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Channel: まつたけ秘帖
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イケメン献上の王宮!

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 ドラマ「メアリー&ジョージ 王の暗殺者」を観ました。全7話。
 17世紀のイギリス。エリザベス1世亡き後、王位に就いたジェームズ1世の治世。召使の身分から地方貴族の妻となったメアリーは、美貌の次男ジョージが男色家であるジェームズ1世の目に留まるよう画策する。やがてジョージは王の寵愛を受けるようになり、メアリーは富と権力への野望を燃やすが…
 イギリスの時代劇が好きです。特に中世の王宮ドラマが大好物。王族や貴族が宮廷内外で繰り広げる、苛烈で陰惨な骨肉相食む権力闘争がエキサイティング。「THE TUDORS 背徳の王冠」にハマった人なら楽しめること請け合い。それにしても。イギリス王室の政争ってすごい有為転変で、天下獲っても一寸先は闇、油断すると天国から地獄へ急転直下、速攻で首チョンパ。王妃や寵臣もじゃんじゃか問答無用に斬首。まさに血祭り状態。政争に影響を及ぼす人間関係がインモラルに乱れた愛欲まみれ、だけど溺れたりせず計算高いところも面白い。冷酷で卑劣なクズやゲスだらけ、残虐なシーンや大胆な性描写満載。過激で刺激的な内容は、子どもが観ても大丈夫なように作ってる映画やドラマにうんざりしてる人向けです。日本でもこういう大人向けの時代劇、作ってほしいなあ。日本の歴史にも、皇位をめぐっての惨い暗闘や禁断の関係はあったのに。NHKの大河ドラマとか、スウィーツお花畑すぎるわ。

 英国の宮廷時代劇というと、ネタが豊富なヘンリー8世かエリザベス1世の話がほとんどですが、このドラマは珍しくジェームズ1世の時代。ジェームズ1世って、あの悲劇のスコットランド女王メアリー・スチュアートの息子なんですね。ジェームズ1世の男色への耽溺、メンタルの弱さ、政治的無能さが甘い毒蜜となって、メアリー&ジョージ母子や廷臣たちの野望を掻き立てる。王さまがあんなに暗愚ではなく、隙のない賢く強い御方だったら、奸佞な者どもも群がってこなかったでしょうに。あんな人たちが治める国の民が可哀想。でも、清廉潔白な偉人の話よりも、色と欲に狂って汚れた連中の話のほうが面白い!

 母と息子がダッグを組んで王宮で成り上がろうとする姿が、必死すぎて滑稽でもありました。美しい息子を使って王さまに取り入ろうとする母、美貌と巨根を武器に王さまを誘惑し篭絡しようとする息子。でも男色王宮は敵だらけ。王の寵愛をめぐっての美男子たちの陰険で残忍なバトル。そこに乗っかってきたり巻き込まれたりする王族や政治家たち。日本の時代劇でも人気のコンテンツ、大奥とシチュエーションは同じですね。

 権力者への若い男女の献上、といえば。某テレビ局と大物タレント、女子アナを思い出させました。献上文化は今も昔も不変みたいです。ジョージは野心家だったので、自ら進んで献上されて肉体を捧げてたけど、女子アナは人身御供で気の毒。テレビ局という華やかな王宮で、若さと美しさを武器にスポットライトを浴びたいと野望する者は、相当な覚悟と知恵が必要みたいですね。魑魅魍魎の世界で欲しいものを手に入れるためには、傷ついて汚れていっそう貪欲さを増す魔物になるしかないのでしょうか。
 男同士の性愛シーンや全裸シーンが多いのも、このドラマの売りかも。そういうのが苦手な人は、観ないほうがいいかもしれません。嫌いじゃない私でも、ちょっと過剰すぎてゲップが。セックスシーンも裸も、ぜんぜん美しくもエロくもなかったのが残念。男たちはヤリまくるけど、恋も愛もないので胸キュンとか切なさもない。BLになってない!

 ジョージ役は、「赤と白とロイヤルブルー」に続いての男色イケメン役のニコラス・ガリツィン。男を誘惑する目つきや表情、仕草など、堂に入ったものです。長身でちょっとゴツめの美丈夫ぶりで、貴族の衣装もファッショナブルに着こなしてます。これでもか!と脱ぎまくってヤリまくってます。ゴツく見えるけど、脱いだらちょっとぽっちゃりした感じの白い柔肌。人気俳優は全裸も濡れ場もほぼNGな時代になっているので、ニコラスの存在は希少で貴重。リスクを恐れぬ果敢な若手俳優だけど、役者生命を賭けてる!みたいな力みがないところも、ニコラスのすぐれた点でしょうか。取柄は美貌と床上手なことだけ、浅はかで軽薄、臣下としては無能、保身のためだけには小狡く立ち回れる小人物なジョージを、軽やかに色っぽく演じたニコラスです。最初っから最後まで潔いほどクズでゲスだったジョージ、彼みたいなホストか男娼が天職な男が、王に重用され政治に関与するとか、まさに亡国!前半は短髪、後半は長髪、どっちもイケてたニコラスです。


 メアリー役は、オスカー女優のジュリアン・ムーア。悪女、毒母というより、逆境に挫けず闘う不屈の烈女、みたいだった。ハードな人生経験で培った知恵と度胸でピンチもチャンスに変え、クズ男たちを従わせたりギャフンと言わせたり、時に叱咤激励、弱者を優しく守ったりと、いい女をカッコよく演じてたジュリアンおばさまです。

 ジェームズ1世の寵をジョージと争うサマセット伯爵役、ローリー・デヴィッドソンもイケメン!カッコカワイい!大コケミュージカル「CATS キャッツ」に出てた男子ですね。可愛い顔とイケズなキャラのギャップに萌え。彼も大胆な全裸に。ニコラスとのツーショット、絡みには、腐女子をニヤつかせる華と匂いが。敵同士なのにヤっちゃう二人、おっさんの王とばかりでは腐女子視聴者が逃げちゃうので、少々強引だけどイケメン同士の濡れ場も用意した、みたいな感じでした(笑)。ジョージに男色レッスンするフランス人貴族役は、オゾン監督の「苦い涙」のハリル・ガルビアくんでした。ジェームズ1世の嫡男、皇太子チャールズのポンコツぶりも憂国もの。彼は後に清教徒革命で処刑されるチャールズ1世なんですね。チャールズ1世は英国史上初めて処刑された国王なんだとか。
 

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