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Channel: まつたけ秘帖
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サッカー&ジェントルマン

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 Netflixのイギリスドラマ「ザ・イングリッシュゲーム」を観ました。全6話。
 19世紀末のイギリス。労働階級の青年ファーガスは才能を見込まれ、親友のジミーとともにダーウェンのチームに移籍するが、プロ選手が認められていない中、報酬を条件にやってきた彼らをチームメイトたちは白眼視する。一方、上流社会のチームを率いる銀行家のキネアードは、社会と同様にサッカーの運営やルールにもある格差に疑問を抱き始めていたが…
 大人気だったドラマ「ダウントン・アビー」と同じ制作チームの作品だとか。ダウントンアビーもゲーム・オブ・スローンズ同様、いまだに観られずにいるシリーズのひとつ。どんなに面白そうでも、長いドラマは苦手なんですよね~。その点このドラマは、6話で完結というコンパクトさ。集中力と持続力のない私でも何とか完観できる長さです。

 19世紀にイギリスでサッカー(イギリスではフットボール)がどのようにして庶民も親しめるスポーツに発展したのか、どのようにして現在のような形に組織化されルールが制定されたのかが、イギリス映画&ドラマではおなじみ(お約束?)の上流階級と労働階級との格差を通して描かれていました。サッカーファンではない私でも、当時の今とは異なる驚きのサッカー事情はとても興味深かったです。当時はまだ上流社会の紳士たちが運営を牛耳ってて、プレーで金を稼ぐプロ選手は認められておらず、まるでラグビーのような荒々しく危険な行為もプレー中OKだったんですね~。

 サッカーの話も階級の格差の話も面白かったのですが、何だろう、あっさり薄口というか、いい人たちのいい話って感じで、誰が観ても差し支えのないポリコレなドラマだったのが、ちょっと物足りませんでした。悪人がまったく出てこない話って、やっぱ味気ないです。イギリスの上流社会ものって、優雅さの下に隠された冷徹で底意地の悪い欺瞞や偽善が魅力だと思うんですよね~。イギリスの上流社会ならではのスノッブさを楽しみたかったのに。

 プロのスポーツについていろいろ考えさせられました。お金で他のチームに移籍するファーガスが、カープから金満球団へ鞍替えする選手たちとカブって複雑な気持ちに。ファーガスにとって、サッカーは趣味でも娯楽でもなく、貧しい生活から脱し家族を養うための生活の手段。上流社会の紳士たちが唱える清く正しい精神論なんかクソくらえ。それはすごく理解できる。カープを捨てた選手たちも、きっとファーガスと同じなのでしょう。でもね~。ファーガスを信じてチャンスを与えたオーナーや、不平等さに目をつぶって彼を受け入れたチームメイトや、地元の新しいスターとして応援したファンにとっては、それはないんじゃない?!な悲しい裏切りですよ。スポーツは非情なビジネスでもある、そのことをあらためて思い知りました。

 キネアード役で、若手バイプレイヤーなエドワード・ホルクロフトがついに主演!威風堂々とした体躯と優しそうな雰囲気が素敵!19世紀のフォーマルなスーツとタキシードがすごく似合う!英国俳優はやっぱそうでなきゃね。サッカーのユニフォーム姿も爽やかでカッコよかった。誇り高いけど思慮深く思いやりにあふれている理想の紳士を好演していました。すごい美男ではないけど、ふとした瞬間にハっと魅入ってしまうほど美しく見える顔。ちょっと顔デカですが(奥さん役の女優の2倍ぐらいあるように見えた)威厳と知性を備えた風格ある人物の役は、小顔俳優よりもデカ顔俳優のほうが合ってます。誰かに似てるよな~と前から思ってたのですが、あ!元カープのエルドレッドだ!エルドレッド、カープの外国人選手屈指のイケメンでしたよね~。

 ファーガス役のケヴィン・ガスリーも、よく見えると可愛いイケメン。大柄なエドワードと並ぶと子どもみたいに小柄に見えるところも可愛かったです。ファーガスのチームメイトでデモを扇動する若者役のサム・キーリーもなかなかイケメンでした。キネアードの上流社会チームには美男もイケメンもいなかったのが残念。

 イギリス映画&ドラマファンにはたまらない、美しく優雅な衣装や屋敷、庭園などもたっぷり堪能できます。私は食事シーンがすごく好きなんですよね~。でもいつもあんな風にきちんと正装して礼儀正しく食事は、憧れるけど庶民の私にはキツいかも。労働階級側の生活描写も丁寧。私もパブで楽しく飲んでみたいです。

 ↑ 主演だってイケるいい男&いい役者!最新作の“Corvidae”は、これまた注目の英国イケメン、ジャック・ロウデン共演作!早く観たい!
 
 

革命女子

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 「マイ・レボリューション」
 共産主義者の両親に育てられたアンジェルは、仲間たちとの社会運動や恋愛、家族関係にも行き詰まり、田舎に移り住んだ母に会いに行く。活動と思想だけでなく自分も捨てた母に対して、アンジェルは長年わだかまりを抱いていたが…
 渡辺美里?と思った人は立派な高齢者です昨年のフランス映画祭で上映された作品。掘り出しもの的な佳作でした。社会や周囲の人々に激怒しまくってばかりのヒロインが、どことなく滑稽でクスっと笑えるユニークなコメディでした。

 何でもかんでも社会のせいにして、俗な生き方をしてる周囲の人々を否定したり責めたりするアンジェル。人間って生きてれば少々のズルいことやセコいこと、汚いことも避けられないじゃないですか。好きでそうしてるわけじゃないけど妥協も必要。それをヒステリックに指摘して糾弾するアンジェルの偏狭さ狭量さには、俗まみれな私からすると聞き苦しいキレイゴトとしか思えませんでした。あまりにも感情的で偏執的ともえいる頑固さなので、これって左思想礼賛映画ではなくその逆、左の人たちってこんなに変なんです!と嗤う内容なのかな、と思えました。

 でも、すごく真面目で一生けん命で、まったく私利私欲がないアンジェルのバイタリティや純真さには、好感と敬意を覚えました。私なんか一緒にいたら怒られてばかり、全否定されてばかりだろうけど、彼女みたいに大多数に流されない、長いものに巻かれない人も必要。史上最悪なアベ政権をうかうかと許してしまったことを、もしアンジェルに責めれても私たちには言い返す言葉もありません。それにしても、フランス人ってほんと議論好きですね!疲れる人たちですが、日本人ももっと自分の意見や信条をもって議論や行動をしてもいいのでは、とも思いました。ただし過激なのは反対。公共物に落書きをしたり、銀行で騒いで営業妨害するなど、迷惑行為も辞さないアンジェルの行動力は、やっぱ間違ってると思います。

 以前、左な人と親しくしていたことがあったのですが。すごい立派な理想や小難しい理論を滔々と語るくせに、平気で煙草の吸殻や空き缶をポイ捨てして私を呆れさせてくれました。大言壮語と矛盾するモラルのなさ、他人に厳しく自分に甘い、これって左の人に多いような気がします。エコロジストとして知られるレオナルド・ディカプリオとかも、政府や大企業には厳しいけどご自分はパーティー三昧、豪華ヨットやジェット機使用で、大量のゴミや排気ガスをまき散らしてるわけだし。

 アンジェル役のジュディス・デイヴィスは、この映画の監督も兼ねています。吉田沙保里を美人にした感じの顔?アンジェルに恋する保育園の園長さん役で、大好きなマリク・ジディが出演してます。マリくん、すっかりおっさんになっててちょっとショック。このハゲー!と豊田真由子に罵られそうな薄い髪が切なかった。顔も干しブドウみたいにカサカサシワシワ。でも、やっぱ可愛いです。少年っぽい可愛さと、大人の落ち着き、優しさがあわさった魅力。なにげなく、さりげなく女性を褒めたり意味深に見つめたりするところは、さすがフランス男。子どもたちと仲良しなシーンも微笑ましかったです。ヘンな踊りも笑えた。

 ↑こんなに可愛かったマリク・ジディも、すっかりおじさんに…でも、老いた容貌に逆らう若づくりや役をする日本の某スターと違って、若い雰囲気を保ちつつ包容力のある大人の男を演じるマリクは、やっぱハゲても素敵です
 

ベトナムに忘れもの

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 「ザ・ファイブ・ブラッズ」
 ベトナム戦争で戦った退役軍人のポール、オーティス、エディ、マーヴィンは、戦死した仲間ノーマンの骨と、ひそかに埋めた金塊を探し出すためベトナムに集結し、かつて激戦地だったジャングルに再び踏み込むが…
 スパイク・リー監督待望の新作。前作「ブラック・クランズマン」がゴキゲンな傑作だったので、ほんと楽しみにしていました。今回は珍しく(初?)アメリカを飛び出して海外が舞台。しかも、ベトナムのジャングルでお宝探しという冒険映画。スパイク監督、新境地開拓!かと思いきや、今も昔もアメリカでは黒人がどれほど非道い目に遭っているかを告発、糾弾する従来のスパイク節は今回も健在、炸裂していました。

 今回は黒人への差別偏見だけでなく、ベトナム戦争(ベトナム人はアメリカ戦争、と言ってるんですね)におけるアメリカの非道さも描いていました。アメリカでは被害者である黒人も、ベトナム戦争では加害者になってしまった、憎むべき白人どもに加担して奴らの共犯者になってしまった、という自責や苦悩を描いたことが、冒険テイストよりもスパイク監督の新境地だと思いました。当時の実際の映像が頻繁に挿入されるのですが、射殺の瞬間や焼身自殺、赤ん坊の惨殺死体など、目を覆いたくなるような地獄絵図に暗澹となりました。

 元兵士の4人は、はじめは無駄に元気なアクティヴ老人風なのですが、ジャングルの奥へ進んでいくと同時に暗い心の深淵にも踏み込んでしまい、実は辛い人生を余儀なくされて破綻してることが明るみになるのが悲痛です。心身の消えない傷もですが、ジャングルに遺された地雷も戦争の罪な遺産。地雷を踏んでしまいドガーンと木っ端みじんになるシーンが、かなりホラーでゲロゲロ(死語)です。今でも昔の戦争のせいで苦しんだり傷ついたりしてる人がいる現実を突きつけられ、それとは無縁に平和に暮らしてることに罪悪感を覚えずにはいられませんでした。ラストの黄金争奪戦、まるでベトナム戦争の再現みたいで皮肉な展開でした。結局は自分たちの利益のためには他者なんかどうなってもいい、血を流すことも辞さないアメリカは、ベトナム戦争後も不変だという痛烈なメッセージのようでした。
 シビアで悲惨な内容なのですが、決して暗くヘヴィな感じにならないところがスパイク監督の魅力、力量です。ポップで軽快なノリと演出、ソウルフルな黒人音楽が好き。ラストにカメラ目線で静止している登場人物が、ぐい~んとこっちに動かされてくる演出は、ブラッククランズマンでもありましたね。トランプ大統領いじりもお約束?

 いま最も好きな黒人俳優、陛下ことチャドウィック・ボーズマン主演!とのことで、期待に胸弾ませていたのですが、んんん?!チャドウィック、主演じゃねーし!戦死したノーマン役の彼、4人の回想シーンにチョコチョコっと出てくるだけ!ブラックパンサーとはまた違う彼の魅力を堪能できると思ってたのに!騙された気分あまりの登場シーンの少なさ、見せ場のなさにガッカリしましたが、小さな役ながらチャドウィックを起用した理由もよく解かる。4人の精神的支柱な存在で、死後もトラウマのような思い出と影響を引きずらせるカリスマな役は、フツーの黒人俳優では説得力が出なかったでしょう。

 チャドウィック、共演の黒人俳優たちと比べると、やっぱ顔面偏差値の高さが顕著。悲しそうで真面目そうな顔が、過酷な宿命を負った役にピッタリ。もともと可愛い童顔なのですが、爺さん4人に囲まれてるので余計若く見えた。ベトナム戦争時代も現代も同じ爺さん俳優たちが演じてるので、彼らの息子にしか見えないチャドウィックが仲間、しかもリーダー役ってちょっと違和感。カッコいいけどちょっとしか見られないので、チャドウィックのファンは消化不良、欲求不満になるかも。同じNetflix映画なら、出ずっぱりの主演作「キングのメッセージ」のほうが、カッコいいチャドウィックを堪能できます。

 実質の主役は、ポール役のデルロイ・リンドー。なかなか鬼気迫る熱演。善と悪、正気と狂気で混濁した複雑な内面が怖くて悲痛でした。地雷撤去作業グループの女性メンバー役で、フランス女優のメラニー・ティアリーが出演していたのには驚きました。フランス映画を観たらかなりの確率で遭遇する売れっ子女優の彼女、まさかのアメリカ映画、しかもスパイク・リー監督の作品でも出会うとは。4人が裏取引する怪しいフランス人商人役が、すっかり老けて太ったジャン・レノでした。
 ベトナムにも行ってみたい!美味しいフォーが食いたい!ミャンマーにはいなかったけど、ベトナムにはイケメンが結構いそう?

 ↑ イケてるチャドウィック画像、集めてみました~(^^♪ほんとカッコイイ&カワイイ戦国時代の日本で織田信長に仕えたと伝えられてる黒人役の“Yasuke”は、コロナのせいで撮影延期になったみたい?残念!制作まで中止にならなきゃいいけど。ロケで日本に彼が来たら、相手役とは言わん、足軽役のエキストラでいいので共演したい!コメディや恋愛ものにも出てほしいな~

かしましシスターズ

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 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」
 19世紀半ばのアメリカ、マサチューセッツ州。マーチ家の4人姉妹メグ、ジョー、ベス、エイミーは母と共に、従軍中の父が留守にしている家を仲睦まじく守っていた。ジョーは将来作家になるという夢を抱いていたが…
 原作の文学小説は、何度もハリウッドで映画化されています。これはその最新版。キャサリン・ヘプバーン版とウィノナ・ライダー版も秀作でしたが、才女グレタ・ガーヴィク監督によるこの最新版もなかなかの佳作でした。旧作よりも躍動感があって瑞々しく、それでいてレトロな映像で古き良き時代の雰囲気を醸していたところが斬新でした。女性の生き方、生き辛さについても考えさせられるメッセージ性もあって、女性の地位が高まり権利も認められるようになっているとはいえ、まだまだ女性にとって理不尽で不平等な現代社会にも通じる内容になってました。何でも社会のせい、男が悪いと声高に糾弾するガチなフェミニズム映画は苦手ですが、この映画のフェミニズムはあくまで軽快で爽やかだったので、ドン引きしたり気重にならずに観られました。

 ソフィア・コッポラ監督の作品とか、ガーリーすぎる映画は苦手。そもそも女の子になんか全然興味ないし正直、美人4姉妹よりもイケメン4兄弟のほうがいい!でもこの映画の4姉妹には、私が苦手な可愛いでしょアピールとかほどんどなく、見た目もキャラも逞しい男前女子だったので好感。貧困とか結婚とか、いろんな問題や試練にぶつかるマーチ姉妹ですが、良くも悪くも深刻さが薄かった。シリアスでヘヴィな生活苦とか家族の軋轢とか、実際に身をもって知ってる人たちからすると、マーチ家の人々はかなり恵まれているのでは。貧しい設定なのですが、その割にはきれいな家に住んで毎日きれいなドレスを着て、家事は女中にさせて仕事もせずに楽しそうに遊び暮らしていて、ちょっと困ったことがあればすぐに誰かが助けてくれる。苦労らしい苦労はほとんどしない彼女たちに、お嬢さまはいいね!と鼻白んじゃいました。そんな自分の心の貧しさがイヤです。マーチ姉妹のような高い精神こそ、幸せになるために必要なものなのでしょう。

 いつも明るく楽しく、愛にあふれているマーチ家ですが。素敵だなとは思いつつ、こんな騒々しい暮らしはゴメンだわ、とも。姉妹でイチャイチャするのもケンカするのも、すごい体力と気力が必要。マーチ姉妹の元気すぎる愛情、見ていて疲れました。愛にあふれた騒々しい生活より、愛はないけど静かな生活のほうがいい…な私って、つくづく可哀想なぼっち体質

 この映画、キャストがすごい豪華です!ほぼオスカー受賞者、もしくは候補経験者。実質のヒロイン、次女のジョー役で20代半ばにして4度目!のアカデミー賞ノミネートとなったシアーシャ・ローナン。ケイト・ウィンスレット路線ですね~。透明感がありながら、可憐な妖精とは真逆の凛々しく闊達な女丈夫。長身でゴツい体格も頼もしい。聡明で勇ましいけどデリケートな演技が秀逸。ラスト近くの、女の自立!とイキってはみたけどやっぱり不安、寂しい…と一度はフった男とヨリを戻そうとする、イタくてみっともない女心を表現する惑乱演技が、ほんとに素晴らしかったです。

 長女メグ役は、ハリポタでおなじみのエマ・ワトソン。初めて彼女がいい女優、きれいな女性に見えた。世間の美女扱いには疑問ですが、メグみたいな地味で思慮深い娘役だとしっくりきます。顔が極小!四女エイミー役のフローレンス・ピューの、おばはんみたいな豪快さと貫禄が強烈。それにしても。シアーシャはアイルランド人、エマとフローレンスはイギリス人。アメリカ人の姉妹役なのに。ハリウッドの若手女優の人材不足が深刻。ママ役は「マリッジ・ストーリー」でオスカーを獲得したばかりのローラ・ダーン、金持ちの伯母さん役は大女優メリル・ストリープ、隣家の金持ち爺さん役はクリス・クーパーと、ベテラン大物が脇役で出演。

 隣家の金持ち爺さんの孫ローリー役、ティモシー・シャラメがカッコカワいい!優雅な放蕩息子役が似合う。ヨーロピアンな貴族的雰囲気とアメリカンな明るさを併せ持った魅力。劇中の時代劇衣装も、ティモたんなら現代の私生活で着てもオシャレに見えるのでは。ティモたん、可愛いけどたまに細く色白くなったミスター・ビーンに似て見えたのは私だけ?ジョーが下宿先で知り合う大学教授役、ルイ・ガレルがイメチェンに近い好演。フランスの退廃王子だった彼が、優しくて温かい朴訥な男性役だったのが新鮮でした。英語もお上手!ティモたんといいルイといい、フレンチテイストな若手男優の起用もハイセンスな映画です。ローリーの家庭教師で後にメグの夫となる青年役は、「チャタレイ夫人の恋人」でヒロインの夫役を好演した英国俳優のジェームズ・ノートン。素朴で優しそうな、感じのいい俳優。オスカーを受賞した衣装も目に楽しい!

 ↑ ルイ&ティモ、フランス映画でも共演してほしいですね(^^♪

アイドルと文通

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 「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」
 母親とロンドンで暮らすアメリカ人の少年ルパートは、大好きなアメリカのスター俳優ジョン・F・ドノヴァンにファンレターを書き返事をもらう。それを機に二人のひそやかな文通が始まるが、それはやがて思いもよらぬ事態を招くことになり…
 コンスタントに新作を発表しているグザヴィエ・ドラン監督が、初めて英語で撮った作品。ドラ美の作品はいつも楽しみですが、この新作はいつも以上に待ち遠しかったです。だってだって、主演が大好きなキット・ハリントンだっちゅーの(古っ)!さすがドラ美、男優選びのセンスがええわ~。ドラ美の新作にキットが起用されたとのニュースは、激しく私を興奮させました。ドラ美とキットが仲良く一緒に仕事してる姿を想像しただけで、あらぬ妄想をかきたてられた人って結構いるのではなかろうか。かくいう私がそうです愛しのキットがどんな風にドラ美に料理されたのかしらん?WAKUWAKUしながら劇場へと急いだのでした。そういえば、キットを大きなスクリーンで見るのは初。

 キット、やっぱカッコいい、ていうか、可愛いですね~劇中劇で高校生を演じてるのですが、ぜんぜん違和感なかったです。童顔で小柄で可愛いけど中性的な美青年ではなく、ナヨナヨしたキャマっぽさとは真逆な、男くさい風貌との濃密な♂フェロモンが素敵。前から思ってたけど、キットって顔といいカラダといいゲイ受けも良さそう。今回は初のゲイ役?満を持してのゲイ役でしたが、ゲイゲイしさが全然ないところも腐やゲイの厳しいお目がねにかなっている要因ではなかろうか。

 存在自体がエロいキットなので、ちょっと裸になっただけで、ちょっと男とキスしそうになっただけで、ウホッ♡となってしまいますが、18禁レベルのエグいゲイのセックスシーンを見慣れている人にとっては、今回のキットのBL演技はかなり物足りないかもしれません。もともとドラ美は、男同士の性愛シーンを過激には撮らない人なので、まあこんなもんでしょとは思ったけど、やっぱキットのファンとしてはもうちょっと脱いで絡んでほしかった、というのが正直なところです。

 でも、キットのデリケートなコワレ演技は痛々しくも切なくて、じゅうぶんに胸がムズキュンでした。スターとしてキラキラしてる時のキット、転落して身も心もボロボロなキット、どっちも魅力的でした。彼も不幸が似合う俳優。小鹿みたいな黒目がちのつぶらな瞳が、悲しみや痛みが増せば増すほど美しく見えた。

 それにしても。ゲイであることに苦悩し、バレることを恐れてビクビクしてるジョンが哀れだったと同時に、すごいイラっともさせられました。ゲイであることがそんなに罪なの?恥ずかしいの?ひと昔前の話ならいざ知らず、今は堂々とカミングアウトして活躍してる俳優、いっぱいいるじゃないですか。ジョンにも自信をもって頑張ってほしかったです。あと、ルパート少年との文通がスキャンダルになってしまうのですが、スターと少年の文通なんて微笑ましいじゃないですか。素敵な美談にもできたはずなのに。ちなみにスターと少年との文通という設定は、ドラ美が少年の頃「タイタニック」のレオナルド・ディカプリオに恋をして彼にファンレターを書いた、というエピソードが元ネタなんだそうです。ドラ美さん、いつかレオを主演に映画を撮れるといいね!

 ジョンとルパート少年のエピソードが交互に描かれる構成なのですが。二人の家族(母親)との確執にほうに重きが置かれていて、会わなくても手紙で深まっていく精神的な愛情とか不思議な絆とかのほうを、もっと掘り下げて描いてほしかったです。愛情は深いけど、我が強く不器用な者同士なので激しく衝突する母と息子、といういつものドラ美な内容でしたが、従来よりはかなり解かりやすい関係というか、ベタな感動寄りになってたような。ドラ美のあの独特なけれんみは薄まってました。音楽の使い方も毎回こだわりを感じさせるドラ美です。

 この映画、キャストがなかなか豪華です。ルパート役は「ルーム」での名演も記憶に新しいジェイコブ・トレンブレイ。美少年ではないけど、感情の起伏が激しい演技が巧いですね~。キンキン声がちょっと耳障りでしたが。ルパートの母親役はナタリー・ポートマン。ナタポーもあんな大きな息子がいる役をやる年齢になったんですね~。ジョンの母役がスーザン・サランドンで、ジョンのマネージャー役はキャシー・ベイツと、ナタポーも含め大物オスカー女優が3人も出演してます。成長したルパート青年役ベン・シュネッツァーはイケメンではないけど、味のある風貌。ちょっと福くんをカッコよくした感じ?当初ルパート青年役はニコラス・ホルトが演じる予定だったけど降板したんだとか。残念ですが、ジェイコブくんが成長してニコラスになるって無理がありすぎるので、ベンで良かったとは思う。ルパート青年をインタビューする女性記者役のタンディ・ニュートンが美人でした。

 ラスト、ルパートをバイクで迎えに来た恋人って、まさか少年ルパートをいじめていた同級生のセドリック?!成長したセドリックに見えたのは私だけ?セドリック、異常なまでにルパートに執着してたけど、あれって男の子によくある好きだからいじめてたパターン?もしそうだったら、すごいハッピーエンドでほっこりします。

 ↑ お二人さん、なかなかお似合い♡腐った目の中では、イメケンのツーショットって常にBLカップルなのですキットはマーベルの新作「ジ・エターナルズ」、ドラ美は自身主演&監督の「マティアス&マキシム」が日本公開決定!楽しみ!

夜明けまでのBL

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 「White Night」
 数年ぶりにソウルに降り立った客室乗務員のウォンギュは、テジュンという男娼を買うがセックスはできず、テジュンに冷たい仕打ちをしてしまう。テジュンはそんなウォンギュに憤りながらも、どこか翳りのある彼を放っておず、朝まで一緒にいることに。やがてテジュンは、ウォンギュに起きたある悲痛な事件と、彼の深い心の傷に気づくが…

 ゲイのリアルで痛ましくもメロウな愛を描いた「後悔なんてしない」のイソン・ヒイル監督の作品。同性愛に厳しく不寛容ってイメージがある韓国ですが、同性愛を題材にした映画製作は活発で、なかなかの衝撃作や秀作も少なくありません。この映画のBLは「後悔なんてしない」ほど濃ゆいイタい激愛ではなく、一夜限りの刹那の関係。出会ったばかりの若者二人が、朝までというタイムリミットを設けて一緒に行動し、やがて離れがたくなっていく…といった内容は、どこか名作「恋人までの距離」を思い出させます。

 「恋人までの距離」の男女と違い、この映画の男二人は寡黙で、本音とか心情などはほとんど口にせず、その沈黙がイタくて重い心の裡を饒舌に語ってるみたいでした。二人のバックグラウンドとか、説明らしい説明はほとんどなく、若いゲイの男二人が寒い夜の街を彷徨う様子を追うシンプルな内容には、男同士のアンなことコンなことや、キラキラドキドキなBLが好きな腐にはかなり物足りない、退屈かもしれない映画。凍えるような夜を通して浮かび上がってくるウォンギュの過去も暗くて重い。いくら昔よりもLGBTへの理解が深まり社会的権利も認められているとはいえ、まだまだ嫌悪や軽蔑も根強いのが現実なんですね。二人が彷徨う寒い夜の街が、ゲイが宿命づけられている孤独や悲しみ、虚無感とカブりました。

 ウォンギュの閉ざされた心や屈折した言動よりも、傷つけられても冷たくされてもウォンギュを許して寄り添うテジュンのけなげさ優しさ、ていうか人の善さ、いや、ドMさ?にほうが理解に苦しんだ。あんなにイケメンで心優しいのに、底辺生活から這いあがれず男娼をせざるを得ないテジュンに、やっぱ韓国の格差社会って険しく深刻だな~と暗澹となりました。

 ウォンギュ役のウォン・テヒは、ちょっと若い頃の近藤芳正似でイケメンではないけど、韓流俳優らしく長身でスタイルがいい。スチュワードの制服姿もカッコよかったです。テジュン役のイ・イギョンが、ワイルドスウィートなイケメン。エグザイルにいそうな風貌。彼も背が高くてスタイル抜群。ホテルでのセックス未遂シーンでは、二人とも大胆な全裸になって絡んでます。イ・イギョンの浅黒い艶肌と乳首、パンツを脱がされるシーンがエロかった。BLシーンはもうひとつ、公園のトイレでのファックシーンがラスト近くにあります。公衆便所での行為って、某タレントもヤッてたみたいですがありえんわ~。汚いし、他の人に迷惑でしょうが!公衆トイレでエッチはダメ!ぜったい!

イケメン執事は見た!

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 「執事の人生」
 20世紀初頭のポーランド北部。ドイツ人貴族クラウスの妻ゲルダは、生まれてすぐに母親を亡くした赤ん坊をマテウシュと名付け、自分の子どもたちと一緒に育てる。成長したマテウシュは執事となり、クラウス家の人々と共にポーランド独立やナチスの台頭など、激動の時代に翻弄されるが…
 去年のポーランド映画祭で上映された作品。いまだに一般公開されてないとか、ありえない!動乱の歴史ドラマ、貴族、イケメン、と映画ファン(特に女性)が食いつく要素がそろってる秀作なのに!

 20世紀初頭のヨーロッパ、壮美な屋敷で繰り広げられる貴族と使用人たちの人間模様。ポーランド版「ダウントン・アビー」?美しい自然に囲まれての優雅な貴族生活、衣装、お屋敷や庭園、退廃的で隠微な愛憎関係…ああ、私のような庶民には無縁な夢の世界。一度でいいから大勢の召使にかしずかれながら、美しく文化的な生活をしてみたいです。でも。この映画の一族がたどった運命は、庶民に生まれてよかった!と心の底から思わせました。この映画、はじめは貴族一家の人間関係やトラブル、主人公とお嬢様の恋などハーレクイン調に話は進むのですが、中盤になってじわじわと魔の手(戦争)が忍び寄り、やがて怒涛の勢いで悲劇が襲い掛かってくるんですよ。あっと言う間に津波に飲み込まれてしまう、美しい夢が悪夢に変わってしまった…そんな感じです。

 戦争の悲劇を描いた映画を観るたびに、こんなことが本当に起きたなんて信じられない、信じたくない、と心が沈んでしまいますが、この映画も本当に苛烈で残酷でした。森の中での虐殺とか、静かで清涼な風景と雰囲気の中で撮られていたのが出色、かつ悲しみや恐怖をいっそう際立たせていました。ロシア軍がクラウス邸に乱入してくるラストの悲惨さ無残さ、その救いのなさに暗澹とならずにはいられませんでした。ナチスやロシア軍の蛮行は、まさに鬼畜の所業としか言いようがありません。犠牲者や生き残った人たちの無念を思うと憤懣やるかたないけど、罪もない人たちを残虐に屠った多くの元ナチスやロシア軍人が戦後、平然と豊かに生きたことにも深い絶望と虚しさを覚えます。

 2時間半もある長い映画なのですが、まったく退屈しませんでした。終わった時は、まさに夢から覚めたような余韻。鑑賞後の心地よい疲労感とか、なかなか最近の映画では味わえません。時代に翻弄され蹂躙される人々の悲劇を、決してお涙ちょうだいな湿っぽさで描かず、どんなシーンもあくまで美しく流麗に描いていたのがこの映画の魅力です。めくるめくカメラワークも素晴らしかったです。乗馬シーンが多いのですが、馬で疾走するのって怖いけど気持ち良さそう。

 カブる部分が多いダウントンアビーとどうしても比較してしまうのですが、共通点も相違点も興味深かったです。イギリス貴族ほど気どったり上品ぶったり抑圧したところがなかった。マテウシュが一緒に育った伯爵令嬢(財前直見似)と恋に落ちるのですが、身分違いの苦しみとか、本当は姉弟かもしれない二人なのにという禁断感も薄く、周囲も二人の恋を静観しているところが大らかで驚きました。日本だと犬神家の一族か悪魔の手毬歌みたいな話になるところです。

 当主のクラウス伯爵が人間くさいおっさんで、なかなかチャーミングでした。毅然と気高くも思いやり深いゲルダが素敵な女性でした。変態+ゲイな長男のお騒がせ言動も話を面白くしてます。彼の末路はヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」を思い出させました。歴史に疎い私なので、当時のポーランドがどういう状況にあったのか全然知らず、ポーランドの貴族なのにドイツとやけにつながってるな~と不思議に思ってたら、クラウス伯爵はドイツの貴族だった!と中盤頃になって知るというテイタラク。ポーランドの複雑で悲しい歴史の勉強にもなりました。

 主人公の執事マテウシュ役のセバスティアン・ファビアンスキがイケメン!クールな野性味があって、鋭い目つきや鋼のような長身の肉体など、ユルんだ感じが微塵もないシャープな風貌。スウィートな王子さまではなく、どちらかといえば悪役のほうがハマりそうな酷薄な美しさ。ヘルムート・バーガーをワイルドに、内野聖陽をキツくした顔に見えたのは私だけ?ラフなシャツ姿もパリっとした執事の制服も、まるでモデルのような着こなし。執事って有能でもブサイクだとなれない職業なの?ブス男の執事って見たことないですよね~。10代20代のシーンはちょっと無理もあったけど、30代40代のシーンの彼はクールにシブくてカッコよかった!あんな執事いたら、夜伽を命じますわ

 ↑ポーランド俳優のセバスティアン・ファビアンスキ。冷たくて鋭い男らしさがイケてますね。アメリカ映画に出たら確実に悪役やらされますね。似合うと思うので見たい!

BL暴力教室

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 「夜間飛行」
 ソウル大学進学を目指す優等生のヨンジュは、同性愛者であることに苦悩していた。同じ高校に通うギウンは、中学生の頃はヨンジュの親友だったが、いつしか心を閉ざし暴力的な不良となっていた。ギウンに恋する気持ちを抑えられないヨンジュだったが…
 「後悔なんてしない」「White Night」のイソン・ヒイル監督作。うう~ん…この映画もいろんな意味で重い、つらい映画でした。ゲイであることって、あそこまで蔑まれ虐げられなきゃならないの?LGBTに対して狭量で不寛容な、ヨンジュをあそこまで不安にさせ恐怖に陥れる韓国社会にあらためて戦慄。そして、韓国人の異常なまでの暴力性にも。韓国人の自分より弱い者への悪質で下劣なパワハラやモラハラは、実際のニュースでもよく見聞きしますが。暴力にも民度があると思います。韓国人の暴力は世界でも類を見ないほど民度が低い。日本にも思いやりのかけらもないクズはたくさんいますが、韓国に比べればまだ甘い。この映画での弱者いじめは、本当に心肝を寒からしめるものがあります。こんな高校生が将来、社会を動かす大人になる韓国って。真の先進国になれない理由が、この映画で描かれていたように思われます。

 生徒もだけど、教師も異常でした。韓国がシビアな学歴社会であることはよく知られていますが、『今は友人は必要ない』とか『フライドチキンを食べるのは上流、配るのが中流、作るのが下流』なんてことを平然と生徒にのたまう教師たち、日本にもいるのかな?!ギウンへの教師の言動とか、日本ではありえない。あんなことしたら、日本だと一発でアウトですよ。韓国では本当にあんなのがフツーみたいですね。今の韓国を見て、さもありなんと納得もします。

 甘く切ないハイスクールBLを期待して観ると、とんでもないショックと失望を味わうことになるので要注意。とにかく男子校でのいじめ描写が容赦なくエグい。肉体的精神的に人間性全否定。人によっては観るに耐えないかも。暗く複雑な家族の問題があるにせよ、そこまで暴力的になる?!なギウンの荒んだ心が不可解。彼のような社会的には底辺弱者にとっては暴力こそが処世術、暴力で立ち向かわないと生き延びられない、という現実にも暗澹とさせられます。そんなギウンを想い、どんなに冷たくされても酷い仕打ちを受けても、ストーカーのようにつきまとうヨンジュも理解できなかったのは、私が彼のように誰かを深く強く愛したこともなく、死と隣り合わせのような絶望にも沈んだことがないからでしょうか。ギウンが頑なな心をヨンジュに開きそうで開かないのが、もどかしくも痛ましかったです。

 苦悶と葛藤の末に、やっとヨンジュへの愛に目覚めたギウンがとった行動が、衝撃的なカタルシス。やっちまったな…という苦々しさと同時に、縛り付けられていた世界と決別できたような開放感もありました。ラストのギウンとヨンジュが辿り着いた愛は、同性愛というより精神的な友愛のようでした。二人がハッピーなゲイカップルになるとは思えませんが、孤独な人生を歩むことはないだろう、というほのかな希望の余韻を残して終わったので安堵しました。

 ヨンジュ役、ギウン役を演じた俳優は、この映画に出るまでは演技経験がないモデルだったとか。自然かつエモーショナルで、ほとんど素人とは思えぬ好演。長年映画やドラマに出てるのに、大根なままの日本の自称俳優たちよりは断然上です。二人とも高校生に見えない(特にギウン)のがちょっとアレですが。ギウン役の子は日本の昭和のにおいがする色気ある男でした。キスやセックスといったBLシーンはほとんどなし。ヨンジュとギウンが結ばれるシーンとかあってもよかったのでは。


梨泰院クラス①~⑤ いがぐり頭は漢(おとこ)の勲章

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 大人気を博したドラマ「梨泰院クラス」ついに鑑賞スタート!第1話から5話まで観たニダ!

☆夜の街関連
 イテウォンって、日本でいうと六本木とか西麻布みたいなところ?ちょっとダブリンのテンプルバーを思い出させる雰囲気。コロナ禍でなければ今頃、ドラマに影響された多くの日本人でにぎわってたんでしょうね。
☆いがぐり
 主人公パク・セロイ。寡黙だが思いやり深く正義感も強い男。パク・ソジュン、髪型がインパクトありますね~。あれ、ヘタなオシャレヘアスタイルよりセットするのが難しいのでは。パク・ソジュンだからカッコよく見えるけど、一般人の男がやったら大事故になりますよ。お笑い芸人が受け狙いでやるのにはぴったり。パク・ソジュン、小顔で長身でスタイル抜群で惚れ惚れする体型ですが、高校生には見えんぞ。制服がコスプレ。クラスメートの女子高生のメイクが濃すぎる。

☆韓国の高校って
 教師の体罰といい、いじめといい、いつの時代だよ?!な時代錯誤な非道さ。金持ちの息子をちょっと殴っただけで退学とか、土下座して謝ればそれを撤回するとか、日本じゃありえん。
☆ゲスとクズ
 貧乏人は犬だと思え、セロイは犬でおまえは人間。後にセロイの敵となる大手食品会社長家の社長さんが、バカ息子にのたまう台詞が韓国ならでは。強権的な怖い親父に怯えるバカ息子、というのも韓国ドラマではおなじみの設定。セロイの父を轢き殺してしまうバカ息子ですが、身代わり出頭がまかり通ってしまう警察の無能さとか、金持ちと警察がクズなのも韓国ドラマではお約束。

☆鬼父
 長家の社長、日本のドラマではまず出てこない狂気の鬼畜キャラで面白いです。バカ息子に鶏の首をチョン切るよう命令したり、自分の息子の人格を全否定する罵倒など、パワハラとかモラハラなんて可愛いもんじゃない、凶悪すぎる精神的虐待です。
☆前科者
 出所したセロイ、ハロウィンで盛り上がってるイテヨンでスアと偶然の再会。以後、彼女と偶然会うシーンが頻発。偶然の乱発も韓国ドラマのお約束。セロイのピエロメイクが可愛かった。スア、柴咲コウ似の美人なのですが、ファッションセンスが酷い。ピンクのスーツとか悪趣味すぎる。

☆タンバムの仲間たち
 セロイの店の従業員、ムショで同房だった元ヤクザのスングォンが好きです。ブサイク呼ばわりされてるけど、どこが?!カッコいいじゃん。コックのヒョニ(あいみょん似)はボーイッシュなギャルかと思いきや、トランスジェンダーの男だった!女優がやってるので男設定は無理がある。女の子みたいな可愛い俳優がやればよかったのに。
☆パーソナリティ障害
 実質のヒロインであるイソが登場。ソシオパスの天才少女。ゲスやクズをギャフンと言わせる賢さが痛快ですが、美人設定には????オカメ顔でどちかかというとブスです。白石加代子みたいな個性的な顔。長家の社長の庶子であるグンスとのやりとりは、猟奇的な彼女もどき。

☆キャットファイト
 セロイをめぐって火花を散らすスアとイソ。互いを牽制したり皮肉をかましたり、どっちも性格が悪いところが面白いです。
☆セロイとならラブホテルのほうがいいけど
 バックにソウルタワーが見えるバーがいい感じ。いつかまた韓国に行けたらあのバーで飲んでみたいです。

★総括
 評判通り、面白いです!サクサク観ちゃいます。でも、ストーリーもシーンもキャラも、これまでの人気韓国ドラマのいいところを上手にパッチワークしたかのような、どっかで見たことがあるようなデジャヴ感があるのが気になります。
 セロイがとにかくカッコいいですね~。あんな男、絶対いないよ。ほとんど宇宙人。セロイの優しさと強さに惹かれて子分になっていく人々、まるで桃太郎に従う動物たちみたいです。パク・ソジュンのカッコつけないカッコよさが素敵です。前作のキム秘書より断然いいです。クールでストイックで男らしいのに童貞っぽい、という役が似合うところが可愛いですね。このドラマでは無駄脱ぎはなしっぽいのが残念。

 聖子ちゃんカットならぬセロイカット、流行るには独特すぎるけど素敵!

欺瞞警察

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 「悪のクロニクル」
 昇進を目前にしていた刑事のチェは、利用したタクシーの運転手に襲われ彼を殺してしまう。証拠を隠滅してその場を去ったチェ刑事だったが、翌朝クレーン車に吊るされた死体が警察署の前で発見され…
 出世や保身のために殺人を隠蔽したり証拠を隠滅したり、他人に罪をなすりつけようとしたり、挙句の果ては邪魔者を殺したり。フツーならこんな刑事いるわけがない!と嗤うところですが、韓国ならありえそうなところが怖いです。韓流映画&ドラマの警察って、暴力団、財閥と並ぶ3大悪の巣窟。正義の味方どころか庶民の敵なクズ刑事ばっかですもんね。今までいろんな腐った刑事、極悪刑事を見てきてるので、この映画の主人公には特に衝撃は感じませんでした。悪い刑事や凶悪犯罪よりも、捜査における警察の無能さのほうが怖いです。過去の青酸カリ大量殺人事件の捜査も杜撰すぎ。あんな乱暴かつ安易な犯人でっち上げ、証拠捏造、冤罪とか、昭和の日本ならたくさんあったかもしれませんが、現代ではありえない。でも韓国なら今でも。この映画もそんな韓国社会の粗さ、非道さを感じさせてくれました。

 復讐のために刑事になる、というのも韓流映画・ドラマではよくある設定ですが。あんな凶悪重大犯罪に関わる人物が、警察官になれるなんて驚き。身元調査とか厳しそうだけど、そういうところも韓国ってユルいのかな。真犯人が殺人を犯すシーンがないので、いったいどうやって周囲の目をごまかして、死体を警察署前の工事現場のクレーンで吊るすとか手間暇かけた大胆なことができたのか、はしょりすぎ、手抜きすぎでトホホ。チェももっとダーティでダークな刑事にしたほうがよかったのでは。あんな正義感ある善人までもが人の道に外れてしまうには、動機がちょっと薄かったような気がします。私も外道になってしまうほどの悪魔的な甘い汁、吸ってみたいものです。

 ↑ 梨泰院クラスではありません
 さらに残念だったのは、真犯人の共犯者が同性愛者で、真犯人への愛のために犯罪に手を貸す、というジューシーな設定も活かされていなかったこと。真犯人との絡みもほとんどないし、いったい何のためのゲイキャラなんだよ。描きようによっては、危険で破滅的な愛のドラマになり得たのに。ライトでもいいので腐のためにBLシーンがほしかった。
 主人公のチェ刑事役のソン・ヒョンジュ、「梨泰院クラス」のセロイ父じゃん!「キツネちゃん、何しているの?」とか彼も韓流ドラマでよくお見かけするベテラン俳優です。主演作を観たのは初。ちょっと柄本明似?おっさんだけど背が高くてメタボ感がない体型はさすが韓流男優。
 この映画を観たのは、はい、もちろん彼、梨泰院のセロイことパク・ソジュン目当てですよ~

 チェ刑事の部下ドンジェ役、ブレイク直前のソジュンくん。今よりちょっとだけ初々しく素朴でおぼこく見える顔が可愛いほんと顔が極小で、手足が長くてスラっとした抜群のスタイル。脱ぎシーンは皆無ですが、筋肉質そうな細マッチなのが着衣でも判ります。今は若き兄貴キャラを確立してるソジュンくんですが、この映画では末っ子な弟キャラで、上司や先輩にイジられて恐縮したり、可愛がられて照れたり嬉しそうだったりする表情や笑顔がキュートでした。小学生みたいな髪型も可愛い。

 ソジュンくんの先輩刑事役は、肉体派俳優として今をときめくスター、マ・ドンソク。プロレスラーみたいな魁夷さ。日本のドラマの刑事にはまったくリアリティがないけど、マ・ドンソクみたいな風貌の刑事は実際にも多そう。ゴツすぎる迫力の肉体、怖すぎるコワモテですが、チェ刑事を兄貴と慕う様子が微笑ましく可愛かったです。

 ↑ 今や新作が最も待たれる韓流スターに成長したソジュンくん。日本のタレントでもできるような無難な役や演技ではなく、あっと驚くような挑戦を期待したいです。まずは若くてきれいなうちに全裸濡れ場冷酷な役も似合いそうなので、魅力的な悪役とかもぜひ

イケメン&コンスピラシー

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 「ブレイム・ゲーム」
 ドイツ連邦情報局の諜報員マーティンは、アメリカが追っていたテロ組織の情報を入手する。その直後に起きた報復テロの犠牲者の中には、マーティンの恋人で記者のオーリスも含まれていた。危険なネタを握っていたらしいオーリスの死の裏に隠された真相を追うマーティンは、やがて巨悪の陰謀に巻き込まれ…
 ヨーロッパにおけるイケメンパラダイスといえばイギリス、と相場が決まってますが。ひそかに地味に穴場なのがドイツなのです。ドイツにも素敵なイケメン、男前がぎょうさんいるんですよね~。最近のmyお気にNo.1はヤニス・ニーヴナーくんですが、このドイツ映画でまたまたいい男を発見しました!主人公マーティンを演じたロナルト・ツェアフェルトです。いわゆるイケメン、美男子ではないのですが、男前です。ラッセル・クロウにそっくり。ラッシーをもっと長身にして、顔を優しく可愛くした感じ?ふとした瞬間には、大森南朋に似て見えることも。ほどよく濃くて、柔らかに男くさい風貌は私好みです。

 有能で経験豊富な男だけど完璧ではなく、ダメなところも多い。そういう大人の男が好き。ロナルトはそんな役が似合う俳優。仕事はデキるのに私生活では失敗ばかり、陰謀に巻き込まれて満身創痍で奮闘する勇ましさ、油断や隙もあるので酷い目にも遭う姿の情けなさ。いい男はカッコいいだけじゃダメ。可愛さもないとね。190㎝もある巨体は頼もしいけど威圧感はなく、ぬいぐるみの熊さんみたいな温かさにもほっこりさせられます。デカくて強そうな彼が上司や元妻、恋人などキツそうな女たちにやいのやいの言われて困惑したりしょんぼりしてる様子も胸キュンでした。若者でもなく熟年でもない、どっちの良い部分も併せもった、男としては最も魅力的な時期にある彼みたいな俳優が好きです。

 この映画にはもう一人、いい男が出演しています。「ゲーテの恋」や「顔のないヒトラーたち」での好演も忘れ難いアレクサンダー・フェーリングです。爽やかで優しそうなイケメンである彼が、今回は鼻もちならないエリート役。マーティンにイヤミったらしい態度をとる役なのですが、全然ヤな男には見えません。やっぱすごい優しそう。ゲスやクズ、悪い役はできそうにない風貌です。犬猿の仲だったマーティンと彼が、中盤になってタッグを組んでいい感じな相棒になった矢先に、えええ~!?悲惨すぎる末路を遂げてガーン

 企業や中東のテロリストとの関係や陰謀など、ドイツのお偉いさんたちも随分と腐ってますね~。テロを防ぐのではなく、テロを利用するやり口も怖い。一般人なんか犬猫も同然なんですね。ドイツといいイギリスといいフランスといい、テロが起こりやすいヨーロッパの不穏で危険な土壌に比べ、日本ままだまだ安全で安心して暮らせるな~としみじみ思いました。

 ↑ ロナルト・ツェアフェルト、1977年生まれの現在43歳。「アイヒマンを追え!」「あの日のように抱きしめて」も観ねば!

 ↑ アレクサンダー・フェーリングは、巨匠テレンス・マリック監督の「名もなき生涯」にも出演してるみたいですが、マリック監督苦手なんですよね~。ぜったい眠くなるから。愛しのヤニヴ(ヤニス・ニーヴナー)主演のTVドラマ“Beat”にも出てる!ヤニヴとアレクサンダーの競演、美味しすぎるでしょ!Netflixあたりで放送してくんないかな~

教会で少年が汚された…

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 「グレイス・オブ・ゴッド 告発の時」
 少年の頃に神父から性的虐待を受けたアレクサンドルは、加害者のプレナ神父が今も子どもたちに聖書を教えていることを知り、彼を告発する決意をする。やはりプレナ神父の被害者だったフランソワは、被害者の会を立ち上げプレナ神父を庇護するカトリック教会を糾弾する運動を始めるが…
 フランソワ・オゾン監督の社会派映画って、珍しい、てういか、初?これまでの作品とは毛色が違っていたのが、意表を突いていて興味深かったです。常に新しいジャンルや手法に挑みながらも、その独特さ特異さは保っているところに、オゾン監督の豊かな才能を感じます。この新作は実話ベースの内容であるためか、いつものような現実と妄想がスタイリッシュに入り混じった作風ではなく、ごくごく真面目な正統派テイストに仕上がっていて、オゾン監督こんな映画も撮れるのねとそのオールマイティぶりに感嘆。私はいつものオゾン監督の、あのちょっと洗練された珍妙さが好きなので、それが排除されてたのはちょっと寂しく物足りなかった、けれども、現実的な人間関係や社会事情を描いたドラマにとしては上質で、あらためてオゾン監督の非凡さを証明した映画と言えるでしょう。

 この作品、オスカーを受賞した「スポットライト 世紀のスクープ」と同じ題材を扱っているのですが、記者視点のスポットライトと違い、こちらは被害者視点なので、起こった悲劇がより生々しく痛ましく伝わってきました。プレナ神父に狙われ怯える子ども、プレナ神父に選ばれ逆らえず連れていかれる子ども…はっきりとした虐待シーンはありませんが、これから起こるだろう忌まわしい出来事を想像させるシーンの数々に、やめて!逃げて!と叫びたくなるほどの緊迫感と恐怖に襲われ、さながらサスペンス映画、いや、心理ホラー映画な要素も。とにかくプレナ神父がおぞましくて不快!いたいけな子どもを性的いたずら、強姦だなんて、殺人より許せんわ。畜生以下ですよ。小児愛者がよりによって聖職者になるとか、ほんと信じられません。百歩譲って、小児愛は病気で罪ではないと認めるとしても、自ら小児愛と気づいていて子どもと深くかかわる仕事をするとか、もう子ども目当てとしか思えません。糾弾するほうが非情なのでは、と勘違いしてしまいそうになるほど、プレナ神父がおどおどと弱々しい哀れな老人風なのも腹が立ちました。自分の行為は認めても、それは病気のせいだから悪事ではない、神父も辞めない、という彼の言い分には心底吐き気がしました。

 プレナ神父を守る、庇うというより、のらりくらりと波風を避けようとするカトリック教会の体質にはイラっとさせられます。決して強権的になったり圧をかけてきたりはせず、優しげに理解ある風を装って自分たちの不利になることはしない、という教会の欺瞞、偽善には神も仏もない絶望を覚えます。
 主人公3人の癒えないトラウマに胸が痛みましたが、彼らの苦悩をひたすら暗く重く描くのではなく、正義のため誇りを失わないために戦う彼らの姿は、勇ましく快活でさえありました。立ち上げた被害者の会での集会とか、知的かつ和気あいあいとした雰囲気で、ワインとか軽食とかフレンチな小粋さ。ちょっと不謹慎なほど楽しそうだったり。激しい口論、討論もフランス人らしかったです。
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 3人の奥さんたちがみんな協力的で、アレクサンドルの長男と次男が少年とは思えないほど冷静に理解を示す様子に感銘を受けました。逆にアレクサンドルの両親とエマニュエルの父の無関心さにはゾっとしました。自分の子どもが傷つけられたのに、あの冷淡さはないだろ~。あの親たちが怒って行動してくれてたら、トラウマもちょっとは軽減されてたでしょうに。
 主演の3人がそれぞれ素晴らしい演技!4部構成みたいになっていて、1部がアレクサンドル、2部がフランソワ、3部がエマニュエル、最終部が3人一緒、という感じ。アレクサンドル役は、「ぼくを葬る」以来のオゾン監督作主演となったメルヴィル・プポー。

 美青年だったメルヴィルもすっかりおじさんになりましたが、今でも美しいしカッコいい。素敵な熟年になりました。フランスの中年俳優にしては珍しく、スレンダーな体型を維持してます。5人の子持ち役にしては生活感が希薄なところもトレビアン。フランソワ役は、「ジュリアン」での怪演が忘れ難いドゥニ・メノーシェ。今回は正義感と活気あふれる役。アメリカならブサイク役か悪役専門な風貌の彼が、キレイな奥さんが当たり前のようにいて仕事もデキるいい男の役、も違和感なく演じてる。役者も見た目よりも実力重視なフランス映画らしいキャスティング。スカーフを小粋に巻いてるのもフランス男って感じでした。

 メルヴィルもドゥニも好演してましたが、やはり最優秀だったのはエマニュエル役のスワン・アルロー。虐待のせいで身も心も人生もズタボロになってしまった男の荒廃と絶望には、同情よりも不気味さを覚えさせる。そんなザワつく演技が強烈でした。発作を起こしてバタリ&ブルブル姿がリアルすぎ。この人ほんとに大丈夫なのかな、と不安にさせる見た目、表情、言動など、デリケートすぎる演技に目がクギづけ。すごい個性的な顔(佐々木蔵之介を鋭く超神経質にした感じ?)は、役のせいもあって怖いのですが、アップになった時とかハっとなるほど美しくも見える不思議な顔でもあります。特にプレナ神父との対面シーンでは、痛ましくも美しく見入ってしまった。だんだん心を開いて明るくなっていく様子がすごく可愛かったり。今やフランス映画界屈指の演技派としての評判は耳にしていたけど、予想以上のすぐれものだった。彼はこの作品でセザール省の助演男優賞を受賞。主演男優賞を獲得した旧作「ブラッディ・ミルク」の彼も素晴らしいと評判なので観たい!

 真面目な社会派映画でしたが、脇役やチョイ役、モブに至るまで目を惹くイケメンや男前が散りばめられていたのが、やっぱマドモアゼル・オゾンらしくニヤリ。アレクサンドルの友人役は、ちょっと濃い目のいい男エリック・カラヴァカ。アレクサンドルの息子二人も可愛いイケメンだったし、アレクサンドルが告訴をすすめる元被害者のイケメン青年や、フランソワの兄もシブい美男だった(弟と似てなさずぎ!ほんとに兄弟?!)子役もみんな可愛くて、演技とは思えぬほどナチュラル。厳かで美しい教会や儀式、心温まるクリスマスの風景には、おぞましい悲劇を忘れてしまいそうになります。 


禁断♡ブラザーインセスト

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 残暑お見舞い申し上げます!
 お盆ですね。お墓参りに行きました。来年はきっと私、この中に入ってる…そう思いながらもう何年もお参りしています。
 夕方でも猛暑。小高い墓場から臨むK市の港には、戦艦大和の勇姿が。夏の終わりの幻?それとも暑さで蒸れた脳みそのせい?

 皆さま、まだまだ暑さもコロナも続きますが、何とか乗り越えて秋を迎えましょう!

 「Do Começo ao Fim」
 医師のジュリエッタは、先夫との長男フランチェスコと、再婚相手との間にもうけた次男トマシュが親密すぎることを心配していた。大人になった兄弟は、母の急死後に恋人同士となるが…
 禁断愛にもいろいろありますが、究極のタブーといえばやはり近親相姦でしょうか。父と娘、母と息子、兄と妹、姉と弟…近親相姦を描いた映画はたくさんありますが、兄と弟のそれはあまりお見掛けしません。ディープな腐女子には人気ジャンルみたいですが、同性愛+近親相姦だなんてどっちかだけでも濃密なのに、どっちもだなんて盛り込みすぎて聞いただけで臆してしまいそうになります。でもこの映画ったら、そんな禁断感など微塵もないんですよ。映画のタイトル(英訳すると“From Beginning to End”)通り、最初っから最後までスウィートでハッピーな兄弟なのです。あまりにも明るく幸せそうなので、血のつながった兄弟であることを忘れてしまいそうになります。

 兄弟で、男同士で愛し合うことに対して、まったく躊躇も葛藤も苦悩もなく、至極当然のように身も心もLOVE LOVE LOVE状態でイチャイチャしまくるフランチェスコとトマシュに、あんたたちホントにそれでいいの?と心配になるやら呆れるやら。親にも周囲にもコソコソせず堂々としてるのが、私には理解しがたかった。同性愛はまだしも、近親相姦はどこの世界でも禁忌だと思ってたけど、ラテンの国々ではそこまで罪深いことではないのかしらん?子どもができてしまうかもしれないから、男女の近親相姦は危険でおどろおどろしいけど、兄弟だとそれがないからまだ深刻さが希薄なのでしょうか。でも姉妹の近親相姦とか想像しただけでゾっとするけど…

 両親もほぼ公認、誰はばかることなく熱く見つめ合ったり密着して踊ったり、さすがにキスとセックスをするのは二人きりの時ですが、何の障害も障壁もなく愛し合うフランチェスコ&トマシュなので、別に兄弟設定にしなくてもいいのでは?とも思った。せっかくの近親相姦同性愛という特殊すぎる設定なので、そこでしか見られないような背徳感や罪悪感、苦しみや痛み、家族や世間との軋轢とか描いてほしかったです。あまりにもヘヴィでディープなBLは苦手ですが、フツーの男女とそんなに変わらないようなBLは味気なくつまんないです。同性愛のように、いずれは近親相姦も特別なことじゃなくなる時代が来るのかな。それ、嫌かも。最低限の道徳観とかやってはいけないことも、人間には必要だと思うのだけど…

 兄も弟も非一般人な美形男子で、BLというファンタジーに相応しい容貌です。兄のフランチェスコは色っぽく優しい美男子で、弟のトマシュは明るく可愛いイケメン。二人ともキャマっぽいところが全然なく、男らしいところが男同士で愛し合ってる感を濃厚にしていました。演じている俳優二人、ゲイじゃないのにあんなに男を愛しげに見つめたり触れたり、情熱的な口吸いや全裸で絡む性交演技とか、よくできるな~と感嘆。二人とも脱ぎっぷりが良すぎ。どっちも眼福の肉体美の持ち主です。アソコまで平然とポロンポロンしてます。自然だとは思うけど、目のやり場にも困りますブラジルのリッチなブルジョア生活の様子も興味深かったです。兄弟の子ども時代を演じてた子役が可愛かった!
 
 

通報!不純同性交遊に堕ちた警官

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 「Freier Fall」
 警察官のマークは訓練合宿でルームメイトとなったカイと親しくなる。ゲイであるカイにキスされマークは動揺するが、やがてカイとの性愛関係に溺れるように。マークには妊娠中の恋人がいたが…
 警官BL!カッコいいおまわりさんや刑事さんのBLも、腐には人気のジャンルですね。漫画や小説にはたくさんあるようだけど、映画はどうでしょうか。アル・パチーノの「クルージング」ぐらいしか思い浮かばないけど。このドイツのBL映画は、主人公が男前だけど屈強でワイルドな野郎系なので、麗しい美男子や可愛いイケメンの絡みが好きな人向けではありません。BL映画というよりゲイ映画?私は女みたいなキレイキレイ男子が苦手なので、この映画のような風貌の男同士のBLは丁度いい具合でした。

 彼女がいるノンケがゲイの男に強引にヤられ、男同士のセックスに目覚めてしまい苦悩、葛藤、悶絶、そして悲劇…という設定は、BL映画の名作「ブロークバック・マウンテン」とちょっとカブります。バリバリのノンケであるマークが、突然同性愛に溺れてしまうのを見たら、きっと多くの男性はそんなんありえん!と失笑したり不快がったりすることでしょう。でも男性って、実は誰でも内に同性愛を秘めているのではないでしょうか。ノンケが男に惹かれる、男とセックスする、というのもあながち腐のファンタジー、妄想ではないはず。ほとんどの男性が同性愛に目覚めるきっかけに出会わないだけなのでは。出会ってしまったマークは、果たして不運だったのか、それとも。

 マークとカイの性愛関係が、とても濃密に甘美かつ悲痛に描かれていました。ドロ沼関係でも、どこか冷ややかで乾いた雰囲気だったのは、舞台がドイツだったからでしょうか。それにしても。狼狽しつつもすぐにゲイセックスを受け入れるマークにも驚きましたが、ノンケであるマークに迫るカイの大胆さ、勇ましさも驚異でした。マークが彼自身も知らなかったゲイの資質を、カイは見抜いたのでしょうか。ゲイって、コイツいける!というセンサーを持ってるのかな。
 カイのちょっと危なげで一途な愛は切なかったけど、マークはすごい卑怯でチキン!彼女も子どもも大事にしたい、そうすることで自分がノーマルだと、世間からはみ出してないと確信したい、でもカイとの関係がくれる快楽と刺激は手放したくない…というユレユレでブレブレな優柔不断さには、ほんとイラっ&ムカっでした。マークの煮え切らなさ、自分勝手さに翻弄され傷つくカイと彼女が気の毒でした。特に彼女は、出産間近であんな裏切りにあうなんて可哀想すぎる。ちょとしたことでピーンとくる勘の鋭さと疑り深さ、寛容さを欠いた意固地さとか、女ってやっぱ怖いなと苦笑も。いちばん可哀想なのは赤ちゃんだけど。

 主演俳優二人の大胆でデリケートなBL演技は、なかなかインパクトあり。マーク役のハンノ・ホフラーは、イケメンじゃなくなったブラッドリー・クーパー、みたいな風貌。カイ役のマックス・リーメルトがクールな肉体美イケメン。でもたま~に、千鳥の坊主頭のほう(超苦手!)に似て見える瞬間があり萎え~。ラブシーンじたいはそんなに激しくはありませんが、二人の脱ぎっぷりがお見事だったので、自然なセックス感はよく出ていました。日本でリメイクするとしたら、誰がいいですかね~。鈴木亮平×市原隼人、とかどうでしょうか

 ドイツの俳優はゴツいけど濃ゆくないところがいいですね

 ↑ マックス・リーメルト、いい男!ドイツってやっぱ地味にイケメン宝庫

不死の軍団

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 「オールド・ガード」
 数世紀に渡って密かに世界を危機から救うべく戦っている不老不死の戦士アンディ、ブッカー、ジョー、ニッキーは、元CIA諜報員のコプリーから南スーダンでの人質救出の依頼を受ける。だがそれは、4人が不死であることを確認し証拠を入手するための罠であった。一方、アフガニスタンで従軍中の兵士ナイルは、襲撃者に喉を裂かれるが落命せず傷もすぐに完治する。アンディたちは新たなる仲間の誕生を感知し…
 不老不死の戦士たちが悪と戦う、という荒唐無稽な設定ながら、アベンジャーズに勝るとも劣らぬカッコいい、面白いアクション映画の秀作でした。コミカル要素が強く、おんな子どもが観てもOKなアベンジャーズと違い、こちらはハードかつダークで生々しい血まみれ、血みどろな殺戮シーン満載で、戦士たちのキャラも宿命もシリアスなので、いくぶん大人向けのヒーロー映画になってます。怒涛のアクションシーンはスタイリッシュかつ荒々しく、まさに美しい暴力って感じでした。

 何百年、何千年も生き続けて、ひそかに世界の危機を救っているヒーローたち、という設定がユニーク。撃たれても刺されても時間が経つと傷が消えたり、頭吹っ飛ばれてたりビルから落ちてグジャグジャになっても生き返ったり。有名な事件や戦争、革命の裏には彼らの活躍があったんですよ。世界史の勉強にもなりました。不老不死チームのメンバーそれぞれのキャラ立ちも、あくまでクールでどこか虚無的だったのも、異色で斬新でした。見た目は若いけど、実は数世紀も生きてるジジババばかりで、もうしんどい、楽になりたいというボヤキながら死闘を続けている彼ら。早く人間なりたい~という願望は、まるで妖怪人間みたいで笑えた。

 アベンジャーズと違い、オールドガードには不老不死、再生能力以外にこれといった特殊能力はなく、ほぼおのれのの肉体で戦う肉弾派。重症を負ったら死なないけどすごい苦痛は避けられないので、戦いは生き地獄でしかない。しんどいしんどい言いながらも、怠けず律儀に戦い続けるオールドガードの面々、ほんと真面目だな~と感嘆。私が不老不死なら、それを利用して思いっきり楽しく永遠に生きるんだけど。とはいえ、やっぱ死ねないのはしんどい、つらいことですね。命って限りがあるから一生懸命に有意義に生きたいと思うし。

 この映画のいちばんの勝因は、やはりキャスティングでしょうか。リーダーである最年長のアンドロマケ(アンディ)役は、今や世界最強の男前美女シャーリーズ・セロン。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のフュリオサに劣らぬ激烈女戦士っぷりでした。今回は得意の美貌崩しはあまりしておらず、シャープでクールな美しさは神々しいほど。キャラもファッションもほとんど男、という美女役はもはやシャー子さんの専売特許ですね。屈強な男どもを従え、彼らに慕われる最強の女ボス役なんて、もうシャー子さんしか演じられないでしょ。鬼強だけど優しい、その優しさも女性のものではなく強い男がもつ優しさ、を表現できる美しい女優も、世界広しと言えシャー子さんしか今はいません。40過ぎてあのスタイル、あの動きも、ほんと驚嘆しかない女優です。日本の女優のアクションとか、チャンチャラおかしいです。

 男性メンバー役に、ヨーロッパのいい男たちを起用したキャスティングのハイセンスさにも脱帽!ナポレオン時代の元軍人で、チームの副隊長的なブッカー役は、ベルギー出身のマティアス・スーナールツ。ゴツい風貌、冷酷そうな顔なのでほんと敵に回したくないオーラびんびんなんだけど、実は優しく不器用というのが彼のオハコ役。今回もそうでした。年を重ねて哀愁が出て、大人の優しさがにじむ素敵な熟年に。チームの中で見た目はいちばん年上だけど実は最年少で、たまにする末っ子言動が可愛かったです。

 元十字軍の戦士ジョー役は、最近は「アラジン」実写版や「オリエント急行殺人事件」など英語圏の作品でもよく見るオランダ人のマーワン・ケンザリ。ちょっと濃い目の見た目とセクシーフェロモン、そして優しそうな笑顔が魅力的。チーム内では癒し系の穏やかキャラ。同じく元十字軍の戦士であるニッキー役、「マーティン・エデン」でヴェネツィア映画祭の男優賞を受賞した注目のイタリア俳優ルカ・マリネッリも、ちょっと濃い目のイケメンで、鋭い目つきが印象的。この映画の画期的、かつ最大の魅力、注目点は、ジョーとニッキーがラブラブなBLカップルだったこと。ヒーローとして戦うゲイが出てくる映画、今のご時世でもなかなかお目にかかれませんし。イケメン二人が交わす視線や微笑みには強く深い愛が滲んでいて、腐は胸キュン必至です。敵の前での濃密キスは名場面でした。感動したのかドン引きしたのか、目の前のキスに黙り込んでしまう敵軍団が笑えた。
 
 新たに加わった元米軍兵士ナイル役は、「ビール・ストリートの恋人たち」では可憐な女の子役だったキキ・レイン。肉体改造して強靭な女戦士に変貌してた彼女に、女優魂を感じました。アンディとナイルとの師弟関係なやりとりもなかなか胸熱でした。見た目はイケメンだけど全員おじいさんである男性メンバーが、ルーキーのナイルに優しいところにもほっこり。
 元諜報員でオールドガードに仕事を依頼するコプリー役は、「それでも夜は明ける」でオスカー候補になったイギリスのキウェテル・イジョフォー。真面目そうでシリアスな役が似合う男前黒人俳優、といえば今や彼とチャドウィック・ボーズマンが双璧。彼が大儀のために協力する悪の組織が、ちょっとショボかったのが残念。もっとスケールのでかい悪にしてほしかったかも。

 世界各国をめまぐるしく駆け巡る展開、各地の風景も楽しかったです。敵の本拠地、そして最終決戦地はやっぱりロンドン。巨悪の巣窟で、陰謀が渦巻きヒーローたちが大暴れする街、といえば今も昔もロンドンがお約束。今回もとんでもないことが起きてるのに、ロンドン市民はあまり気にしてなさそうだったのが笑えた。パート2へと続く終わり方でしたが、続編はいつ頃観られるのでしょうか。待ち遠しい!

アラビアの狼少年

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 「コードネーム エンジェル」
 中東諸国とイスラエルの対立が深刻化していた70年代初頭。エジプトのナセル大統領の娘婿アシュラフは、イスラエルにエジプトの情報を流そうとする。ナセルが急死し、次の大統領となったサダトの信頼を得て政府高官となったアシュラフに、イスラエルの諜報員が接近してくるが…
 実写版「アラジン」やNetflixの「オールド・ガード」など、アメリカ映画での活躍が目立つオランダ俳優、マーワン・ケンザリ主演のスパイ映画。マーワンが全編出ずっぱりな主演作は初めて観ました。彼がいい男かついい役者であることを再認識できました。若造でもなくおっさんでもない、脂がのる男の最盛期といっていい年頃の男優が好きです。マーワンはとにかく艶っぽくて色気があるんですよね~。最近の人気俳優はみんな見た目はいいけど、色っぽくはないのが残念。なのでマーワンみたいなフェロモン男は貴重。この映画ではセクシーシーンや脱ぎは全然ありませんでしたが、男の色気は香水のように放っていました。若く見えるけど大人の男性って感じが好きです。彼、山下や亀梨と同じ年頃なんですよね~。いい歳して未成年と飲酒や淫行してるタレントとは大違いな大人の魅力です。

 劇中のマーワン、カイロにいる時はスーツ姿なのですが、ロンドン滞在中は70年代のファッションで、それが似合ってて素敵でした。パンチパーマみたいな髪型なので、ちょっと品のある金持ちのヤクザっぽくも見えて、それがまたイケてました。この映画のマーワン、どこかで見たことがあるような、誰かに似てるような、と思って見てたら、あ!ルパン3世だ!もしハリウッドでルパン3世が実写化されるとしたら、マーワンでお願いしたい!少なくとも小栗旬よりは絶対合ってると思う。あと、顔が玉木宏にもたまに似て見えた。玉木を濃ゆく優しそうにした感じ。英語だけでなくアラビア語の台詞も多く、すごく流暢!マーワンの語学力にも感嘆。

 ただのダメ男なのか、卑劣な売国奴なのか、それとも?舅である大統領に軽んじられたり生活費をケチられたりした腹いせで、敵国であるイスラエルに情報を売ろうとしてたアシュラフが、いつの間にか国家間の争いを阻止しようと紛争する英雄なヒーローに、と思いきや、不運で?故意に?偽情報を渡してイスラエルを何度も翻弄するなど、アシュラフの行動は不可解で観客も惑わされます。ダメ男に国家が振り回される滑稽な悲劇なのか、驚くべき深謀遠慮が隠されているのか。ラストの展開で判明されるのですが、ミスリーディングさはなかなか巧みでした。イソップ童話の狼少年が重要なキーワードになってたのも面白かったです。

 スパイ活動と家族の間でデスパレートに追い詰められまくるマーワン、どう見ても悪だくみや非道なことをしそうにない善人オーラがハンパないです。「アラジン」では悪役でしたが、顔が優しいのでアラジンとジーニーより善い人に見えましたし。この映画でも笑顔がスウィートで、彼が何をしても奥さんやイスラエルの諜報員が冷たくできず、つい気を許してしまうのも理解できました。男の魅力を利用して女にスパイ活動に協力させたりもするのですが、007と違って性的には潔癖で据え膳食わず、奥さんに誠実だったのがちょっと物足りなかったです。映画も不倫や情事には厳しくなってるのが、ほんとつまんないご時世です。

 中東の歴史や政情については無知なので、すごく勉強になりました。エジプトやシリアなど中東との険悪な関係や、モサドやヨム・キッパーなど、イスラエルの特殊すぎる存在もあらためて再認識。モサド諜報員役のイギリス人俳優トビー・ケベルもなかなかの男前でした。仲間の中にもクリス・ヘムズワース似のイケメンがいました。物騒だけど、エジプトやイスラエルにもいつか行ってみたいです。でもやっぱ行けるとしたら、この映画の主な舞台となったロンドンかな~。ビッグベンの前や有名な公園で、私もスパイ活動してみたいです

 ↑優しそうでエロいマーワン、母国オランダの出演作も観てみたいです

有閑ゲス倶楽部

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 「ライオット・クラブ」
 オックスフォード大学に入学したマイルズは、上流社会の生徒だけが集うライオット・クラブへの加入を許される。超エリートであるクラブのメンバーたちは、家柄や金にものを言わせて傍若無人に振る舞っていたが…
 イギリスの上流階級を描いたドラマや映画が大好きです。時代劇にしろ現代劇にしろ、私のようなワーキングプアからすると異次元のライフスタイルや価値観、そして優雅で冷ややかな欺瞞と偽善は、高価な美酒のように私を酔わせます。でもこの映画のスノッブたちは、ただもう不愉快で腹が立つだけでした。イギリスのアッパークラスの気位や傲慢さって、あくまて美しい慇懃無礼さや慎みでオブラートに包まれてるから素敵なのに、この映画のガキどもときたらやることなすことゲスでクズで、まるで韓国の財閥や成金のバカ息子と同レベルな民度の低さ。憧れてしまう点がまったくなくてガッカリ。

 世界でも随一のエリート予備軍が、傍若無人なおふざけ、どんちゃん騒ぎにうつつを抜かす、その低能で下劣な内容にドン引き。百歩譲って、自分たちだけでバカやってりゃまだ嗤って許せるのですが、ものすごい顰蹙や迷惑を世間にまき散らすのが見るに堪えなかった。こんな愚かな若造どもが将来、英国の政治や経済を担うことになるなんて。にわかには信じがたかったです。世の中に出て注目されるようになるともうバカできないので、今のうちにとモラトリアムを楽しむのは理解できるが、いくら何でもライオットクラブの連中のお楽しみは度が過ぎてる。器物破損だけで一般人なら逮捕されます。

 下級国民に迷惑をかけても、彼らが不利益をこうむっても、いや、彼らが生きようが死のうが俺らには関係ない、俺らは何しても許される、という選民意識に虫唾が走りました。ただ単に名家、金持ちに生まれただけの中身カラッポなガキたちが、一生懸命生きてる庶民を見下し犬猫のように扱い、挙句の果ては傷つける姿は、英国のみならず日本にもある格差社会ともカブりました。日本だって、言動に選民意識がにじむ政治家や芸能人、有名スポーツ選手、いっぱいいますし。コロナ禍でそれはいっそう明白になった。我慢したり謝ったりするのは庶民のすること、上級国民の彼らは沖縄でクルージングしようが夜遊びしようが未成年と淫行しようが、全然OKなんです。

 後半のクラブ会合を開いたパブでの乱痴気、からの恐ろしい事件発生、罪のなすり合い、そして彼らに下される処罰、すべてがあまりにも庶民を軽んじてる、あまりにも非道い格差の現実に愕然、暗澹となりました。あんなことをしておいて、ほぼ無傷なライオットクラブ。決して美しくない上流社会の人々、格差社会の理不尽さ、苦さを描くことがこの映画のテーマだったのでしょうか。イートン校とかハロウ校、ウェストミンスター校など、有名なパブリックスクール出身によるシビアな学歴ランク付け、マウンティングもイギリス上流社会らなでは。最近の英国高学歴スターといえば、エディ・レッドメインとかトム・ヒドルストンとかでしょうか。天は与える人にはたくさん与えるんですよね~。私なんか一つもない(泣)不公平!

 内容はムカっとイラっとするだけなのですが、ライオットクラブのメンバーを演じたイギリスの若手俳優たちのイケメンぶり、そしてゲス&クズ演技は、英国映画ファンにとっては必見かも。主人公のマイルズ役は、名優ジェレミー・アイアンズの息子マックス・アイアンズ。パパみたいな退廃的美男ではなく、素朴でフツーっぽい風貌。優しそうなイケメンです。マイルズを目の敵にするアリステア役は、もう映画ファンにはおなじみな顔になってるサム・クラフリン。偏屈で打算的でイケズな男子を憎々しくも、どこか寂しげに好演してました。どんな役でもイケメンっぷりは不変。

 いちばん目を惹いたイケメンは、最も裕福で高貴な家柄の子息ハリー役のダグラス・ブース。初登場シーン、フェンシングの面をとって顔を見せる彼、キラキラすぎてまさに少女漫画だった!すごい美男子!でもゲス&クズ度はクラブのメンバー屈指もっともMYタイプだったのは、マイルズをクラブに誘うヒューゴ役のサム・リード。「セリーナ」でも脇役ながらイケメンでしたが、今回は落ち着いた大人の雰囲気、そして明らかにマイルズに友情以上の感情を抱いてる目つきや仕草が妖しく、腐は彼の一挙手一投足が気になって仕方なくなります。

 その他にも、どこかで見たことがある男優女優が何人も出演してます。クラブのメンバーでギリシア系のディミトリ役は、「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」で成長した主人公役だったベン・シュネッツァー。クラブの会長ジェームズ役は、エドワード・フォックスの息子フレディ・フォックス。マイルズの彼女役は「チャタレイ夫人の恋人」でヒロイン役だったホリデイ・グレンジャー。ハリーが雇う娼婦役は、The Tudorsでアン・ブーリンを演じたナタリー・ドーマー。「ハワーズ・エンド」では美青年役、今は熟年バイプレイヤーなサミュエル・ウェストが大学教授役で顔を見せてます。
 英国イケメンたちのファッションも見どころ。カジュアルな服装も、どこかやはり品も趣味も良くて素敵。男性アイドルのステージ衣装みたいなクラブの正装もカッコよかった。歴史と伝統を誇るオックスフォード大学の学舎やキャンパス風景、郊外の美しい自然など、イギリス好きにはたまらないシーン満載です。

 ↑ イギリス俳優って、ほんといいですね(水野晴朗調)!近いうちにまた英国俳優映画祭しよっかな~☕

蒼いリンゴに唇よせて

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 「Fair Haven」
  シカゴの教会で同性愛矯正カウンセリングを受け故郷に戻ったジェームズは、息子に家業のリンゴ農園を継いでもらいたい父とのぎくしゃくした関係に苛立つ。そんな中、教会に行く原因となった元恋人のチャーリーと再会したジェームズは…
 BLもずいぶん市民権を獲得して、今や安定の人気ジャンルに。現実世界でも昔に比べると、LGBTへの差別や偏見もあからさまではなくなってきてるようですが、やはり今でも多くの国、地域では理解できない!許せない!という狭量さや不寛容さのほうがマジョリティです。特に田舎では、いまだに同性愛なんて“善き常識人”からしたら、逆さまの変態世界なのです。保守的な田舎、そこに宗教が絡んでくると、さらに同性愛否定、同性愛排斥は頑強化してしまいます。この映画、同性愛に苦悩する主人公が教会で矯正カウンセリングを受ける設定は「ある少年の告白」と同じですが、こちらの神父さまには人権無視な過激さ、非情さはなく、決して声を荒げたり何かを無理強いすることもなく、同性愛者の若者たちに穏やかで気さくなダンディ。でも優しい物腰、物言いの中でもしっかり、がっつりと同性愛を全否定してるんですよ。罪悪感を植え付ける手法は、教会の常とう手段のようです。

 同性愛は非生産的、男も女も結婚して子どもを作るのが人間の義務!という聖書の教えは、こんなにも世界中で人権の尊重、個人の自由と権利が声高に叫ばれ、守られているはずの今の時代に逆行してる!と思う人のほうが、実は少ないというのが虚しい現実です。この映画の主人公ジェームズも、同性愛は罪!悪!という聖なる圧で潰されそうになってる哀れな若者なのですが、あまり同情も共感もできないんですよね~。とにかく彼、いくら余裕がない切羽詰まった状況にあるとはいえ、いつも自分のことばかりで周囲の人たちの気持ちや立場への思いやりや配慮が全然なく、優しい人たちへの刺々しい態度には見ていてイラッムカっとするだけでした。

 ジェームズよりも、彼のパパのほうが哀れで痛ましかった。お父ちゃんも田舎のキリスト教信者なので、同性愛にはオープンマインドになれないけど、だからといって頭ごなしに息子を責めたりしないし、冷ややかに侮蔑したりもしないし、罪悪感を煽るように悲嘆に暮れたりもせず、不器用ながらも息子の意に添うように努力してる様子が、いじらしくも切なかったです。息子が家業の農園を継ぎたがらず、音楽の道に進みたがってることに不安を抱いたり賛成できないのは、親として当然のことだし。なのに息子は、農家なんかイヤだ!全部売って学費にしろ!とか言ってパパを陰に陽に責めたり蔑んだり、親不孝すぎて殴りたくなりました。同性愛者であることに苦しんでる、それを盾に何でも許してもらえるとでも思ってそうな振る舞いが不愉快でした。ジェームズに振り回され傷つけられる元カレのチャーリーも、ノンケのふりをするために利用される女の子も可哀想だったけど、彼女がBLに苦悩したり理解を示したりするような重いキャラではなく、“善き常識人”の一人だったのでちょっと安心。女がBLに絡んでくるの、苦手なんですよね~。

 ジェームズ役のマイケル・グラントは、ちょっと若い頃のトム・クルーズを地味にした感じ。チャーリー役のジョッシュ・グリーンは、ジョセフ・ゴードン・レヴィッドを地味にした感じの風貌。ラブシーンも地味でした。いつ誰が入って来るかわからない納屋でエッチするとか、大胆というか不用心というか。ラストがちょっと都合よすぎ。若い二人はルンルンなハッピーエンドでも、お父ちゃんはほんとにそれでよかったの?と、つくづく親って悲しい、報われないな~と、我が両親と自分たち兄妹の関係を顧みて、罪悪感に胸が塞がってしまいました。
 
 

夏は海!君は全裸!

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 「ぐらんぶる」
 キラキラなキャンパスライフを夢見て島の大学にやって来た伊織は、ある朝大学の構内で目覚める。彼は全裸で、前夜の記憶がなかった。服と記憶を求めて全裸でキャンパス内を駆けずり回る伊織の前に、彼と同じ状況にある耕平が現れ…
 始まって5分ぐらいで、何でこんな映画を観に来てしまったんだろう…と、後悔と自己嫌悪が脳内をぐるぐるしましたが、観てるうちにだんだんとその延々と続くくだらなさに慣れてきてしまい、気づくと最後まで退屈することなく観ることができました。少なくとも感動押し売りなお涙ちょうだい系邦画よりは、こっちのほうが好きです。でも、しょーもないシーンや台詞には、正直ほとんど笑えませんでした。こういう精神年齢の低い笑いを楽しむには、私はもう年を取りすぎてます。ここは笑うところ!と言わんばかりなギャグシーンがかなりしつこく、冒頭のタイムリープしてるみたいな繰り返しとか、VAMOS踊りとか、くどいな~と辟易したのも事実。

 ただひたすら、若い男たちが全裸になってドタバタ大騒ぎするだけの内容は、映画というより深夜ドラマみたいでした。昔の深夜ドラマではセクシーギャルがお色気担当でしたが、この映画ではそれが若い男、というのがまあ斬新というか独特ではありました。若い男の全裸をイヤというほど堪能したい人にはおすすめできる作品です。
 くだらない内容ですが、すごく一生懸命、体を張って笑わせようと頑張ってることはいじらしいほど伝わってきて、最近の何だか鼻につくだけの上から目線なお笑い芸人には感じない好感、爽やかさを感じました。くだらなさ、しょーもなさを笑えなかったのは残念でしたが、みんな楽しそうで元気いっぱい、その底抜けの明るさは、コロナ禍で余儀なくされている不安や閉塞感を、ちょっとだけ拭ってくれました。

 この映画で最も良かった点は、ベタベタしい友情とか、暑苦しいスポ根とか、甘々な恋愛とか、ありきたりすぎる幼稚で陳腐なネタがほとんどなく、ただもうほんとにバカやってるだけ、元気なだけだったところ。それがむしろ潔かったです。
 主演の竜星涼と犬飼貴丈のハイテンションおバカ演技&全裸には、なかなかの役者魂を感じました。この映画に出るの、さぞや捨て身の勇気が要ったことでしょう。若手俳優としてもイケメンとしても、そこまでずば抜けた存在ではない俳優にしか演じられない役、といえば失礼でしょうかいまいちブレイクできない現状を打破、というより、もうヤケクソ自暴自棄に近かったのでは。ここまで若い男優がすっぽんぽんに、なるだけでなく、すっぽんぽんで珍奇な動きやポーズをするのを見たのは初めてです。仕事とはいえ、よーやったわと感嘆。

 伊織役は「賢者の愛」とか「テセウスの船」とか、ドラマでちょこちょこ見かける竜星涼くん。どちらかといえば冷たい暗い役のほうが多そうですが、この映画ではトンマでお人好しな役と、とっちゃん坊や顔が可愛かったです。耕平役の犬飼くんは「美しき罠」で田中麗奈の弟役だった子?きれいな顔ですが、年取ったら崩れそう。二人とも背が高くて服を着てたらスタイルが良くてカッコいいのですが、肝心の全裸は肉体美ってほどではないです。痩せすぎ色白すぎ。これが韓流俳優だったら、さぞや眼福なセクシー筋肉祭りだったことでしょう。ダイビングサークルのメンバーはみんなムキムキでしたが。主役二人は、仲良しだけどイマドキの若者らしいドライな個人主義というか、イチャイチャベタベタはせず、BLのかほりが全然しなかったのも残念なポイント。二人のVAMOS踊りはすごく可愛かったです。伊織の叔父さん役、高嶋政宏のVAMOS踊りは衝撃と戦慄!高嶋さんも、あれよくやったな~。

 ダイビングサークルなのにダイビングシーンはほとんどありません。ラストにあるダイビングシーンでの海が、すごくきれいで清涼感あり。潜ってみたくなりますが、ダイビングってすごく体力が要るんですよね~。私、沖縄に行った時に一度だけ経験しましたが、楽しかったというよりただもう疲れた。なのであれが最初で最後

地獄の貴公子!

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 「高慢と偏見とゾンビ」
 18世紀末のイギリス。謎のウィルスが蔓延し人々はゾンビ化。田舎で暮らすベネット家の5人姉妹は、金持ちの男性との結婚を母親からせっつかれながらも、ゾンビとの闘いのための武術の修練に勤しんでいた。そんな中、次女のエリザベスはダーシーという大富豪の騎士と出会うが…
 日本でも人気のジェイン・オースティン原作の小説とその映画化作品ですが。私は正直ちょっと苦手なんですよね~。当時の英国の上流階級と中産階級の生活や価値観、文化はとても興味深いのですが、内容が何となく上品になった橋田寿賀子先生のドラマっぽいというか、結婚だの財産だのと世知辛くてセコく、出てくる男女にも共感しづらくイラっとさせられるんですよね~。私のようなおっさんには向いてないということなのでしょう。コリン・ファース版の「高慢と偏見」は好き。キーラ・ナイトレイ版の「プライドと偏見」は好きじゃない。内容は一緒なのですが、どこが違うのでしょう。

 それはやはり、出演者でしょう。イギリスの時代劇には、必ず美青年や美熟年の俳優が出てるので観逃せないんですよね~。キーラ版がイマイチだったのは、その法則に反していたからでしょうか(単にキーラが苦手で私のタイプなイケメンが出てなかっただけ)。コリン・ファースのダーシーは、もう彼以外考えられない!な名演でしたよね~。そしてこの作品、高慢と偏見をゾンビ映画にするというトンデモ映画、滑稽なイロモノ級パロディかと思ってたのですが、すごく面白かった!オリジナルより好きかも結婚結婚とギャーギャー大騒ぎせず、特異な設定の中でゾンビとの闘いをメインにしていたのが良かったのかも。なので、原作ファン、そして草葉の陰のジェイン・オースティンが観たら、こんなの高慢と偏見じゃねー!と怒りで泡を吹くかもしれません。奇想天外、荒唐無稽な話ですが、素敵なイケメンが出てるので無問題、そして高得点!高慢と偏見といえばもちろんダーシー、この映画のダーシーを演じた俳優もカッコよかった!

 サム・ライリー、初めてお目にかかりましたが、カッコイイ、ていうか、カワイイ!思わず瞠目、最近鈍くなってるMYイケメンレーダーが久々にビビビとなりました。可愛い童顔なのですが、ものすごく暗いどよよ~んとした雰囲気と傲然とした表情。媚売りまくりな営業スマイルタレントを見慣れてる目には、とても魅力的に映りました。エレガントで慇懃無礼な紳士の物腰、物言いは、やはり英国俳優じゃないとしっくりきません。すらっとした長身に、黒い衣装が似合う。颯爽と敏捷な身のこなしでゾンビをぶった斬るクールでニヒルなダークヒーローが、ふとした瞬間に見せるハニカミや微笑がこれまた可愛い!お気に俳優リスト入りのサム・ライリー、他の出演作も観ねば!


 ダーシーの親友ビングリー役は、「ライオット・クラブ」でゲスいイケメンお坊ちゃまを演じてたダグラス・ブース。今回の彼もめっちゃキラキラなイケメン!明るくて性格が善くて、ちょっとヘタレなところも可愛かったです。根暗イケメンと陽気イケメン、かなり絵になるサムとダグラスのツーショット、姉妹と恋するよりもこの二人がBL関係になればいいのに!と心底思った私、やはり病的な腐ですねでもゾンビ映画にできるぐらいなら、BL映画にだってできるでしょ!高慢と偏見BL版、ぜひ製作してほしいです。

 5人姉妹役の女優たちも、みんな美人で可愛かったです。エリザベス役のリリー・ジェームズは、現代的すぎるというか、ドレスよりも水着のほうが似合いそうなセクシー美女でしたが。5人姉妹がきれいなドレス姿で華麗に豪快にゾンビ退治する姿が痛快でした。上流階級の女子は日本で、中流女子は中国で剣術を学ぶ、という設定も面白かったです。男なんかに頼らなくても、あんなに強けりゃ結婚しなくたっていいと思う。ていうか、あんなゾンビワールドで家柄だのお金だの言ってるほうが変じゃないでしょうか。

 ↑ サム・ライリー、1980年生まれ現在40歳(に見えんぞ!)。「マレフィセント」シリーズにも出てる!観ねば!
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