楽しめるのではないでしょうか。トムハも、俳優が演技でやってるとは思えぬほどのファイターぶりで、あれは生半可な役者では絶対できないよな~と、拳や足の動き、表情に見入ってしまいます。戦闘モードに入ってる彼は、とにかく殺気と怪気炎が蒸気のようにシューシュー出てて怖いです。まさに殺す気?!な戦いぶり。対戦相手をボッコボコ半殺しにして、勝利しても大歓声を無視して速攻でリングを立ち去るところが、すごくカッコよかった。

 とっても怖くてヤバい、けど何か可愛い、というのがトムハの個性で魅力。この映画の彼も、かなり母性本能をくすぐるんですよ。彼が演じてるトミーが、かなり子供っぽいからでしょうか。めっちゃくちゃスネ男くんなんですよ。小さい頃、アル中の暴力親父から母ちゃんと一緒に逃げ、極貧生活の中で母ちゃん死亡、軍隊でもいろいろあって、すっかり心を閉ざしたヒネクレ男となって、憎っくき親父のもとへ戻ってくるのですが。トミーの親父に対する態度や感情が、すごく切なくて可愛いんです。おまえなんか!と表面的には父ちゃんを拒絶してるのですが、ナニゲに構ってちゃんなところがあったり。残酷に突き放してみても、結局は父ちゃんを見捨てられなかったり。冷たい態度も辛辣な言葉も、愛情の裏返しなのがバレバレで、素直になりなよ!と言いたくなるガキっぽさが、悲しくも微笑ましいトミー。自分と母親を捨てて父の元に残った兄ブライアンへの恨みも、痛ましい反面、子供っぽくて可愛い。父と息子、兄と弟の確執って、あまりベタベタお涙ちょうだい、ドロドロ陰湿にならないですよね。母と娘、姉妹だと無残で醜悪になりがちですが…

 獰猛で凶暴なトムハ、その肉体にも演技にも畏怖せずにはいられませんが、顔じたいは可愛いんですよね~。独特すぎる役が多いけど、鬱陶しくなるようなキツい灰汁、濃ゆさがなく、あっさり薄口イケメンなので、いつも見やすいというか。笑顔とか、ほんと子供みたいな無垢さ、純真さでキュンときてしまいます。男くさい映画のトムハも好きですが、たまにはラブコメディとかにも出てほしいな。「ブラック&ホワイト」のトムハ、可愛かったもんね。
 元アル中の親父役のニック・ノルティ、そのうらぶれた悲哀も強烈。いったい息子たちにどんな仕打ちしたんだよ?な恨まれっぷりでしたが…息子たちに拒絶されても罵倒されても、しょんぼり我慢してる姿が痛々しくて可哀想。過去に何があったか知らないけど、悔悟してる老人をそんなイヂめないで~と庇いたくなる哀れさ。愛されているからこそ憎まれているダメ親父を好演したノルティ氏は、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。

 妻子との生活のためにリングに立つ兄ブライアン役は、「エクソダス」のエジプト王役も記憶に新しいオーストラリア俳優のジョエル・エガートン。彼の鍛え上げた肉体、格闘シーンも驚嘆ものです。日本の男優には、ぜったい不可能だよな~。ひねくれスネ男なトミーと違い、まっとうなマイホームパパのブライアン。母と弟より恋人を選んだことや、父が自分よりも天才児の弟ばかり可愛がっていた、という彼の悩みや嫉妬が、もうちょっと掘り下げられてたらな~。ジョエル・エガートンはイケメンではないけど、ちょっと露口茂をワイルドにした感じの顔は、味わいがあって悪くないです。ワケアリ兄弟がリングで激突!なんて、まるでヤラセのような出来すぎた話ですが、もし日本のK1とかで同じようなことが起これば、さしずめブライアンは“闘う高校教師”、トミーは“ロンリーソルジャー”なんて呼ばれちゃうんでしょうね私、昔は日本の格闘技が大好きだったんですよね~。魔裟斗や所英男のファンでした。最近TVでやらないので、寂しいです。
 愛憎をぶつけ合うかのような兄弟の壮絶な死闘、そして勝敗は…なかなか感動的なラストでしたが…あの後が気になるわ~。父と息子たち、兄と弟は、わだかまりを解消、愛を取り戻せたのかな~…

 ↑トムハといえば、犬キチで有名。美女よりも犬が大好きなトムハが可愛い

穴兄弟!Sweet Savages

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 「野蛮なやつら/SAVAGES」
 親友同士のチョンとベンは、カリフォルニアで麻薬栽培事業に成功、二人で共有している恋人オフィーリアと共に、平和に暮らしていた。しかし、彼らのビジネスに目をつけたメキシコの麻薬組織が、オフィーリアを誘拐。彼女を奪還するため、チョンとベンは組織に戦いを仕掛けるが…
 「プラトーン」や「ウォール街」など、一貫して戦う男たちを描いてきたオリバー・ストーン監督。彼の作品を観るのは、何か久しぶりな感じ。「アレキサンダー」以来?アレキサンダー同様、この映画も私にとっては肉汁したたるステーキみたいな美味しい作品でした。イケメン俳優が、ジューシーでジョイフルな演技をブチかましてるからです日本の若い男優も、見習ってほしい!子どもみたいなオカマみたいな男子の、ヌルい薄い映画やドラマにはウンザリ!役者魂炸裂、男汁ダダ漏れな俳優が好き!
 武闘派で好戦的な元傭兵チョン役は、「ノーマル・ハート」で私のイケメンレーダーを激しくビビビ!させたテイラー・キッチュ。彼の灼熱で濃厚な野郎っぷりに私、ジュンときましたわ~冒頭から、ケツ丸だしな激しいファックシーン!セックスじゃないんです、ファックなんです。これぞアメリカ人のまぐわい!デカくて肉厚なケツが男らしくて素敵。バキバキしすぎた不自然な肉体美じゃなくて、ガッチリムッチリしたゴリマッチョな裸も私好みなんですよね~。

 ゴツい肉体も好きですが、顔も美形ですよね~。冷酷でシャープな美しさは、悪役も似合いそう。鋭い目つきは、まさに猛禽。戦争のトラウマで、攻撃的で暴力的になってしまう狂気的な荒っぽさが、これまた♂フェロモンを濃密に放出しているんですよ。男くさいけど、見た目がクールなので濃ゆくないところも、私の口に合ってます。ブロンドの短髪といい、劇中の服装といい、今は亡きポール・ウォーカーを彷彿とさせたテイラー。優しそうでスマートだったポールを、冷徹にワイルドにした感じ?ワイスピ、ポールの後釜はテイラーがいいじゃん?とさえ思ってしまいました。見た目もカッコいいし、演技にもチャレンジや気概を感じるし、作品によっては今後大ブレイクもあり得るテイラーです。

 頭脳派で穏健思考の仏教徒ベン役は、「キック・アス」や「GODZILLA」など、最近売れっ子のイギリス俳優アーロン・テイラー・ジョンソン(この映画の時はアーロン・ジョンソン)。彼もなかなかのイケメン。優しそう。彼もケツ丸だしでヒロインとエッチシーンあり。ケツはキュっとした可愛い小尻でした。荒々しいテイラーのはファックでしたが、ソフトなアーロンはメイクラブって感じでした。二人の正反対なキャラを、エッチで表現するというナイスな演出。帽子やスカーフなど、ナニゲにオシャレなファッションは、さすが英国男子のアーロンです。

 テイラー&アーロンの仲良しシーンは、なかなか腐的に萌え~なんですが、すごく惜しい!な二人でもあった。イケメン二人が一人の女を共有、というせっかくの魅惑的な不思議関係なのに、腐の妄想をたくましくさせる雰囲気やシーンが、全然ないのです。もうちょっと、女を共有してるのは複雑で深淵な男同士の精神的な愛ゆえ、という匂いがほしかった。描きようによっては、ブリリアントなBL映画にもなり得たんだけどな~。まあ、YAOIテイストをオリバー・ストーン監督に求めるのも、無茶なことかもしれませんね。それにしてもストーン監督の映画って、女がほとんど出てこない、出ても重要じゃない、男だけ男だらけなものばかりなのに、腐の萌え琴線に触れないですよね~。

 ヒロインのオフィーリアが、とにかく羨ましすぎる!いい男二人に愛されて守られて、まさにウハウハなイケメン♂パラダイス!今日は激しく、明日は優しく、日替わりメニューのようなエッチなんて、ドリーミーすぎるわ。でも、チョン&ベンが全てをなげうって、命がけで守るヒロインの魅力が…見た目はフツーにアッパラパーなアメリカンギャルだし、男がハマりそうなエロい淫蕩さもないし、キャラもこれといって特別な美点とかがあるわけでもないし。いい男ふたりとヤってる姿も、単なるアバズレにしか見えなかった。ここはやはり、女を描くのが苦手なオリバー・ストーン監督の力不足でしょうか。いっそのこと、オフィーリアは清純無垢な美少女にして、ゲイのイケメン二人が彼女を娘のように大切にしている、という設定にしてほしかった!

 脇役が、なかなか強烈で濃ゆいメンツ。麻薬組織の女帝役のサルマ・ハエック、はじめ浜崎あゆみ?!かと思った。エロい熟女になった浜崎あゆみ、みたいな。サルマの残虐でズルい手下役は、ベニチオ・デル・トロ。怖いキモい!けど、コミカルなところもあって、いちばん美味しい役でした。悪徳刑事役で、ジョン・トラボルタも登場。チョン&ベンVS麻薬組織との攻防、最終決戦の血みどろ描写は、まさに戦争!いかにもオリバー・ストーン監督。闘いの決着に、ひとひねりあったのが良かったです。
 
 ↑すっかりMY推しMANになったテイラー・キッチュ。コリン・ファレル共演の「トゥルー・ディテクティブ」シーズン2が、早く観たい!!

アイルランドの夏③ 緑の国の車窓から ーゴールウェイ

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 朝、ホテルをチェックアウト。数日間滞在するアイルランド西部の町、ゴールウェイへと向かいます。その前に、ダブリン郊外にある港町マラハイドで半日を過ごすことに。荷物はホテルが快く預かってくれたので、身軽に半日旅行ができました。
 ホテルから徒歩10分のコノリー駅で往復切符を買い、改札を抜けてホームへ。日本と同じですね。マラハイドへは、ダートという電車を利用します。

 緑色の車両は、東京の山手線に似てます。朝8時頃に乗車したのですが、ガラ~ンとほぼ無人。他の乗客は、ヤクの売人風の若い黒人男性(ウサイン・ボルト似)しかいなかったので、ちょっと怖かったです(笑)。この日は快晴で、窓外の緑の景色が目に爽やかで優しかったです。
 30分ほどでマラハイドに到着。小さくて可愛らしい駅です。

 トコトコ10分ほど歩いて、マラハイド城がある公園内に。朝の散歩やジョギングをする人たちとすれ違いながら、城へと続く道を歩きます。朝の静けさと涼しさが心地よく、素敵な散歩道。歩道脇には、プリムラやホクシアが花盛り。特にホクシアが雑草のように咲き乱れていたのが驚異でした。

 マラハイド城に到着。お城というより、お屋敷?ダウントンアビーとかに出て来そうな雰囲気。中には入らず、外側の見学ですませました。マハライド城の案内センター内には、アイルランドで人気の雑貨店アヴォカがあります。人気店だけあって、商品はどれも可愛くてオシャレ!アレもコレも欲しいな~と、時間を忘れて物色してしまいます。とってもシックなスカーフ発見!my motherへのお土産に最適!少々お値段は張りましたが、たまには親孝行…と、お買い上げ。色合いがほんと素敵で、日本ではあまり見ないレアな感じ。あげるのが惜しくなった。自分用にしよっかな♪アヴォカにはカフェもあり、カフェオレとケーキでちょっと休憩。
 駅へ戻る途中、ビーチに出て海風に当たる。駅近くの教会で、結婚式?素敵!と思ってシャッター切ったら、あれ?よく見たら、お葬式だった(汗)。再びダートに乗って、ダブリンへと戻ります。帰りの車内で、若いパパに連れられた兄妹らしき小さな男の子と女の子が。人なつっこく、目が合うと笑ったり手を振ってくれたり。ヘン顔したり携帯ストラップのピカチュウを見せたりすると、大受けでした。写真も撮らせてくれました(のに、デジカメ紛失!)。
 ダブリンに戻り、ホテルで荷物を受け取ると、今度は市電のルアスに乗ってヒューストン駅へ。ルアスは停留場のある自販機で切符を買います。改札などないので、チケットがなくても乗車可能ですが、車内にいる検札員に不正がバレたら罰金を取られるらしいです。
 ヒューストン駅は、西の地方都市への鉄道が発着している駅。ゴールウェイへは、鉄道よりも長距離バスのほうが安いのですが、外国に来たらやっぱ世界の車窓からしなくちゃね♪帰りはバスなので、片道切符を窓口で買います。私が何も言わないのに、ありがたいことに学生運賃で切符を売ってくれました日本人は若く見えるというのもあるのでしょうけど、半分は安くしといてやるみたいな厚意もある感じ。アイルランドでは、ほとんどの観光地で学生料金でした。これ、間違ってますでしょうか。違う!わしは大人じゃ!なんて野暮な訂正、私にはできませんでした♪
 13時20分にヒューストン駅発。窓の外は、ひたすら牧歌的な風景。牛さん、馬さんが、どこまでも広がる緑の絨毯の上で、のどかに草を食んでたりうたた寝してたり。羊さんもいます。羊が1匹、羊が2匹…とウトウト…まるでヒーリングビデオ。
 15時40分にゴールウェイ到着。海に近いだけあって、ダブリンよりもさらに寒い。風が強い!とりあえず宿を目指します。途中、後日行くアラン諸島へのフェリーの切符を受け取りに、フェリー事務所へ寄ります。事務所はゴールウェイの観光案内所のすぐ前にありました。日本でネット予約・支払いをすませていたので、受付のお姉さんに予約番号を告げるだけでサクサクと切符は入手できまました。
 ゴールウェイ滞在中の宿は、案内センターを過ぎて緩やかな坂をのぼった、たくさんのB&Bが軒を連ねている通りにあります。アスガードというB&Bは、フツーの民家といった感じで、庭先で遊んでいたご老人とその1歳ぐらいのお孫さんが出迎えてくれました。宿を取り仕切っている女将さんも気さくな感じで安心。アイルランドの家にホームステイするみたいな感覚。私の部屋は、台所のすぐそば。案内されて足を踏み入れると…第一印象は、“こぎれいな独房”狭い!けど、まあ寝るだけだし、別に不便は感じませんでした。

 さっそくゴールウェイの街へと繰り出します。学生の街というだけあって、すごくにぎやか。フェリー乗り場行きのバスが出る停留場を確認して、エア・スクエア・センターというショッピングセンターに入る。フツーのショッピングセンターですが、中に中世の遺跡がそのまま残っているのが興味深かったです。
 にぎやかなショップ・ストリート、キー・ストリートへ。

 さまざまな路上パフォーマンスが目に耳に楽しい。10歳ぐらいのメガネかけた男の子が、ギター(おもちゃ?)弾きながら大声で歌ってます。すごいヘタなのが可愛くて、思わず1€あげてしまいました。お店も冷やかして歩きます。スウィート・ショップというお菓子の店が、超可愛かったです。
 そんなにお腹はすいてないけど、人気のフィッシュ&チップスの店マクドーノズに入りました。人気店だけあって、すごい人。フィッシュ&チップスとレストランの二つに別れていて、どっちも大盛況です。そんなに美味しいの?と、並ぶのは嫌いな私も列に。30分ぐらい待って、やっと私の番。フィッシュはエイを選びました。でも…ああ…ここでアイルランド滞在中最悪の、とっても悲しい辛い扱いを受けて…あかん、思い出したら泣きそうになる。なので、詳細は端折らせていただきます…あーいう扱いを受ける私のほうに、非があるのかな~…日本では考えられない接客に、憤りや不快感よりも自己嫌悪に凹んでしまい、トボトボとホテルへ戻ったのでした…ちなみに、チップスはものすごい量で、とても独りでは食いきれず。エイは、空揚げのコロモ部分がほとんどでした…
 一般の家に宿泊するB&Bですが…私の部屋が台所の隣だったということもあるのですが、パーティでもしてんの?!な騒々しさ。夜は静かに過ごしたい、という人には絶対おすすめできません。TVつけたら、ちょうど007の「スカイフォール」が始まったので、最後まで観て寝ました。
 to be continued…

真夜中のハイエナ

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 「ナイトクローラー」
 その日暮らしのコソ泥ルーは、事件や事故現場を撮影しフィルムをTV局に売るパパラッチと遭遇し、彼らのマネを始める。スクープをモノにし味をしめたルーは、次のスクープのために常軌を逸した行動をとるようになり…
 スクープを狙って夜を徘徊するルーが、まるで死臭をかぎつけて死肉に食らいつくハイエナみたいで、怖い&キモい!スクープを追うだけならまだしも、映像を煽情的に刺激的にするため、不法侵入は序の口、事件現場を勝手にイジリ回したり、挙句の果ては自分で犯罪現場を演出したりと、もうやりたい放題。ライバルの同業者や、言うことを聞かなくなった子分への制裁も、邪悪すぎて戦慄!まさにゲスの極み、鬼畜の所業。さすがにルーみたいな異常者はいないとは思うけど、そんなことまで知る必要ある?そんな場面まで観る必要ある?な、パパラッチの常軌を逸したスクープ合戦には、実際にも眉をひそめてしまうことって多いですよね~…TVでよく観る衝撃映像とか、こんな風に撮られてるんだな~と、人の不幸や悲劇を生活の糧にしてるパパラッチという仕事に、不快感や反発を覚えながらも、それはキレイごとな偽善、他人の不幸や悲劇が大好きな人間が世の中には大多数だからこそ、パパラッチは蝿のように飛び回り続ける、という否めぬ事実に暗澹となってしまいます。視聴率のためには、なんでもアリ!人権?法律?モラル?そんなんクソくらえ!なアメリカのTV事情も、ほとんど病気に近いアナーキーさ。やらせは横行してるみたいですが、さすがに日本で殺人事件の被害者の死体や殺人現場を生々しく放送、なんてことはないですからね~。

 この映画、とにもかくにも、ルー役のジェイク・ギレンホール渾身の怪演に尽きます。ジェイク、ヤバすぎでしょ!見た目からして、もうアブなすぎます。うさん臭さ、不穏さMAX!ぜったい近づきたくない、関わりたくない系。災厄を撒き散らす負のオーラ、死神ムードもハンパじゃない。いつも薄ら笑いを浮かべてるのが、ほんと不気味なんですよ~。何か変な歩き方といい、悪びれない理路整然とした喋り方といい、異常に整理整頓された部屋やキレイ好きなところとか、静かに狂ってる壊れる。一瞬たりともフツーじゃないです。

 ルーの人格破綻は、あのギョロギョロした目だけで判ります。暗闇の中で獲物を狙ってる夜行性動物のような、あの爛々とした目。ジェイクが役作りで激やせしてるので、ただでさえデカいお目目が、骸骨みたいで怖い!見た目同様、キャラも怖すぎるルー。うわ~クソ野郎すぎる~!とゾっとしたのは、番組プロデューサーの熟女ニナを脅すところ。彼女と仲良くなりたい、できればねんごろな仲になりたいルーが、スクープをエサにジワジワとニナに迫るのですが、そのもって回った遠まわしな脅しが陰険陰湿で、卑劣卑怯すぎ。結局ルーに屈するニナも、いかがなものか。打算的すぎる。仕事のためには悪魔に魂を売り渡すとは、まさに彼女のこと。ルーの増長、暴走は彼女の責任とも言えます。

 強烈な異常者ルーを大怪演したジェイク・ギレンホール。もともとジェイクって、こんな自分世界で生きてるサイコな役が似合うし巧い役者ですよね。キモい怖いけど、何だろう?何か憎めない可愛いところもあるのが驚異です。ルーって邪悪な異常者なんですけど、誰かを不幸にしたいとか傷つけたいとかいった悪意はなく、あくまでスクープしたい熱意と、自分はクズじゃない!有能なんだ!ということを証明したい意地、ゆえに暴走してる感じ。悪い意味で頑張ってる、歪んだいじましさ。スクープに成功し、みんなに褒められた時のあの嬉しそうな顔は、まるで子供のような無垢さ。頭いいし、度胸もあるし、人格が破綻してなければ、世の中にとって有益な人間になれただろうに。ルーの下流生活も、一歩間違えれば誰でもあーなり得る、なリアルな恐怖と切なさに満ちてました。
 フツーの人気俳優なら二の足を踏む役を、得意の肉体改造も活かして、鬼気迫る中にもチャーミングに演じたジェイクは、やっぱ卓越した役者です。狂ってるだけの映画にならなかったのは、ジェイクがどことなくブラックコメディっぽく狂人を演じてたからでしょうか。禍々しい外道言動も、どこトボけた天然不思議くんな味わいがあって、何度もプっと笑ってしまったし。確実に黒い笑い、狙ってましたよジェイクは。役はキモいけど、やっぱイケメン!と、この映画を観てる間、何度も思いました。長い髪を束ねてダンゴにしてるのですが…ブサイクなオタク男がやったらかなりアレだけど、ジェイクがやったらフツーにカッコいい。
 プロデューサーのニナ役のレネ・ルッソ、久々に見ましたが、すっかり熟女になってて驚きました。ネチっこく迫ってくる若いキモ男を心底ウザい、キモいと疎みつつ、むげにできず大人の対応してる姿が笑えました。カッコいいミュージックビデオみたいな映像や編集も、なかなか粋な映画でした。カーチェイスシーンとか、スタイリッシュにスリリング。それにしてもアメリカ、ほんと怖い国ですね~。あんな惨劇が毎夜起きてるなんて。命がいくつあっても足りん。安全な場所なんてどこにもない…

 ジェイク、新作“Southpaw”では、バッキバキの肉体美を作りあげてボクサー役を熱演してるみたいです
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