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Channel: まつたけ秘帖
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イギリスにも事故物件!霊感イケメンの事件簿

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 イギリスのTVドラマシリーズ「ベッドラム」を観ました~。全6話。
 精神病院を退院したジェドは、叔父のウォーレンとその娘ケイトが運営する高級フラット、ベッドラムへとやって来る。恐ろしい噂がまつわる元精神病院のベッドラムで、奇怪な出来事が次々と起こり始め…
 テオ・ジェームズ主演のTVドラマ、ようやく観ることができました(^^♪MY抱かれたい男ベストテンには確実に入るテオ、10年ぐらい前の作品なので、当時26、7歳ぐらい?若い可愛い!まだお肌もツルっとしてます。

 セクシーフェロモン濃厚、ワイルドでシャープな男くさい風貌なのですが、母性本能をくすぐるスウィートさもあるところが彼の魅力。見た目といい役柄といい、ちょっと故ポール・ウォーカーとカブります。声も似てるし。ポールは爽やかなアメリカ西海岸風、テオはちょっと陰鬱なイギリス風、の違いがありますが。このドラマでも、幽霊が出ようが殺人鬼が出ようが、まったく怯まず鋭い眼光で猪突猛進するテオに惚れ惚れ!同時に、傷ついた少年のような淋しげな風情、表情に胸キュン。甘えたい強さと甘えてほしい愛しさ、いい男って大抵このふたつを備えてますよね~。

 ぜんぜん強そうに見えない、チャラチャラした若い日本のタレントの何ちゃってアクションと違い、見るからに屈強そうなテオの俊敏で激しい動きが美しい。おっさん俳優がいくら頑張っても、年寄りの冷や水みたいな痛々しさしか感じません。テオみたいな若い逞しい俳優にしか出せない美しさです。アクションだけでなく、テオのセクシー眼福シーンも見ものです。

 入浴シーンやラブシーンだけでなく、やたらと上半身裸でキッチンをウロウロしたり、必要以上に脱ぐテオ。着衣だとほっそりしてるけど、脱いだらスゴい筋肉質美裸体。まさに理想的な細マッチョです。裸もですが、テオは唇がエロい!

 テオのファンは必見ですが、ホラーファン、オカルトファンもそこそこ楽しめるのでは。いま話題の邦画「事故物件」のイギリス版です。いわくつきの元精神病院を改築した高級フラット、次々と起こる怪事件。フツーなら住まないけど、みんな何が起きても平然と暮らしてる強心臓。事故物件なので、やっぱ家賃が安かったのかな。無職やニート、若い軍人とか、金持ちは誰一人住んでなかったし。私も住みたい霊感ないし、安けりゃ喜んで住むわ。ベッドラム、すごく素敵なフラットで、貴族の館みたいな玄関とか、美しい庭とか、古風かつラグジュアリーでした。

 この世に未練や恨みを残した死霊が、住人に憑りついて悪さをし、ジェドが彼らの望みを探って叶えて解決、というのが基本的な話。昔なつかしの松本洋子先生の漫画みたいで面白かったです。お化けより、精神病院で横行してた虐待やロボトミー手術、殺人のほうがヤバいホラーでした。
 テラスハウスみたいな若者のルームシェアも楽しそうでしたが、私みたいなぼっち気質人間にはしんどいかも。ケイト役の女優はちょっとカトリーヌ・ドヌーヴをギスギスした感じにした美人。同居人の青年ライアンが、もうちょっとイケメンだったらよかったのに。宮川大輔似で、女にモテるゲイ役にはちょっと。イギリスの若者のファッションもなかなかオシャレで参考になりました。

 でもこのドラマ、すごい尻切れトンボな最終回で唖然。いろんな謎が解明されないまま終わっちゃいます。シーズン2もあるのですが、キャストも話もまったく別物になってしまってるし。こんな中断プレイみたいなドラマ、ありえない!

 ↑ 出演作が多いわりには話題作にはあまり恵まれてないテオです。ジェイン・オースティン原作のTVシリーズ“Sanditon”は、彼には珍しい時代劇。観たい!
 

永久欠番のスター

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 「42 世界を変えた男」
 1947年のアメリカ。ニグロチームで活躍していたジャッキー・ロビンソンは、ブルックリン・ドジャーズのGMであるリッキーにスカウトされ、黒人初のメジャーリーガーとなる。それは大きな波乱を呼び、ジャッキーはチームメイトやファンからも差別的な扱いを受けるが…
 追悼チャドウィック・ボーズマン
 突然すぎる訃報に、今なおショックと悲しみは薄れぬままです享年43歳。あまりにも若すぎる。ガンで闘病中だったことも、ファンはまったく知らなかった。まるで神隠しにでもあったように消えてしまったチャドウィック。いまだに信じられない、信じたくない気持ち。もうすぐブラックパンサー2や、その他の新作でまた彼に…は、もう会えないのですね。そろそろその現実を受け入れねばなりません。大好きだったチャドウィック哀悼の意で、未見だった彼の旧作を観ていきたいと思っています。この作品は、チャドウィックがメジャーリーグ史上初の黒人選手を演じた作品。彼にとっては記念すべき初主演映画です。

 今では考えられないような露骨で過激な差別的扱いを受けながらも、実力と不屈の精神でドリームロードを切り拓いていったヒーロー役。チャドウィックのためにあるような役でした。傷つき悲しみながらも、過酷な宿命の中で夢も希望も誇りも捨てず闘うチャドウィックasジャッキーは、ブラックパンサーのティ・チャラ陛下とカブりました。チャドウィックが演じるヒーローは、他のスターたちが演じるヒーローとは違うんですよね~。ヒーローにありがちなナルシズムや自己陶酔が全然なくて、静謐で穏やかな威厳と、深い悲しみがあるところが好きです。理不尽で非道なことをされたり言われたりしても、ぐっと我慢して瞋恚の炎を燃やすチャドウィックの表情に胸キュン試合中にあまりといえばあまりな侮辱を受けて、人前ではこらえたけど独りにはると怒りを爆発させる激情、深く傷ついた涙の演技が迫真で圧倒されました。チャドウィックの笑顔も素敵だけど、悲しそうな顔はもっとチャーミング。ハッピーなイケメンよりも、チャドウィックのように不幸が似合うイケメンのほうが好き

 当時35,6歳のチャドウィック、ブラックパンサーの時も40過ぎには見えなかったけど、さらに若いので可愛くもあります。爽やかな青年っぽさが。今の嵐とかと同じ年頃ですが、あの人たち全然もう青年っぽさなんかないもんね。野球のユニフォームも40年代アメリカンファッションも、まるでモデルのように着こなしてます。「ブラックパンサー」や「マーシャル」でも思ったけど、チャドウィックって何着ても似合ってて、スタイリッシュなんですよ!演技といいルックスといい、間違いなく近い将来黒人俳優ナンバーワン、第二のデンゼル・ワシントンになるはずだったのに、かえすがえすも惜しい。もし若き日のワシントン氏がジャッキーを演じてたら、もっと屈折した攻撃的なヒーローになってたでしょう。チャドウィックの真面目さと心優しさのほうが、今の軽薄で冷たい時代に沁みる魅力なのでは。

 強く優しく誇り高く、才能があってしかもイケメン。ジャッキーといい陛下といい、チャドウィックもかなり理想的というよりドリーミーなヒーロー役者でした。ジャッキーもほとんど聖人な男。ほんとはもっと汚い醜い部分もあったはず。アメリカでも日本でも、神格化されてる人物はキレイキレイにしか描けませんよね。長嶋茂雄氏や王貞治氏の物語を映画化したら、きっと忖度だらけな内容になるでしょうし。ジャッキーの人間的な面はリアルに描かれてはいませんでしたが、アメリカ社会といえばの黒人差別偏見のエゲツなさは容赦なくこれでもか!とばかりに。

 ひどい、ひどすぎるあんなことが当たり前だった時代、怖すぎるわ。飛行機に乗れないとかトイレ使えないとか、今では考えられない差別ですが、でも今でも実はそんなに改善はされてないんですよね。トランプさんの言動とか、頻繁に伝わってくる悲劇的なニュースとかが、不変の差別の現状を教えてくれます。対戦チームの監督のジャッキーへの執拗な侮蔑的挑発が、特に非道すぎて醜悪すぎてほとんど笑えたレベル。ユダヤ人を虐げるナチス役もだけど、民度の低い下劣な人種差別主義者の役も、演じててさぞや辛いだろうな~。怖いのは、別に悪意とか憎悪があるのではなく、彼らにとって差別は交通ルールを守るのと同じような慣習になってるところです。

 差別も偏見も、実力と清廉な人柄でねじ伏せていくジャッキーでしたが。ほとんどの有色人種は見た目も中身も凡庸で、ジャッキーみたいな偉人はまれ。この映画のジャッキーを見て勇気づけられる黒人っているのかなあ。平凡な人間って結局は無力。所詮ジャッキーの栄光は夢物語に過ぎないのかもしれません。
 ジャッキーの周囲にはレイシストばかりではなく、味方のほうが多かったので不快感はそんなに感じずにすみました。最大の味方、球団GMのリッキーを演じてるのは私の幼い頃のヒーロー、インディ・ジョーンズことハリソン・フォード。すっかり爺さんになりましたが、ひょうひょうとかくしゃくとしてて豪快。いつまでもお元気で、若い俳優を叱咤激励したり引き立てたりするポジションで今後は活躍してほしいものです。それにしても。今でもハリソン爺さんは壮健なのに、チャドウィックは…人間の命ってほんとわからないものですね…

 ↑ まさかこの時、自分より先にチャドウィックが逝くとはハリソン爺、思ってなかったでしょうね…ブラックパンサー2は実現しなかったけど、チャドウィックが遺した日本公開待ち映画はいくつかあるようなので、悲しみと共に観たいと思いますあらためてMay he rest in peace😢

時間の国のバトル

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 「TENET テネット」
 キエフでのテロ制圧部隊に加わったCIAの男は、敵に捕まり自決薬を飲む。だがそれは彼を試すために仕組まれた作戦だった。時間を逆行させる謎の装置を使って世界を壊滅させようとしている武器商人セイターを阻止するための任務を、男は課せられるが…
 今や映画ファンの間で最も新作が待たれるクリストファー・ノーラン監督の新作。コロナ禍の中、無事に公開されて誠に重畳!ですが、ううう…感想は、ワケワカメ!その一言に尽きます本当に意味不明な映画でした。この映画を理解できた人、熱く考察できる人を心の底から尊敬します。わしのような低能人間はお断り、みたいな敷居の高い内容でした。

 中盤までは、フツーに面白いスパイアクションなんですよ。インドでの潜入作戦とか、ロンドンでの重要人物との接触の仕方とか、ミッションインポッシブルや007と遜色なしなスリリングさ、スタイリッシュさでした。私が特に好きなのは、冒頭のテロシーンです。怒涛の展開で、まるで大きなうねりに飲み込まれて運ばれていくような感覚。あれ、なかなか味わえないですよ。空港でのジェット機突入シーンにも驚愕。CGじゃなくて、実際にやってる!すごいスケールと金遣い!ハリウッド映画ってほんとスゴいですよね~。公開が延期になった邦画「太陽は動かない」のチケット購入してるのですが、スパイ活動とかアクションとか演技とか、テネットみたいな映画を観た後ではショボすぎて痛ましく感じるだろうな~。

 でもでも。クオリティの高いスパイ映画が、だんだんと?????!!??な方向へと疾走、いや、暴走するんですよ。時間の逆行を使った戦いが始まると、多くの観客はただもう戸惑い置いてけぼりをくらうことになります。後半になると、もうどこで何が起こっているのか、何を言ってるのかチンプンカンプン。時間にこだわった複雑なシチュエーションや構成はノーラン監督の特色ですが、今回は今まででいちばん難解だったように思いました。
 タイムスリップとかタイムリープとか興味ないので、素直にオーソドックスにSFじゃない正統派スパイ映画を作ってほしかった、と私なんかは思ってしまいましたが、ノーラン監督のファンにとっては複雑さ、難解さが魅力なんでしょう。でもそんな意識高い系ファンだけでなく、私のような者でも理解できないと知っててもノーラン作品を観てしまうのは、やはり凡百な監督の作品では体験できない驚異の映像や演出を楽しめるから。この映画も、視聴覚的には衝撃的なまでに斬新。一部の人たちだけが崇めるカルト監督で終わらない非凡なエンタメ性こそ、彼を世界で最も支持される人気監督たらしめてます。

 名無しの主人公役は、「ブラック・クランズマン」での好演も記憶に新しいジョン・デヴィッド・ワシントン。言わずとしれた名優デンゼル・ワシントンの息子。パパよりゴツくてパワフルな風貌。鋭すぎる眼光といい本当に強そうで、格闘シーンとか迫力があります。日本のイケメン俳優とか、本格アクションだの肉体改造だの言わないほうがいいですよ。ジョン・デヴィッドとかの前に出たら、ナヨっちいオカマかかよわい女子にしか見えないだろうし。ブリティッシュ仕立ての高級スーツ姿のジョン・デヴィッドもカッコよかったです。
 相棒のニール役は、いまだにその魅力がわからないロバート・パティンソン。若い頃から全然イケメンに見えないし、目つきや口元が何か卑しい感じがして苦手。山田孝之にちょっと似てるからというのも苦手な要因。ほっそりスマートにしてギトギトした脂を抜いた山田、みたいな。ニール役、私が好きな英国俳優だったらな~。ノーラン監督の「ダンケルク」に出てたジャック・ロウデンとかビリー・ハウルとかにしてほしかった。パティンソンのファンの皆さん、すんません💦
 悪役はケネス・ブラナ、イギリス貴族役でチョコっと友情出演のマイケル・ケイン、ノーラン監督の過去作でもおなじみの英国名優たちが再出演。ヒロイン役のエリザベス・デビッキが、で、でかい!ほっそい巨体に極小顔が不自然というか異様なスタイルで、スレンダーマン役にぴったりだと思いました。後半、時間逆行ワールドでの戦闘で登場する軍人役の俳優がイケメン、どっかで見たことあると思ったら、アーロン・テイラー・ジョンソンだった!出てると知らなかったのでビツクリ。
 世界各国に飛び回ってのロケもスケール感を強くしてます。ロンドンやニューデリー、オスロも印象的でしたが、イタリアのアマルフィ海岸の風景が壮観で素晴らしかったです。F50フォイリングカタマランのレースシーンも圧巻でした。

 

新婚初夜に…

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 「追想」
 1962年のイギリス。歴史学者志望の青年エドワードは、ヴァイオリニストのフローレンスと出会い恋に落ち結婚する。ハネムーン先のホテルで、二人は初夜を迎えるが…
 イアン・マキューアン原作、シアーシャ・ローナン主演といえば、「つぐない」からもう12、3年も経ったんですね~。当時13歳ぐらいだったシアーシャも、すっかり大人の女性、そして何度もオスカーにノミネートされ大物女優に成長しました。20代半ばにして、もはや風格さえ漂わせてます。美しいといっては当たらないけど、少女のような繊細さと複雑さ、そして強い精神力が混在した個性が魅力的な女優。この作品のシアーシャは、今までにないほど生々しい“女”でした。女といっても、色気とかセクシーとかいった明るい魅力を発揮しているのではなく、女性だから負ってしまう性的な苦悩とか痛みとか暗く重い業です。

 新婚初夜で悲劇的な事実が発覚するまでは、知性と優しさ、強さにあふれた、シアーシャらしい魅力的なヒロインなのですが、性への不安と嫌悪に苛まれた本当の姿をさらした彼女の思いつめた、いや、狂気一歩手前のような言動と表情は、グロテスクでもありました。悲しみのヒロインって感じは全然なく、ただもう正視しがたい、胸をザワつかせるイタい女でした。シビアな役、演技に果敢に挑むところは、さすが当代随一の若手女優。キレイキレイじゃない、甘ったるくないところが好きです。シアーシャ独特の透明感ある少女っぽさのおかげで、生々しさも気持ち悪くならずにすみました。

 シアーシャが脱いだり濡れたりはないけど、あの初夜の営み失敗はかなりリアルでインパクト強烈。悲惨、みじめすぎてもはや滑稽でした。エドワードが童貞ではなく経験豊かな男だったら、ひょっとしたらあんなことにはならなかったかも。童貞のみなさんには、結婚前にある程度は経験を積んでおくことをオススメしますそれにしても。結婚と性生活は切っても切れないもの、愛し合う男女は肉体的にも結ばれなければければならない、夫婦は子どもを作らなければならない、という考えが当然であるかぎり、幸せになれない人は後を絶たないんだろうな~。私なんかもフローレンスほど深刻ではないけど、セックスがそんなに重要とは思わない人間なので、世間一般の“性的に健全な関係”はかなり重く感じます。

 破局に至るまでのフローレンスとエドワードのロマンスは甘美で、微熱あるプラトニックラブって感じが素敵でした。お互いにあんなに若い希望にあふれていて、思いやりと敬意を抱き合っていて、芸術家としての感性も楽しく優しく分かち合えてたのに、セックスできないせいですべてがメチャクチャになってしまうなんて。男女の愛ってそんなもんなのか~と絶望感に襲われました。
 エドワード役のビリー・ハウルは、イギリス若手俳優の中で私が今もっとも注目してる有望株です。

 全然イケメンじゃない、どちらかといえばブサイクなのですが、ブサイクなのにすごいイケメンに見えることがある不思議な男なんですよ。男を美しく見せるのは、やっぱ顔じゃなく豊かな内面を感じさせる雰囲気なんですよね~。座って本を読んでる姿とか、考え事をしてる表情とか、何でもないのに絵になってるんですよ。何でもないシャツやジャケットも、さりげなく上品にオシャレに着こなしてるところとか、貧乏なのに貧乏に見えないところとか、すらっとした長身もさすが英国男子。

 繊細で優しく、ロマンチックな文系好青年だけど、決してヒーローではなく悲しいまでにどこにでもいる平凡な男って感じも、ビリーは上手に出していて秀逸でした。人気俳優なら、平凡な役でもどこかそうじゃないところを出そうとするけど、そんな自意識過剰さも自己陶酔もない演技は、カッコいい演技より難しいはず。ビリーのテンパったドキドキオドオド童貞演技も素晴らしかった。初夜の営みでの彼のぎこちなさすぎる不器用ぶりが、イタくて可愛かったです。可愛いお尻も披露してます。それにしても。初夜っつっても、イギリスは緯度が高いせいか昼間みたいな明るさ。せめて寝室は暗くして営みなさいよ、そんなお互い丸見えな明るさじゃ童貞&処女じゃなくてもぎこちなくなるよ、と思いました

 脇役では、フローレンスのママ役がエミリー・ワトソン(すっかりオバハンになってて誰だかわかんなかった)、パパ役が英国映画・ドラマを観るとかなりの確率で遭遇するサミュエル・ウェスト、でした。エドワードの脳がイタんだママ役で素っ裸になってた女優は、ジェームズ・マカヴォイの元嫁だとか。「つぐない」組では、マカぼんもキーラ・ナイトレイも今は過去の人化、シアーシャのほうがはるかに格上になっちゃいましたね。
 エドワードの実家のある鄙びた村や、新婚旅行先のドーセットの風景が美しい!イギリスの田舎ってほんといいですね~。特に印象的だったのは、オリジナルタイトルにもなってるチェシルビーチ。二人の愛を表してるような寂しく陰鬱で不毛、なのに美しい曇天と海に感銘を受けました。行ってみたい!

 ↑ シアーシャとはチェーホフの「かもめ」を映画化した作品でも共演してるビリー。そろそろ堂々の主演作で会いたいものです
 
 

相棒は変態熟女

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 「ティップ・トップ ふたりは最高」
 とあるフランスの地方都市。警察の情報屋だったアルジェリア人の男が他殺死体で発見される。女性監察官のエステールとサリーが事件を捜査することになるが…
 世界一働き者な大女優といえばイザベル・ユペール、御年や女優としてのステイタスを考えれば、驚異的なバイタリティとフットワークの軽さです。出演作がまったく途切れないのはファンにとっては喜ばしいけれど、コロナ禍の真っただ中でもあるので心配でもあります。今年も日本では「ポルトガル、夏の終わり」が公開されましたが、この作品は特別上映の形で日本でもお目見え。「マダム・ハイド」と同じセルジュ・ボゾン監督の作品です。

 マダム・ハイドもでしたが、うう~ん…あまり面白くなかった、いや、ぶっちゃけ全然面白くなかったです淡々としずぎてかったるいし、意味不明な描写が多い。フランス映画の悪い点が凝縮されてるような作品でした。いちおうコメディみたいでしたが、まったく笑えなかった。同じ淡々系、同じイザベル・ユペール主演でも「アスファルト」はクスっと笑えるユニークな喜劇だったし、同じ意味不明系なら「TENET テネット」は退屈を許さない圧倒的な映像と演出だったけど、この作品みたいな解かる人だけ好きな人だけ楽しんだらいい、みたいな狭さや突き放した感じがする映画は苦手です。まあ、結局は好みなのでしょう。わし、この監督とは合わないみたいです。

 コメディなのに笑えないのも残念すぎますが、せっかくの刑事もの、女性のバディものなのに、事件の真相とか人間関係とかはどうでもよさそうで、ヒロイン二人の奇矯な性癖を執拗に描いて笑わせようとしてたみたいだけど、ただ薄気味悪くて不愉快なだけでした。フランス女ならではな魅力とか駆け引きとか、せっかく移民問題がらみの事件を扱っていたんだから、その闇に女二人が踏み込む社会派ミステリー、サスペンスにしてほしかったです。

 エステール役のイザベル・ユペールは、相変わらず冷ややかで珍妙で変態でした。攻撃的で暴力的、殴り合いでエクスタシーを感じるというドS女で、冷然と無機質な見た目とか「ピアニスト」のエリカ先生が警察にトラバーユ?みたいなキャラでした。マダム・ハイドもそうでしたが、エリカ先生のイメージが強烈すぎて、監督たちは同じような役をイザベル・ユペールに演じさせたい、演じさせてしまうんでしょうか。血だらけになった顔面,鼻をつたって滴り落ちる血をペロっと舐めたり、他の女優だったら気持ち悪いだけ、でもカラっと乾いててシレっとスットボケてるユペりんなので笑える。彼女のファン限定ですが。冷ややかな美しさ、エレガントさも彼女の魅力ですが、さすがに下着姿とかだと老いが目立って痛々しい。首や生足とかシワシワ。そんなグロテスクさで観客を狼狽させるのも、ひょっとしたら彼女らしい確信犯的な露悪かもしれません。

 相棒のサリー役は、地味に名女優なサンドリーヌ・キベルラン。小柄なユペールとはまさに凸凹な身長差。デカいけど何か頼りない、いろんな意味で大丈夫なのかな?と不安にさせるメンヘラな雰囲気が独特でした。のぞき癖がある役で、男の裸をのぞきながら全裸で自慰してるシーンとかイタすぎる。テシネ監督の「Quand on a 17 ans」の彼女のほうが好きです。

フランキー

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 「ポルトガル、夏の終わり」
 余命宣告を受けた大女優フランキーは、最後のバカンスを家族や友人と過ごすため、彼らをポルトガルのシントラに集める。フランキーにはある企みがあったが…
 やっと観ることができたイザベル・ユペール主演作です。末期がんにおかされた大女優に扮したユペールですが、やはり彼女なのでお涙ちょうだいな湿っぽさとか感動の押し売りなど、見事なまでに微塵もありません。そもそもそんな映画にイザベル・ユペールは出ないでしょうし、彼女を想定して脚本を書いたというアイラ・サックス監督も、そんな安っぽいありきたりなキャラを彼女に当てはめる気など毛頭なかったようです。イザベル・ユペールの個性と魅力にインスパイアされて生まれたヒロインであることは、フランキーを見ていると一目瞭然。

 命が終わろうとしていても、骨の髄まで女優。気質も生き方も変わらない、変えようとしない女優の業の深さに畏怖、そして魅了されました。冒頭のプールでの初登場シーンから、まさにザ・大女優のオーラはハンパないです。気さくで気前がよく、軽やかに大胆で気まぐれ、そして自己中心的で冷徹でもあるフランキー。周囲の都合や思惑など全然お構いなく自分のしたいようにし、みんながそれに従うことを当然だと思ってる無邪気な支配者っぷりも、ぜんぜん不快ではなくとにかくカッコいいんですよ。フランキーが何をしようと何を言おうと、みんな不満はあっても結局は仕方ないと諦めたり許したりしてしまう、まるで神の宣託のごとき大女優の優雅で絶対的な命令。それは選ばれし大女優だけにある魔法のようでした。イザベル・ユペールは、そんな役を自然に演じることができる数少ない本物の大女優です。

 家族やファンから愛され賞賛されながらも、時折にじみ出る孤独や虚しさとか、それらをクールな微笑で隠す静かに美しい韜晦とか、イザベル・ユペールがまとう大女優の光と影は決して重苦しくも悲痛でもなく、あくまでサラっとフワっと乾いていて軽やかなところに感銘を受けました。基本的には台詞は英語なのですが、息子や元夫とはフランス語で話すフランキー=ユペールの自然な語学力にも憧れます。最も目を惹かれたのは、彼女のファッションです。1日だけの話なので、衣装をとっかけひっかえではなく、2回だけ着替えるのすが、どちらも本当にカッコいい!ファッショナブル!パープルのワンピースの上にデニムのジャッケット、オレンジのワンピースの上に革のジャケット、靴も素敵だった。絶対に一般人には真似のできない趣味の高さでした。
 
 とにかく余命いくばくもないという設定以外は、イザベル・ユペールそのまんまな役?私生活でもフランキーのように家族や友人に接してる彼女、想像に難くないです。美しいけど容色の老いは明らかで、それをあまり隠してないところもイザベル・ユペールらしかったです。夫とベッドで愛し合う裸の彼女、どう見てもおばあさんでした。
 フランキーを取り巻く人々を演じてる役者たちは、豪華というよりはシブい、かつ国際的な面々でした。夫役は「ヒットマンズ・レクイエム」でもいい味を出していたブレンダン・グリーソン(アイルランド)、元夫役は「ガブリエル」でもユペールの夫役だったパスカル・グレゴリー(フランス)、息子役はジェレミー・レニエ(ベルギー)、親友役のマリサ・トメイとその恋人役のグレッグ・キニアはアメリカ。

 「Nue propriété」以来のユペりんとの母子役共演?ジェレミーもすっかりおじさんになりましたが、今でも少年っぽさが残っていて可愛い。マリサ・トメイもすっかりおばさんになりましたが、大人女子って感じの親しみやすさと可愛さに好感。彼女の髪飾りもおしゃれだった。ゲイの元夫と行動を共にしてる現地人ガイトがイケメン!グレッグ・キニアの役が可哀想だった。彼へのフランキーの優雅な冷酷さも、まさにザ・大女優でフランキーの複雑な人柄を上手に表してました。

 愛する人たちを幸せにしようと彼らの人生の筋書きを勝手に書き、彼らを操ろうとしたフランキーでしたが、結局彼女の企て通りにはなりそうにない、でもそれでいいわ…みたいなラストのフランキーのホロ苦い微笑みも印象的でした。ままならない人生や愛を寡黙に優しく描くアイラ・サックス監督の作風、すごく好きです。他の作品も観たい。

 物語の舞台となったポルトガルのシントラは、イザベル・ユペールと並ぶこの映画の主役です。世界遺産のひとつであるシントラ、初めて知りましたが美しい街ですね。ひんやりと神秘的な雰囲気。童話の中に出てくるような森でフランキーが彷徨う姿が、まるで絵画のような美しさでした。静かな場所なのかな?と思いきや、名所では韓国人や中国人と思しき騒々しいアジア人の団体観光客がうじゃうじゃいるのが映っていて苦笑

梨泰院クラス⑥~⑩ 社長さんは童貞

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 「梨泰院クラス」第6話から10話まで観たニダ!
 
☆お客さまは神さまです
 梨泰院にある長家の支店に視察に来る会長。おともを引き連れて大威張りの大名行列。客よりエラソー。韓流ドラマではおなじみなシーンですが、日本では考えられない。
☆偶然も必然
 梨泰院でしょっちゅうバッタリ偶然会うセロイとスア。いくら何でも偶然が多すぎ、都合よすぎ。ありえないすれ違いも多いけど、ありえない偶然もそれ以上に多いのも韓流ドラマならではです。

☆もうちょっと隠密に
 長家の熟女専務を仲間に引き込み、復讐計画を進めるセロイですが。熟女専務との密談場所がソウルタワーの前とか、秘密裡とは思えない配慮のなさで、案の定スパイに盗撮されて会長にはバレバレ。

☆いい表情!
 店のビルを何者かに買い取られてしまうセロイ。新しいビルのオーナーが長家の会長だと知った瞬間の彼の表情が素晴らしかった!いつもの無表情なのに、ふつふつと内面で燃え上がる瞋恚の炎がよく判った。静かだけど激しい気炎。こういう表情できる日本の若手俳優、いないです。この表情だけでパク・ソジュンやっぱいい役者だと思いました。
☆ゲスの極み乙女は今
 柴咲コウ似の美人であるスアですが、だんだんベッキーにも見えてきて

☆怪しい秘書
 長家の会長の秘書が何か気になります。ただの秘書にしては妙に目立つ存在感。演歌歌手っぽい顔も怪しい。
☆快傑おかめ娘
 グンウォンのご機嫌をとり、調子に乗らせてひき逃げ事件の真相を語らせ、それを盗聴し罠を仕掛けるイソ。彼女の得意技ですが、『ウジ虫みたいな奴らめ』『社長の敵は全員私が潰す』小娘だけど賢くて度胸があって頼もしくてクール&ニヒルなイソは、これまでの韓流ヒロインにはない個性と魅力の持ち主。見た目もオカメ顔のブスカワで、みんな同じに見える韓流美人とは一線を画してます。

☆アラサーチェリー
 飲み会の余興で告白ゲーム。ファーストキスはいつ?と訊かれて、そんなことしたことないと答え一同を驚かせるセロイ。彼が童貞だった!と同席者のみならず、視聴者にも衝撃的な告白でした。
☆抱いてくれたらいいのに
 俺を好きになるなとセロイにフラれるイソ。まるで死別しかかのようなオーバーな愁嘆場に苦笑。
☆狂気的な愁嘆
 会長の陰謀で投資家たちが次々とセロイの会社から撤退。セロイの会社の株を買った人たちは、騙された!どうしてくれる!!と激怒し大騒ぎ。詐欺に遭って大損をした人々の狂乱、錯乱は映画やドラマだけではなく実際にも韓国ではおなじみの光景。何か悪いものに憑かれたような狂態が怖い。
★総括
 面白くてサクサク観られるのですが、何だろう…フツーに面白いだけというか、驚きとか衝撃とか強烈なインパクトがないのが物足りません。韓流ドラマといえばの、おいおい?!そんなんありえんやろ!なツッコミどころがあまりないのも、ちょっと寂しいような。
 セロイ同様、イソもカッコいいので好きです。キャラも見た目も、ニュータイプなヒロイン。敵に回したら怖いけど、味方にしたらこれほど頼もしい女はいません。
 カッコつけてないけどカッコいいパク・ソジュンですが、色気が薄いのが惜しいですね~。ぜんぜん無駄脱ぎもしないし。韓流ドラマはイケメン俳優の無駄脱ぎも魅力のひとつなので、この点でも残念なドラマです。

 ↑梨泰院では脱いでくれないので、過去ドラマでの眼福肉体美でマッシソヨ~(^^♪
 

彼と僕、はじめてのチュウ

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 「マティアス&マキシム」
 幼なじみのマティアスとマキシムは、友人の妹に頼まれて出演した短編映画でキスシーンを演じる。以来二人は、これまでになかった感情の芽生えに戸惑うが…
 グザヴィエ・ドラン監督の新作。「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」と間を置かずに作品が日本公開で、コンスタントな仕事ぶりがファンには嬉しい。この新作、これまでのドラ美の作品の中では最も明るい、楽しい映画に仕上がっていました。過去作品も決して暗くも退屈でもないのですが、ドラ美らしい若々しくポップなケレン味が良い意味で薄れて落ち着いた感じになった印象。全体的にとっつきやすくなったというか。ドラ美も大人になったんですね。

 才気を全面に押し出した癖の強さはなくなったけど、ドラ美らしさは失われていませんでした。演出や音楽における独特のスタイリッシュさは不変。周囲は早送りされる中で、マティアスとマキシムは時間が止まったかのように揺れる想い~♪な様子とか、外は嵐な張り窓のキスシーンとか、切なくも斬新な演出で好きです。お話じたいは、ノンケが突然男への友情以上の気持ちに気づかされて悩む、といったライトで初歩的なBLです。厳しい現実に暗澹とさせられるシーンも生々しい性愛シーンもないし、BLが苦手な人でも大丈夫なBL映画です。

 それにしても。仲が良すぎる男同士って、セックスしない恋愛関係みたいですよね。ひょっとしたら俺、こいつとセックスできる、いや、したいのでは?という、ほとんどの仲良し男同士が踏むことのない境界線でモヤモヤ、という設定が腐には胸キュンです。YOU!悩んでないで一線超えちゃえ!ヤっちゃいな!と腐は無責任に思ってしまいますが
 キスをきっかけにマキシムと今まで通りに接することができなくなり、動揺・狼狽しまくるマティアスが何だか切ないというより滑稽で可愛かったです。旅立つ前のマキシムに冷たく当たってしまったり、狂おしくキスした後に理性が勝ってしまうリアクションとか、BLならではの甘い痛みで腐のツボをつきまくります。

 思わぬBLのめざめにすっかりトチ狂ってしまうマティアスと違い、マキシムはいたってクール。マキシムはゲイの設定だったのでしょうか。ノンケの男に対して期待とか夢とかは抱かない、むしろ傷つくことを恐れて距離を置こうとする、ゲイならではの諦観とか臆病さもまたスウィートペインな切なさ。まあマキシムは、ママのことで恋どころじゃなかったですし。マキシムのママのクソババアっぷり、ひどすぎて笑えた。あんまりな仕打ちに傷つくマキシムが哀れでした。ママと息子の確執、壮絶なケンカもドラ美の映画ではおなじみ、ドラ美にとっては重要なテーマのようです。

 ドラ美、自作での監督兼主演は「トム・アット・ファーム」以来でしょうか。やっぱ美男子ですね~。薄口イケメンが多いので、ドラ美のほどよい濃さが美味です。小柄なので少年っぽいところも可愛い。Tシャツに半ズボンがこれほど似合うアラサー男もいません。ふてくされた斜に構えた役が多いドラ美ですが、今回は笑顔も多い明るい役でした。笑うとクチャっと崩れる顔も可愛い。もともと子役として活躍していたドラ美は、演技へのこだわりや情熱もひとかたならなぬようで、最近のインタビューでは監督業よりも今後は俳優業に重点を置きたいと言ってましたが。どっちもバランスよく両立させてほしい、というのがファンの願いです。

 マティアス役のガブリエル・ダルメイダ・フレイタスが、優しそうで色気があるイケメン!ブラッドリー・クーパーをほっそりスマートにしてインド人っぽくした感じ?スタイルがよくて、スーツもカジュアルなファッションもオシャレに着こなしてました。マティアスが接待するチャラい弁護士役は、「キングスマン」シリーズの新作の主人公に抜擢されたハリス・ディキンソン。彼もスタイル抜群。タイトなスーツ姿でのピチっとしたお尻がセクシイでした。マティアス&マキシムの友人たち、そのママたちもみんな個性的でいい味だしてました。特にリヴェット兄妹が好き。バカ言い合ってワイワイ騒いだりケンカしたり、男子って楽しそうでいいな~と羨ましくなりました。

 ↑ 美貌と才能、どっちかだけでもどっちもないわしにくれや!勝ち組人生に恵まれているようで、凡人には無縁な苦労や悩みもいっぱいあるんだろうな~。それもまた映画に昇華できるドラ美はやっぱ神に選ばれし者ですね

社長夫人と…

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 「暮れ逢い」
 第一次世界大戦直前のドイツ。鉄鋼会社に勤める青年フレデリックは、その才気を社長であるホフマン氏に認められ、彼の秘書に抜擢される。やがてフレデリックは、ホフマンの妻ロッテに恋心を抱くようになるが…
 パトリス・ルコント監督初の英語作品。社長夫人と社長秘書のプラトニックかつ情熱的なラブストーリー。セックスはしないけど心で愛し合ってたら、それもまた不倫になるのでしょうか。セックスなしだと、道ならぬ恋でもゲスくならないですね。私はインポな純愛よりも、ゲスい痴情のもつれのほうが好きなんだけどこの映画の二人、決して一線は超えない、キス、いや、手さえ握らず、想いだけが募ってくすぶって、もどかしくも切ない関係が続くのですが、韓流ドラマのインポな純愛とは何か違うんですよね~。優雅な上流階級を舞台にしてるけど、イギリスのそれともまた違う。ドイツのお話だからというより、パトリス・ルコント監督だからでしょう。

 表面的には上品で慎ましいけど、かなり変態的、エロおやじっぽくもあるのが、さすがというか、いかにもルコント監督って感じでした。まず主人公のフレデリックが、真面目な堅物に見えて実は変態。年上の人妻への、なめまわすような執拗な粘着質目線や、彼女が弾いたピアノの鍵盤をわななきながらキスしたり(まるで誰もいない放課後の教室で、好きな女子のリコーダーの吹き口をなめる男子みたいで笑えた。メイドに目撃されてるのも笑えた)。高嶺の花な社長夫人には礼儀正しく想いを秘めてるのに、同じ階級の娘は性欲のはけ口扱いし、出世したら冷たく切り捨てるフレデリックは、ゲスだけどありえないほど誠実で清廉潔白な男よりは魅力的。誰も傷つけない人畜無害な男なんて退屈ですもんね。

 社長もなかなかの変態じいさん。妻と秘書の恋に嫉妬しながらも、気づかないふりして二人を挑発したり煽ったり、ドMっぷりが笑えた。そう、シリアスなんだけど何か滑稽なところは、まさにルコント監督の真骨頂。おやじな変態テイストと皮肉な滑稽さが、毒にも薬にもならない純愛ものとは一線を画してます。でも、そんなルコント節がこの映作品ではかなり薄まっていたのが物足りなくはありました。フランス語でフランス映画、フランスのエッセンスであるエスプリたっぷり、それこそルコント監督に本領を発揮させるのでしょう。
 この映画を観たのは、言うまでもなくリチャード・マッデン目当てです(^^♪

 リチャマ!時代劇でもイケメン無精ひげなしでこざっぱりしていると、かなり若く見えて可愛い!さっぱり可愛い風貌でも、ほどよく濃ゆいところがリチャマの魅力。無味無臭イケメンが多いので、リチャマの濃ゆい♂フェロモンが美味です。貧相すぎてスーツが似合わないキムタクとかと違って、たくましい体躯のリチャマはフォーマルファッションも男らしくてカッコいい。恋心や性欲を抑えて悶々としてる表情が、エロくて可愛かったです。リチャマといえば、やはりあの不幸顔と不幸オーラ。不幸じゃないシーンでも不幸に見える。もっと不幸になればいいのに、とドSな気分にさせてくれるリチャマが素敵です。社長夫妻の息子と仲良くしてるシーンのリチャマがすごく優しそうで、息子がもうちょっと大きくて美少年だったら、さぞや…なんて腐にありがちな妄想を楽しんでしまいました

 ヒロインであるロッテ役のレベッカ・ホールは美人なんだけど、で、でかい!リチャマより背が高い!リチャマが小柄なのかな?キビキビとテキパキした感じなので、恋に揺れる人妻というより有能な女教師みたいで、彼女と一緒だどリチャマは恋人ではなく生徒に見えてしまい、ムードがロマンティックにも官能的にもならない。もっと嫋々としたたおやかな美女のほうが、ロッテ役に合ってたのでは。社長役は、今は亡きアラン・リックマン。いい人なんだけどちょっと怪しい、何か企んでる感がハンパないおじさん、という彼のオハコな役でした。都合が悪くなったり、ロッテとフレデリックが燃え上がりそうになるところで必ず発作を起こして邪魔をする、というお約束がコントみたいで笑えた。

 リチャマの新作、マーベルの「エターナルズ」も公開延期みたいでガッカリ😞

イケメンと時間旅行

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 「タイムトラベラーの系譜 ルビー・レッド」「タイムトラベラーの系譜 サファイア・ブルー」「タイムトラベラーの系譜 エメラルド・グリーン」
 ロンドンで家族と暮らす女子高生のグエンドリンは名家の一員ながら、冴えないはみ出し者扱いされていた。そんな中グエンドリンは、一族の秘密であるタイムトラベルの能力を持つ者が、いとこのシャーロットではなく自分であることに気づき戸惑う。ひそかに憧れていた美青年ギデオンも自分と同じタイムトラベラ-であり、彼と協力して秘密結社“監視団”からの任務を遂行することになるグエンドリンだったが…
 ファンタジー小説3部作の映画化。宇宙とか魔法とか妖精とか苦手なので、SWとかハリポタとかLOTRとかもいちばん最初の作品しか観てないんですよね~。この三部作も本来ならばスルー系なのですが、がっつり観てしまいました。愛しのドイツイケメン、ヤニス・ニーヴナー目当てであることは言うまでもありません(^^♪
 ヤニヴ~予想以上に、期待以上に、めちゃんこカッコカワイかったです!爽やかで優しそう、かつ男らしく精悍でもあって。名家の文武両道美青年お坊ちゃま、時空戦士でもあるギデオン役のヤニヴ、ルビー編では長い髪を後ろで束てていて、まるで少女漫画から飛び出してきたかのような風貌。万能で自信満々、冷たくて傲慢な俺様ヤニヴも素敵ケンカしながらもだんだんグエンと惹かれ合うようになり、ツンデレ化してゆくヤニヴも可愛かったギデオンみたいなスーパー男子、日本や韓流ドラマでもよく出てきますが、爽やかで清々しい野性味、引き締まった骨太な感じはドイツ人ならではな魅力。スウィートだけど甘っちょろいナヨっちい優男じゃないヤニヴが好きです。

 my老母も観たのですが、誰この子きれいじゃねえ~と老い萌えしてましたサファイヤ編、エメラルド編では短髪になってるヤニヴ、それがまた男らしくていっそうカッコいいんですよJohnathan」の彼を彷彿とさせました。エメラルド編とJohnathanは同年の作品みたい。道理で。髪型のみならず、品よくもチョイワルっぽい現代ロンドン男子ファッションや、タイムスリップ先の時代の衣装(中世のフランス貴族風、イギリス紳士風、アメリカンなモダンボーイ風など)でヤニヴ七変化なコスプレも目に楽しかったです。ラブシーンでは眼福な肉体美もサービス見せしてます。とにかくヤニヴファン必見、ヤニヴを知らない女子(もちろんイケメン好きな殿方も)も観たらヤニヴにfall in love間違いなしよ!ファンタジーな物語は苦手でも、ファンタジーなイケメンは大好物(^^♪ヤニヴこそこのシリーズ最大のファンタジーでした。これでもか!とばかりに女子が夢見る、いや、妄想する“イケメンにやってほしい、イケメンとこうなりたいシチュエーション”が。学校まで迎えに来てくれる、カッコいいオートバイに二人乗り、プロムパーティでパートナーに、夜中に窓から入ってくるetc.だいたいが人前でやってくれるので、羨望と嫉妬を一身に浴びて高揚感&優越感、なんて使い古されてる王道設定なんだけど、やっぱ憧れるわ~。

 とにかくヤニヴしか見てなかったので、ぶっちゃけ彼以外に特筆すべき感想が思い浮かばないタイムトラベルの他にも悪魔や幽霊が出てきたり、いろんなファンタジー要素をぶっこみ過ぎてて、わしみたいなおっさんにはかなりキツいオコチャマ映画でした。壮大ぶってたわりには、すごいショボい結末だったし。ハリポタと何となくカブる部分があるので、ハリポタファンは楽しめるかも。舞台はロンドンで、登場人物もイギリス人なのに、ドイツ人の俳優がドイツ語で演じているので、すごい違和感。ロンドンの名所がいっぱい出てきて、ますます行きたくなりました。

 ヒロインのグエンが、見た目もキャラも全然可愛くなかったのが、ちょっと…冴えない女子がイケメンに愛されてシンデレラガールに、なキラキラ感がゼロ。ふてぶてしくて性格が悪いので、何でギデオンが惚れるのか納得できなかった。とても処女とは思えないような男慣れした初エッチとか、とにかく少女っぽくない。まあ、清純ぶったぶりっこよりはマシだとは思ったが。グエンの意地悪ないとこのシャーロットはすごい美人でした。ギデオンの弟がブサイクで、兄同様イケメン設定だったのが???でした。成仏できずグエンの通う高校でさまよってる貴族の幽霊役で、コステア・ウルマンも出演してます。意味不明で不必要な役で、せっかくのコステアがもったいなかった。

 ↑ヤニヴ好きすぎてとうとう主演時代劇“Maximilian ”のDVD買っちまっただよ!秋の夜長はヤニヴと(^^♪「コリーニ事件」も早く観たい~
 

悪夢の玉の輿!

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 「レベッカ」
 金持ちの老婦人の付添人としてモンテカルロに滞在中だった“私”は、イギリスの大富豪マキシムと恋に落ち、彼が所有する壮麗な館マンダレーで新婚生活をスタートさせる。マンダレーにはマキシムの亡妻レベッカの影が色濃く残っており、レベッカに忠実だった家政婦のダンヴァーズ夫人は“私”を冷ややかに扱う。しだいに“私”は精神的に追い詰められ…
 恥ずかしながら、名作の誉れ高いアルフレッド・ヒッチコック監督のオリジナル版は未見。先にリメイク版を観てしまいました。ざっくり言えば、オカルト風サイコサスペンスでしょうか。亡妻の死霊に憑りつかれてるかのような館、邪悪な家政婦、恐ろしい秘密に苦しむ夫、精神的に追い詰められてい新妻…レベッカの死の真相など、ミステリーの要素もあり、盛沢山だなと思いつつ、飽きずに最後まれ観られる内容、という重要な課題はクリアしてる作品です。でも、何ていうか…せっかくイギリスの上流社会の話なのに、イギリスといえばの優雅さとかスノッブさが希薄でした。演出も映像も出演者も、華やかというか派手で違和感。こういったダークでミステリアスな物語には、やはり神秘的で憂いのあるモノクロのほうが合ってるのかなと思いました。

 モンテカルロのリゾートやイギリスの海など、美しい風景を背景に物語が進行するのですが、たまにこれ合成?ロケしてない?と勘ぐってしまうシーンがあったり。美しく壮麗なマンダレーも、いかにもセットな感じが強かったり(どう見てもハリボテな壁があったり)予算をかなりケチってる印象が否めませんでした。脚本もどことなく2時間ドラマっぽくて、ラストの断崖でのヒロインVS犯人なんて、もろ火サスで失笑。キャストも悪くはないのだけど、高級感とか重厚感は全然ないメンツでした。

 “私”役のリリー・ジェームズは、「高慢と偏見とゾンビ」でも思ったけど、美人!なんだけどクラシカルな役、映画には適してない美しさ。顔も雰囲気も現代的で派手なんですよ。男をキュンとさせるウブでドヂっ娘な言動が似合わない。気が強そうなので、守ってやりたいという男の父性本能をくするぐる女に、何をやっても見えないんですよね~。ギラギラしてて、玉の輿を狙う女豹のようだった。不安や恐怖に怯えたり精神的に追い詰められる繊細さが全然なくて。あんた、それぐらいでビビる女じゃないでしょ!と思わずにはいられませんでした。見た目はか弱げ、はかなげだけど芯は強そうな女優がやるべきヒロインです。それにしても。今の女性はこの映画のヒロインのように、理不尽な状況や夫の嘘、精神的DVに黙って耐え忍んだりしないので、この映画は現代版ではリメイクできませんね。時代とは言え、強い女性ばかりというのも何だか味気ないですね。

 マキシム役のアーミー・ハマーは、いいとこの坊ちゃん風ではあるのですが、イギリスの貴族には見えません。アメリカの良家とイギリスの貴族って、全然違いますね。もともとデカい彼ですが、この映画ではさらに恰幅がよくなっていて、ヌオ~っとした威圧感が。怒ったらゴゴゴゴ…と音がして大魔神に変身しそうなところは、「コードネームUNCLE」の時と同じで笑えた。
 邪悪な家政婦ダンヴァーズ夫人役のクリスティン・スコット・トーマスは、陰険さ冷酷さもどこかエレガントかつ知的で、気持ち悪いとか怖いとかいった感じはあまりなかった。レベッカの間男役の男優が、どっかで見たことある、いや、聞いたことある声だなと思ったら、サム・ライリーだった!

 「高慢と偏見とゾンビ」でのダーシーとは全然違って見えて、すぐに彼だと気づかなかった!独特すぎるしゃがれ声は不変でしたが。今回はイケメンじゃなかったけど、何に出ても何演じても同じな俳優と違う面白い役者だなと、あらためて好きになりました。それはそうと、高慢と偏見とゾンビでは、リリー・ジェームズとサム・ライリーは恋人役でしたね。今回は敵対する役だったのが面白かったです。アメリカンなアーミー・ハマーより、ダーシー役の時みたいなイケメンバージョンのサム・ライリーのほうが、マキシム役にピッタリかも。ヒッチコック監督版も近いうちに観たいと存じます。
 

炎の鬼退治!

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 「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」
 指令を受け、炭治郎は善逸、伊之介と共に鬼が出没するとされる無限列車に乗り込む。先に乗車していた柱の煉獄を補佐する炭治郎たちの前に、魘夢が現れ…
 前代未聞的に社会現象となってる人気アニメの劇場版、ついに(&コソっと)観に行きました~(^^♪アニメ映画を映画館で観たのは本当に久しぶり。甥のダミアンが小さかった頃、コナンを一緒に観に行って以来。自主的に独りでアニメを観に行ったのは、人生初!小さい頃からアニメにはあまり興味がなくて、大ヒット作や話題作もTVで放送されたら観る程度の冷淡さ。ディズニーやジブリはどちらかと言えば苦手で、公開されるたびに気分は非国民、肩身の狭い思いをしています。今回ばかりは非国民にならずにすみましたTV版も周囲に勧められるまま何の気なしに観始めたのですが、これが噂以上の面白さですっかり年甲斐もなくハマってしまいました。アニメの最終回の続きは劇場版、というあざとい商魂逞しさにも素直に屈して、ウキウキと、でもいい歳したおっさんがという羞恥心も抱きつつ、映画館へとレッツラゴ~したのでした。

 このアニメ、お話も面白いけど絵がとにかくきれい!日本のアニメってやっぱスゴいわ~と、その美しさ、独創性、躍動感に感嘆、圧倒されっぱなしでした。惹き込まれてあっという間のエンディング。至福の時間でした。主人公の竈門炭治郎を筆頭に、敵も味方もキャラクターが個性的で魅力的なのも、このアニメの人気要因。私がいちばん好きなのは、やっぱ炭治郎です。優しくて純真でけなげで、そして強い!その満身創痍な不撓不屈さには惚れ惚れします。少年だけど抱かれたいです。劇中、魘夢の手先が炭治郎の夢の中に侵入して、彼の精神の核を破壊しようとするのですが、炭治郎のあまりの清澄な心の風景に畏怖、感動して邪心を捨ててしまう、というエピソードがあったのですが。私の心の中なんて掃除してない便所みたいなもんだろうな~と自嘲、苦笑してしまいました。

 炭治郎の仲間たち、善逸や伊之介、妹のネズ子(漢字がわからん)も大活躍してましたが、この劇場版の真の主役は煉獄杏寿郎になってましたね!鬼殺隊の最強戦士グループ、柱の一人である炎柱の煉獄さん、めっちゃカッコよかった~まさに漢(おとこ)!あの独特なしゃべり方、言葉遣い、何か伝染してしまいます。うむ!とか、よもやよもやだ!とか、不甲斐なし!とか、つい(いや、故意に)に日常会話で使って若い子のウケ狙いに余念がない私です。華やかにダイナミックに鮮やかな煉獄さんの炎の呼吸技にも瞠目。明るいキャラと壮絶悲壮な運命とのギャップにも萌え。炭治郎たちへの振る舞いなど、まさに理想の先輩、理想の上司!抱いて!

 今回炭治郎たちが戦う鬼、魘夢もなかなか強烈にユニークな敵でした。ユニセックスな見た目とキャラ、オネエな鬼というのが独特。ねんねんころりこんころり、息も忘れてこんころり、鬼が来てもこんころり♫魘夢が歌う子守唄がツボでした。夢の中、精神世界での戦いは、クリストファー・ノーラン監督の「インセプション」を思い出させました。夢から脱出するために自分の首を斬って自決しまくる炭治郎にヒィ〜!ヤメテー!でした。魘夢もなかなかの強者でしたが、あれでも十二鬼月の中では下っ端なんですよね〜。十二鬼月の幹部の一人、終盤に登場する猗窩座が体育会系イケメン。煉獄の強さに男惚れて、彼を執拗に魔道へとスカウトする猗窩座でしたが。ほとんど煉獄に恋してましたよね~。鬼滅ってかなり腐女子人気も高いのでは?腐の妄想、萌えを刺激するBLのかほりがかなりするし。列車で寄り添って眠ってる煉獄と炭治郎。可愛い炭治郎が男らしい煉獄の肩にチョコンと頭を預けてる姿、狙ってるとしか思えんシーンだった。ネズ子以外、女はほとんど出てこないし。ドキ!男だらけのボーイズ映画でした
 無限列車編でもう終わり!ってことは、よもやないはず。TVで第2弾が始まるのか、再び映画化なのか、ブームが終わらないうちに続きをお願いしたいですね
 

海辺のドブネズミ

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 「ブルックリンの片隅で」
 ブルックリンに住む無職の青年フランキーは、セックス相手の男をSNSで探す一方、ゲイであることを隠すため女性ともセックスするが、それに満たされることはなく…
 見ていて嫌な気持ちにさせるもののひとつに、社会問題化にもなっているニートの人たちの存在が挙げられます。ニートといっても、老齢とか病気とか仕事がないとか、働きたくてもやむを得ぬ事情で働けない人たちのことではなく、若くて健康的で探せばいくらでも働き口はあるはずなのに、働かず怠惰にブラブラしてる人たちのことです。自分の力で誰にも迷惑かけずにニート生活を送ってるのなら全然OKですが。実家にパラサイト、衣食住は親の金、日がな一日同じニート仲間たちと遊び回り、金に困ったらスリしたり母親の宝石を勝手に質に入れたり、この映画の主人公フランキーみたいなニートには本当に腹が立ちます。昼も夜もフランキーの家に上がり込んで我が物顔でたむろするニート仲間たち、実際にもこんな連中いっぱいいるんだろうなと思うと気が重くなります。家族や社会に迷惑をかけてのニートや引きこもりは、もはや犯罪に近いです。

 実は…今年のはじめに二度目の離婚をし、我が家に出戻ってきた兄が、酔っ払って階段から転げ落ちて骨折、そのまま仕事に行かなくなりニートと化しちゃってるんですよおとなしく遠慮がちに暮らすどころか、大威張りな殿様ニート。朝から酒飲んで、1時間おきに冷蔵庫を漁っては食べまくり。アル中&過食の中年デブニートだなんて、まさに最低最悪な生物。それを嫌ってM子も全く里帰りしなくなりました。あまりの傍若無人さ、身勝手さで我が家は今どよよ~んと沈んでます。暴力は振るわないけど、意見したり逆らったりしたら何をするか分からない不穏さのせいで、私たちはもう黙って我慢するだけ。今夜も夕食のおかず、ほとんど食べられてしまいました。さっき老母に肩をもませ、ダミアンにビール買って帰れと電話してました。鬼のようなニート。炭治郎に退治してほしい。鬼兄がこの映画の主人公とカブるので、見ていて本当に不快、そして暗澹となってしまいました。

 閑話休題。我が家の恥はサテオキ。フランキーは隠れゲイで、夜な夜ないかがわしい出会い系SNSで男(おっさん好きのオヤジ専!夜の真っ暗な屋外で、見ず知らずのおっさんとヤるとか怖すぎ)を漁ってセックスしたり、好きでもない女と付き合って性癖をカムフラージュ(というより、俺は真性ホモじゃないと自分に言い聞かせるために)したりは、眉はひそめてもそんなには不快感も嫌悪感も覚えませんでした。鬼ニートに比べりゃ何でもないことに思える。ゲイが比較的生きやすそうな大都会ニューヨークでも、底辺社会ではまだ同性愛は恥ずべきことなんですね。ゲイとして堂々と生きることができたら、フランキーもあんなドブネズミみたいな毎日で青春を無駄にせずにすんだのかもしれません。それにしても。フランキーは若いだけではなく、路上に立ってるだけでスカウトされそうなイケメンだったので、仕事なんていくらでもありそうだったが。もったいなさすぎる。

 ラスト、クズなニート仲間たちにそそのかされて、出会い系SNSで知り合ったゲイの男性を騙して呼び出して、彼からハッパを強奪しようとして陥る予期せぬ悲惨な事態に、なすすべもなく呆然となるフランキー。どこまで愚かで浅はかなの。悪党にもなれない、みみっちい卑小なドブネズミなまま一生を終えそうなフランキー、ある意味死ぬより悲惨かも。
 主人公のフランキー役は、「キングスマン」の新作の主役に抜擢され、いま注目されてるイギリス人俳優のハリス・ディキンソン。「マティアス&マキシム」にも出てましたね。薄~い顔のイケメン。童顔で、たまにすごくあどけなく見えるのが可愛いです。ちょっとカープの森下くん似?薄い顔に似合わぬすごい肉体美!ニートであのカラダはありえんわ~。劇中、ほぼタンクトップもしくは上半身裸で、セクシーボディを惜しげもなく披露してます。おっさんとのセックスシーンでは、大胆すぎる全裸にも。ケツだけでなくアソコもドーンと出してますハリウッドや日本の若手俳優には絶対無理な演技に瞠目でした。

 ↑「キングスマン:ファースト・エージェント」は来年2月日本公開!楽しみ!

幸せの妖花!

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 「リトル・ジョー」
 バイオ企業の研究者アリスは、香りで人を幸せな気分にさせることができる新種の花の開発に成功し、その花を息子のジョーにちなんで“リトル・ジョー”と名付ける。会社の規則を破って一輪だけ自宅に持ち帰り、ジョーにプレゼントするアリスだったが、その日からジョーの言動に奇妙な変化が生じて…
 幸せを呼ぶ魔花!妖しい花粉に操られて…なんて土曜ワイド劇場ちっくなサブタイトルをつけたくなる、世にも奇妙な物語のネタにもなりそうなSF怪奇映画でした。遺伝子操作とか、本来ならこの世に生まれるはずがないものを創り出してしまう、自然の摂理に反した化学の進化、そして人間の思い上がりへの警鐘のような内容でした。

 ハリウッド映画だときっと、派手なサスペンス風、もしくはホラー風になってたところですが、この映画には流血シーンも残虐シーンも全然なく、物語は淡々と静かに進行します。そんな中、観ているうちにイヤな予感や不安を感じてしまう妖しい空気が、まさに花粉のように漂い充満していく、そんな雰囲気や展開はやはりヨーロッパ映画って感じでした。不穏なシーンではなぜか中国ちっくなBGMが流れてくるのもシュールでした。

 花粉を吸うと、リトル・ジョーに操られて人格が変わってしまうのですが、まったく別人格になってしまうわけではなく、異常で危険な言動をするわけでもなく、何となくなにげなくだけど強い違和感、という描写もなかなか巧妙でした。見た目からして妖しいリトル・ジョーですが、決して人間を支配しようとか滅ぼそうとか目論んでる邪悪な妖怪みたいな花ではなく、生き延びたい、そのために守られたいという生存欲求ゆえの妖力みたいだったので、むしろ勝手に生み出して勝手に終わらせようとする人間のほうが、悪者のように思われました。

 結局、アリスをはじめ誰にとっても都合のいい結末、でもそれは本来の意思や正しさが消されてしまったがためのハッピーエンド、が皮肉すぎて笑っていいのか戦慄すべきか、ラストは不思議な余韻を残します。確かに人々を幸せにしたリトル・ジョー、人間の欺瞞や偽善を栄養に毒々しく咲き誇る姿が、妖しくも美しかったです。
 アリス役のエミリー・ビーチャムは、この作品でカンヌ映画祭の女優賞を受賞。これといって特筆すべき演技ではないのですが、オーバーな大熱演ではなかったのは好感。見た目が科捜研の女のマリコ先生っぽかったです。白衣の下の上品で淡いパステルカラーの服が素敵でした。
 アリスの同僚研究者クリス役を、ベン・ウィショーが好演。

 クリスはアリスに片想いしている設定なのですが。ゲイ役じゃないベン子さんにちょっと違和感女に告白したりキスしようとしたりするベン子さん、久々に見た感じ。「ロンドン・スパイ」や「英国スキャンダル」「追憶と、踊りながら」など、もはやゲイ役をやらせれば天下一品、ゲイ役を極めたといっても過言ではないベン子さんなので、ノンケな彼は何かしっくりこない。ノンケ役とはいえ、やはりどことなくゲイゲイしさを消せてないところが、ファンには嬉しかったです。おどおどと内気そうだけど、ほんとにアリスのことが好きなのかな?何か企んでるのでは?と疑わせる胡散くささ、優しそうだけど掴みどころもない、そんなところも凡百な俳優には出せない味わいでした。ベン子さんの優しい声、美しいブリティッシュイングリッシュも好きです。

 アリスの息子ジョー役のキット・コナーが、いかにもイギリスの男の子らしい、可愛くて賢そうで品のよい少年。後で「ロケットマン」のエルトン・ジョンの少年時代を演じた子と知ってビツクリ。制服が似合ってて少年なのにカッコよかった。アリスに対する優しげだけど冷ややかな、そして愚弄するような言動が魔少年っぽくて素敵でした。ジョーのガールフレンドも可愛かったです。あと、話に全然関係ないのですが、アリスたちが会社のカフェで食べるランチやスウィーツが、すごい美味しそうだった。可愛いケーキを食べるベン子さん、ほとんど女子でした

いつだって分断と混乱のU.S.A

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 「シカゴ7裁判」
 1968年のシカゴ。ベトナム戦争反対のデモと警察が激突する。デモを扇動した罪でトム・ヘイドンら7人の運動家たちが起訴され、全米注目の裁判が始まるが…
 評価が高い。出演者もいい役者がそろってる。観ない理由はない作品です。オスカー候補も間違いなしと絶賛されているようですが、うう~ん?そこまでの傑作なのかな?面白かったし、名うての役者たちの個性と演技のぶつかり合いは見ごたえありなんだけど、何だろう、いい意味でも悪い意味でも軽妙というか…まるで見せ場ばかりを切り取ってつなぎ合わせた予告編みたいな構成は、ユニークで斬新だなと感心しました。ドキュメンタリータッチなシーンの挿入や、予想外・想定外の応酬の法廷劇も楽しいのですが、楽しくしすぎた感がなきにしもあらず。泥沼のベトナム戦争や暗殺やら暴動やら、背景には深刻な闇や傷、悲しみがあるはずなのに、それらが全然伝わってこなかったのが映画を軽薄にしていたように思われます。何か強いもの、深いものが胸に余韻を残すことなく、ドドーっと勢いよく進んで終わってしまった、というのが正直な感想です。

 登場人物の中に共感とか魅力を感じる人がいなかったのも、かなり残念な点です。ほぼ全員が実在の人物、アメリカでは有名な人たちなんですよね?左の人たちには、いまだに疑問や反感を覚えてしまう私。大昔に右な男から受けた強い洗脳が今も解けてないみたいです劇中の反戦運動家たちの言動が、私に違和感とか反発をどうしてももたらしてしまうのです。この人たち、本当に平和とか友愛を願ってるのかな?と。まあ、右すぎる人たちも同じですが、自分たちの価値観こそが正しく、違う価値観の者は敵、理想の実現のためには暴力も辞さない、そういう独善的で危険な考えや行動が怖くて迷惑。日本でもかつて、赤軍とか安保とか物騒な時代がありましたが、リアルタイムじゃない者からすると信じられないことばかり起きてた時代。内容や状況は変わっても、政治による不穏で過激な動乱や分断は不変なアメリカ。対立に血道をあげるエネルギーを、軽蔑すべきか羨望すべきか。大多数の日本人の政治不信や不満ってやはりたかが知れてるのかな、とアメリカや香港やタイなど世界中で起こってるデモをニュースで見るたびに、そんなことにはならない日本に生まれてよかったと安堵しています。

 出演者は豪華というよりシブい通好みのメンツでした。運動のリーダー格であるトム・ヘイデン役はエディ・レッドメイン。彼は間違いなく個性的かつ優秀な俳優なのですが、見た目があまりタイプじゃないというミもフタもない理由で、ちょっと苦手万年青年みたいな風貌ですが、明らかに若者ではないのでちょっと気持ち悪く見えることも。別にエディじゃなくてもいいような役で、彼にしては可もなく不可もなくでした。「リリーのすべて」の彼も気持ち悪かったけど、壮絶強烈な役者魂には心から敬服、感服したものです。

 弁護士役のマーク・ライランスは、金八先生みたいな髪型、服装で笑えた。いちばん目立ってたのはサシャ・バロン・コーエンでしょうか。服装も言動もやっぱふざけてて人を食ってるのですが、冗談も皮肉も知的でやはりどこかイギリス的。それはそうと。エディもライランス氏もサシャもイギリス人。アメリカの、アメリカ人の話なのに、なぜかイギリスの有名俳優たちがメインロールを演じてたのが謎。ハリウッドにもいい俳優いっぱいいるだろうに。
 アメリカからはジョセフ・ゴードン・レヴィッドが検事役。あまり敏腕には見えなかったけど、ライランス氏と堂々とわたりあう法廷シーンでの迫真の演技は素晴らしかったです。偏りすぎて不公平な裁判長役のフランク・ランジェラ、証人役のマイケル・キートンといったベテランの俳優たちも好演してました。
 この映画の中でもっとも私の目を惹いたのは、ブラックパンサー党のメンバー、フレッド・ハンプトン役のケルヴィン・ハリソン・Jrです。

 イケメン!明らかに他の黒人さんとは違う顔面偏差値の高い美男子で、傍聴席シーンではまさに掃き溜めにツルな輝き!調べてみると、いま注目の若手黒人俳優みたいなので、他の出演作も観たいと思います。チャドウィック・ボーズマンの穴を埋めてくれるニューブラックイケメンとして期待したいです。

未来永劫の罪!

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 「コリーニ事件」
 ドイツの高名な実業家マイヤー氏が殺害される事件が起きる。新米弁護士のカスパーが被告人のイタリア人コリーニの弁護を担当することになるが、コリーニは頑なに黙秘を続ける。事件の調査を開始したカスパーは、やがてナチスに関わるマイヤーとコリーニの過去を探り当てるが…
 第二次世界大戦が終わってから80年近くも経っているというのに、いまだに消えることも癒されることもない戦禍の傷跡や痛み。特にナチスドイツの罪は未来永劫の、人類史上最悪の汚点でしょうか。ナチスの非道さを描いた映画やドラマは枚挙にいとまなしですが、当時の悲劇に加えて長い年月を経ても晴れない遺恨、という現代の悲劇にも胸が塞がります。今回もですが、ナチスの悪魔の所業を見て思ったのは、戦争を知らない世代のドイツ人が、自分たちの国と国民がかつて犯したあやまちを突きつけてくる映画を、どんな気持ちで観ているのか…ということです。加害者側にせよ被害者側にせよ、ナチスに関わった祖父母や父母をもつドイツ人たちの心境はいかばかりか。

 この映画でも、裁判でマイヤーとコリーニの関係が暴かれた時の裁判官と傍聴者のショックや困惑など、何ともやりきれなさそうな様子が印象的でした。断罪したくても簡単にはできない複雑で重すぎる真実。ナチスに蹂躙されたフランス人やイタリア人のように、堂々と声高に憎悪や怒りを訴えられない、なるべく沈黙するしかないドイツ人もまた苦しいだろうな~。日本もドイツに負けず劣らず非道いことをしたようですが、それをガンガン突きつけてくるような映画は、これでもか!とばかりに量産されるナチスドイツのそれほどはお目にかかることはない。ハリウッドやヨーロッパ各地で絶えることなく作られる極悪ナチス映画。言い方は不適切かもしれませんが、格好のネタになってる感じです。

 事件を調査する主人公、やがて明るみになる社会の闇や悪…松本清張みたいな社会派ミステリー映画なのですが、わりとあっさりと新事実や衝撃的事実を見つけちゃうのが、ちょっと肩透かしでした。もっと真相が深く埋もれてたり、主人公に危機が、みたいな設定にしてほしかったです。怖かったのは、元ナチスが戦後も狡猾に生き残って、重要人物として戦後の政界や経済界でも権力を握っていたという事実。法律まで自分たちを守るために改悪してたんですね。魔物とは死滅せず形を変えて、弱い人間を不幸にし続けるものなのですね。

 主人公のカスパー役は、ドイツでは人気俳優らしいエリアス・ムバラク。いかにもトルコ人系な濃ゆい風貌。イケメンではないけど、真面目そう優しそうな好男子って感じ。ドイツには黒人よりも中東系、インド系のスターが多いみたいですね。コリーニ役は、かつてマコロニウェスタン映画で人気を博したフランコ・ネロ。イケジジ(イケてる爺)!今でも全然カッコいいです!シブい!哀愁!抱かれるなら嵐とかよりもネロ爺です。シワも年齢を重ねた男の魅力です。残酷な運命の辛酸をなめつくした重さ、悲しみにが静かに悲痛でした。おっさんなのにいつまでも若者ぶってて軽薄なキムタクとか、ネロ爺を見習ってほしいものです。
 私がこの映画を観たのは、もちろんヤニス・ニーヴナー目当てです(^^♪大きな銀幕で初めてヤニヴとランデヴー

 ヤニヴ、後半になってやっと出てきます。コリーニが少年の時に、イタリアのモンテカティーニで虐殺を指揮するナチス将校役のヤニヴ。白人のドイツ人俳優が避けて通れない仕事であるナチス役に、ヤニヴもついに挑みました。仕事とはいえ、演じてて気が滅入ることだろうな~。絵に描いたような冷酷非情な役。ほとんどサイコパスでしたが、軍服が似合っててとにかく見目麗しい!なかなか鬼気迫る演技、凄みがありました。悪魔のような役は、やはりブサイクよりも美男子のほうが怖くて魅力的。特にナチス軍人役は、ブサメン禁止なイケメンだけに許される役。悪魔なヤニスの登場時間が短かったのは、物足りなかったようなホっとしたような。それにしても。ヤニヴが年取ってあんなフィリップ・シーモア・ホフマンみたいな老人になるとか、ありえんわ~。例えて言うなら、山崎賢人が西田敏行になるに近い違和感でした。

 ヤニヴ同様に出番は少ないけど、おや♡誰?♡と目を惹くイケメンが。マイヤー氏の孫息子フィリップと、カスパーの友だちの一人が、薄くて涼しげで長身骨太という典型的なドイツイケメンで、チョイ役ながら目立ってました。
 裁判所がまるで貴族の館みたいな壮麗さで、さすがヨーロッパな歴史を感じさせる美しさ。日本とはかなり違う法廷内の様子も興味深かったです。

 ↑ ヤニヴ~バリバリの主演映画、早く日本でも公開されないかな~
 
 ↑ 左がフィリップ役のルドウィック・サイモン、右がカスパーの友人役のフレデリック・ゲッツ。ドイツも探せばザクザクと出てくるイケメン大国

き〇がい農場

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 「狼獣たちの熱い日」
 巨額の現金を強奪し逃亡したジミーは、田舎の農場に身を潜める。しかし、農場を営む一家はみな狂っており、ジミーは異常な世界を目の当たりにするのだった…
 世間で評判のよい、老若男女誰が見ても大丈夫な、無難で無害で破綻のないポリコレ映画よりも、駄作のレッテルを貼られながらも危険で有毒でハチャメチャなトンデモ映画ほうが好きです。B級犯罪映画のレジェンドスター、リー・マーヴィン主演のこの作品、類まれなる珍&怪作として一部マニアの間ではカルト的な人気らしく、私も以前から気になっていたのですが、ようやく観ることができました。期待通りの笑撃でした。こんな映画、今のポリコレ時代では絶対に製作不可能ですよ。話も展開も登場人物も、支離滅裂でアナーキーで意味不明で狂ってて笑えます。冒頭の現金強奪シーンから、もうハチャメチャ。市街戦みたいなチープかつ問答無用なドンパチ、幼い子どもまで無残に撃ち殺されます。舞台が農場に移ってからは、もうシュールなカオス状態。とにかく農場一家がどいつもこいつもヤバい異常者。

 いきなり出てくるのが、下半身をいじりながらプッシープッシーとわめいてる色き〇がいおばさん。性奴隷にしてる黒人の男にファックを狂おしくねだってます。色情狂ばばあ役は、フランスの秀作映画にも出演してたベルナデット・ラフォン。よーやるわ!と呆れてしまうほどの奇演でした。ジミーにも欲情して逆レイプしようとし、怒ったジミーに首絞められて死ぬ顔は、まさに妖怪な醜さ。家長であるおっさんは粗暴な変態で、コレクションしてる女もののパンティをクンクンかぐのが日課で、案山子に化けてヌードギャルをのぞき見したり(後に襲いかかるのですが、抵抗されたので惨殺しちゃう!)、若い妻を台所でバックからファック。妻は無表情で早く終われよ顔。家政婦は痴呆症?みたいなおばさんで、意味不明なことをブツブツ言ってます。いきなり発狂して首吊って死んだりします。

 家長夫婦の10歳ぐらいの息子が、当時の表現の自由に呆れるほど見た目もキャラもヤバすぎ。ギャングに憧れていて、タバコ吸うわ酒飲むわ危険運転するわ、娼館で豪遊するわ。こんな役、こんな演技、子役にやらせるなんてありえない!このトンデモガキンチョを演じてるのは、あの傑作「ブリキの太鼓」で主役のオスカル少年を怪演したダーヴィット・ベネント。まさに世界最恐の子役。オスカル少年もぶっ飛んでましたが、今回の息子も尋常じゃない異様さ。気持ち悪い!けどノリノリで楽しそうなところが笑えました。

 いちばん狂ってたのは、表面的にはクールで寡黙な若妻です。ジミーを匿う彼女ですが、それは恐ろしい魂胆があったから。夫を殺した後は、尾行する刑事を誘惑してファックした後に彼も殺したり、すごい暴走!すべて無表情でつまらなさそうにやってるのが怖い。演じてるのは、若き日のミュウミュウ。可愛い!けどニヒルでアンニュイ。場末のカフェのウェイトレスみたいな衣装も可愛かったです。農場で身を隠す男、匿う若い人妻、といえば「刑事ジョン・ブック 目撃者」を思い出しますが、あんな甘美で切ないロマンスには1ミリもなりません。
 
 ジミーも逃げようと思えばいくらでも逃げられたし、言いなりになる必要なんか全然なかったのに、何で?!と理解不可能な身の処し方。ただ繰り広げられる異常者一家の変態狂態におとなしくドン引きしてるだけなんですよ。レジェンドスター、リー・マーヴィンもすでに当時キャリア晩節、ヨタヨタしたお爺さんで、無様で無残な姿はまるで老人虐待な痛々しさ。は?!な彼の末路、映画の終わり方にも失笑。まともな筋なんかなく、潔いまでのコワレたイカレ映画。みんな狂い死に、屍累々な惨劇なのに、何かあっけらかんとした突き抜けた明るさが。シリアスな犯罪ドラマとしては大失敗、トンデモお笑い映画としては大成功。岡田あーみん先生の漫画が好きな人なら楽しめるかも。

神聖イケメン大帝♡

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 NOW MY抱かれたい男No.1かもしれないドイツイケメン、ヤニス・ニーヴナー主演のTVミニシリーズ時代劇「Maximilian」を観ることができました~全6話。
 15世紀の神聖ローマ帝国。皇太子マクシミリアンは、強国フランスの脅威に対して無能な父帝に反発し、鬱屈した日々を送っていた。そんな中フランス王ルイ11世は、父を亡くしたブルゴーニュ公国の公女マリーにも圧力をかけ、自分の息子との結婚をマリーに強いる。マリーはまだ見ぬ婚約者であるマクシミリアンに救いを求めるが…
 このドラマ、ヤニヴ目当てに画像や動画などネットで目にするたびに観たさが募り、ついに辛抱たまらなくなりDVDを買ってしまいました。WAKUWAKUさせてよヤニヴ念願かなって出会えた時代劇のヤニヴはどうだったかというと…

 あいやー!ヤニヴ、めっちゃイケメン!カッコいい!可愛い!凛々しい!雄々しい!爽やか!ワイルド!そしてセクシー!若い男の魅力にあふれていて、年老いたおっさんであるわしの目にはただもう眩くて、胸が苦しくなるほどでしたわいな。いや~若い男って、本当にいいもんですね(水野晴朗調)!!

 ただ若いだけじゃ、もちろんダメですよ。とにかくこのドラマのヤニヴみたいな演技、日本の同世代のイケメン俳優や某事務所タレントには絶対に無理です。少年のような清々しさながら、それ以上に“♂”なんですよ。爽やかなイケメンですが、キレイキレイなスマート優男ではないヤニヴ。長身だけどがっちり骨太な体格はいかにもドイツ男らしく、歩き方とか挙措も猛々しいのが素敵。そしてヤニヴったら、TVドラマ仕事とは思えぬほどガンガン脱いでるんですよ。

 いいカラダ引き締まった筋肉質ボディだけど、不自然にバキバキではなく程よくムチっとしてるところが、まさにわし好み爽やかで涼しげなので、イヤらしいほどのエロさはありません。結婚前の恋人と、結婚後にマリーと、なかなか大胆なラブシーンあり。お尻どころかアソコも丸出し!生まれたままの姿で女たちを激しく甘く抱くヤニヴ、まさに眼福です。荒々しい腰の動きと優しいキスのギャップが素敵でした。マリーとの初夜、寝室の前にいる家臣たちに全裸で人払いを命じるシーンが好き。おちりがプリンとしてて可愛いんですよ!って、もうすっかりエロおやぢ目線

 キラキラスウィートなキング&プリンスではなく、誇り高く勇猛な戦士風なヤニヴがとにかくカッコいいです。甲冑姿が特にチョベリグ(死語)。貫禄とかカリスマとかをまだ備える前の、未熟さゆえに失敗したり傷ついたり、がむしゃらに満身創痍になって戦いながら成長していく青年、としてマクシミリアンを演じたヤニヴの全身全霊な熱演を、小手先な小賢しさが鼻につく自称演技派や、CMレベルのイケメン俳優&某事務所タレントに飽き足らない人にぜひ見てほしい!

 マリー役は、「LOL 愛のファンタジー」でソフィー・マルソーの娘役を演じてたフランスの若手女優、クリスタ・テレ。美人ではないけど優しそうで聡明そう、でも気丈で剛毅な、いい女な姫君をクールに優雅に好演してました。彼女も入浴シーンやラブシーンで、ヤニヴに負けず劣らずな大胆全裸に。脱ぎっぷりがよすぎるところが、欧州男優女優のいいところですね。マクシミリアンはドイツ語、マリーはフランス語を話すのですが、お互い何の支障もなく意思疎通できてるのが不思議でした。

 フランス王ルイ11世役の俳優が、まさかダスティン・ホフマン?かと思ったら、え!?ジャン・ユーグ・アングラードだった!ビツクリ!かつてはフランス映画界きっての色男だった彼も、すっかり爺さんになっちゃってる!穏やかでもの静かだけど、陰湿な策謀や残虐な拷問が好きな変態キング、キモい役だけどそうは見えないところが、さすが元二枚目。

 神聖ローマ帝国の皇帝一族や貴族たちの衣装や城は、きらびやかさや華やかさとは無縁の荒涼とした野性的な趣で、地方の豪族って感じです。ブルゴーニュ公国のほうは優雅で洗練された文化的な美しさだけど、かなり地味。フランスは大国なのに暗くて陰惨で魔物の世界みたいだった。オーストリアのハプスブルグ家に関してはほぼ無知だったので、ドラマ鑑賞の前後にちょっと調べたり、世界史の勉強になりました。大好きなイギリス王室時代劇の、どの時代とカブってるのかな?フランスやオーストリアの王室時代劇も、もっと観たくなりました。

 ↑ ヤニヴの最新作、TVドラマシリーズの“Munich”は、名優ジェレミー・アイアンズ主演のナチスものみたいです。ヤニヴ、また美男ナチス軍人役?Netflix作なので、そのうち観られるはず!楽しみ!

飛鳥のイケメンクーデター

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 2005年のNHKスペシャル時代劇「大化改新」前・後編を観ました~。
 弱小豪族である中臣家の息子・鎌足は、朝廷を牛耳る権力者・蘇我蝦夷の嫡男・入鹿と身分の差を超えた友情で結ばれていた。蝦夷を疎んじる女帝・宝皇女に唆された入鹿は、蝦夷から蘇我家当主の座を奪い、女帝と対立する山背大兄王を討伐しようとする。鎌足は戦をやめるよう入鹿を説得するが…
 懐かしい~。15年も前のドラマなんですね~。飛鳥時代のドラマって珍しい。でも日本人にとっては馴染み深い歴史上の人物や史実が盛沢山なので、もっと製作されてもいいのではないかと思います。いつもいつも戦国時代や幕末のドラマで、いいかげん飽き飽きしてますし。

 大和朝廷内の権力争いや愛憎関係、クーデターは、ドロドロと血なまぐさくドラマティックで、かなり美味しいネタの宝庫なのですが、さすがというかやはりというか、NHKなので老若男女問わず観られる無難なドラマになってたのが、ちょっと物足りませんでした。たまに韓流時代劇を観てるような錯覚に陥ることも。衣装や所作が何となく朝鮮っぽかった。実際、当時の日本は朝鮮の影響を色濃く受けていたみたいですね。「THE TUDORS 背徳の王冠」みたいな、大人向けのエロくて過激でゴージャスな宮廷ドラマ、日本では製作不可能だよな~…

 政争も友情も恋愛も、いい人たちのいい話っぽく描かれていて、韓流時代劇以上のスウィートさ(脚本は今年の大河ドラマも書いてる大御所、池端俊策先生)なのですが、今あらためて観るとこのドラマ、かなりのイケメンパラダイス、BL色も薄くない腐向けのドラマであることに気づかされます。メインキャラ男子にはブサイクはおらず、みんな個性的なイケメンばかり。彼らのやりとりや関係には、友情以上の精神的な愛が感じられる、ていうか、シーンも演技も腐の萌えや妄想を喚起するものが多いんですよ。池端先生ではなく女性脚本家だったら、きっとBL漫画の名作「日出処の天子」を彷彿とさせるドラマになってたのでは。

 主人公の中臣鎌足役は、当時25歳だった岡田准一。今はチビなゴツいおっさんな岡田氏ですが、この頃は当然ですが若い!そして可愛い!某事務所タレントが苦手な私ですが、当時の岡田くんはすごく好きだったんですよね~。端正で彫が深い美男子。アップになるとキレイで見とれてしまう。チビでまだ華奢なところも少年っぽい魅力。日本人っぽくない濃ゆい顔なので、時代劇が似合わないのですが、台詞の発声とか身のこなし、乗馬など、真摯に勉強してる演技であることがわかり、やはり他の某事務所のアイドルタレントとは一線を画してます。若い岡田くんは可愛い美男子で演技も秀逸なのですが、鎌足がいい子すぎてつまんない役なのが惜しい。それにしても、子役並みにチビっ子な岡田くん。共演者がみんな長身なので、よけいチビに見えちゃうのが何だか気の毒だった。

 入鹿役は、当時人気急上昇中だった渡部篤郎。彼も若い&可愛い!長身でスラっとスタイルがいい!たまに、俺って演技うまいだろアピールがウザいこともありますが、いい子ちゃん理想家な鎌足より、ダークサイドに堕ちて汚れていく入鹿のほうが、はるかに面白い、やりがいのある役で、渡部氏も張り切って熱演してました。
 私が最も心惹かれたのは、准一でも篤郎でもなく、中大兄皇子役、当時23歳の小栗旬です。

 私、このドラマで初めてオグリンを知って、同年のNHK大河ドラマ「義経」でファンになったんですよね~。ブレイク前のこの頃のオグリン、めっちゃカッコカワイイです!篤郎同様にスラっとスマートな長身。凛とした佇まい、瞳と声が美しい!今ほどクセが強くなく、まだ爽やかで清々しいオグリンです。この中大兄皇子と義経の梶原景季があまりにも清冽だったので、また時代劇に出てくれないかな~と常々思ってたのですが、何と!再来年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で主演!北条義時役!大好きな源平時代にオグリンが戻ってくる!とワクワク、よりも脚本家と共演者が超苦手でガッカリ…

 山背大兄王役は、人気舞台俳優で当時ドラマにもよく出てた山口祐一郎。ヤンチャな蘇我日向役は山口馬木也、W山口もいい男たちでした。ベテランでは、ろくでなし親父役でも男の色気と愛嬌たっぷりな蘇我蝦夷役の原田芳雄、高潔なのに何か怖い仲代達也、狡猾な役でも味わい深い大杉連、といった今ではもう見られない名優たちも存在感抜群。当時売り出し中だった木村佳乃が、鎌足と入鹿に愛されるヒロイン役だったのですが、美人だどサバサバしすぎ、現代的すぎ、そして岡田准一よりデカくて違和感しかなく、いてもいなくてもいいような、いや、いないほうがいいような役だった。中大兄皇子の母、宝皇女(皇極女帝)役の高島礼子の妖艶な美しさ、男たちを惑わし手玉にとる魔性の女っぷりは魅惑的でした。せっかくの妖しく神秘的な美女キャラ、入鹿や息子である中大兄皇子にもっと危険に隠微に絡む設定だったら、古代の闇を感じられて面白かっただろうに。
 

ある夜の出来心

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 2016年のテレビミニシリーズ「ザ・ナイト・オブ」を観ました~。全8話。
 ニューヨークで家族と暮らすパキスタン系アメリカ人の大学生ナズは、夜の街で出会った若い女性アンドレアと一夜を共にするが、目覚めると彼女の惨殺死体を発見し逃走してしまう。逮捕されたナズの弁護を引き受けたストーンは、独自に事件の調査を開始するが…
 シーズン2とか3とか、やたらと長いテレビシリーズは苦手なのですが、8話ぐらいで完結するミニシリーズは好きです。ミニシリーズは長さがコンパクトなだけでなく、ハイクオリティなドラマが多いような気がします。ダラダラと引っ張らずに、ギュっと凝縮した作りになってるからでしょうか。このドラマも、評判通りの質の高さでした。チャラチャラした軽薄なドラマや、毒にも薬にもならないポリコレドラマばかりな日本では絶対に製作できない、ヘヴィでダークな社会派ドラマです。

 複雑で不可解な司法制度と裁判の進め方、不当な扱いを受けるマイノリティの絶望と荒廃、暴力と悪意に満ちた都会の底辺社会、無秩序な刑務所etc.アメリカの闇と病巣が、静かに冷ややかに描かれています。人間や社会そのまんまのような、いつも陰鬱なニューヨークの天気と空は、観てるほうも気が滅入ります。常に用心してないと人生がおびやかされる危険に満ちた街。そんな場所で生きてると、心も荒んだり病んだりしますよ。このドラマに出てくる人々も、みんな暗い鬱屈を抱えていて思いやりが希薄で、諦めや不信感でがんじがらめになってます。特に黒人たちがみんな、見た目もキャラも極悪、凶悪、卑劣。最近の映画やドラマの中の黒人は、いろんな配慮や忖度もあってか、魅力的で高徳な人物が多いのですが、このドラマでは黒人、怖い!と久々に思った。差別偏見につながる!と怒られなかったのでしょうか。

 誰が犯人なのか?よりも、逆境の中での主人公ナズの成長に重点が置かれています。成長といっても悪い形で、というのが怖くて面白かった。ひとの善い、優しく内気なフツーの青年が殺人容疑者になったことで、絶望や怒り、悲しみや不信感にまみれて無垢な心を奪われ、過酷な環境で生き抜くために強靭になる心身の変貌が驚異的でした。ナズを演じてるのは、近年躍進が著しいパキスタン系イギリス人俳優のリズ・アーメッド。エミー賞受賞も納得の素晴らしい演技でした。

 全然オーバーな熱演などしておらず、どちらかといえば台詞も動きも少ない、感情的に激するシーンもほとんどない、とても静かな演技なのですが、哀れな冤罪被害者がしだいに、ん?何かおかしい…うっすら放ち始める怖いヤバい雰囲気。何を考えてるのかわからない、近くにいるのに遠くにいるような表情。とにかく静かにミステリアスなのです。軟弱そうな青年からコワモテ野郎への変貌もインパクト強烈。そして何より、軟硬どっちの時もすごい美男子!大きな美しい瞳!極小顔!やっぱちょっとピエール・ニネに似てると思った。わりと小柄なのも親近感を抱かせる可愛いさ。

 それにしても。ナズって、魔性の男。彼に関わる人々は、ことごとく悲運、不幸に見舞われるんですよ。ナズには悪意や害意など微塵もないのに。明菜のTANGO NOIRじゃないけど、生きてるだけであなた罪な男~♪刑務所のボス囚人も、そういうナズの得体の知れない魔性に魅せられて、彼を寵愛したのでしょうか。人間って、何かのきっかけで別人になってしまう、いや、もともと覚醒してないだけの秘密の本性が誰にでもあるのでしょうか。刑務所でのナズは、ジャック・オディアール監督の「預言者」の主人公を彷彿とさせます。恐ろしいボスがナズだけには優しく親身で、それがちょっと不器用でホロ苦い片想いっぽいところに、腐はかすかなBLを感知します。

 ストーン弁護士役は、コーエン兄弟監督作品の常連だったジョン・タトゥーロ。クセの強いキャラを、ひょうひょうと好演。ストーンの孤独な日常と皮膚病が、悲痛かつ滑稽だった。アンドレアが遺した猫とのエピソードが、なかなか微笑ましかったです。殺人の真犯人よりも、猫がどうなるかが気になって。強さと引き換えに真人間には戻れなくなったナズのこれからの人生はいったい…という重苦しい余韻を残しながらも、猫のおかげでホっとできたラストも秀逸でした。

 ↑ 聴覚障害のドラマーを演じた新作「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」での熱演も高く評価され、オスカー候補も噂されてるリズ・アーメッド。ノミネートされますように!
 
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