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Channel: まつたけ秘帖
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宮廷の三人奸女!

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 「女王陛下のお気に入り」
 18世紀初頭、フランスと戦争中のイギリス。病弱なアン女王に代わって、女王の幼なじみであるレディ・サラが政治を牛耳っていた。そんな中、レディ・サラの前に零落した従妹のアビゲイルが現れる。アビゲイルは貴族の身分に返り咲くため、女王に近づこうとするが…
 ハマる人はハマる、ダメな人にはダメ。「ロブスター」や「聖なる鹿殺し」など、その独特さ、クセの強さで好き嫌いがはっきりと別れるヨルゴス・ランティモス監督の新作は、何と!18世紀のイギリス王室が舞台の時代劇!いったいどんな時代劇?!想像のつかなさにワクワク。加えて、アカデミー賞ではまさかの最多ノミネーション!否が応でも期待の拍車がかかります。そんな待望のヨルゴス風コスチュームプレイ、どうだったかというと…

 うう~ん…私の拙い文章力では、感想を書きあぐねてしまいますが…確実に言えるのは、今回もなかなか珍奇でシュールで斬新!ということ。こんな時代劇、初体験です。これまでのヨルゴス作品に比べると、え???な不可解&不条理設定やシーンがなく、かなりわかりやすくなってます。でも、権力や女王の寵愛をめぐって詐術陰謀に狂奔する宮廷の魑魅魍魎たちの描き方や醸すムードは、かなり特異で独創的。ヨルゴス節炸裂なシーン満載で、ヨルゴスファンはニヤリ、非ファンは当惑することでしょう。

 演出、映像、脚本、空気感、演技、すべてにおいて異色の時代劇。いつもの淡々と静かなヨルゴス作品に比べ、スピーディでドラマティックな展開ですが、何これ?何か変!と、戸惑いと笑いを誘う作風は、従来通りのヨルゴステイスト。珍妙なシーン満載ですが、私がいちばん笑えたのは、舞踏会でのレディ・サラとマシャム大佐とのダンス。すごい変な踊り!ほんとに当時、こんな踊りあったの?!おそらく、時代考証にはあまり拘泥してなくて、かなり自由な設定、描写になってるのでは。歴史オタクの方々が観たら噴飯ものかもしれません。

 変な踊りもですが、王族や貴族とは思えぬほど下品で下劣で俗悪な人間関係と会話の内容、華やかさを排したモノトーンのファッションや調度品、美術などは、かなり現代的で時代劇の掟破り的な面白さが。女たちが薄化粧でシンプルな衣装なのに対して、男たちは厚化粧でデコレートされた衣装、という逆転もユニークでした。人工的な照明ではなく自然光や蝋燭の灯りを使用、下から覗くようなカメラなど撮影方法も独特で、他の映画では味わえない奇妙さ、オリジナリティです。

 三人の女のキャラ、彼女たちが繰り広げる女の闘いと、それを激演した女優たちの演技合戦は、本当に強烈で激烈!惹きこまれたりドン引きしたりで、一瞬も退屈しません。稀に見る女優映画の傑作と言えるかも。女王をめぐって、サラとアビゲイルのあの手この手な讒言や甘言、奸計、ごかまし、遠まわしな当てこすりや脅し、罠が、卑劣で卑怯なんだけど必死すぎて笑えるんですよ。二人とも大真面目、まさに命がけの攻防、相手を押しのけよう、陥れようと心も体も張ってる姿が、醜くも滑稽。それに翻弄されてるように見えて実は、気づかないふり騙されてるふりをして二人の対抗心や憎しみを煽り、それを楽しんでるかのようなアン女王の、天然すぎる魔性のおばさんぶりが、最凶で最笑でした。

 女の争いは、ともすると陰湿・陰険、ドロドロとイヤらしくなりがちですが、この映画のそれはそんな感じは不思議と薄い。三人ともどちらかといえば男っぽいキャラで、男など眼中にもなく男を完全に見下し、男なんかのことで苦悩したり傷つくことなく、困難やピンチにも挫けずヘコたれず、欲望や信念を忠実に懸命に貫き、昂然と男よりも高みに立つ姿が、豪快痛快でカッコいい。女性の権利があらためて見直され、声高に叫ばれている昨今の風潮にピッタリな、女性の強さを賛歌したフェミニスト映画、そしてLGBT映画になってます。私は重度の腐なので、薔薇には興奮しても百合には居心地の悪さを感じる…これも性差別なのかな男同士の性愛は切なく美しくなるのに、女同士のそれはなぜかそうはならず、いびつで不気味になってしまうのはなぜ。

 女豚!女猫!女豹!まさに女獣の宮廷!これぞ女優映画!この映画を堪能してしまうと、日本のCM演技女優などますます見るに堪えなくなります。アン女王役のオリヴィア・コールマン、そのアカデミー賞主演女優賞受賞も納得な大怪演、大珍演に瞠目!こんなに醜悪かつ滑稽で哀れな女王さま、映画の中で初めてお目にかかりました。英国王室はこのアン女王についてクレームなしなの?こんな女王さまに支配されてるイギリス国民が可哀想!もう見た目だけで出オチなインパクトなのですが、観る者の神経を逆なでしつつも笑いを誘うオリヴィアの、迫力満点かつ繊細な狂態!見た目もだけど、中身もほとんどおっさんで、めんどくさいことこの上ないながらも何だか憎めない無邪気さや、胸が痛くなるような心身のグロテスクな病みっぷりなど、観客までも躁鬱な気分になってしまう演技です。

 アビゲイル役を、ハリウッド最高の人気女優であるエマ・ストーンが演じているという意外性も、この映画の注目度と質を高めています。オスカーを受賞した「ラ・ラ・ランド」よりも、この映画の絵馬石のほうが女優としての力量や根性を発揮してると思う。とにかく絵馬石の、守りに入ってない女優魂があっぱれ。いい年してきれいに可愛く見せたいと必死な日本の女優に、絵馬石の爪の垢を煎じて飲ませたいです。泥どころか糞まみれになり、おっぱいまで見せて(ちょっとだけですが)る絵馬石を、大いに見直しました。獲物を狙う猫のように、好機をうかがってギラギラギョロギョロしてるデカい目が怖い。アシャム大佐のチ◯コをよそ見しながら手コキしてる時の虚ろな顔も秀逸でした。

 レディ・サラ役のレイチェル・ワイズも、オスカー級の名演。颯爽と毅然とした女丈夫っぷりは、かなり男前です。ズバリ言うわよ!な毒舌が笑えた。乗馬服などマニッシュな男装ファッションが多いのも、彼女を男らしいキャラにしていました。男っぽいけど、優しそうで聡明な女性の魅力にもあふれていて、ある意味理想の女性なサラに適役なレイチェルさんもまた、理想的に卓越した名女優と言えます。
 アビゲイルに近づく男たちを、英国の若手イケメン俳優ニコラス・ホルトとジョー・アルウィンが好演。元子役のニコラスは、すっかり大人の役者になりましたね~。イケメンなだけでなく性格俳優として成長中で、今後の活躍もますます期待できます。テイラー・スウィフトの恋人として有名になったジョーも、可愛いだけでなくヨゴレ役や捨て身の演技も厭わない役者魂がありそう。「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」や「ある少年の告白」など、話題作に出演してる彼からも目が離せません。
 本筋には全然関係ないのですが、下っ端女中時代のアビゲイルに意地悪をするデブなメイドが、やってることは鬼のような陰険さなのに、見た目も声も可愛いくて好き。出世しても仕返ししないアビゲイルの度量に感嘆。あと、いつも女王の近辺に用意されてるケーキやお菓子が美味しそうだった。腹減ってる時に観たら苦痛かも。

 ↑まさに女獣使い!ヨルゴス・ランティモス監督の手腕に拍手!監督、イケメン

 ↑ 私も女王さまになって、こんなイケメンたち侍らせたい~

ひとりゲリラ 悲しみの皆殺し

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 「追想」
 ナチス占領下のフランス。医師のジュリアンは、愛する妻のクララと一人娘のフロランスを田舎に所有する城に疎開させる。数日後、妻子のもとへ向かったジュリアンを待ち受けていたのは、ナチス親衛隊によって虐殺された村人のむごたらしい姿だった。クララとフロランスは…
 戦争に翻弄された男女の悲しくも美しいラブストーリー…かと思いきや。フランス映画とは思えぬ過激で残虐な暴力シーンてんこ盛りで、観ていて目がテンに、お口もポッカンとなりましたとにかくナチスドイツの鬼畜な蛮行と、ジュリアンの壮絶な復讐劇が、目を背けたくなるほどのエゲツない、エグいヴァイオレンスで描かれています。輪姦した女を火炎放射器で焼き殺したり、いたいけな子どもも容赦なく射殺したり、残忍な殺戮がこれでもか!と。ここまでしなくても、と思わずにはいられない非道さなのですが、特に火炎放射器の禍々しさ!恐怖効果は絶大。小心な人が観たらトラウマになるので要注意です。

 村の教会での惨劇を目の当たりにし、ショックと怒りで錯乱したジュリアンがキリスト像やマリア像を破壊するシーンがあるのですが。クララのような優しい女性が、フロランスのような何の罪もない子どもが、どうしてあのような無残な目に遭わねばならないのでしょう。まさに神も仏もない、神仏を呪いたくなる戦争の悲劇です。ドイツ人にとっては、これも観るのが辛い映画だろうなあ。鬼畜ナチスを演じたドイツ人俳優たちも、仕事とはいえさぞや苦痛だったことでしょう。
 聞けばこの映画、あのクエンティン・タランティーノ監督に多大なる影響を与えたとか。ナチスどもを問答無用に殺しまくるジュリアンは、タラ監督の「イングロリアス・バスターズ」のナチスハンターとカブります。一見フツーのおじさんであるジュリアンが、復讐の鬼と化してゴルゴ13も真っ青な凄腕の殺し屋になって大活躍?する姿が、悲壮なんだけど痛快でもあります。悪人を始末する必殺仕事人を見ているようなカタルシスを得ることができます。

 ナチスを殺しまくる壮絶ヴァイオレンスの中、ジュリアンの回想シーンが挿入されるのですが。クララとのロマンスがあまりにも優しく幸福で、すさまじい血まつりとは真逆でギャップありすぎ。そのコントラストで、戦争と復讐の惨さ悲しさ、幸せの美しさ尊さを互いに引き立たせる構成となっています。「冒険者たち」や「若草の萌える頃」など、瑞々しく叙情的な作品で知られる名匠ロベール・アンリコ監督作品らしく、映像に音楽にも最近の映画にはない詩情の豊かさと甘美さがあふれてます。とても戦争中とは、ナチスの虐殺があったとは思えぬほどの美しく牧歌的な田舎の風景も目に、胸に沁みます。ジュリアンが必殺仕事人となって神出鬼没、縦横無尽に駆け巡る古城も美しく、かつ隠し部屋やマジックミラー、地下迷路など忍者屋敷みたいで面白かったです。

 ジュリアン役は、「ニュー・シネマ・パラダイス」などで知られるフランスの名優フィリップ・ノワレ。美男やイケメンではなく、彼のような親しみやすい風貌のおじさんが演じたからこそ、悲しみもより深まったように思われます。おじさんとは言っても、さすがフランス男。ポケットに手を入れて立ってる姿とか、煙草を吸ってる姿、クララへのキスや抱擁も、サマになってるというか大人の男って感じでカッコいい!
 この映画最大の魅力、見どころは、やはりクララ役のロミー・シュナイダーでしょうか。

 ロミーほど、悲しみが似合う女優、悲しみを美しくする女優はいないかも。代表作のひとつであるこの作品でも、ロミーの美しさは圧倒的かつ切ないです。当時37歳、女としても女優としても最盛期の頃で、今の女優にはない香り高い情感にあふれています。美しいけど、なよなよと儚げな手弱女ではなく、見た目も精神も力強い生命力にあふれていているところがロミーの魅力。この映画のロミーも、悲劇的な運命に翻弄されるヒロインというイメージそのものな役を演じているのですが、自分らしくしなやかにたくましく生きて恋した女としても、神々しいまでの輝きを放っています。
 

ご長寿犯罪!

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 「運び屋」
 ないがしろにした妻子とは絶縁状態、事業にも失敗して何もかも失った老人アールは、荷物を運ぶだけの仕事を持ち掛けられ引き受ける。運んでいるものがマフィアの麻薬であることを知ったアールは…
 詐欺の被害や生活苦などで追いつめられた高齢者が、心ならずも犯罪に手を染めてしまうシリアスな社会派ドラマ、かと思いきや。お年寄りはやっぱりエラい!お年寄りも頑張る!な敬老コメディだったので、観ていて戸惑ってしまいましたアメリカ人ってほんとノーテンキだよな~と、主人公とマフィアの連中とのやりとりに呆れるやら笑えるやら。とにかくアール爺さん、調子ぶっこきすぎ!一回だけにしときゃいいものを、楽に大金を稼げることに味をしめて、だんだん自主的に楽しそうに仕事に励むようになるアール爺さんには、躊躇や苦悩、罪悪感などほとんどなく、それどころか若いマフィアの連中からチヤホヤされたり頼りにされたりで上機嫌、稼いだ大金で家や新車、貴金属など買ったり、友人の店を援助したり、女遊び!したりと、とんだリア充老人なんですよ。それがちょっとコメディタッチで描かれていて笑える反面、調子に乗るなジジイ!早く捕まれ!とイラっともしました。

 世のため人のためになることをしているのなら応援、尊敬もしますが、やってることは反社会的勢力の手先、犯罪行為。アールが頑張れば頑張るほど、麻薬が多くの人の手に渡ることになるんですから、彼を老境や逆境の中で挫けずたくましく闘うヒーローと見なすことはできません。お気楽な犯罪行為のみならず、家族との関係からもアールの人間性が疑われます。家族とヨリを戻すのも金で、な考えと行動に反感。家族もせっかく許してあげたのに、マフィアの運び屋をして逮捕・裁判とか、どこまで迷惑、恥をかかせれば気がすむの。アールの妻も娘も、人が善すぎる。孤独な老人がいきなり羽振りがよくなって、景気よく散財しているのに誰も不審がらないのも、私には不思議で仕方がありませんでした。

 年寄りであることがハンデではなく、かなりの武器になってたのも笑えたけど、違和感も覚えました。アールが何をしても言っても、年寄りだからとみんな許してくれたり油断してくれるんですよ。マフィアも警察も、年寄りにはとても優しいんです。年寄りに甘い社会、そしてそれにつけ込む年寄り、という私の周囲でもよく見かける構図が何かイヤでした。でもまあ、高齢者が非道い目に遭う姿は見たくないので、爺さんと若者たちのジェネレーションギャップやふれあいを明るくほのぼのと描いていた点は評価したいです。

 アール役は、監督も兼ねている大御所クリント・イーストウッド。久しぶりの俳優業。御年90歳!すっかり爺さんになりましたね~。まさに枯れ木のような風貌で、ヨボヨボしい動きにハラハラしてしまいましたが、90歳で演技も監督もできるなんて、ほんと驚異的な非老いぼれ!仕事に熱心で女好きで、自分勝手だけど憎めない愉快な人柄で、マッチョな思考とマッチョなプライドの塊なアールは、まさにクリント御大そのものなキャラ?劇中、ニグロだのタコス野郎だのと黒人やメキシコ人を差別用語で呼んだりするのですが。悪意や邪気は全然なく、親しみのこもった愛称みたいに使ってるのが、アメリカの人種差別のカジュアルな根深さを表しているようで、ちょっと怖かったです。人種差別だけでなく、男尊女卑で女性蔑視な価値観もアール=クリント御大からは感じられました。ちょっとトランプ大統領とカブるわ。

 セクシーねえちゃんたちを相手に裸になってハッスルする、クリント御大のバイアグラ不要っぷりも笑えた。ヨボヨボ爺のアールに、コワモテのマフィアも警察もほとんど手を出さず、気圧されたり一目置いたり大事にしたりするのも、演じてるのが超大物であるクリント御大の威光ゆえでしょうか。この若造どもが!という捨て台詞が、クリント御大ほど似合う爺はいません。フツーの爺さんならショック死する危機でも平然としてる姿は、かつてマカロニウエスタンやダーティハリーで壮絶な修羅場をくぐってきたクリント御大ならではでした。
 運び屋を追跡するFBI特別捜査官役で、大好きなブラッドリー・クーパーが出演してます。

 ブラパ、今回もめっちゃカッコよかった風貌は男性的だけど雰囲気がスマートで優しく、スターのオーラがダダ漏れしてるので、もうフツーの市井の男性役は無理かも。いい男ぶりにときめきましたが、別にブラパでなくてもいい役で、同じクリント御大の監督作「アメリカン・スナイパー」での熱演に比べると、特筆するような演技はしてません。師匠であるクリント御大に頼まれたから喜んで無条件で出た、みたいな感じ。そーいやブラパの初監督作「アリー スター誕生」は、クリント御大から引き継いだ作品でしたね。

 ブラパの相方捜査官役のマイケル・ペーニャは、最近ちょっと風貌も役柄もマーク・ラファロ路線になってきてるような気が。いい男!と思ったのが、アールの見張り役になるマフィア役のイグナシオ・セリッチオ。はじめはクソジジイが!とカリカリプンプンだったのに、いつしか気を許して親しみを抱くようになる様子が、何か犬が懐くみたいで微笑ましかったです。マフィアのボス役がアンディ・ガルシアだったとは!ぜんぜん気づかなかった!アールに運び屋の仕事を紹介する若い男もイケメンだった。それにしても。情にもろいマフィアだったな~。極悪冷酷なはずの男も、アールは奥さん亡くしたばかりだから、と同情して殺すのためらったりしてたし。そのせいで、ラストのアールのピンチも緊張感が薄まってしまった。ちょっとホロ苦いハッピーエンドも、麻薬の運び屋なんてダメ!ぜったい!という教訓にならなかったので残念。

 ↑派手な女性関係の結果、たくさん子どもがいるクリント御大ですが。寝たきりになって介護を引き受けるのは、実子たちじゃなくてひょっとしたらブラパかもしれません…

 ↑ ラテン系男前イグナシオ・セリッチオは、主にTVで活動してるみたいです。映画にももっと出て!

春🌸鯉人たちの予感

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 今年初、そして平成最後のズムスタ観戦!オープン戦、カープホークスに行ってまいりました〜
 お供は今回もダミアン。相変わらず夜遊びばかりして、この日も朝帰り。ほとんど寝てないまま運転する眠そうなダミアンに、助手席のわしはハラハラ。無事に着いたズムスタは、すでにお客さんでごった返し。コンコース、前に進むのにひと苦労。他の球場も同じなんかのお?腹ペコだけどどの店も長蛇の列で、飲み食いもままなりません。ガラガラだった市民球場を知るファンはきっと、隔世の念なしでは過ごせない今のズムスタです。
 
 ↑ ズムスタのmy 定番食である鶏皮餃子は、さすがに食い飽きたのかもう美味しくなくなった…たこ焼きも値段のわりにはビミョー。カープうどんならぬカープラーメンは、ズムスタの外でなら平均以下の味、でも超寒かったせいか美味しかったです

 ↑ この日のお目当ては💛 
 去年の初ズムスタも、ホークスとのオープン戦でした。あの試合はカープが勝利したけど、今年はどうかな?リーグ三連覇しながら、一度も日本一にはなれなかったなんて、今でも信じがたい現実。去年カープが日本シリーズで、ホークスにボコボコにされた苦すぎる記憶がよみがえります。前日のヤフードームでも、悔しすぎる敗退を喫してしまったし、ホークスには勝てない…という意識が強まるばかり。いや!そんな負け犬根性、ダメよダメダメ!日本一になるためには、絶対に越えなければならぬ高い壁、ホークスを今日は倒す!

 ↑ 可愛かったダミアンも、もうアラサー。おっさんになったけど、いい男にもなってますよ~
 この日は冬に戻ったかのような寒さ!晴れてたので春の陽気かなと油断し、薄着で行ったのが大失敗でした。凍えそうなカモメならぬタカを見つめ泣いてしまいそうな寒さに、ガチガチ震えて応援に熱が入らない。それはそうと。ホークスはGの次にいけ好かないチームですが、Gと違って好きな選手が多いんですよね〜。今いちばん気になる若鷹、上林誠知の生姿がこの日の大きな楽しみの一つ。
 
 ↑ ホークスの先発、高橋礼のアンダースローが好き!魔球!高橋、めっちゃ足細くて長い!スタイルいい!
 プレイボール!カープ選手そっちのけでライトの守備についた上林くんを双眼鏡でガン見。レフト側の席にいたので、上林くん遠い~隠れキリシタンのように上林くん頑張れ~!と心の中で声援を送っていたのですが、ゲーム序盤2回の表で突然の予期せぬ事態が。上林くんに回ってきた打順、出てきたのは違う選手!え!どーいうこと?!謎の降板に、胸がザワつく。真相は、帰宅して知りました。背中に痛みを覚え、大事をとったとのことです。痛みは軽いようで安心しつつ、負傷っていくらなんでも早くない?!と呆れもしました。

 ↑ 上林くんよ、敵ながらあっぱれな勇姿を見たかったぞ…
 カープの先発は岡田。カープの投手はみんな頼りない。岡ちゃんで大丈夫なんかのお、ポカスカ打たれるじゃろうのお、なんて期待より不安のほうがはるかに大きい。松山が早々とエラーし、他の野手たちも絶好のチャンスを何度も作りながらも結局得点につながらず、のパターン。あげくには岡ちゃん、やってくれましたよ思った通り。何と今宮、柳田と二人続けてフォアボールで押し出しの2点をホークスに献上ですよ。ホームラン打たれるよりキツいわ。岡田ではなく岡駄になっとるやんけ!

 ↑ 野間っちガンバレ!あの人が抜けた穴を埋めるのは今年もキミ!
 あれよあれよとカープ無得点のままホークス5点。トホホすぎる~ダメだこりゃ!と諦めかけてたら、中盤になってカープが一気呵成の逆襲!コースケ、リョーマがタイムリーを放ち2点。久々の1軍スタメンの野間が、犠牲フライで3点目。オープン戦でまったく打てなくなっただけでなく、ちょっと前の試合でホームを踏み忘れたという信じられないポカをやらかし、緒方監督の逆鱗に触れて2軍落ちしてた野間が、ようやく輝きを取り戻し始めた(と信じたい)。
 この日いちばんの大声援を受けたのは、代打で登場した長野。スタジアムに渦巻く熱いチョーノコール!まさかあの長野に声援を送ることになるなんて、彼が巨人にいた頃いったい誰が予想できたでしょうか…熱烈な声援にもかかわらず、長野はあっさりノックアウト。長野さん、ひょっとしたら思ってた以上にポンコツかもしれない…
 セイヤとコースケが、あの甲斐キャノンを潜り抜けて盗塁成功!これは嬉しかったわ~。去年の日本シリーズ、ことごとく盗塁を甲斐に阻止された屈辱を今年晴らす!エラーやらかした松山もタイムリーで挽回。そして、この日最大の事件が起こる!

 ホークスの投手甲斐野が、會澤にとんでもないデッドボール!顔面に殺人玉をくらい、倒れる會澤。騒然となるスタジアム。ゲームがストップし、動かない會澤に不安と緊張が募る。ヤバい雰囲気。アツのデッドボール被害率、高すぎ!しかも頭部ばっか。忘れもしない、私が初めてズムスタ観戦した日も、若かりしアツが頭部に死球を受け、救急車で搬送されたあのショッキングな光景。野球って命がけのスポーツ。でもアツはあの時も、そしてこの日も死なずに復活!まさに鉄人!甲斐野は当然、危険球で退場。前回の試合でカープも、九里がデスパイネにデッドボール食らわしたし、ワザとじゃないんだろうけど、ほんと気をつけてほしいものですね。

 ↑ 野間っち、活躍できて良かった良かった!双眼鏡でガン見した彼、ユニフォームがはち切れんばかりにムキムキムチムチになってた!鍛えてますよあれは相当! 
 アツのデッドボールで押し出しの1点追加、まさかの同点に追いつく!ダメだと思い込んでたのに、どうよどうよ。逆転、あるんじゃね?と期待が落胆に取って代わる。野間がフォアボールを選んでまたまた押し出しの1点でついに逆転!おお!逆転のカープ健在!これだから野球は面白い!でも結局は、ホークスに1点取られて同点に。ゲームはドローで終了…うう~ん。追いついて、いったんは逆転したのはお見事!だったんだけど…勝ちきれなかったのはやっぱ悔しいです。オープン戦はこの日が最終日。カープは20数年ぶりにオープン戦優勝!うう~ん、でも素直に喜べんわ~。だって、3連覇した年はすべてオープン戦は最下位に近かったもんね。ちょっと不吉…

 さあ、金曜日からはいよいよ公式戦がスタートよ!またカープに一喜一憂する日々が始まるんですね。しんどい…けど楽しみ(^^♪初戦はGと!去年以上にボコボコのケチョンケチョンにしてほしい!カープをナメきってる原たつのり監督の発言に腹立つのり!赤い戦士たちよ、黒い巨悪を斃せ!

 ↑ 背番号51、年齢、プレースタイル、内川の弟分、など何かと共通点があるセイヤと上林くんは、とっても仲良し。今年も内川先生のもとで仲良く自主トレ。楽しそうな水中トレーニングでは、肉体美も競い合いました♡

 ↑ 見るからにゴリマッチョなセイヤはさておき、ほっそりして見える上林くんも脱ぐと驚きのマッチョ!
 
 ↑ さらにファンサービス脱ぎ!

 ↑ セイヤといえばの変顔。子どもの頃から、カメラを向けると変顔してたそうです。可愛いですね。今年もどんな変顔、そして活躍で魅せてくれるでしょうか

悪魔を受胎した若妻!

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 すっかり春めいてきましたね(^^♪もう眠くて気怠くて、24時間春眠していたい季節の始まりです
 我が家の庭や職場のプランターにも、春の慎ましい到来が。

 芽キャベツ!知らん間にチョコチョコっとできてた!シチューに使いました。すごく美味しかったです!こないだ職場でスナックエンドウの苗を植えました。夏は頑張ってトマトとキュウリに挑戦したと思ってます

 ほったらかしでも毎年元気に咲いてくれる、ユニークで可愛いラケナリア。

 大好きなギボウシが地中から芽を出すと、春の訪れを実感します。

 裏庭のトリカブトも、やっと姿を現してくれました。根っこは猛毒、でも花はきれい。

 ホームセンターで衝動買いしてしまったミニバラ🌹
 皆さまのもとには、どんな春の使者がやって来てますでしょうか🌸

 「ローズマリーの赤ちゃん」
 売れない俳優のガイとその妻ローズマリーは、マンハッタンにある古いアパートに引っ越す。そこには不吉な噂がまつわっていた。住人のカスタベット夫妻の養女が投身自殺する事件が起き、それがきっかけとなりガイは老夫婦と親しくなる。ローズマリーは親切だが過干渉気味のカスタベット夫妻に苛立ちや不安を覚え始める。そんな中、悪魔に犯される夢を見たローズマリーは妊娠するが…
 名匠ロマン・ポランスキー監督の初アメリカ映画。近年もそこそこ面白い作品を発表してるポランスキー監督ですが、まさに神がかってた60・70年代の傑作に比べると、やはり衰えは否めません。オカルト映画の名作としても有名なこの作品も、神ってた時代のポランスキー監督の代表作のひとつです。
 オカルト映画といっても、いかにもな恐怖シーンもスーパーナチュラルなシーンもなく、霊やモンスターなどもいっさい登場しません。不安と恐怖、そして疑心暗鬼に陥ったヒロインが、狂気的な言動や妄想に墜ちていく姿を描いた、オカルトというよりもどちらかと言えば「反撥」や「テナント 恐怖を借りた男」と同じニューロティックな映画。わけありなアパート(外観で使用されたのは、ジョン・レノンとオノ・ノーコが住んでいたことで有名なダコタ・ハウス)、怪しい隣人、不可解な出来事、悪夢かうつつかなシーン、じわじわとコワレていく主人公…監督自身が主演した「テナント」とちょっとカブります。

 ヒロインの心を蝕む不安や疑念は、漏れたガスのようにはじめはうっすらと、しだいに濃ゆく強烈になっていくのですが、ラストで大爆発はせず、充満したガスの臭いに慣れてむしろ苦しさよりも心地よさを覚えてしまう、という危険で奇妙な感覚もまた、凡百なオカルト映画と一線を画しています。異臭がするペンダント、怪しい飲み物、タンスで隠されていたクローゼットetc.小道具や伏線の張り方など、脚本の秀逸さもオカルト映画の域を超えています。でも、いくらすぐれた脚本でも、あの独特な雰囲気を生み出せる鬼才ポランスキー監督の演出がなければ、フツーに面白い映画で終わっていたかもしれません。ラスト、赤ちゃんの姿を見せなかったのも、ミステリアスで不気味な印象を残す好演出。

 悪魔崇拝や呪殺といったオカルト要素は、高階良子先生や松本洋子先生の漫画を思い出させる懐かしのテイスト。オカルトよりも怖いのは、自分自身のみならず周囲との生活や人間関係までも壊してしまう精神の不安定、錯乱です。鬱の時代に生きる私たちにとっては、異常をきたす精神こそが恐るべき悪魔です。それと、お人よしで優柔不断なローズマリーが、隣人ばばあの親切ごかしの怪しい助言や誘い、差し入れを断れず、胡乱な連中の言いなりになって社会から孤立してしまい、いつしか自分がとんでもない状況にあることに気づくも時すでに遅し…なのを見てると、オレオレ詐欺や新興宗教による洗脳などを想起せずにはいられませんでした。まるで現代の社会問題を予言しているかのような映画です。

 ローズマリー役のミア・ファローの神経症演技が、悪魔よりも怖い!ほとんどまばたきしない大きなギョロ目は視線がさだまっておらず、彼女だけにしか見えない魔を見つめているかのよう。か細い声と少女のような華奢な身体はいつもプルプルと震えていて、どう見ても産婦人科の前に心療内科で診てもらったほうがいい女。すべて彼女の妄想なのでは?と惑わされてしまいます。ミニスカートやワンピース、ベリショートカットなど、彼女の60年代NYファッションが可愛くてオシャレでした。ガイ役は、監督としても名高かったジョン・カサヴェテス。いい役者ですが、もうちょっとイケメンな俳優だったらなと思わないでもなかった。もっとも強烈だったのは、隣のお節介ババア役のルース・ゴートン。めっちゃ怪しい!ウザい!でも何か笑える!彼女はこの作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞。不気味さの中にも滑稽さがあるところも、ポランスキー監督の持ち味です。

ブラック・イズ・ニューテンプテーション

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 数年前に、候補者は白人だらけで黒人差別だ!と大炎上したアカデミー賞。その後、「ムーンライト」がオスカーを受賞したり、「ブラックパンサー」が大ヒットしたり、ブラックがホワイトを凌駕するトレンドカラーになってきてるハリウッド。才能ある監督たちだけでなく、演技もルックスも抜群な俳優たちも輝きを放っています。90年代に入ってからはデンゼル・ワシントンとウィル・スミスが絶対的な2強でしたが、世代交代も進み若くてイキのいいフレッシュな男たちが台頭、映画界を席捲中です。その中でも、私が特に好きな黒い宝石たちをピックアップ

  チャドウィック・ボーズマン Chadwick Boseman

 1976年アメリカのサウスキャロライナ州アンダーソン生まれ。現在43歳。
 大ヒットした「ブラックパンサー」で、一躍人気スターとなった殿下ことチャドウィックは、私にとって今もっとも好きなブラックアクター。40過ぎとは思えぬほど若々しくて、ちょっと悲しそうだけど可愛らしい顔も好き。チャラチャラした軽薄さがなく、かといって深刻ぶった重苦しさもなく、真面目で誠実で優しそうなところが素敵。サスペンス映画“21 Bridges”が公開待機中で、現在スパイク・リー監督の新作“Da 5 Bloods ”を撮影中とか。楽しみですね(^^♪

  マイケル・B・ジョーダン Michael B. Jordan

 1987年アメリカのカリフォルニア生まれ。現在32歳。
 初主演作「フロートベル駅で」で注目され、ロッキーの新シリーズ「クリード」の主役に抜擢、「ブラックパンサー」では悪役キルモンガーを熱演し、役者としての株はうなぎのぼり。高い演技力のみならず、童顔とセクシーな肉体美も彼の魅力です。

  ダニエル・カルーヤ Daniel Kaluuya

 1989年イギリスのロンドン生まれ。現在30歳。
 大ヒット作「ゲット・アウト」で早くもオスカー候補となり、「ブラックパンサー」では殿下の親友役を好演。イケメンではないけど、日本の30過ぎたチャラいおじさんアイドルより年下とは思えぬ落ち着いた老成感、男らしい力強さがカッコいいです。新作「ロスト・マネー」は、日本では劇場公開(が予定されてた頃は、「妻たちの落とし前」という邦題だった)が見送られ、DVDスルーに。

  デヴィッド・オイェロウォ David Oyelowo

 1976年イギリスのオックスフォード生まれ。現在43歳。
 TVドラマ「スモールアイランド」や、キング牧師を熱演した「グローリー 明日への行進」など、親しみやすさとカリスマを兼ね備えた男の役がハマる役者。演技も風貌も味わいがあって、一度見ると好きにならずにはいられない魅力が。ジャベール警部役を演じてるTV版の「レ・ミゼラブル」の日本放送が待ち遠しい!

  ジョン・デヴィッド・ワシントン John David Washington

 1984年アメリカのロサンゼルス生まれ。現在35歳。
 その名が示す通り、名優デンゼル・ワシントンの息子。役者になる前はプロのアメフト選手だったとか。スパイク・リー監督の「ブラック・クランズマン」で高く評価され、今後の活躍が期待されるサラブレット俳優です。

  ステファン・ジェームス Stephan James

 1993年カナダのトロント生まれ。現在26歳。
 無実の罪で投獄される青年を演じた「ビール・ストリートの恋人たち」の彼、さすが20代のツヤツヤピチピチ肌!まさにチョコレートみたいで美味しそう!モデルみたいなおしゃれな雰囲気も魅力。ジュリア・ロバーツ主演のAmazonドラマ「ホームカミング」や、チャドウィック・ボーズマン主演の“21 Bridges”など話題作に出演、次世代の人気ブラックスター候補として要チェキな存在!

もしも彼氏が冤罪で

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 「ビール・ストリートの恋人たち」
 幼なじみのティッシュとファニーは深く愛し合い、結婚も間近に控えて幸せの絶頂にいた。しかし突然、ファニーが身に覚えのないレイプ事件の犯人として逮捕されてしまう。妊娠していたティッシュは、獄中のファニーを献身的に支え、彼を救い出そうとするが…
 オスカーを受賞した「ムーンライト」のバリー・ジェンキンス監督待望の新作です。ムーンライト同様、シビアで理不尽な社会の中で、傷つき苦悩しながらも愛に生きる若い黒人の物語です。それにしても。レイプ冤罪だなんて、ただでさえ差別に苦しめられているというのに、神さまはどれほど試練を与えれば気がすむのでしょう。ファニーへの濡れ衣も、ちゃんと調べれば無実だとすぐに判明するのに、黒人だからそんなのよくある話、みたいなアメリカって本当に恐ろしい国。あんな非道で悲惨な目に、いつ自分が遭うかわからないと戦々恐々して暮らさねばならない黒人の苦患は、日本人がいくら様々な映画や小説にふれても想像を絶します。

 全編にわたって、悲しみと絶望が澱のように沈殿しているのですが、若い恋人たちの愛が夢のようなムードで描かれてもいます。差別って怖いな~許せないな~というネガティヴな感想よりも、若いっていいな~こんなにも深く強く愛し愛されるなんて素晴らしいな~という賛嘆や羨望を強く感じました。ティッシュとファニーの筒井筒な恋は微笑ましく初々しく、そしてひとつになりたいという想いは切なく情熱的で。ただ並んで歩いてるだけのシーンが多いのですが、すごく満ち足りていて幸せそうで、まさに二人のため世界はあるの~♪なんですよ。交わす言葉も少ないのですが、愛に言葉はあまり重要ではなく、心で通じ合ってる風情が素敵でした。ラブシーンも、若者にしかない官能的な美しさでした。

 ティッシュとファニーのキャラも、若者らしく一途で純真で不器用なところが愛しかったです。ティッシュは可憐で受け身な女の子に見えて、何があってもファニーへの愛を信じ揺るがない挫けない強さが凛々しかったです。ファニーの優しさ繊細さは、愛される女を蕩けさせるほどso sweet!ちょっとダメ男なところも女の母性本能をくすぐります。無職なのに結婚や家探しとか、のんきすぎるのではと思わないでもなかったけど、そんな小さいことは気にしない、幸せな未来しか思い描かないのも若さの特権でしょうか。

 ↑ デートシーンの中では、雨の中を赤い傘さして歩くシーンが特にロマンティックで好き
 ティッシュとファニー、ちょっと恋に酔いすぎたのか、あまりも二人だけの世界でフワフワキラキラしてしまい、自分たちがどんなに厳しく危険な環境にいるのか忘れてしまったせいで、好事魔多しになってしまった。もうちょっとしっかりしてたら、と思いつつ、世故にたけて何でもソツなくこなす若者の話なんてつまんない、スキだらけで愚かなほどにキラキラドリーミーな若者のほうが、見ていて魅せられます。

 悪魔のような白人よりも、善き白人のほうが多く登場していたのが、とても救いになりました。白人だって、みんながみんな黒人を虐げてるわけではないんですよね。心優しい白人の中では特に、新しい部屋の大家さんが善い人でした。どうしてそんなに黒人によくしてくれるのかと訝しむファニーに、愛し合ってる人が好きだからと答える大家さん。うう~ん、いい台詞ですね!ちょっとホロっとなりました。
 黒人側にも腹ただしい連中はいて、ファニーの母親&妹二人の偏狭さと意地の悪さは、差別以上にムカつきます。いくら愛する男と結婚できても、もれなくあんな姑と小姑がついてくるなんて、私なら先が思いやられすぎてゲンナリするわ~。ティッシュのママ&姉が、ティッシュを侮辱する姑&小姑にガツンと喝を入れるシーンが痛快でした。女同士のキャットファイトが深刻ながらも笑えた。ティッシュの愛情深く気風のいいママ役のレジーナ・キングは、この映画でオスカーの助演女優賞を受賞。いい役、好演、だけど、演技的には「女王陛下のお気に入り」のエマ・ストーンとレイチェル・ワイズのほうが、インパクト&クオリティは格段に上です。

 表面は慎ましいけど心は強い、というちょっと古風な日本女性みたいなティッシュを演じたキキ・レインは、パワフルで自己主張が強い黒人女性の中にあって、おとなしやかではかなげなところが返って独特な魅力に。不安そうな表情や瞳が印象的でした。ファニー役のステファン・ジェームズは、カッコカワいいイケメン!優しそうでナイーヴそうなところが役に合ってました。ラブシーンで見せる肉体美も眼福です。でもファニーは別に肉体労働もスポーツもしてない芸術家肌の青年なのに、なぜあんなに肉体美?キキちゃんもちゃんと脱いでましたが、愛し合うシーンで生まれたままの姿になるのは当然。不自然な隠し方をするウソくさいセックスシーンなら、ないほうがいいです。
 善い白人役で、ディエゴ・ルナとデイヴ・フランコがチョイ役ながら爽やかな好演。ムーンライト同様、映像の美しさもこの映画の魅力。どこかアンニュイで冷ややかだったムーンライトに比べると、色彩は華やかになってました。ティッシュら女性たちのファッションが可愛くておしゃれ!今にもミュージカルになるのでは?な音楽の使い方、センスも抜群です。

 ↑ 若手黒人俳優の中では、今後の活躍が最も期待されるステファン。とにかくカッコカワイくて何着てもオシャレに見える!新作は何と!これまた大好きなチャドウィック・ボーズマン主演作“21 Bridges”!二人を同じ画面で見られるなんて、幸せすぎる!日本公開が楽しみ(^^♪

孤老の身

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 いつの間にか桜も散ってしまいました。来年こそは、願はくは花の下にて春死なん…皆さまは、お花見を楽しまれたことでしょうか。
 お花見は行けなかったけど、慎ましいながら可愛く咲いてくれた庭の花たちが、春らんまんな気分にさせてくれています。

 サイネリアとマツムシソウが、とりわけ可愛くて好き。毎年なぜかチューリップがうまく咲かなくて。毎春の定番、パンジーとキンセンカはそろそろ終わり。次はキンギョソウとツリガネソウが花盛りの時を待っています。こないだ種を播いたナスタチュームと百日草、マリーゴールドも芽を出してくれました。お花さんに話しかけてる私、心療内科で診てもらったほうがいいでしょうか
 
 「ともしび」
 ベルギーの地方都市で、アンナは夫と共に静かに暮らしていたが、ある容疑で夫が収監されてしまう。家政婦の仕事や演劇教室通いなど日常生活を続けるアンナだったが…
 「まぼろし」「さざなみ」に続くシャーロット・ランプリング主演の、たそがれ夫人三部作の完結編?三作とも監督は別人ですが、それぞれフランス、イギリス、イタリアの気鋭のヨーロッパ人監督作。「愛の嵐」のシャーロット・ランプリングは、後に映画監督となる少年たちに強い衝撃を与えたようです。憧れの大女優をヒロインに映画を撮る、というのは映画監督にとっては究極の夢ではないでしょうか。才能ある若き映像作家たちから崇められ求められるランプリングおばさまですが、みんな彼女に対するイメージ、というか演じさせたい役がほぼ同じ、というのが興味深いです。老境にさしかかった女性が直面する苦悩と絶望、そして人生や愛の見つめ直し、というのが3作の共通点です。テーマがテーマなので、明るく楽しい映画にはなりようがなく、とりわけ今回の作品は前2作よりも苦い、イタい内容でした。

 美しく静かに老いることって、やはり奇跡に近いのね…と、アンナのわびしくみじめな姿を見ていて胸がザワつきました。容赦のない肉体の衰えは仕方がないけど、老いても生活と心に平安が訪れないのはキツいわ。その顔は苦渋に満ちているものの、ショックを受けて狼狽えたり、悲嘆に打ち沈むといった感情的な様子はほとんど見せず、かといって淡々となるようになるわな飄々さなども微塵もなく、生きるという苦行に黙々と耐えているみたいなアンナを、無残なまでに痛ましくしていたのは老いていく悲しみでも絶望でもなく、こんなに独りぼっちな人もなかなかいないと暗澹となるほどの孤独だったように思われます。

 夫も息子もいて、仕事もあり演劇教室や水泳にも通うなど、家族や社会ともつながっているのに、ぼっちなプチ引きこもりの私よりも深刻な孤独。夫は投獄され(何の罪なのかは明瞭にされませんが、幼い男児に性的いたずらをした?と推察できます)、一人息子からは冷たく絶縁され(孫の誕生パーティーに呼んでもらえず、玄関先で追い返されるシーンが痛ましかった)、まさに家族は災いの元みたいな不幸。夫も子どももいらん!気楽で幸せな孤独バンザイ!と、心の底から思いました。それにしても…希望も愛もないけど人生を続けていくだろうアンナと私は、死ぬ勇気がないだけの臆病者?それとも、諦めという最強の精神力を備えた賢者?

 ハリウッド映画や邦画なら、孤独な主人公にとって心のよりどころとなる出会いや出来事があったりするけど、そんなありきたりな展開にはならないところがヨーロッパ映画。厳しく冷たい現実の闇の果てに、一筋の希望の光明が見えて終わる、みたいなダルデンヌ兄弟監督の作品ともまた違って、孤独が深まっていくだけの憂鬱さが最後まで拭われないまま。浜辺に打ち上げられたクジラの死骸が、アンナの現在と未来を暗示しているようで、それもまた観る者を暗澹とさせます。多くを説明せず、ドラマティックなシーンも展開もなく、ドキュメンタリーのようにアンナの生活を追ってるだけなので、老いや孤独を実感してない人には退屈な映画かもしれません。ラストの地下鉄シーンには、ちょっとハラハラさせられましたが。

 シャーロット・ランプリングは、この作品でヴェネツィア映画祭女優賞を受賞。顔も体もたるみ、しわが生々しかった。齢70のヌードが衝撃的。脱がせるほうもすごいけど、脱ぐほうもよくやるな~とその女優魂に感嘆。若く見せたい美しく見えたいという虚栄など、とっくに捨てきっています。アンチエイジングに必死なハリウッドや日本の女優にはない、ヨーロッパ女優の凄みに驚嘆。堂々と老いをさらしながらも、老いさらばえた婆さんって感じは全然なくて、コワレたくてもイカレたくても狂気に逃避できない、悲しいまでに失わない理性、理知が鋭く毅然としていました。闊歩する姿なども、ヨボヨボ感ゼロです。
 舞台となったベルギーの地方都市も、パリやロンドンとは違う精彩のないわびしさで、孤独な女にぴったりでした。イタリア出身でアメリカで活動しているアンドレア・パラオロ監督は、なかなかのイケメンみたいです。どうやら彼もゲイ?フランソワ・オゾン監督もアンドリュー・ヘイ監督もゲイだし、シャーロット・ランプリングみたいに天才的なゲイ監督の創作意欲を刺激する女優は、本当に貴重で稀有です。

鯉よ蒼天を泳げ!

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 21日のカープベイスターズをズムスタで観戦しました~
 開幕から5カード続けて負け越し!呪われてるとしか思えない惨状に、早くお祓いをー!!4連覇なんてもう恥ずかしくて口にもできない!投手はもう誰が投げてもボロボロな完全崩壊、野手も打たんわ信じられないエラーしまくるわ、こ、こんなのカープじゃないー!!暗い海底に沈んで浮かんでこない深海魚となってしまったカープに、春なのに広島県民の心は氷河期のように凍りつき、失望と絶望で日常生活やメンタルに支障が。実際に体調を崩して病院送りになってしまった私です咲かないうちに散ってしまった桜、のぼらない鯉のぼりに、開幕前のワクワク感は雲散霧消。今回の観戦も足が重い…と暗澹としてたら、あれ?Gに逆転勝ちしたのを機に、ベイスターズに2連勝で今季初の勝ち越し!やっとエンジンがかかって上昇気流に乗った?期待と不安を胸に、ズムスタへ向かいました。
 今回は、老父母とダミアンと4人で観戦。ズムスタ前に、老母と人気のパンケーキカフェgramへ。店の前ではもう若い女性やカップルで列が。私の狙いはもちろん、時間と数量限定のプレミアムパンケーキ(^^♪

 ↑ 待ち札、個室の置き物も可愛い
 プレミアムパンケーキは30分待ち!老母が頼んだランチパンケーキが先に運ばれてきました。サーモン&アボガドをのせたパンケーキとサラダ。年寄りにはちょっと量が多い。

 ドレッシング味が沁み込んだ甘くないパンケーキ、味はビミョー。サーモン&アボガドは美味しかったです。30分後に、やって来ましたプレミアムパンケーキ!運ばれてきた三段重ねのパンケーキ、ぷるぷると今にも倒れそう!急げー!倒れるぞー!慌てて携帯を向ける私、倒れそうになるケーキを直す老母。

 倒さずに食べるのは無理!めちゃ食べにくい💦味は…うう~ん?思ってたのとは違ってた。食感は豆腐プリンみたいだった。そんなに甘くなかったのも想定外。決して不味くはなかったけれど、また食べたい!とは残念ながら思いませんでした。ガッカリしたわけではないけど、ちょっと肩すかしな期待外れ…
 閑話休題。市電で広島駅に移動し、ズムスタへ向かいます。ここにきて起死回生の兆しがあらわれたこともあって、ズムスタはすでにすごい熱気!やっと取り戻した明るさと元気を、カープファンからもう奪わないで!この勢いで、また勝利を!グラウンドにも真っ赤に染まった客席にも、夏のような陽射しが照りつけ、選手もファンも真っ黒になってしまうこと必至。日焼けは絶対イヤ!老人を連れてたこともあり、早々と屋根の下の外野自由席レフト側へ。ここ、なかなか穴場なのです♪
 パンケーキでオナカイッパイだったので、いつものスタジアムグルメは今回はなし。チューハイ片手に応援態勢に入りました。先発はジョンソン。彼もボロボロ状態で、いまだ勝ち星なし。高額の契約金をもらった途端にポンコツ化だなんて、これだから外人って!クールで真面目な人柄も、キレッキレの時のスゴさも大好きな選手なので、やる気がないだけとか手抜きとか疑いたくない…それにしても。今年のスタメン発表の映像、遊び心ありすぎ!セイヤの変顔、野間っちのオチャメな動き、可愛い!いちばん笑えて可愛かったのは、意外やジョンソン!あの真面目なジョンソンが、ノリノリでヘンな踊り!

 プレイボール。ベイの先発は国吉。中継ぎの彼が先発にまわり、先発の京山が次を担う、というオープナーという戦略に打って出たラミちゃん監督。2連勝したとはいえ、前回の試合では無残に負け越し、順位も上であるベイなので、今回のゲームが従来のベイ苦手意識を払拭できるかどうかの試金石となります。ラミちゃんの奇策は吉と出るか?カープがそれを打ち砕くのか?

 絶不調に陥り、カープどん底の大戦犯とも見なされていたコースケが、ついに復活!彼が塁に出ると、カープ打線が活気づきます。野間もヒット、そして今やカープの看板、4番のセイヤが早々と大仕事!タイムリーヒットでカープ先制!さすがセイヤ!やってくれそうな期待感、それに応えてくれる頼もしさはハンパない!

 ↑ 野間っちオトコマエ~活躍ってやっぱ、男の見た目もカッコよくするわ~。佐〇健とか菅〇将〇とかより、野間っちのほうがはるかにイケメンに見える私の目って、腐っとるんかのお?
 タイムリーや押し出しフォアボールで、カープが一気に4点を獲得!国吉だけでなく、その後のベイ投手をも粉砕!この日はバティスタが覚醒の大暴れで、タイムリーの他にもホームランもブチかまし、ズムスタはもう歓喜のお祭り騒ぎ(^^♪私もウキウキと双眼鏡でいつもの選手視姦、じゃない、観察を楽しみました野球選手のカラダつきって、ほんとセクシーでカッコいいですよね~。アイドルやイケメン俳優なんか、ほんと貧相な子どもかオカマにしか見えんわ。特にスタイル抜群だったのが、サードを守ってた安部。筋肉でガチガチに堅そうな足とケツがたまりません。野間っちのケツもデカくて堅そうで好き。敵側では、レフトの筒香を間近で見られてラッキー。ツッツはまるでラグビー選手みたいなイカツいガタイ。試合中にストレッチしてたりキョロキョロしてたり、何か落ち着きがないというか緊張感のないツッツでしたが。

 野手は八面六臂の働きでしたが、投手はやっぱかなり心配。ジョンソンも、今回はボロボロに崩れはしなかったけど、どこ投げてんの?!な危ない投球とか、全盛期のようなサクサクと終わらせる痛快なスピード感は全然なくて、次も大丈夫!とは信じがたい内容でしたし。フランスワも登場してすぐにロペスにいきなりホームラン、抑えの中崎にいたっては、勝利目前になってソトに2ラン打たれるとか、おいおいおい~!!でもやっぱりこうなるよな~なトホホさ。胃痛なしではもう見られない中崎です。7点も得点できてたから勝てたけど、これが1点差だったら確実に逆転負けでしたもん。危ない危ない by 福田和子。

 ↑ カープ随一の肉体美を誇るアベちゃん。嫁が羨ましい!
 というわけで、何とかかんとか勝ってベイを3タテ!カープ4連勝!海底の深海魚から、やっと青空へと向かう鯉のぼりになれたようです。ファンへの裏切りのような無様な負け方だけは、もうしないで!今年はしょっぱなから、いくらなんでもな度の過ぎるヤキモキを味わうハメになりましたが、負のウミは早めに出しきったということ!これからは胸踊る捲土重来の快進撃をお願いカープ!

 ↑ 広島では、カープ選手によるユル~いCMがガンガン流れてます。中でも中国電力のカピバラ3兄弟は、ほんわかほのぼのしてて、ほんと可愛いです!それにしても。3兄弟も独身は長男のイマムーだけになりましたね~。イマムーも広島の女子アナかローカルタレントと結婚するんだろうな~…

 ↑ タナキク▼ルに続くカープの看板トリオは、間違いなくこのノマレンジャー(野間っち、セイヤ、リョーマ)!今のところ全員独身、でもめちゃくちゃ遊んでそうなヤンチャ感も3人の魅力♡

冥界の呪文エロイムエッサム🌠

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 「魔界転生」
 島原の乱で非業の死を遂げた天草四郎は、悪魔の力によって復活。細川ガラシャや宮本武蔵など、この世に未練を残す死者たちを転生させ、幕府を滅ぼそうと暗躍する。柳生十兵衛はそれを阻止しようとするが、父の宗矩が天草四郎の魔手に落ちたことを知り…
 大好きな映画「柳生一族の陰謀」の続編?同じ深作欣二監督、キャストも柳生一族でお馴染みの顔ぶれで、主役も同じ柳生十兵衛。今回は将軍の座をめぐっての政争ではなく魔物との怪奇戦で、将軍も次の4代将軍家綱に代替わりしていて、柳生一族での衝撃の結末もなかったことになってるみたいだったので、やっぱ続編ではなく別物と見なすのが正解でしょうか。

 柳生一族もなかなかのトンデモ時代劇でしたが、今回はさらに奇想天外で荒唐無稽。天草四郎が有名死人をスカウト?し黄泉がえらせ、徒党を組んで幕府打倒!という設定の着想がぶっとんでてユニーク。オカルトシーンや妖術シーンなどでの特撮が、現在の高度で便利な乱用CGよりも味わい深く、親しみやノスタルジーを感じずにはいられませんでした。内容だけだとお子ちゃま向けかもしれませんが、おっぱいポロンシーン、レイプシーンや濡れ場など子供は観ちゃダメ!な大人向けの場面満載なのが、やはり現在の毒にも薬にもならん無難なポリコレ時代劇、アイドルやタレントの学芸会時代劇との大いなる相違です。70・80年代の邦画は本当に俳優の個性、存在感、演技のインパクトが大きくクオリティも高く、こんなトンデモ時代劇でも一流の出演者たちが濃ゆ~く絡み激突してます。

 天草四郎役は、ジュリーこと沢田研二。ザ・ベストテンとか歌番組で、奇抜なファッション、メイクをしてヒット曲を歌う妖しい歌手、というイメージ通りの役、風貌で妖美な魔人を好演しています。独特の雰囲気と演技には、俳優とはまた違う魅力が。フツーの男の役など絶対にできないジュリーです。ステージでも着られそうな衣装も、ジュリーだから着こなせたと思います。ただの美男俳優、演技が巧いだけの俳優だと、派手なチンドン屋に見えてしまうだけでしょうし。悪役という感じはあまりなく、むしろ庶民を苦しめる非道な幕府をやっつけようと頑張ってるヒーローみたいでした。

 柳生十兵衛は、もちろん千葉真一。TVドラマでも人気を博すなど、当たり役を今回もワイルドにシブくダイナミックに。彼みたいな男♂くさい役者も、今は絶滅しちゃってますよね~。息子のマッケンユーも好きだけど、抱かれるならこの映画の頃のサニー千葉だわ。怪奇ファンタジー映画なので、前回の柳生一族よりも自由で奇抜なアクションを駆使できたようで、いっそうイキイキして見えた千葉さんです。俳優の演技もだけど、演出も今の邦画では考えられないような無茶をしまくってるのも、深作監督らしい魅力的な荒っぽさ。ラストの燃えさかる江戸城での決戦シーンは、実際にセットを燃やして撮影したとか。なのですごい臨場感と迫力です。監督も俳優も、命がけで面白さを追及していたのですね。

 その他のキャストも、みんな激烈で珍奇。楽しそうにやってるのではなく、大真面目にトンデモな役に取り組んでいるところが、今の映画俳優気取りなCM俳優と違う重みと凄みです。柳生十兵衛の父、柳生但馬守宗矩役の若山富三郎の大物オーラが圧巻!柳生一族での萬屋錦之介ほどの怪演ではないものの、若山御大の抑えた狂いっぷりもヤバくて面白かったです。今の若いイケメン俳優なんか絶対できない、殺陣での俊敏で軽快な動きもお見事でした。宮本武蔵役は、これまた希代の名優である緒形拳。彼も鬼気せまる狂人ぶり、でも激シブでカッコいい!若山御大と緒形氏が同じ画面とか、すごい貴重感&重厚感!強姦破戒僧な室田日出男も狂おしくて強烈。いちばん頑張ってる目立つ熱演だったのは、細川ガラシャ役の佳那晃子。美女!そしてエロい!愛怨と愛欲に狂う姿が壮絶でした。惜しみない脱ぎっぷりもあっぱれ。魔物衆がみんな妖怪というよりキ〇ガイなキャラだったのが怖笑でした。

 真田広之が柳生一族の時と似た役で、またまた若々しく躍動。当時まだ20代前半なので、とにかく若くて可愛いです。ピョンピョン飛び跳ねてる動きも、ほんとに忍者みたいです。ジュリーとのキスシーンは、公開当時すごい話題をさらったとか。脚本にはない思いつきの演出だったというのも驚き。他にも成田三樹夫と丹波哲郎がチョイ役ながらも、ただ出てるだけで画面を異様にする怪人っぷりを発揮してます。
 それにしても。天草四郎の魔界転生スカウトが面白かったけど、人選をかなり誤ってましたね~。力を合わせて幕府を倒すはずだったのに、チームワーク無視でみんな好き勝手に暴走しちゃってたし。それを放置して全然まとめようともしない天草四郎も、リーダーも資質に欠いてたような。

腐女コク①② ゲイは現実、BLはファンタジー

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 NHKの連ドラ「腐女子、うっかりゲイに告る」第1話と2話を観ました~。

☆男同士の密会
 冒頭、いきなりラブホテルで男同士のラブシーン。中年男にキス、愛撫され恍惚となる美少年…なんて、NHKのドラマで見られるとは思わなんだ。ゲイであることを隠して生きる高校生、純役は金子大地くん。去年話題をさらった「おっさんずラブ」に続いてのBLドラマ、そして今回は堂々の主演。

 おっさんずラブで彼が演じたアホイケメン社員マロ、可愛かったな~。アホで人好きのするマロとは真逆で、純は賢く内省的。こっちのほうが金子くんのルックスには合ってるかな。マロの時も思ったけど、彼ほんとキレイな顔してる!まさに白面の美男子。最近わらわら出現してもう誰が誰だか判別できないイケメン飽和状態だけど、“冷たい美貌”は金子くん以外思い当たりません。もう顔だけで一般人役には無理がある。冷酷な貴公子役とかサイコ役とか似合いそう。

 ゲイ役だけど、全然キャマキャマしくないところもいいですね~。女優より美白肌!某事務所タレントや韓流俳優みたいに、メイクばっちり感がないところもスゴいわ~。高校生にしてはさすがに大人っぽいかな。声と喋り方も独特。棒読みにも聞こえるけど、表情とか雰囲気でゲイの繊細さや苦しみをよく表していると思います。

☆BLに女は基本、邪魔
 腐女子であることを隠してる同級生の三浦さん。必死になって秘密にしてるわりには、カフェでにぎやかにBL談義してたり、買いこんだ大量のBLグッズを堂々と持ち歩いて水族館とか行ったり。キャラも、いい子だけど腐女子にしては天真爛漫すぎるような。演じてる女の子は誰?新人?いとうあさこを可愛くしたような顔?農家の娘役とか似合いそうな風貌ですが、モデルみたいな美少女よりもリアリティがあって好感。でも、天然言動でグイグイ男に近づいてくる女って苦手…

☆ゲイセックス
 ラブホテルで愛し合った後、純と彼氏の佐々木が交わす会話が結構セキララ。『初めてなのに簡単に挿入(はい)ってメチャクチャ感じてさ』『純は初めての時は大変だったよね』etc.妻子ある隠れゲイ佐々木役、谷原章介がなかなかのハマリ役。中年男のネチっこいイヤらしさがキモ怖い。丸山智巳とか平山浩行とかに演じてほしかったとは思いつつ、何となく実際にもバイっぽい谷原氏のほうが適役ではあります。

☆勃つ好き、勃たない好き
 ゲイサイトで知り合ったミスターファーレンハイトと純が交わすネット会話が、なかなか哲学的で奥深い。ミスターファーレンハイトの正体も気になるところ。
☆ジュンボーイズ
 純の親友である亮平くんや、クラスメートの男の子たちがみんな見た目が某事務所の下っ端タレント風で萌えんわ~。亮平くんとか、ベッキーのゲス不倫相手を可愛くしたような中性的な子だし。もっと男性的でスポーティな感じの男子も純の傍に配してほしかったかも。ノンケなはずの亮平くんが、そこはかとなく怪しいのが気になる。

☆デートと告白の機をセッティングしてもらう女
 三浦さんや亮平くんたちと遊園地へ行く純。ジェットコースターに乗ってる純の顔と声が可愛い。お化け屋敷で大騒ぎする三浦さん。私はウザいとしか思えなかったけど、ああいうのが男にとっては可愛いのかな。

★総括 
 BLドラマではなく、ゲイドラマ。ゲイの現実をリアルに甘酸っぱく描いていて、思ってたよりシリアスで重い。同性愛をおもしろおかしいネタにするのではなく、今後も同性愛の苦悩や苦難を真摯に優しく描いてほしいです。
 金子大地くんの美しさは、非現実的でほとんどファンタジー。あんなにキレイなゲイなら、悩む必要ないわ!ウジウジ悩まず開き直って、ブイブイ薔薇色のBLを楽しむ大地くんの弾けた演技が見たいものです。

 ぜんぜんタイプじゃないけど(私はライオンズの秋山とかカープの野間みたいな男のほうが好きなので)きれいな顔だな~とは心の底から思う金子大地くん。アミューズ系イケメン俳優は某事務所タレントと同じぐらい苦手なのですが、大地くんは好きです。若き日の織田信長役とかも似合いそう!

これでおしまいヒーロー大集合

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 今日から令和!争いや災害のない時代になるといいですね。
 皇室の静かで厳かな儀式も、日本らしい美しさでした。新天皇皇后両陛下のご成婚前後の映像に懐かしさと隔世の念を覚えずにはいられなかった私は、もう旧世代人間…
 喪に服す暗い始まりだった平成と違い、明るくおめでたいムードで幕を開けた令和。私の名字や会社も新しくなるといいな〜。いや、ならんでいいわ。新時代になっても個人的には今までのままでいたい私です♫

 「アベンジャーズ エンドゲーム」
 サノスによって人類の半数が消えてしまった世界。生き残ったアベンジャーズのメンバーは再結集し、世界を元通りにするための戦いに挑むが…
 シリーズ待望の新作にして最終回!正直、名残惜しさより安堵。シリーズものが苦手な私にとっては、数少ない全作コンプリートなシリーズなのですが、いいかげん引っ張り過ぎ。だんだん次回が楽しみ半分しんどいになり、前作「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」あたりからはもうこれ以上は無理、に。なので、アベンジャーズ最後の戦いには、嬉しい開放感を覚えました。有終の美を飾る今作は、3時間を超える超大作!長いなとは思いましたが、ぜんぜん苦痛ではありませんでした。すごく面白かったです!ナンダカンダでやっぱ、このシリーズが大好きなんですね私。

 でもでも。もう何がなんだかわけがわからないほど、いろんなことが乱発、いろんなキャラが乱立し、もうシッチャカメッチャカになってましたわ前作でアベンジャーズの半分が消えたこと以外、詳細は忘れ果ててしまってたので、これどーいうこと?これ誰だっけ?と、全然ついて行けてないことが露見でも話はもうぶっちゃけどーでもヨシ子。大好きな人気俳優たちが豪華集結してることが、私にとってこのシリーズ最大の魅力だから。よくみんな途中降板せずにやりきったな~と、あらためて労をねぎらいたいと存じます。初期の頃に比べると、さすがにみんな老けた。映画の中の時間はそんなに経ってないはずだけど、リアルではかなり長期に渡りましたから当然のこと。みんな老けたけど、いい感じに円熟味を増しました。ロバート・ダウニー・ジュニアとか、カッコいい爺さんになりそうだし。シリーズ以外の作品でも会いたい、と思わせてくれるスターに、みんななりました。私の好きなキャラが、最終回でもチャーミングだったのが嬉しかったです。

 クリス・ヘムズワースasソーと、マーク・ラファロasハルクは、もう完全にお笑い担当。コメディ要素が濃ゆいのもアベンジャーズシリーズの魅力なのですが、特にソーは男前おバカとして突出した存在に。今回は、アル中のビール腹となって引きこもり、という笑撃の変貌!とても神さまとは思えぬ崩れっぷりで笑わせてくれます。顔だけはイケメンのままなのも笑えた。

 どちらかと言えば地味なキャラだったホークアイが、今回もっともカッコよく見えるほどの見せ場と活躍!「S.W.A.T」とかイケてたジェレミー・レナーも、すっかりおじさんになりましたが、彼も渋みを増して若い頃とは違った魅力を備え始めてます。ヤサぐれて東京で暴れてた彼と闘う悪い日本人役で、真田広之がチョイ役で登場。彼も老けたな~。ダウニー・ジュニアやジェレミー・レナーと違って、悪い老け方してる。老けた上にいまだにこんな役しかやらせてもらえないとか、とてもハリウッドで成功してるとは思えず、何だか悲しくなってしまいました。

 ラスト近くになって、やっとあの御方が登場!そう、アベンジャーズの中でmy最愛ヒーロー、ブラックパンサーです!きゃー❤殿下~♡待ってました~💛殿下の復活に私のテンションは一気に上昇しましたが、遅すぎる登場に加えて見せ場もほとんどなく、顔見せ程度の出演にガッカリ。最後だけ出演なら、ベネディクト・カンバーバッチasドクター・ストレンジと、クリス・プラットasピーター・クイルのほうが、登場シーンは少ないながらも笑える言動をしてくれたりしたので、殿下の扱い方に不満!

 今回はタイムスリップ作戦がメインで、過去のシーンに懐かしい~!え?こんなんあったっけ?嵐。ロキやソーの母上、ドクター・ストレンジの師匠など、亡きキャラの再登場も驚喜でした。ラストの大決戦は、まるで関ヶ原の戦い。今や大物スターなアベンジャーズの面々が集合してるシーンは、ひょっとしたら合成?スケジュール合わせるの、不可能そうだし。今の技術だと、もう同じ場にいなくても共演しているように見せることも簡単でしょうし。大好きなアベンジャーズメンバーですが、今回???なキャラが登場していて当惑。「アントマン」と「キャプテン・マーベル」は未見だったせいか、彼らの加入に唐突感と違和感を覚えました。アントマンは何かイライラするキャラだし、キャプテン・マーベルは大物ぶっててナニサマ?な女だったし。最も???だったのは、アイアンマンの嫁が女アイアンマンみたいなキャラで参戦してたこと。あんなキャラ、いましたっけ?演じてるグイネス・パルトローは、まだ女優やってたんですね。今は女優というより炎上セレブとしてのほうが有名ですもんね。顔ももう女優は無理っぽいし、これが引退作になることでしょうか。

 地球の平和のために何人かのメンバーが落命したりスーパーな能力を失ったり、もう次回作はできないようにした終わり方が、潔くて好感。それぞれの道を進むメンバーの中では、やはりあのイケメンコンビの今後が気になります。前作で仲良しになった?二人が、最後になって正式?に仲間になったのが笑えた。アライグマのロケットが人間の姿に戻ってめでたくブラッドリー・クーパー登場!となれば、いい男トリオ主演の最高すぎる新シリーズができそうなんだけどね。

 ↑ アベンジャーズの皆さん、お疲れさまでした!クリス・ヘムズワース&クリス・プラットのWクリスには、アベンジャーズ以外の作品でも共演してほしいな~。この二人だとどうしてもコメディになるでしょうけど、シリアスなドラマで激突もmust be marvelous!

お手伝いさんは見た!

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 「ROMA ローマ」

ご長寿犯罪!

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 「運び屋」
 ないがしろにした妻子とは絶縁状態、事業にも失敗して何もかも失った老人アールは、荷物を運ぶだけの仕事を持ち掛けられ引き受ける。運んでいるものがマフィアの麻薬であることを知ったアールは…
 詐欺の被害や生活苦などで追いつめられた高齢者が、心ならずも犯罪に手を染めてしまうシリアスな社会派ドラマ、かと思いきや。お年寄りはやっぱりエラい!お年寄りも頑張る!な敬老コメディだったので、観ていて戸惑ってしまいましたアメリカ人ってほんとノーテンキだよな~と、主人公とマフィアの連中とのやりとりに呆れるやら笑えるやら。とにかくアール爺さん、調子ぶっこきすぎ!一回だけにしときゃいいものを、楽に大金を稼げることに味をしめて、だんだん自主的に楽しそうに仕事に励むようになるアール爺さんには、躊躇や苦悩、罪悪感などほとんどなく、それどころか若いマフィアの連中からチヤホヤされたり頼りにされたりで上機嫌、稼いだ大金で家や新車、貴金属など買ったり、友人の店を援助したり、女遊び!したりと、とんだリア充老人なんですよ。それがちょっとコメディタッチで描かれていて笑える反面、調子に乗るなジジイ!早く捕まれ!とイラっともしました。

 世のため人のためになることをしているのなら応援、尊敬もしますが、やってることは反社会的勢力の手先、犯罪行為。アールが頑張れば頑張るほど、麻薬が多くの人の手に渡ることになるんですから、彼を老境や逆境の中で挫けずたくましく闘うヒーローと見なすことはできません。お気楽な犯罪行為のみならず、家族との関係からもアールの人間性が疑われます。家族とヨリを戻すのも金で、な考えと行動に反感。家族もせっかく許してあげたのに、マフィアの運び屋をして逮捕・裁判とか、どこまで迷惑、恥をかかせれば気がすむの。アールの妻も娘も、人が善すぎる。孤独な老人がいきなり羽振りがよくなって、景気よく散財しているのに誰も不審がらないのも、私には不思議で仕方がありませんでした。

 年寄りであることがハンデではなく、かなりの武器になってたのも笑えたけど、違和感も覚えました。アールが何をしても言っても、年寄りだからとみんな許してくれたり油断してくれるんですよ。マフィアも警察も、年寄りにはとても優しいんです。年寄りに甘い社会、そしてそれにつけ込む年寄り、という私の周囲でもよく見かける構図が何かイヤでした。でもまあ、高齢者が非道い目に遭う姿は見たくないので、爺さんと若者たちのジェネレーションギャップやふれあいを明るくほのぼのと描いていた点は評価したいです。

 アール役は、監督も兼ねている大御所クリント・イーストウッド。久しぶりの俳優業。御年90歳!すっかり爺さんになりましたね~。まさに枯れ木のような風貌で、ヨボヨボしい動きにハラハラしてしまいましたが、90歳で演技も監督もできるなんて、ほんと驚異的な非老いぼれ!仕事に熱心で女好きで、自分勝手だけど憎めない愉快な人柄で、マッチョな思考とマッチョなプライドの塊なアールは、まさにクリント御大そのものなキャラ?劇中、ニグロだのタコス野郎だのと黒人やメキシコ人を差別用語で呼んだりするのですが。悪意や邪気は全然なく、親しみのこもった愛称みたいに使ってるのが、アメリカの人種差別のカジュアルな根深さを表しているようで、ちょっと怖かったです。人種差別だけでなく、男尊女卑で女性蔑視な価値観もアール=クリント御大からは感じられました。ちょっとトランプ大統領とカブるわ。

 セクシーねえちゃんたちを相手に裸になってハッスルする、クリント御大のバイアグラ不要っぷりも笑えた。ヨボヨボ爺のアールに、コワモテのマフィアも警察もほとんど手を出さず、気圧されたり一目置いたり大事にしたりするのも、演じてるのが超大物であるクリント御大の威光ゆえでしょうか。この若造どもが!という捨て台詞が、クリント御大ほど似合う爺はいません。フツーの爺さんならショック死する危機でも平然としてる姿は、かつてマカロニウエスタンやダーティハリーで壮絶な修羅場をくぐってきたクリント御大ならではでした。
 運び屋を追跡するFBI特別捜査官役で、大好きなブラッドリー・クーパーが出演してます。

 ブラパ、今回もめっちゃカッコよかった風貌は男性的だけど雰囲気がスマートで優しく、スターのオーラがダダ漏れしてるので、もうフツーの市井の男性役は無理かも。いい男ぶりにときめきましたが、別にブラパでなくてもいい役で、同じクリント御大の監督作「アメリカン・スナイパー」での熱演に比べると、特筆するような演技はしてません。師匠であるクリント御大に頼まれたから喜んで無条件で出た、みたいな感じ。そーいやブラパの初監督作「アリー スター誕生」は、クリント御大から引き継いだ作品でしたね。

 ブラパの相方捜査官役のマイケル・ペーニャは、最近ちょっと風貌も役柄もマーク・ラファロ路線になってきてるような気が。いい男!と思ったのが、アールの見張り役になるマフィア役のイグナシオ・セリッチオ。はじめはクソジジイが!とカリカリプンプンだったのに、いつしか気を許して親しみを抱くようになる様子が、何か犬が懐くみたいで微笑ましかったです。マフィアのボス役がアンディ・ガルシアだったとは!ぜんぜん気づかなかった!アールに運び屋の仕事を紹介する若い男もイケメンだった。それにしても。情にもろいマフィアだったな~。極悪冷酷なはずの男も、アールは奥さん亡くしたばかりだから、と同情して殺すのためらったりしてたし。そのせいで、ラストのアールのピンチも緊張感が薄まってしまった。ちょっとホロ苦いハッピーエンドも、麻薬の運び屋なんてダメ!ぜったい!という教訓にならなかったので残念。

 ↑派手な女性関係の結果、たくさん子どもがいるクリント御大ですが。寝たきりになって介護を引き受けるのは、実子たちじゃなくてひょっとしたらブラパかもしれません…

 ↑ ラテン系男前イグナシオ・セリッチオは、主にTVで活動してるみたいです。映画にももっと出て!

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 「ROMA ローマ」
 1970年のメキシコシティ、ローマ地区。医者のアントニオ一家宅で住み込みの家政婦として働くクレオは、恋人の子どもを身ごもっていることに気づくが…
 今年のアカデミー賞で、監督賞、外国語映画賞、撮影賞の三部門を受賞したnetflix映画。映画は劇場でかネット配信でか、という論争の火種となった映画でもあります。公開後、かつてないほどの大絶賛の嵐を巻き起こした話題作。映画ファンなら鑑賞マストとは思いつつも、有名スターは一人も出ておらず、お話も私好ではないので、netflixに加入してまでは…とスルーしていたのですが、突然広島でも劇場公開が決定し、タイミングがいいことに映画の日が休みだったので、それならばやっぱ観ておこうと映画館へ。GW中ということもあってか、すごい盛況!あと一歩遅ければ満席でアウト!になるところでした。いったいどんな傑作なのかしらん?いや、あまり期待はするまい。世間の傑作が私にとっても傑作になるとは限らない。私のような低能ミーハーには敷居の高い、意識高い系映画ファンの方々向けの高尚なゲージュツ映画、つまり気取った退屈な映画!過大評価を嗤うことになるだろうというヒネクレた予想は、見事にハズれました。評判通り、とっても佳い映画でした!

 お話じたいは特殊なことが起きるわけでもなく、特異な登場人物が出てくるわけでもなく、クレオの家事や子守や友達付き合いをする姿を淡々と静かにカメラで追ってるだけで、しかも3時間近くもある長い映画とくれば、通常なら私にとっては苦痛以外のナニモノでもないはずなのに、あら不思議!ぜんぜん退屈しなかったし、ラストなんか不覚にもホロっと涙腺が緩んでしまった。決して感動を押し付けてくるお涙ちょうだい映画ではないのに。なぜグイグイと惹きこまれ、あまつさえ感動してしまったのでしょうか。

 意識高い系映画ファンの方々のように、ここがスゴいから!と的確に指摘はできないのですが。やはり映像と演出の成せるわざでしょうか。まさにマジカルでした。何でもないように見えることが、この世で唯一無二な宝物であることに気づかせる魔法のような映像と演出なんて、やはり凡百な監督には不可能。この映画で2度目のオスカー監督賞を受賞した(外国語映画では初の快挙?)アルフォンソ・キュアロン監督は、やはり傑出した才人ですね~。
 モノクロ映像なのですが、古いクラシック映画とかでなじみがある白黒とは何か違うんですよ。清冽な白黒というか。色がないのに鮮やかな印象。人々や街、自然の動きを追うカメラワークは、観客に映画の中へと入り込んでしまったかのような感覚を与えてくれます。暴動シーンや海のシーンなど圧巻のダイナミックさで、ネットでよりも映画館で観るべき映画だな~と思いました。サスペンス映画でもアクション映画でもないのに、緊張感と緊迫感あるシーンにハラハラも何度かさせられました。暴動シーン、クレオが無事赤ちゃんを産めるかどうかな病院のシーン。そしてラスト近くの海のシーンには、え!やめて!最後の最後になってまさか悲劇が?!と、すごい気をもまされました。そういう観客を翻弄する演出も秀逸。空を飛んでる飛行機とか、背後に映ってるものが話とは関係ないのに何か気になってしまう、というシーンも多かった気がします。
 
 ほのぼのと温かいユーモアも、この映画の魅力でしょうか。笑えるシーンもたくさんあって、車の車庫入れシーンとか(車の扱い方が雑すぎ!)武術の先生とか、いい味だしてました。登場人物たちもみんないい味。ゲス人間は出てくるけど、悪人は一人も出てきません。クレオも出しゃばらないカワイコぶらない、でも優しさと真摯な献身にあふれたヒロイン。市原悦子みたいにのぞき見なんかしません。悩みや痛みを抱えても、ヘンにドラマティックに振る舞ったりしないところが良かったです。クレオが仕える一家は、騒々しくもイキイキとしていて、私もあんな風に仲良くケンカしてみたかったな~と羨ましくなりました。子どもたちは元気ありすぎ!だけど可愛かった。三兄弟は、将来イケメンになりそう。監督の少年時代を題材にしてるらしいけど、末っ子が監督なのかな?

 ママが超いい人!ちょっとキツい言動もするけど、気風と気前がよくてサバサバした男前マダム。身分は違えど、同じ女性であるクレオへの、決して上から目線ではない思いやりや労りが感動的でした。クレオ、あの一家が雇い主で本当にラッキーでした。「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇」のブルジョア一家&家政婦に、この映画を観せてやりたいです。フランスのブルジョアと違い、メキシコのブルジョアは生活感ありすぎ。ゲス野郎なパパとクレオの彼氏も、最低男なんだけど何となく滑稽なキャラでもあったおかげで(デカいイチモツをブラブラさせて武術の練習してる彼氏が笑えた)こんな男いるいる~と、不快感よりも親近感。あと、犬も笑えます。ウンコしすぎ!当時のメキシコの、不穏な社会情勢や格差社会も興味深く描かれていました。社会派映画的な告発調じゃないところも、この映画の美点。

 ↑ アルフォンソ・キュアロン監督、俳優顔負けの男前。「天国の駅、終わりの楽園。」とかまた観たくなってきました(^^♪

過去に書いたゲスレター

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 日曜日は庭いじりなどしてのんびり過ごしました~
 春の花はすっかり盛りを過ぎて、見苦しく枯れ始めているのが何だか人間とカブって切ないです。

 カンパニュラとジギタリスが咲き始めました。大好きな花。初夏の庭のレギュラーです。

 春のレギュラーのキンギョソウ、矮性スイートピーの可憐な風情が好き。

 職場の人にすすめられて育ててみたスナップエンドウ。畑と違ってプランターだと大きくならず収穫も少なかったけど、甘くて美味しかった!

 この奇怪な植物は、ウラシマソウという山野草です。去年芽が出てこなかったので枯れたのかなと思ったら、今年は元気に姿を現してくれました。
 ガーデニングって癒されるけど、めんどくさくてストレスにもなりますね~。夏のお花や野菜を枯らさないよう頑張らねば…

 「ベロニカとの記憶」
 ロンドンでカメラショップを営む老人トニーは、学生時代の恋人ベロニカの亡くなった母が彼に遺した日記を、ベロニカが処分したことを知る。トニーはベロニカと再会を試みるが…
 「終わりの感覚」という小説の映画化だそうです。イギリス映画といえば、上流一家の優雅な生活とか男子高校でのBLですよね~。その美味しいエッセンスがかなり薄口だったのが物足りなかったです。それは、ベロニカ一家が富豪でも貴族でもない小金持ちレベルで、期待させながらも結局はBLドラマではなかったから、でしょうか。もみじまんじゅうを食べたら中にアンコが入ってなかった、みたいな感じというか。

 物足りなさよりも、主人公のトニーが何かイヤな感じのジジイだったのが残念。基本的には善い人なのですが、かなり無神経でマイペースすぎる言動が不愉快でした。冷酷で身勝手な悪人よりも、返ってタチが悪いです。本人には悪意も他意も全然ないので、怒って責めることもできないですし。そういう困った善人、実際にもいますよね~。トニーの元妻や娘へのKYな対応にイラっとしました。みんな怒っても仕方がないと諦めてるのか、すごく寛容な接し方してたのがエラいな~と感心。人のことにはほぼ無関心で、自分ことばかり話すトニーって、ちょっとアスペルガーなのかなとも思った。ベロニカを尾行する姿はほとんどストーカーで気持ち悪かった。若い頃のトニーが書いた、自分をフったベロニカへの腹いせゲスレターとか最低。ベロニカを含め、みんなトニーに優しすぎる。

 エイドリアンが自殺した理由とか、意味ありげなベロニカ一家の関係とか、ミステリーなところは面白かったけど、思わせぶりだったわりには全然フツーな真相で、返って驚いてしまいました。もっとドロドロと衝撃的な家族の秘密にしてほしかった!ベロニカの兄ちゃんとか無駄キャラすぎ!
 内容はビミョーでしたが、キャストは豪華じゃないけどイギリス映画ファンには嬉しいシブいメンツがそろってました。トニー役は、「アイリス」でオスカーを受賞した名優ジム・ブロードベント。役は不快でしたが、ブロードベント氏の見た目は素敵おじさまでした。一般人爺さん役にしてはカッコいいです。全然ヨボヨボしてないし。佐○健とブロードベントおじさんだったら、迷わず後者に抱かれるわ。
 ベロニカ役のシャーロット・ランプリングは、中盤になって登場。相変わらずクールでシブい。これ見よがしな熱演なんかしないところが好きです。枯れた風貌になっても男に色目を使われる役も、ランプリングおばさまならでは。ブロートベントおじさんとは、「ロンドン・スパイ」でも共演してましたね~。

 自殺したエイドリアン役は、「女王陛下のお気に入り」での好演も記憶に新しい、最近売り出し中のジョー・アルウィン。制服男子、メガネ男子で可愛かったです。若い頃のトニー役の俳優、もうちょっとイケメンにしてほしかったです。ベロニカの兄役は、これまた「ロンドン・スパイ」にも出てたエドワード・ホルクロフト。ジェームズ・フランコをブリティッシュ化したような感じのイケメンで、ワケアリな役が似合う俳優。トニーやエイドリアンを誘惑するゲイの役なのかなと期待させといて、いてもいなくてもいいようなチョイ役だったのでガクッ。イケメンといえば、トニーの高校の教師役でマシュー・グードも出演してますが、これまたチョイ役。ベロニカの母役のエミリー・モーティマーがミスキャスト。もっと色っぽい美熟女女優に演じてほしかったかも。ベロニカの父役は、ぜんぜん気づかなかったけどジェームズ・ウィルビーだった!あのモーリスが、誰だか判んないほどフツーのおじさんになってて悲哀…
 ベロニカ一家の別荘がある田舎の風景はもちろん、ロンドンの街並みもイギリス好きには楽しめます。トニーがベロニカと再会するグラグラ橋とか、もしまたロンドンに行けたら訪ねてみたいです。


The Romanoffs ①~④

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 amazonのドラマ「ロマノフ家の末裔 それぞれの人生」第1話から4話まで観ました~。全8話。長々しい連ドラは苦手ですが、これは1話完結のオムニバスだったので、集中力と持続力がない私でも観ることができました~(^^♪
 ロシア革命で処刑された皇帝ニコライ2世一家を描く大河ドラマかと思ってたのですが、ぜんぜん違ってました。ロマノフ家の子孫だと信じてる人々を通して、現代的な人間関係や社会問題を炙りだす悲喜劇、ブラックコメディ調のドラマでした。
 第1話「ヴァイオレット・アワー」
 パリで暮らすアメリカ人のグレッグは、ロマノフ家の末裔だと称している金持ちの伯母マヌシュカの気難しさに辟易しながらも、彼女の遺産相続人になるために機嫌をとっていた。そんな中、新しい家政婦として派遣された若く美しいイスラム系の女性アジャルに、アヌシュカは難色を示すが…
 パリの意地悪ばあさんなアヌシュカの、イヤミや毒舌、あてこすりが笑えた。イスラム人はみんなテロリスト、女は多産で男はみんな複数の妻がいると本気で信じてる差別偏見が、トランプさんを支持してるアメリカ人とカブって皮肉な笑い。フツーの人なら速攻で辞めるか殴るかだけど、何を言われてもクールにスルーし、自分のペースでテキパキ仕事をこなすアジャルの忍耐強さ、賢さが素敵でした。二人の女性が、世代も人種も階級も超えて親密になってゆく姿が、ユーモア&ペーソスでもって描かれていました。

 アヌシュカがアジャルに遺産を遺さぬようにするため、アジャルを誘惑するグレッグが最低なゲス男なんだけど、ラストの痛快で優しいドンデン返しのおかげで後味は良かったです。
 アヌシュカ役はスイス出身のベテラン女優マルト・ケラー。デヴィ夫人をクール&エレガントにした感じの美老女。シャキっとした姿勢の良さ、ほっそりしたスタイルの良さ、趣味の高いファッションで、老いさらばえ感ゼロでした。グレッグは美男子という設定だったので、ブサイクじゃないけど地味なアーロン・エッカートはミスキャストだったのでは。アーミー・ハマーとかならピッタリな役。でも、素朴でおおらかなアメリカ人らしい風貌は、返ってパリの街ではカッコよく見えました。アジャル役のイネス・メラブが、すごい美人で可愛かった。パリの街並みも、観光プロモーションフィルムみたいに美しく撮られていました。

 第2話「空しい望み」
 陪審員に選ばれたマイケルは、美しい人妻ミシェルに心を奪われ、彼女に近づくためわざと裁判を長引かせる。マイケルの妻シェリーは、仕方なく独りでロマノフ家の末裔クルーズツアーに参加するが…
 中年ハゲおやじの下心丸だしな浮かれた言動が不快!ミシェルへの執着もほとんどストーカーでキモかった。陪審員裁判って、あんな風に簡単に一人のメンバーの身勝手な都合で左右されちゃうのもありえるんだよな~と、日本の裁判員制度について考えさせられました。悲劇で喜劇な結末が皮肉でした。ゴージャスなクルーズ船に感嘆。私もあんなリッチな船旅がしてみたい。船内の催し物が、楽しいけどバカバカしくもあって、これもすごい皮肉だった。

 第3話「栄華の果てに」
 ロマノフ家の最期を描くドラマの撮影に参加するため、アメリカ人女優のオリヴィアはオーストリアの田舎にやって来る。元女優のフランス人監督ジャクリーンやスタッフの、どこか不可解な態度に戸惑うオリヴィアだったが…
 イザベル・ユペールが大暴れ!ヤバいイカレ女を毒々しくエキセントリックかつ、のんしゃらんとスットボケ怪演。しらじらしい表面的すぎる親切や物分かりのよさで油断させといて、いきなり別人のように意地悪で冷酷な鬼女の正体を現す二重人格なユペりんが笑えた。俳優たちへのモラハラパワハラ演出シーンとか、レストランでの怨霊にとり憑かれた?イタコ演技とか、楽しそうでノリノリ。正気なのかコワレてるのか判らない言動は、オリヴィアだけでなく視聴者をも惑わします。小柄で華奢だけど、ものすごい存在感。アメリカのテレビ俳優が、同じ土俵に立って互角に渡り合える相手ではありません。

 テレビドラマの撮影風景が、興味深く描かれていました。役者さんもスタッフさんも大変そう!オリヴィアやジャクリーンに起きる怪奇現象?霊体験?は本物?それとも幻覚妄想?オカルト?ニューロティックもの?と思わせて、実は…なオチと皮肉な結末も楽しいです。
 第4話「秘密の重さ」
 ニューヨークの裕福な人妻ジュリアは、娘のエラの出産を間近にし悩んでいた。エラの実父は夫ではなく、元恋人の作家ダニエルだという秘密を、長年ジュリアは抱えていたが…
 ジュリアを筆頭に、みんなギスギス刺々しくて不愉快でした。アメリカ人を含め西洋人って、他人に対して無神経で意地悪なところが、東洋人よりも露骨ですよね~。ジュリアの、夫や娘の舅姑、お医者さんに対するものの言い方とか、カフェでのジュリアをバカにしたような若者たちの態度とか、イヤな人たちだな~と思った。ジュリアの思いやりのない、自分本位な生き方と性格に不快になるだけの話でした。ニューヨークの街並みや高級デパートなどは目に楽しかったです。

腐女コク③~⑤ 好きなんでしょホモが

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 「腐女子、うっかりゲイに告る」の第3話から5話まで観ました~。

☆お勉強デート
 三浦さんと付き合うことになった純。彼女とファミレスで一緒に楽しく試験勉強。いいですね~。憧れます。高校生の頃は、そういうの全然したくもなんともなかったけど、年老いた今はラブホや自室でエッチよりも、図書館やカフェで彼氏とお勉強のほうがイイネ!と思います。でも私、静かな環境でないと集中できないので、たぶん公共の場で勉強は無理
☆LGBT環境に恵まれてる
 純がマコトさんと待ち合わせに使ってるカフェの店長は、イギリス人のレズビアン。演じてるの誰?すごい不自然な演技でコントみたい。純の年頃の同性愛者って、かなり孤独な立場になりがちだと思うのですが、純はマコトさんやミスターファーレンハイト、レズビアン店長とか、身近に自分を理解してくれる人たちがいて、独りで苦悩してる感じは薄いです。

☆隠れゲイ
 ノンケのふりして生きようとするゲイを、卑怯なコウモリと自嘲するミスターファーレンハイトの台詞がイタい。
☆乳もみ練習
 肉まんをおっぱいに見立てて、モミモミしながら『勃て、勃て!』と念じる純、その必死な様子は悲壮で痛ましく、まったく滑稽ではありませんでした。
☆彼死
 ミスターファーレンハイトの恋人が、エイズで死亡。ひと昔ほどエイズは死病ではなくなってるようですが、それでもゲイにとっては今も大きな十字架…

☆修羅場温泉
 三浦さんと純、三浦さんの腐女子仲間とその彼氏とで日帰り温泉ダブルデート。酔った腐女子仲間が、ふざけて自分の彼氏と純のBLポーズを執拗に強要。こんな腐女子、ありえんわ~。
 なぜか温泉にマコトさんも家族と来ててビツクリ。どうやら純、知っててわざと鉢合わせ。『当てつけだよ』と微笑む純、かなり小悪魔。純はマコトさんのことが本気で好きなのか、それとも性欲処理なのか、かなり曖昧なのが何か釈然としないんですよね~。三浦さんと付き合うことにした直後、あっさりもう会わないと言ったり。そんなにマコトさんのことで苦しんでる風もないし、気軽に偶然を装って再会したりと、どういうつもりなのか、どうしたいのか純の真意が解からない。

 ミスターファーレンハイトの遺書メールにショックを受けた純を慰めるマコトさん。二人は抱き合ってブチューと濃密なキス。それを目撃し、純にどーいうこと?!と詰め寄る三浦さん。あのさー何でそんなところで男同士がキスするの?堂々とカミングアウトしてるゲイだって、そんな人目のつくところでキスなんかしませんよ。純の『いいじゃん。好きなんでしょホモが』という台詞と表情が、虚しすぎて悲しすぎて…三浦さんの受難は、BLを面白おかしく楽しんでいた腐女子への、皮肉で手厳しい罰のようにも思えた。
☆学校も修羅場
 亮平くんから三浦さんを盗ったと、何かと純をネチネチ責める小野くん。仲間内では唯一の非童貞で、背が高くて彼女もいるモテ男な小野くんですが、前から妙に亮平くんに執着してるのが怪しい。純に刺々しく絡む小野くん、『亮平のことが好きなんだろ』と純に指摘され動揺する様子が、語るに落ちた感じでした。亮平くんも小野くんもノンケなんだけど、仲が良すぎる男同士って男女間以上の独占欲や嫉妬でモヤモヤすることも。亮平くんと小野くんが私好みのイケメンだったらな~と、毎回惜しい!

 純がゲイであることを知った小野くんは、それを学校で言いふらし、純に対してぎこちなくなるクラスメート。昔なら即いじめ、無視が待ち受けてるところですが、さすがに現代ではそれはない、けど、あの困惑による居心地の悪さも十分つらい。小野くんの攻撃的な罵倒、蔑みよりも、亮平くんの必死すぎる気づかいのほうがダメージでかい。言葉とは裏腹に、スキンシップを一切しなくなったことが、亮平くんの本音をよく表してました。いくらLGBTがオープンになってきてるとはいえ、私の住んでる田舎なんか小野くんみたいな人ばっかですよ。
★総括
 想定外のシビアでリアルな内容。腐女子向けのライトなファンタジーにせず、ゲイの生きづらさ、性的な悩みもちゃんと描いてるところが、おっさんずラブとの大きな違いです。
 心では愛せても体は愛せない、というゲイ×女の関係もイタくて切ないです。三浦さんを利用して“フツー”になろうとした純の卑劣さも、すごく悲痛。ゲイを愛してしまった女の悲劇、苦悩にも興味あるので、三浦さんが今後どう動くのかも気になります。三浦さん、いい娘なので傷ついても女ってやっぱ強い!カッコいい!な結末を迎えてほしいです。不自然なご都合主義ハッピーエンドだけはやめて!

 ↑ マロ~「おっさんずラブ」劇場版、観に行こうかどうか迷ってますが、マロにまた会いたいし蝶子とどーなったか気になるので、やっぱ観に行こうかな

KKK★アメリカファースト

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 「ブラック・クランズマン」
 1979年のアメリカ。コロラドスプリングの警察署で黒人初の警察官となったロンは、白人至上主義集団クー・クラックス・クラン(KKK)への潜入捜査に抜擢される。ロンと相棒のフリップは二人一役で、KKKのメンバーとの接触を試みるが…
 昨年のカンヌ映画祭でグランプリ、今年のオスカーで脚色賞を受賞した名匠スパイク・リー監督の新作を、やっとこさ観ることができました~。評判通り、すごく面白かったです!とっても強烈でゴキゲンな快作でした。映画ってやっぱ、楽しい!面白い!が最重要ですよね。あと、驚きと刺激が加われば無敵。もうね、最近は誰が観てもOKなユルいヌルい無難映画ばかりなので、この作品はまさにキノコ狩りでマツタケ発見したかのような僥倖です。数々の問題作を世に放ち、物議を醸してきたスパイク・リー監督。一貫してアメリカに巣食う黒人差別を糾弾する映画を撮り続けてる彼の作品中、この新作はかなり異色と言えるのではないでしょうか。今回もコッテコテでガチガチの黒人差別糾弾映画なのですが、かなり笑えるんですよ。コメディ仕立てになってたのが、まずもってスゴい特色です。

 もう見るに耐えない、聞くに耐えない非道すぎる黒人差別をコレデモカ!と突きつけられるのですが、心が痛んだり暗くなったりする代わりにプっと笑えるシーンや台詞が満載。深刻で重い内容なのに、軽やかなシニカルさとポップなノリのおかげで、凡百な差別告発映画とは違う愉快痛快な問題提議映画になってました。声高に過激に激怒する告発調から、アメリカの暗部・恥部を嗤う余裕へと成熟したスパイク監督です。とにかくこんな映画、日本では絶対に作れません。 

 KKKの連中のイカレっぷりを、徹底して滑稽に描いているのがコメディ色を濃ゆくしています。スパイクさん、KKKをディスりまくり。出てくるKKKメンバー、そろいもそろってアホバカ。狂ってるとしか思えない思考回路や言動なんだけど、暗い狂気なんてカッコよさは微塵もありません。悪ではなく愚者として描かれていた差別主義者たち。それが返って監督の激烈な嫌悪と蔑みを浮き彫りにしていました。フリップと親しくなるKKKのメンバーが、魅力も共感も感じさせないけど個性的で笑えるキャラばかり。特に疑い深いフェリックスと、見るからにノータリンなアイヴァンホー、フェリックスのデブ嫁が笑えた。彼らの口汚すぎるトンデモ差別用語も非道すぎて、一周回って笑えました。特に冒頭の政治家?のおじさんの演説、もう笑うしかない頭のおかしさ。このおじさん、完全にあの人とカブります。

 笑えると同時に、もちろん戦慄も。こんなイカレた連中に支持されているレイシスト大統領の存在に。白人以外は汚物同然だと信じてるトランプさん、どんだけ我慢して阿部首相と仲良く握手やゴルフしてるんだろ、と同情さえしちゃいます。トランプさんもですが、白人至上主義者って強い憎悪や嫌悪があって差別してるわけじゃなさそう?交通ルールや社会常識を守ってるに近しい軽さが、返って怖いです。黒人側にある溶けない憎悪や怒り、頑なな警戒心と猜疑心もまた深刻で、歩み寄りの困難さだけは笑えませんでした。
 主役のロン役は、名優ゼンゼル・ワシントンの息子ジョン・デヴィッド・ワシントン。

 若い頃のパパほど美男ではないけど、おおらかさとふてぶてしさを併せ持った男らしい面構えが素敵。パパよりどっしりした恰幅のよさも、頼もしさ抜群。何かすごく可愛く見えてしまう愛嬌ある表情や仕草など、パパよりもコメディの才を感じる好演でした。アフロヘアとカラフルなファッションもオシャレでした。現在34歳のジョン・デヴィッド、嵐とかと同世代なんですね~。若々しいけど大人っぽいところが、嵐と真逆ですね。
 ユダヤ人のフリップ役は、スターウォーズシリーズのカイロ・レン役で日本でも人気のアダム・ドライバー。彼はこの作品で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。

 アダムさん、ぜんぜん大熱演なんかしてないのに、ほぼ無表情なのに、すごいインパクト。演技に見えない演技の名手ですね。ドキュメンタリーの中の人物みたいなリアルさ自然さだけど、無音な不気味さ、不穏さがジワジワ…ゴゴゴゴ…と出ていて、はっきり異常者よりヤバい雰囲気。風貌も独特。イケメンなんだけどヘンにも見える小顔と、ヌオオオ~っと威圧感ある巨体のアンバランスさも奇妙で個性的。危険な任務は主に彼の担当だったので、見せ場も主演のジョン・デヴィッドより多く、KKKになりきってる姿はマジで洗脳されたのでは?と不安になるほどの迫真の演技でした。

 ↑このラストシーン、すごい好き!それにしても。カッコいいけどアフロヘアって大変そう!
 ロンとフリップのコンビに、ベタな友情や悩みを盛り込まず、サラリとした仕事仲間で終始していたのも、ありがちな刑事ドラマにらなずにすんだ要因。ミュージックビデオみたいな斬新な演出、そして音楽も秀逸で、サントラが欲しくなりました。やっぱり出てきた!なトランプさんや、シャーロッツビル事件など、実際の映像を使ったラストが、ポップで軽快な本編とギャップのある重さ痛ましさで、アメリカの今をあらためて憂慮せずにはいられませんでした。

 ↑ SWの最新作公開が待たれるアダムさんの新作は、先日カンヌ映画祭でお披露目されたジム・ジャームッシュ監督のゾンビ映画“The Dead Don't Die” です。ジョン・デヴィッドはクリストファー・ノーラン監督の新作に主演!アゲアゲな二人です

ヒデキ、ショーゲキ!

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 本日の阪神とのデイゲームは、5-7でカープの負ーけ負ーけ負っけ負け序盤、一気に7点も失点しちゃあ勝てんわ~アドゥワさんちのまことくん この頃すこし変よ どうしたのかな~♪なんともはや…な、絶句させられる大炎上でしたね~。

 ↑ついに先発を剥奪されてしまったアドゥワ、輝きは一瞬だけでした…
 面白いほどボコボコ打たれるアドゥワ。今日はハイもう終了!一昨日昨日の連勝で勝ち越したし、今日はもうええわ!阪神さん頑張りんさい!梅ちゃんカッコいい!高山くんも復活だね!と好きな若虎を応援するなど、すっかり居直ってたのですが。中盤になって、カープが一気呵成の猛追!野間っちが!菊池が!バティが!リョーマが!磯村が!コースケが!気づけば5点ももぎ獲ってイケイケドンドン状態に。やっぱカープはこれですよね!ひょっとしたらの大逆転劇?!と俄然ドキドキワクワク心が躍る!アドゥワ以降の投手たちは、大ピンチを背負いながらも無失点で切り抜けて、ほんと踏ん張った!でもでも、結局反撃は5点どまりで試合終了。カープの連勝はストップしました。アドゥワもですが、セイヤが今日はトホホでしたね。珍しく鈴木ダメヤになってました。それにしても阪神さん、嬉しさよりも安堵でしょうね。あれで逆転なんかされたら、もうお先真っ暗でしたでしょうし。
 さあ、恐怖の交流戦が始まります。今日奇跡の大逆転してたら、ものすごい幸先のよさになってたでしょうね。でもまあ、どん底の最下位から激烈な捲土重来で一気に首位に昇った5月は、カープファンにとってはまさに奇跡と幸福の日々でした。交流戦でも予想を裏切る善戦をI wish!交流戦、怖いけど大好きなパリーグ選手の勇姿は楽しみ(^^♪ライオンズの源田くん、山川くん、秋山さん、ホークスの上林くん、オリックスの山岡たいちゃんを、つい応援しちゃうことでしょう

 「傷だらけの勲章」
 東京で弁護士が二人組の男に襲われ殺害される。犯人の目的は、エジプトで殺された大企業社長の倉田の遺言状強奪だった。事件を追う刑事の都築はベテランの大貫と組み、倉田の未亡人である喜枝に捜査協力を求めるが…
 去年亡くなった西城秀樹主演のサスペンスアクション映画。当時30歳のヒデキ、わ、若い!カッコいい!ワイルドだけどアイドルの名残っぽい甘さもあって、歌手な彼しか知らなかった私の目にはとても新鮮に映りました。明るく健康的で正義感が強い熱血漢という役も、演技派を目指した無謀な挑戦ではなく、ファンが抱くイメージを裏切らないものでした。

 ヒデキさん、お世辞にも演技が巧いとは言えないのですが、最近のアイドルや俳優も学芸会同然なので、特にヒデキが大根とは思わなかったです。むしろ、織田裕二やキムタクよりも役者魂があるところを見せてくれてるかも。冒頭、なかなかエロい濡れ場があるんですよ。あのヒデキが性交シーン!薄闇の寝室、全裸で女とねっとり肌を重ね合うヒデキ、褐色の肌がセクシー。女の乳首を口に含んだり、女のおっぱいを揉んだり、すごく頑張ってました。濡れ場だけでなく、すっぽんぽんで銃を構えたり、シャワーシーンもあったり、やたらと脱いでたのはファンサービス?

 前半は濡れ場以外特に見せ場はなく、これといって個性的でも有能でもない、フツーの若い刑事って感じのヒデキで物足りません。どちらかといえば、悪徳に墜ちて道を踏み外す大貫役の中村嘉葎雄のほうが主役っぽいかも。後半、独自の捜査を始めた頃からようやく主役になるヒデキ。無精ひげが似合って男前。いちおうカーアクションとか銃撃戦とかアクションシーンも頑張ってたのですが、もうちょっと目を驚かすほど派手に破天荒に大暴れしてほしかったかも。某事務所タレントでも全然できるレベルでしたし。

 ヒデキさんはカッコよかったのですが、かんじんのお話が雑すぎ。事件の謎も弱いしありえなさすぎる。日本の警察、そこまで無能じゃないやろ。エジプトとシンガポールで大がかりな海外ロケを敢行しているのですが、その必然性が感じらなかった。北海道とか九州でもいいじゃん?みたいな。せっかくの海外ロケなので、そのスケールに見合った壮大なサスペンス、ミステリーにしてほしかったです。ピラミッドやスフィンクス、サハラ砂漠などが必要以上にたっぷり撮られていて、エジプトにも行ってみたいな~と旅心をそそられました。
 脇役が特濃!主役のヒデキだけでなく、もう2度と会えない名優たちがたくさん出演しています。あらためて彼らの、今のCM俳優にはない強烈な個性と存在感、特異な演技に感銘を受けました。

 まずはやはりこの人、喜枝役のちあきなおみ!表舞台から姿を消して久しい彼女ですが、見た目といい雰囲気といい演技といい、周囲を圧倒する濃密さ。大ヒットした「喝采」は大好きな曲ですが、リアルタイムでは歌手の彼女は知らない私。ワタシ世代ではやはり、タンスにゴンのCMと、2時間ドラマなどでの妖しくユニークな女優、というイメージ。

 今回の魔性の未亡人役も、見るからに怪しくて笑えるほど。熟女の色香も毒々しい。ほんと、女優としても唯一無二。80年代のマダムファッション、髪型もインパクトあり。ちあきなおみ、カムバックはもうないんだろうな~。今の彼女、見たいような見るのは怖いような。
 ほぼ主役だった中村嘉葎雄をはじめ、成田三樹夫や仲谷昇、小林昭二、鈴木瑞穂、そして高橋幸治!(彼も引退状態?ご存命みたいだけど)など、シブくて強烈な名優たちの顔ぶれが嬉しい。ちょっと若い小林稔侍がザコい悪党役。今の善人おじさんキャラより、外道キャラだった昔のほうが素敵。悲惨すぎる最期が笑えた。スナイパー役の萩原流行が妖しい美男。都築の恋人役の朝加真由美が、ヒデキとの濡れ場ではおっぱいも堂々と出して、激しく悦楽に悶えていました。
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